SEO 全般

試してみよう!Ahrefs と無料 ChatGPT ボットで「SEO ポテンシャル」を効率よく計測

マテウシュ・ マコシェヴィチ
Ahrefs 社のマーケティング リサーチャー兼人材育成担当。 代理店、SaaS 企業およびハードウェア企業で 10 年以上のマーケティング経験を持つ。仕事以外では、作曲や長距離ウォーキングといった趣味を楽しんでいる。
SEO ポテンシャルとは、広告に 1 円も費やすことなく、Google などの検索エンジンを通じてどれだけのオーガニックトラフィックを獲得できるかの指標です。この無料で獲得するトラフィックこそが、ブランド認知度、リード、売上、収益の増加につながります。

とはいえ、SEO ポテンシャルを計算するのは複雑で時間もかかります。そこで、 今日紹介する無料の 「SEO ポテンシャルボット」の出番です。このシンプルなツールを利用すると、キーワード分析やランキングシナリオをモデル化ができ、実質的に自社やクライアントの SEO トラフィックのポテンシャルを計算するプロセスが自動化されます。 

このボットは単純な方式を基にしていますが、次のようなメリットを提供してくれます。

  • 時間を節約し、手作業を省略できる
  • より現実的な目標設定が可能になる
  • SEO によるトラフィック増加効果を可視化できる

こちらからボットへ移動できます。

SEO ポテンシャルボット

このボットは、トラフィックポテンシャルと親トピックに基づいているため(後ほど詳しく説明します)、Ahrefs のデータと組み合わせるのが最も効果的です。ただし、Ahrefs ユーザーでない場合でも、ボットは親トピックの代わりに通常のキーワードを、トラフィックポテンシャルの代わりに通常の検索ボリュームを使用して計算できます。また、Ahrefs の無料で使えるキーワードジェネレーターツールからコピー&ペーストしたデータにも対応しています。

ボットが生成するトラフィック推定値のスプレッドシートは、CSV 形式でダウンロードできます。また、キーワードエクスプローラーで選択した国でのトラフィックポテンシャルとグローバルトラフィックを積み上げ棒グラフとして視覚化し、ダウンロードすることもできます。

ただし、トラフィックは毎月獲得できる可能性のある訪問数(訪問者数ではない)として表されることに注意してください。

それでは、例を見てみましょう。

試算例

難度が高いほど、上位表示するためには時間も労力も費やすことになります。「簡単(Easy)」のカテゴリーは、短期間で獲得できる可能性のあるトラフィック量を示しています。特にドメインレーティングが低いサイトにとってこれは良い目標となります。

ボットは無料で利用できますが、他のコミュニティボットと同様に Chat­G­PT のサブスクリプションが必要です。なおこの記事の最後には、ボットの代わりに使用できるプロンプト(データ分析機能を使用するにはやはり Chat­G­PT のサブスクリプションが必要ですが)、または Gem­i­ni や Claude などの他の LLM に使用できるプロンプトを記載していますので、必要に応じてご利用ください。

Ahrefs のキーワードエクスプローラーを使用して入力データを取得する方法は次のとおりです。

  1. AI にシードキーワードのリストを提供するよう依頼します。例えば、「パーソナルファイナンスに関するブログのためのシードキーワードリストをください」のようなプロンプトでよいでしょう。もちろん、独自のキーワードを追加したり、競合他社からキーワードを取得したりすることもできます。
Ahrefs のキーワードエクスプローラー
  1. 「フレーズ一致レポート」に移動し、「親トピック別のクラスター化」タブを開きます。
キーワードエクスプローラーでの親トピッククラスターの作成
  1. 結果を CSVUTF‑8)でエクスポートします。
親トピックのエクスポート
  1. ファイルをボットにアップロードし、結果を待ちます。ボットからは簡単な確認の質問をされたり、添付データの確認を求められたりすることがあります。結局のところ、AIですからね。
親トピックのファイルのアップロード

ボットに方法の説明を求めたり、設定の調整を依頼したりすることもできます。

ヒント

では、競合他社のキーワードを使用して、競合市場を狙った場合に獲得できるトラフィックを推定しましょう。

それには、Ahrefs のサイトエクスプローラーを使用して、競合他社のキーワードをエクスポートします。最大 1 万個のキーワードが必要になるため、最小ボリュームや最大ランキングなどのフィルターを調整して制限内に収め、重要度の低いキーワードを除外します。ここではブランドキーワードも除外しましょう。

ボットに渡すための競合他社のキーワード抽出

それらを Ahrefs のキーワードエクスプローラーに入力して、親トピックとトラフィックポテンシャルデータを取得します。

競合他社のキーワードからの親トピック作成

最後にそのデータをエクスポートし、ボットに渡します。

トラフィックの推定は、検索ランキングをグループに分割し、特定のクリック率(CTR)のベンチマークを適用して潜在的なトラフィックを計算します。CTR は、すべてのユーザーが最初の検索結果をクリックするわけではないという現実を反映しています。ランキングの高いキーワードは一般的に獲得するクリック数が多くなるため、CTR はボットがこの事実を考慮するのに役立ちます。 

ボットは楽観的、現実的、悲観的なランキングシナリオをシミュレートし、さまざまなポジションがトラフィックにどのような影響を与えるかを示します。

このボットは、次のような Ahrefs 独自の指標に基づいて設計されています。 

  • トラフィックポテンシャル
    ターゲットキーワードで 1 位にランクインしているページがランクインしているすべてのキーワードから得るオーガニックトラフィックの合計。1 つのページは何百ものキーワードを対象にランクインし、それらすべてからトラフィックを獲得する可能性があるため、検索ボリュームだけを見るよりも、トラフィックポテンシャルの方が適切な指標となることが多いです。
  • 親トピック
    ターゲットキーワードを狙いながら、より一般的なトピックをターゲットにすることができるかを判断します。Ahrefs は親トピックを特定するために、調べたいキーワードでランキング 1 位のページを調べ、そのページに最も多くの検索トラフィックを送っているクエリを特定します。
  • キーワード難易度
    特定のキーワードで Google のオーガニック検索結果の上位 10 位以内にランクインするのがどれだけ難しいかを 0 から 100 までのスケール(100 が最も困難)で推定します。

まず、ボットはウェブサイトの現在のランキングを考慮しない点に注意が必要です。代わりに、ターゲットキーワードの全体的な可能性に焦点を当てます。ただし、すでにターゲットにしているキーワードから得られるトラフィックを推定するために利用することはできます。

Ahrefs のランクトラッカーやその他のツールを使ってターゲットキーワードをエクスポートし、キーワードエクスプローラーに貼り付けます。ツールから得られる、ターゲットキーワードに基づいた関連する親トピックをエクスポートしてボットに渡します。

ランクトラッカーからのターゲットキーワードの抽出

たとえばこのサイトは、最も簡単なキーワードに重点を置くことでトラフィックを最大化できる可能性があります。

ターゲットキーワードを基にした試算例
ヒント

Chat­G­PT を使用して最も改善の可能性が高い用語グループを特定するのも同じく有用です。Ahrefs のパトリック・ストックスがこの方法(および他の便利なプロンプト)について説明しています。
chatgpt を使用した、改善に向け最も可能性のあるキーワードの取得

SEO は長期的な戦略です。次のことを頭に入れておきましょう。

  • ランクアップは一夜にして奇跡的に起こるのではなく、段階的に改善されていくこと
  • 突発的な一時の労力よりも継続的な努力が重要。1 ページ目にランクインするには、粘り強く戦略を実行に移すこと
  • SERP で地位を奪おうとしてくる競合は常にいること

高品質のコンテンツを作成し、高品質のリンクを構築すればするほど、悲観的なシナリオから楽観的なシナリオへと進んでいきます。

ほとんどのマーケティング戦略と同様に、SEO も基本的にインソーシングとアウトソーシングの 2 つの方法があります。 

次の条件に当てはまる場合は、インソーシングをおすすめします。

  • 予算が限られている
  • 忍耐強く知識を積み上げることができる
  • 投資する時間がある

キーワード調査からリンク構築まで、あらゆるトピックを提供している無料の初心者向け SEO コースを Ahrefs アカデミーでチェックしてみてください。

また、次の条件に当てはまる場合は、代理店やフリーランスの SEO 専門家にアウトソーシングしてみるのも良いでしょう。 

  • 高価値のビジネスを展開している
  • 即効性のある結果が必要
  • 専門家を雇う予算がある

(その際は、サービス費用の確認をお忘れなく!)

ぜひボットをご使用いただき、ご意見・ご感想を Ahrefs 公式 X までお寄せください。お待ちしています。

ちなみに、ボットなしで使用したい場合や別の LLM で使用したい場合は次のプロンプトをお使いください(私は Gem­i­ni と Claude で試しました)。 

Generate an SEO Potential Report

Create a file listing Parent Topics with columns for:

Difficulty: Categorized into four buckets: Easy (0-10), Medium (11-30), Hard (31-70), and Super Hard (71-100).

Traffic potential and Global traffic potential: Based on user-provided columns.

Estimated Traffic: Calculated for three ranking models:

Optimistic: 30% of keywords rank #1, 25% at #2, 20% at #3, 15% in positions 4-10, and 10% unranked.

Realistic: 20% at #1, 20% at #2, 30% at #3, 30% in positions 4-10, and 20% unranked.

Pessimistic: 10% at #1, 10% at #2, 20% at #3, 60% in positions 4-10, and 20% unranked.

CTR Assumptions:

Rank 1 = 30%, Rank 2 = 15%, Rank 3 = 10%, Ranks 4-10 = 5%, Unranked = 0%.

For each difficulty bucket, calculate:

Total keyword count.

Total traffic potential and Global traffic potential.

Estimated traffic for each ranking model.

Clean Data:

Remove any rows with an "Uncategorized" difficulty bucket.

Exclude rows where all values for traffic and potential traffic are zero.

Provide a summary row labeled “Sum”, aggregating totals for traffic potential, global traffic potential, and estimated traffic across all buckets.

Visualizations: Create two stacked bar charts:

1. Estimated Traffic Potential:

Each bar represents total Estimated Traffic Potential for a ranking model (Optimistic, Realistic, Pessimistic).

Stack the bar by difficulty bucket (Easy, Medium, Hard, Super Hard) to show the contribution of each bucket. The pessimistic scenario needs to be at the bottom.

2. Estimated Global Traffic Potential:

Each bar represents total Estimated Global Traffic Potential for a ranking model (Optimistic, Realistic, Pessimistic). The pessimistic scenario needs to be at the bottom.

Stack the bar by difficulty bucket (Easy, Medium, Hard, Super Hard) to show the contribution of each bucket.

Column Mapping:

If the exact column names cannot be found, ask the user to confirm which columns to use for Parent topic, Traffic potential, Global traffic potential, and Difficulty.