【Ahrefs キーパーソンインタビュー 前編】AI 検索の最前線へ:CMO ティム・ソウロが語る Agent A、ブランドレーダー、そして AEO 時代のマーケティング

下岡 聡子
Ahrefs ローカライゼーションパートナー。国外企業の日本進出を言語・コンテンツ面で長年サポート。異文化をごく自然に受け入れてもらえるようなローカルに根差したコミュニケーションを日々研究中。

SEO とマーケティングインテリジェンス分野でグローバルに評価されている Ahrefs。以前にこちらのブログでもご紹介した CMO(最高マーケティング責任者)のティム・ソウロが、2025 年 5 月の初来日から 1 年の時を経て再び日本を訪れました。 

この 1 年は、Ahrefs にとってもプロダクトのあり方が大きく変わった期間でした。Claude コネクタへの正式対応、対話型 AI エージェント「Agent A」のリリース、ブランドの可視性を可視化するブランドレーダーのさらなる進化。マーケティングの主戦場は、キーワード順位を追うだけの SEO から、AI に「言及される」ための AEO(回答エンジン最適化)へと移りつつあります。

そんな変化を日々肌で実感しているティムと、日本マーケティング統括の河原田 隆徳(Taka)に、AI 検索時代におけるプロダクト戦略とこれからのマーケターの働き方についてじっくり語ってもらいました。 

2026 年 2 月、Ahrefs は Claude コネクタへの正式対応を発表。日本市場でも大きな反響を巻き起こしました。

「Ahrefs はパワフルなツールですが、使いこなすには一定のラーニングと訓練が必要です。熟練ユーザーだからこそ見つけられるデータ、意外と気づかれにくいデータもあります。そこに Claude のような対話型 AI が接続されることで、必要なデータの取得・分析・レポーティングが会話形式でできるようになります。今年 2 月のプレスリリースは過去最高クラスの PV を記録しましたし、日本のユーザーさんがどれだけこの機能を待ち望んでいたかが伝わってきました」 (Taka)


ティム自身も、Claude の活用度合いはかなりのもの。

「実は、CMO として僕が普段やる仕事の 9 割は Claude Code 上で完結しています。プロダクトのアナウンスを書く、新機能のポジショニングを考える、インタビューを分析するなど、あらゆる用途で活用していますね。だからこそ、自分のような使い方をする人にとっては、Ahrefs のデータを Claude にネイティブで接続できることは大きな意味があると思います」(ティム)

2026 年 4 月にリリースされた Agent A は、Ahrefs が独自開発した対話型 AI エージェントです。 

「Claude コネクタはあくまで Claude というマルチパーパスなツールの中で Ahrefs のデータを呼び出す仕組みです。一方で Agent A は、AI モデル × Ahrefs へのフルアクセス × 熟練の SEO スキル、この 3 つを最初からひとつにまとめたエージェントです。
コネクタ経由で取れるデータには限界がありますが、Agent A は Ahrefs が持つ膨大なデータすべてにアクセスできるのが強みです」(ティム)

Agent A のインターフェース。 
指示を入力するだけで、作りたいものを具現化するための質問を投げかけてくれる
Agent A のインターフェース。
指示を入力するだけで、作りたいものを具現化するための質問を投げかけてくれる

かつて、SaaS 企業で働くティムの友人からこんな相談も。 

「“最近ブログのトラフィックがほぼ全部消えた。何が起きたのか見てほしい” と言われて。
これを自分の手で分析しようとすると、過去のトラフィック概要と現況を比較し、どのページの順位が落ちて、代わりに何がランクインしていて、その競合ページは何が違うのか…など、順に確認しないといけない。ページの表示速度、コンテンツの質、被リンクの量……チェック項目が山積み。自社サイトの 5 ページ、競合 3 社 × 5 ページで合計 20 ページとしても、比較するだけで優に 2 時間はかかってしまう。
そこで僕は Agent A にブログの URL を伝え、“過去 6 か月でトラフィックが落ちている。原因を分析し、流出先のページとの傾向の違いを教えて” と依頼してみることに。本来なら戦略を組み立てる前段の地味で退屈な作業を、まるごと AI に任せたんです」

彼によれば、これは「退屈な作業からの解放」。

「データの突き合わせ、パターン探し、地道な比較作業。こういうものは AI の方が圧倒的に得意な領域です。僕らマーケターは、より創造的な仕事、より良いプロダクトを考えること、新しいアイデアを生み出すことに時間を使えるようになる。これがマーケティングの未来の姿だと思っています」(ティム)

Taka もこの変化を日本市場で実感しているとか。 

「これまでは、Ahrefs ユーザーの中でもスキルレベルに応じて使い方に大きなギャップがありました。でも対話型 AI を介すれば、ツールを深く知らない初期のうちでも必要なデータを引き出せます。さらに自分の専門知識やベストプラクティスをスキルとして AI に教え込むことで、SEO のプロと対話しながらデータ分析ができるようになるんです。これはまさに、業界にとってのゲームチェンジャーだと思います」(Taka)

Agent A の爆誕により、社内のワークフローにも変化が
X 記事もぜひ!)

AI 検索の普及に伴い、ユーザーが検索結果をクリックせずに回答を得る「ゼロクリック」が増加しています。従来のキーワード順位だけでなく、AI に自社ブランドがどう言及されているかを追わなければトラフィックの獲得自体が難しい時代となりました。

そこで注目されるのが、Ahrefs のブランドレーダーです。

SEOAEO の違いを語る人は多いですが、実は戦術そのものはほとんど同じです。違うのは、SEO が自社サイトのページを Google で上位表示させることに焦点を当てるのに対し、AEO では AI が複数のソースから情報を引っ張ってくる点。

人が Google で見るのはせいぜい 2 〜 5 ページですが、AI アシスタントはたとえば 20 ページを横断的に読み込みます。そのうち自社サイトは 1 〜 2 ページ。残りの 18 ページで、他のサイトがあなたについて何を言っているかが分かります」(ティム)

つまり AEO 時代のマーケティングでは、自社サイトの最適化以上に、ウェブ全体での言及の質と量が重要になってきます。インフルエンサーマーケティング、PR、アウトリーチ、リンクビルディング、レピュテーションマネジメントなど、これまでも存在した戦術が今あらためて重みを増しているのはそのためです。

「他の AI 可視性ツールと違って、ブランドレーダーは独自のプロンプトインデックスを持っています。Google でよく検索されているトピックをベースに、同じ質問を ChatGPT、Gemini、Perplexity に投げて、対象のブランドが回答に登場するかをチェックする。日本語については現時点で約 1,000 万件のプロンプトをインデックス化しています。
ただ、Ahrefs 代替ツール、Ahrefs 料金、のようなブランド名を含む(branded)プロンプトを自社で設定して “AI に言及されている!” と喜んでも、それは当然。もともとプロンプトに自社ブランドが含まれていますからね。バイアスのかかっていないインデックスから、純粋に自社ブランドが取り上げられているかを測定できるのが、ブランドレーダーの独自性です」(ティム)

まさに、Ahrefs ならではの強みが光るツール! 

「Ahrefs では、ウェブ全体をクロールしたデータから自社ブランドのポジショニングを読み解くことができます。AEO は他者が自分について何を言っているかが肝心ですが、これを把握できるツールは多くありません」(ティム)

ご活用ありがとうございます!

今回はちょっと切り込んだ質問もしてみました。MCP などを通じて AI エージェントが自律的にデータを取得するようになると、ユーザーの「考える機会」が減ってしまうのでは?自分で検索エンジンやサイトを直接見なくなってしまうのではないのでしょうか?

答えは、「意思決定の重要度による」というものでした。

「先日、Agent A のキャンセル待ち(Waitlist)リストに紹介機能を作りたくて。リストに登録した人が友人を招待すると特典が受けられるといった機能です。

Claude に “良い Wait­list アプリを 4 〜 5 個おすすめして” と聞いて、回答を開発者にそのまま渡しました。自分でリサーチはしなかった。これがまさに、ユーザーが楽をして AI に任せるパターンですよね。

でも、これは “キャンセル待ちリストアプリを選ぶ” という重要度の低い意思決定だから成立した話。たとえば車を買うとき、AI の推薦だけでは決めないですよね。僕は、実際にメーカーのサイトに行き、内装、外装、レビューを自分で確認したい。渋谷でお寿司を食べたいときも同じで、AI におすすめを聞いた後、結局 Insta­gram やお店のサイトで雰囲気を見て決めます。画像、動画、世界観はやはり自分で調べて、見てみないと伝わらないから」(ティム)

つまり、ウェブサイトはこれからも残るし、必要とされる。ただし役割は変わります。AI に推薦されるための情報源として、そしてユーザーが最終確認する場として。マーケターが意識すべきは、自社サイトの情報設計と、ウェブ全体での言及の両輪なんですね。

4 月のミートアップに合わせて東京を訪れたティム。
短期滞在でしたが日本ユーザーの熱気を再確認して楽しんでくれた様子!

実はティム自身、現在 AI を相棒として自身の書籍を執筆中です。 

「タイトルは 『Discoverable』。お客様にビジネスを “発見してもらう” ための設計図のような本です。核となるテーマは、人があなたのビジネスを発見するルートは 3 つしかないということ。 

  1. 検索される(Get found)
  2. 目に留まる(Get noticed)
  3. 話題にされる(Get talked about)

Ahrefs の歩みもこの 3 本柱の実践として書いています」 

執筆スタイルもユニーク。 

「自分は本来プロのライターではないし、文章を磨き上げる時間がなかなか取れないときもあります。だからアイデアや経験を Claude Code に向かって口頭で伝えて、それをパラグラフや章に整えてもらう。
書くというより、話して本にする感覚が近いですね。母語が英語ではない自分にとって、曖昧な英語で説明したものを的確な段落に圧縮してくれる AI は最高の編集パートナー。ただし、コンテンツは 100% 自分のものです。AI に書いてもらうのではなく、あくまで “話したことを文章にしてもらう” 相棒。これが大事なポイントだと思います」

このティムの姿勢は、AI とコンテンツ制作の付き合い方を考えるうえでひとつの指針になりそうです。

最後に、Agent A、ブランドレーダー、Claude 連携といったここ 1 年の動きを通じて、Ahrefs はマーケティングの未来をどう描いているのかを聞きました。 

「マーケティングツールの未来を形づくるうえで僕らが意識しているのは、最新のテクノロジーと共に進化していくこと。以前は月単位で新しい技術が出ていたのが、最近は週単位、時にはもはや日単位の感覚です。ですから、Ahrefs が長年蓄積してきた膨大なデータと、その上で動く新しい AI 技術をマージすることに集中しています。

ただし大事なのは、新技術を “ただ使う” のではなく、本当に生産的なことに活用することAI がコードを書いてくれるからといって、別に必要のないアプリを作ってしまうこともある。技術はスマートに、意味のあることに使うというこのバランス感覚が、マーケターにも、僕たちプロダクト側にも求められていると思います」(ティム)

「SaaS、ツールというあり方そのものが変わっていくと思います。マーケターがこれまで必要としていたツール、オートメーション、エージェントを、マーケター自身が作れるようになる。つまり、マーケターがマーケターの領域を超え、コンテンツライターがライターの領域を超える。自分の領域に止まらず、より創造的な発想で可能性を広げていく人材が求められる時代です。Ahrefs Japan としても、こうした活動をサポートできるサービスを提供しつつ、自分たち自身がその模範であり続けたいと思っています」(Taka)

AI 検索の波に飲まれるのではなく、波そのものを設計する側に立つ。

Ahrefs はこれからも一貫した意志で日本での活動を続けていきます。AI 時代を先駆けるツールのさらにその先を、ぜひお手元で体験してみてください。

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取材・執筆協力:SIJIHIVE Inc.