Ahrefs チームはこの調査を 600 万件の URL 分析からスタートしました。その結果、AI に引用されるページには、引用されないページよりもスキーママークアップ(構造化データ)がはるかに多く実装されていることがわかりました。

AI に引用されたページは、引用されていないページと比べて JSON-LD を実装している確率が約 3 倍でした。
これは大きな差であり、「スキーママークアップは AI における可視性を高めるレバーだ」という主張の根拠としてシェアされがちな類のデータです。
しかし、Ahrefs チームはこのデータだけでは納得できませんでした。相関関係であって因果関係ではない可能性が高いためです。
スキーママークアップは、メンテナンスが行き届いた技術的に洗練されたサイトに実装される傾向があります。そしてそうしたサイトは、質の高いコンテンツを公開し、権威性を築き、より多くの被リンクを獲得し、ページが AI に引用されるためのあらゆる施策を実行しています。
スキーマが実際に効果を発揮している可能性はありますが、他のあらゆるシグナルの恩恵に便乗しているだけかもしれません。
つまり、SEO 担当者が本当に知りたい「自分のページにスキーマを追加したら、AI にもっと引用されるようになるのか?」という問いには、この観察データだけでは答えられません。
そこで Ahrefs チームは、スキーマ追加の効果を分離するための第 2 の調査を実施しました。
その結果を紹介します。
スキーマ追加はどのプラットフォームでも引用数を増加させなかった
Ahrefs チームは、2025 年 8 月から 2026 年 3 月の間に JSON-LD スキーマを追加した 1,885 のウェブページを追跡し、4,000 の対照ページとマッチングさせたうえで、Google AI Overview、AI Mode、ChatGPT における引用数の変化を測定しました。
スキーマの追加は、どのプラットフォームでも引用数の大幅な増加をもたらしませんでした。
| AI ソース | 引用への影響 | 調査の結果 |
|---|---|---|
| Google AIO | −4.6% | マッチング対照ページとの比較で、統計的に有意な小幅な低下が確認されました。両グループともに減少傾向にありますが、処理済みページの減少速度がやや速かった点が特徴です。 |
| Google AI Mode | +2.4% | 統計的に有意な差がない(ゼロと同等) |
| ChatGPT | +2.2% | 統計的に有意な差がない(ゼロと同等) |
これらの数値は、最も信頼性の高い分析手法であるマッチング差分の差分法(DiD)テストから得られたものです。
このテストでは、AI Mode と ChatGPT の処置群ページは対照ページよりも平均的にわずかに良い成績を示しましたが、その差は非常に小さく、数千の URL にわたるランダムなノイズで十分に説明できる範囲です。
AI Overview は 4.6% の低下を示しており、これはマッチングした対照ページと比較して小さいながらも統計的に有意な結果です。
ただし、これだけでは全体像が見えません。次のセクションで詳しく解説します。
全体として、スキーマがわずかにプラスの効果を持っていたのか、まったく効果がなかったのかは判断できません。
AI Overview のページは 4.6% 低下した
処置群ページの AI Overview 引用数は、対照ページと比較して 4.6% 低下しました。この結果は「統計的に有意」であり、純粋な偶然でこれほどの差が生じる確率は約 2,500 分の 1 です。
ただし、「スキーマを追加すると AI Overview の引用数が下がる」と解釈する前に、2 つの点に留意する必要があります。
- 絶対的な規模は小さいです。1 ページあたり 1 日約 12 回の引用減少であり、サンプル内のほとんどのページは数百回の引用を受けていました。
- 処置群もマッチングされた対照ページも、スキーマ追加の「前」からすでに急激な下降トレンドにありました。AI Overview がスキーマとは無関係な理由でこの種のコンテンツの表示を抑制していた可能性があります(例:Google のアップデートによる表示対象の変更、コンテンツの鮮度低下、Google がページを最近再クロールしていないなど)。

とはいえ、スキーマの追加が引用数にまったく影響を与えなかったのであれば、処置群ページとマッチングされた対照ページは同じペースで一緒に低下するはずです(AI Mode と ChatGPT ではおおむねそのパターンが確認されています)。
処置群ページのほうがわずかに多く低下した事実は、スキーマが小さな負の影響を与えた可能性を示唆しています。ただし、単なる偶然である可能性も排除できません。
このデータだけではどちらなのかを判断できません。
スキーマ追加の効果をどのように分離したか
Ahrefs のシーベイジャー・グアンは、ブランドレーダーを使って AI Overview に引用された数百万件の URL を抽出しました。
次に、Ahrefs のクローラーデータベースから HTML 履歴を取得し、各 URL に <script type="application/ld+json"> が含まれているかどうかをラベリングし、スキーマの有無が「False」から「True」に切り替わった日付を特定しました。
これにより、2025 年 8 月から 2026 年 3 月の間に JSON-LD を導入した 1,885 ページが抽出されました。
最後に、このすべてのデータを分析するために、Ahrefs の新しい AI マーケティングエージェントである Agent A を使用しました。

各ページについて、シーベイジャーは 2 つの重要な日付を把握していました。
- クローラーがページを確認し、JSON-LD が見つからなかった最後の日
- クローラーがページ上で JSON-LD を初めて検出した日
ページが JSON-LD を追加した日が処置日です。
シーベイジャーは、各ページが Google AIO、Google AI Mode、ChatGPT に引用された回数を、処置日の前 30 日間と後 30 日間で測定しました。
この種の調査で最も難しいのは、ノイズの多いデータの中から本質を見抜くことです。
この期間中、AI 検索全体の引用数は変動していました。AI Overview は縮小傾向にあり、AI Mode は急拡大していました。
もし単純な前後比較を行っていたら、スキーマの効果ではなくプラットフォーム全体のトレンドを測定することになってしまいます。
そこで、各処置 URL に対して、異なるドメインから、処置前の引用レベルが類似しており、JSON-LD を一度も追加していない 3 つの対照ページ URL を選定しました。
スキーマ追加前に同じ引用率を持っていた 2 つのページグループを比較し、主な違いがスキーマ追加の有無だけである状態を作ることで、スキーマが「実際に何をしたのか」を分離しやすくなります。
4 つの独立したテストがすべて同じ方向を示した
Ahrefs チームは、どのような検証方法でも結論が揺るがないことを確認するため、4 つの異なる方法でデータを分析しました。
各テストでは、「スキーマは何らかの効果を持ったのか?」という問いを、少しずつ異なる角度から検証しています。
複数のテストが同じ結論を示して初めて、その結果を信頼できます。今回のケースでは、すべてのテストが一致しました。
テスト 1: 処置群と対照ページの引用数変化の平均を比較(2 標本 t 検定)。

テスト 2: プラットフォーム全体のトレンドを除去するための差分の差分法(DiD)分析を実施。これが Ahrefs チームが最も信頼するテストであり、本記事の調査結果のソースです。

テスト 3: 週ごとの引用数を時系列でプロットし、スキーマ追加前から処理済みと対照ページがすでに乖離していなかったかを確認(イベントスタディ)。

テスト 4: 再クロール期間を除外した対称ウィンドウで差分の差分法(DiD)を再実行し、「前」と「後」の定義の仕方によって結果が変わらないことを確認。

4 つのテストすべてが同じ結論を示しました。AI Mode での引用数増加なし、ChatGPT での引用数増加なし、そして AI Overview ではわずかな低下が見られるものの、その規模は小さく、スキーマが原因であると断定するには至りません。
最も一貫した発見は、大きな変化は起きなかったということです。スキーマには明確なプラスの効果もマイナスの効果もありませんでした。
スキーマが依然として重要かもしれない場面:AI に引用されていないページ
このデータには重要な前提条件があります。今回の調査対象は、すでに AI に頻繁に引用されていたページです。
データセット内のすべてのページは、スキーマ追加前の 2025 年 2 月時点で AI Overview の引用数が 100 回以上ありました。
これらのページはすでに候補セットの中にあり、LLM によってクロールされ表示されていたのです。
すでに取り上げられているページであれば、今回のデータが示す限り、スキーマを追加してもさらに上位に押し上げることはなさそうです。
しかし、AI システムにまったく認識されていないページにとっては、スキーママークアップがクロール、パース、インデックスの段階で役割を果たす可能性は残っています。
今回の調査はその点について直接言及できませんが、searchVIU の最近の実験が関連する問いに答えています。
searchVIU は、5 つの主要な AI システム(ChatGPT、Claude、Perplexity、Gemini、Google AI Mode)がページをリアルタイムで取得する際に、実際にスキーママークアップを利用するかどうかをテストしました。
結論を先に述べると、どのシステムもスキーマを利用していませんでした。直接取得時には、すべてのシステムが表示可能な HTML コンテンツのみを抽出しました。JSON-LD、非表示の Microdata、非表示の RDFa はすべて無視されていました。
その他にも注意すべき点や、今後検証すべき問いがいくつかあります。
- JSON-LD を追加するページは、同時に他の変更(リンク、コンテンツ、技術的な修正など)を行うことが多いです。スキーマの効果をこうした同時発生的な変更から完全に分離することはできていません。
- 今回の調査ではすべてのスキーマタイプをまとめて分析しました。Article(記事)、FAQ(よくある質問)、Product(商品)、HowTo(手順)、Organization(組織)などです。特定のタイプが他よりも効果的である可能性はあり、今後掘り下げる価値があるかもしれません。
- 処置後 30 日間を測定しました。JSON-LD がゆっくりと効果を発揮するものであれば、60 日間や 90 日間のウィンドウでさらなる成長が見える可能性があります。
- 今回の調査対象は JSON-LD (最も広く使われているスキーマ形式)です。他の形式(Microdata や RDFa)も存在しますが、まだテストしていません。
- 今回はページの HTML に直接記述されたスキーマのみを対象としており、JavaScript で挿入されたスキーマは含まれていません。AI クローラーはこの 2 つを異なる方法で処理すると見られています。¹
- AI Overview のわずかな低下は実在しますが、原因は不明です。処置群ページはマッチングされた対照ページよりも約 4.6% 多く低下しており、その理由はわかっていません。フォローアップ調査として、特定のスキーマタイプやコンテンツタイプがこの差を説明できるかどうかを検証する余地があります。
スキーマの効果を自分のページでテストする
スキーママークアップが自社サイトで効果を発揮するかどうかを確認したい場合は、この調査の小規模版を自分で実施してみてください。ブランドレーダーを使えば、AI 引用数の推移を追跡できます。
- テストページを 5〜10 ページ選ぶ。 JSON-LD を追加する予定のページを選びます。理想的には、すでにある程度 AI に引用されているページが望ましいです。ベースラインがあるほうが変化を検出しやすくなります(引用数がゼロのページでは、スキーママークアップが効果を発揮しなかったのか、そもそもそのページが引用される見込みがなかったのか判断できません)。引用の有無は「引用ページ」レポートで確認できます。

- 対照ページを 5〜10 ページ選ぶ。 テストページと同程度の引用数があり、スキーママークアップを追加_しない_ページを選びます。これにより、「スキーマが何らかの効果をもたらした」のか「その月に AI Overview が全体的に変動した」のかを切り分けられます。
- 両グループのベースライン引用数を記録する。 ブランドレーダーで AI Overview、AI Mode、ChatGPT それぞれの引用数を記録します。URL フィルタを適用すれば、該当ページの引用数だけを抽出できます。

- テストページにスキーマを追加し、その日付を記録する。 テスト期間中は、該当ページに対してスキーマ追加以外の変更を加えないようにします。
- 30 日後(可能であればそれ以上経過した後)に両グループを比較する。 確認すべきポイントは、「処置群のページは対照ページよりも引用数が増えたか?」という点です。
両グループが同程度の変動であれば、それはスキーマの効果ではなく、プラットフォーム全体のトレンドによるものと考えられます。
一方、処置群が対照ページを上回った場合は、スキーママークアップが引用数にプラスの影響を与えている兆候です。
自社サイトで実施して Ahrefs チームとは異なる結果が出た場合は、ぜひ教えてください。
AI に引用されたページの 53% がスキーマを導入している理由(そしてそれが証明しないこと)
すでに AI に引用されているページに JSON-LD スキーマを追加しても、Google AI Mode や ChatGPT での引用数は増加しませんでした。AI Overview ではわずかな減少が見られましたが、それをスキーマに明確に帰属させることはできません。
では、なぜ AI に引用されたページの 53% がスキーマを導入しているのでしょうか。
理由は、構造化データを導入するようなサイトは、テクニカル SEO にも投資し、権威あるコンテンツを公開し、リンク構築に取り組み、ページを継続的にメンテナンスし、通常の検索でも上位に表示される傾向があるからです。
AI システムはこうした質の高いコンテンツを取得しやすいため、引用されるページはこれらのシグナルすべてにおいて平均を上回ります。仮にスキーマを取り除いたとしても、残りのシグナルがそのページを引用へと導く可能性は非常に高いでしょう。
すでに SEO の基本施策をしっかり行っているのであれば、JSON-LD が突破口になることはまずありません。逆に、基本施策が不十分な場合、スキーマだけでその不足を補うことも難しいでしょう。
もちろん、JSON-LD スキーマを使う理由は他にもたくさんあります。リッチリザルトの獲得、音声アシスタントへの対応、ナレッジグラフへの反映、エンティティ認識の強化などが挙げられます。
しかし、すでに AI に認識されているページの引用数を増やすことだけを目的としてスキーママークアップを追加するのであれば、今回の調査データはその戦略を支持していません。

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