この記事では、あまり知られていない Ahrefs の使用例も含め、ブランド認知度の成長を測定するために実践可能なワークフロー 11 例をご紹介していきます。
一般的にブランド認知度を高めるためには、ブランド名、ロゴ、あるいは製品を人々に認識してもらい、たびたび思い出してもらうための一連のマーケティング戦術がとられます。
これは、「千箇所の切り傷でゆっくりと死に至らしめる」ならぬ「千回目撃してもらうことで売り上げを伸ばす」マーケティング手法です。つまり、多数の小さな仕掛けが連動して、会社に大きな利益をもたらすのです。
広告キャンペーンや、サイトの閲覧数およびインプレッションの向上などがまさにそれです。
大手ブランドは認知度を高めるために何百万ドルもの経費を投入しています。認知度がブランドに対する一定の信頼をもたらし、それが将来的に売り上げにつながる可能性があるからです。

認知度を高める方法に決まった正解はありません。ブランドは異なる形式やチャネルでの広告をクリエイティブな方法で打ち出すことで、人々の注目を集めようと努力します。
ブランド認知度を高める手法にはさまざまな種類があり、例としては次のようなものがあります。
- スポンサーコンテンツ:ブランドの露出を増やす目的で、ロゴ、製品、宣伝メッセージなどを内容に含んだコンテンツ。
- ポッドキャスト広告:ブランドが宣伝のために購入できる音声広告枠。ターゲット層が聴くポッドキャストの冒頭、中間、または終了後に流れる。
- ビルボード/屋外広告 (OOH):ブランドがビルボード、デジタルスクリーン、バスなどの交通機関に貼られるポスターといった形態で購入できる、物理的なオフラインの広告枠。
- PR スタント/ゲリラマーケティング:大衆を驚かせたり注目を集める方法で話題性を生み出し、メディア報道につなげるマーケティング。通常、クリエイティブかつ大胆な方法で実行される。
- ブランドコンテンツ:企業がオーディエンスの価値観に合わせてスポンサーする、制作を委託する、または自ら作成する、マスアピールのエンターテイメントコンテンツ。
- プロダクトプレイスメント:映画、テレビ、ビデオゲームといったエンターテイメントコンテンツ内で、ストーリー内で自然に見えるようにブランド製品をサブリミナル広告として配置・表示する手法。
テック業界向けアドバイザリー企業であるガートナーによると、BtoB 企業は 2024 年にマーケティング予算の 28.9% をブランド認知度の向上に割り当てており、これはカスタマージャーニー(顧客の購買行動)における段階の中で最も多くの資金を投じて取り組まれています。

企業は人々に自社ブランドを認識してもらい、ゆくゆくは商品を愛顧してもらえることを期待して、認知度向上キャンペーンに多額の資金を投じるものです。この反面、話題性は生まれても売上が改善しない状況は、マーケティング担当者なら誰もが避けたい状況です。
「広告でブランド知名度を築く鍵は、それを見た人を実際に購入客へと変えるような広告を打ち出すことです。皆がブランドについて知っていても商品の購入をしなければ、莫大な資金が無駄になり、会社が倒産してしまうことすらあるのですから」
そのため、ブランド認知度向上戦略はその成果をリアルタイムで測定しつつ進めていくことが重要です。
昨年 1 年間で、AI ツールから流入するファネル上部のトラフィックが急増。検索結果のランキングがほぼ絶え間なく入れ替わり、SNS を使ったオーディエンスへのリーチ手段が減少(TikTok のアメリカ国内での利用禁止などが原因)したり、低品質の AI コンテンツが氾濫して消費者の信頼が損なわれるといった数々の現象が発生しました。これらはすべて、ブランド認知度を高めることがこれまで以上に困難になっていることを意味しています。
しかし筆者は逆に、今こそブランドを構築し、その認知度を測定するのに最適な時期だと思います。
今、ブランド認知度、信頼、顧客ロイヤリティを高めれば高めるほど、将来これらの問題に悩まされることが少なくなるでしょう。その理由は、ブランド認知の効果はその後倍増していくからです。以下に、認知度を高める方法と、それぞれのメリットをご紹介します。
- AI トラフィックの増加・・・AI はまったく新しいチャネルのため、他社に先行して対策すれば、それだけ利益が生まれる。ブランド名がオンラインで関連性の高い会話に頻繁に登場するほど、大規模言語モデル(LLM)や AI によって言及および引用される可能性が高くなる。
- オーガニックトラフィックの増加・・・SEO 専門家のマーク・ウィリアムズ=クックさんによると、Google はブランドメトリクスに基づいてサイトに「サイト品質」スコアを割り当てている。ウェブサイトの品質を把握するために、ブランドキーワード、クリックを誘発するブランドメンション(ブランド情報が豊富に詰め込まれたアンカーテキストなど)、およびサイト上でされるクリックが分析される。積極的にブランド認知度を高めると、こういったメトリックが向上し、サイト品質スコアと検索ランキングが向上する。また、ランキングが向上すると、ブランドの可視性が向上し、それによって更に認知度が高まるという好循環がうまれる。
- ブランド保護・・・ブランド認知度の向上とは、1 つのチャネルへの依存度が低くなり、複数のソースとチャネルからの多様なトラフィックが流入している状態を意味する。たとえば、検索以外でも Reddit などの掲示板や、SEO 専門家のランド・フィッシュキンさんが「ネットの口コミ」と呼ぶ Slack、Gmail、WhatsApp などのプラットフォームで常に話題にのぼるほどブランドに知名度があれば、ゼロクリック検索や「AI による概要」が原因のトラフィック損失のダメージはそれほど深刻なものにはならない。
- 顧客ロイヤルティの向上・・・オーディエンスがブランドを認識したら、その関心をカスタマージャーニー全体を通じてより大きなものへと成長させ、ブランドに対するポジティブな感情やロイヤルティに変えることができる。
- 顧客の獲得・・・関連性を明確に説明するのは難しいものの、認知度が急上昇すると、売上やコンバージョンもそれに引っ張られて増加することがよくある。
ブランド認知度は、マーケティングの中でも特に曖昧な要素です。測定可能な指標ではなくオーディエンスの感情的な共鳴によって成り立つからです。ブランド想起、認識、知覚、親近感、センチメントといった観点から測られる成果は、オーディエンスの主観的な感情に基づくため、数値で表すのが非常に難しいことで知られています。
さらにブランド認知の一部は、PR、口コミ、ユーザー生成コンテンツ、SNS といった「アーンドメディア」としてカウントされます。この形態での認知は、企業が直接コントロールできるものではありません。また、コンテンツが第三者に制作されているため、完全なパフォーマンスデータを把握できず、それが生み出すマーケティング効果を評価するのがさらに困難になります。
たとえば、ニューヨークタイムズ紙のサイト分析にアクセスできなければ、皆さんのブランドについて言及している同紙の記事が生み出したトラフィックやインプレッションを正確に知ることはできません。
同様に、オフラインチャネルやダークソーシャルといった、まったく追跡あるいは特定不可能なチャネルを通しても認知度は必然的に生み出されています。
そしてもう 1 つ!

午前 9 時 9 分、トーストをかじりながらこのブログを書いています…。
ブランド認知はカスタマージャーニーの起点であり、そこからコンバージョンまでの流れを正確に追跡することは難しく、時には不可能でさえあります。
ですが、やる気を失わないでください。ブランド認知度を測定することは可能で、正しく行えば非常に価値がある試みになります。具体的には以下の 3 つのメリットがあります。
- 投資の正当性を示せる:ブランド認知度を測定可能な指標を使って明確にすることで、マーケティングの成果を証明するのに役立つ。このデータを根拠に、予算を確保したり、他社とのパートナーシップを結んだり、成果の測定が難しいクリエイティブなプロジェクトの実行承認を得たりすることが可能になる。
- 競合に対する優位性を築ける:シェアオブボイス分析などの方法でブランド認知度を測定すると、市場における自社の立ち位置を把握し、現実的な目標を設定し、競合他社に効果があった戦略を真似して取り入れることができる。競合他社の認知度が自社より高かったとしても、彼らがそれを測定して成長させ続けるための対策を積極的にとっていなければ、その差を縮めて逆転することができる。
- 効果的な方法の把握:ブランド認知度戦略を見直すことで、どの施策が最も人々の関心を集めるのかを把握できる。効果的な手法やリソースの割り当て方法が分かれば、うまくいったキャンペーンを同じ要領でリピートし、投資収益率をより正確に把握することが可能になる。
ブランド宣伝はあまりにもふわっとしていて、どれほどの費用を投入するのが妥当なのかの判断が難しいこともあります。しかし、うまく認知度を測定し、認知度向上に効果的な手法を特定することで、とるべき対策がはっきりと見えてきます。
それはどういった方法で実現できるのか、次にご紹介します。
ここでは、ブランド認知度向上戦略の成功度合いを把握する 11 種類の方法と指標について、詳しく見ていきます。
ブランド認知度の向上には、さまざまな不確定要素が絡み合います。広告の種類、フォーマット、チャネル、メッセージなどの多くの要素があるため、戦略がうまくいっているかどうかを知るには、その市場全体におけるパフォーマンスを把握する必要があります。
シェアオブボイス(SoV)とは一言で言えば、市場内での他社との競合状況におけるブランド認知度の数値化に役立つ、トップダウンアプローチの指標です。
シェアオブボイスの計算式は次のとおりです。
| SoV =(自社のブランドの可視性 ÷ 市場全体の可視性)× 100
ソーシャルメディア SoV は、SNS 上での市場シェアを示す指標です。自社が SNS 上でどの程度言及されているかを、競合を含む市場全体のブランド言及数と比較して測定します。
ソーシャルメディア SoV の計算式は次のとおりです。
| ソーシャルメディア SoV = (自社のブランドの可視性 ÷ 場全体の可視性)× 100

Brandwatch Consumer Research(SNS 上のトレンドを分析するマーケティングリサーチツール)は、ソーシャルシェアオブボイスの測定に役立ちます。
検索 SoV は、市場全体に流入するオーガニックトラフィックの中で自社が占める割合を計算したものです。
計算式は次のとおりです。
| 検索 SoV = (自社のオーガニックトラフィック ÷ 市場全体のオーガニックトラフィック)× 100
Ahrefs のランクトラッカーは、最大 10,000 個のキーワードを対象に、ブランドの検索 SoV を表示します。
ブランドキーワードまたはキャンペーンに関連したキーワードをリストアップするだけで、ブランド認知度が下がっているか、高まっているか、安定しているかを確認できます。

プロジェクト設定で競合他社を設定している場合は、ランクトラッカーで競合他社と比較してブランド認知度を評価することもできます。
このデータを確認するには、画面左側「競合他社」の下の「概要 2.0」をクリックし、シェアオブボイスとトラフィック値のシェア(SoTV)のグラフを表示します。

この例では、過去 6 か月間に検索 SoV が 6.2% 増加し、当社がターゲットにするキーワードの検索での全体的なシェアが 23.1% にまで上昇していました。
これらは、認知度の向上に積極的に取り組んでいる時、定期的に振り返るべき指標です。
ランクトラッカーは SoV の動きを確認するのに最適ですが、全体的なデータを一度に確認するには、キーワードエクスプローラーにアクセスしてください。
ランクトラッカーと同様、このレポートでも 10,000 個までのキーワードを追跡できるため、検索結果における自社ブランドの存在感を同レベルの競合他社と比較して評価することができます。
簡単なワークフローは次のとおりです。
- オーガニックキーワードレポートにアクセスし、自社ドメインの上位 10,000 個のキーワードを選択
- 「コピー」をクリック
- キーワードエクスプローラーにアクセスし、検索バーに貼り付ける
- 「トラフィックシェア」下部の「ドメイン別」をクリック
- 競合他社と比べた上位キーワードの自社のシェアを確認

広告はブランド認知度を高める上で大きな役割を果たします。各マーケティングキャンペーンの開始前、その最中、終了後に効果がどれほど上がっているかを確認し、その後も全体的なパフォーマンスを追跡し続けることで、ブランド認知度向上の取り組みが実際に成果を上げているかどうかを確認してください。
ほとんどの広告プラットフォームには、広告マネージャ(Google アドマネージャー、Google ディスプレイネットワーク、Meta 広告マネージャなど)が組み込まれており、インプレッション、トラフィック、クリック数、CTR(クリック率)といった主要なブランド認知度指標を確認できます。
たとえば、Ahrefs は Quora(Q&A プラットフォーム)上に独自の広告を掲載しており、これらのすべての数値にアクセスできます。

Ahrefs を使って広告の効果を測定する他の方法をいくつかご紹介します。
PPC (Pay-Per-Click) 広告を利用したブランド認知向上キャンペーンの効果測定
サイトエクスプローラーにアクセスしてドメインを入力し(画像 ① 部分)、有料ページレポート(②)をクリックします。Ahrefs の他のレポートでは検索広告についてより詳しく調べることができますが、全体的な広告認知度を調査するのであれば、このレポートが最適なデータの 1 つです。

ここでは、キーワード一覧の上部にある合計トラフィック(③)をチェックし、折れ線グラフで広告コストと比較しながら、時間の経過に伴う有料トラフィックの増加(④)を調べます。有料トラフィックが有料トラフィックコストを上回っている場合は、ブランド認知度広告が効果を上げていることを示す良い兆候だと言えます。
このレポートでは、記事の URL、タイトル、説明文に使ったキーワードでデータを絞り込み、個々のキャンペーンが生み出したブランド認知度をより正確に把握することもできます。

PPC (Pay-Per-Click) 広告がもたらすトラフィックの全体的な増加を追跡
ブランド広告パフォーマンスの全体像を把握するには、サイトエクスプローラーの概要レポートを活用してください。このレポートは、以下の項目を確認するのに最適です。
- 広告トラフィックの総数とオーガニックトラフィックの比較
- 広告トラフィックの総数の増加あるいは減少傾向
- ロケーションベース広告の成果と特定の地域での認知度

人々が自社のブランドに関心を持っているどうかを知りたい場合は、キャンペーン中のトラフィックの動きに注目してください。
トラフィックの増減がブランドの想起や認識といった「形にあらわれない効果」をそのまま表しているわけではないものの、少なくともそれを数値化して確認することができます。
人々がブランドを認識すると、そのサイトを訪問する可能性が高くなります。検索を介さずサイトに直接訪問する場合、それはブランドが認識されている証拠です。
言い換えれば、広告を掲載してダイレクトトラフィックが増加した場合、広告の効果が出ている可能性が高いということです。
Google Analytics 4 を使えば、レポートを作成して、トラフィックの合計とダイレクトトラフィックを簡単に確認できます。
Acquisition → Traffic Acquisition: Session default channel group report

Ahrefs でも、プラットフォームのダッシュボード(①)にあるウェブ分析ツールを介して Web トラフィックを表示できるようになりました。ダッシュボード(①)にアクセスしたら、プロジェクト(②)に移動して、トラフィックの合計(③)を確認します。

次に、ダイレクトトラフィックを確認するには、「チャネル」フィルターから「ダイレクト」を追加します。

キャンペーンに合わせて日付を設定すれば、そのプロモーションが効果を上げているかどうかを確認できます。
キャンペーン URL または UTM パラメータごとに分けてトラフィックの合計とダイレクトトラフィックを表示させることもできます。

人々がブランドを気に入ってサイトを訪れてくれるのはすばらしいですが、認知度が本当に高まっていることが分かるのは、ブランドや商品についての投稿や発信が増えた時です。
そうすると、コンテンツ、ブログ、レビューサイト、フォーラム、SNS などから、ブランドサイトへの被リンクやリファラルトラフィックの流入が増え始めるという流れが起こります。
しかし、すべてのリンクが同じ価値を持つわけではありません。認知度の獲得について社内で報告する際には、リンク件数の合計だけでなく、良質な紹介ページの増加に注目する必要があります。
では「良質な」リンクとはどんなものか、判断する際に考慮すべき点は次のとおりです。
良質なリンクの条件 | 考慮すべきポイント | 実際に確かめる方法 |
---|---|---|
ブランドとの関連性が高い | ブランドに関連した内容のページに貼られたリンクかどうか | • アンカーテキストを確認 • サイトにアクセスする |
オーソリティがある | オーソリティサイトかどうか | • サイトの DR(ドメイン評価)を確認 • ページの UR(URL 評価)を確認 |
可視性が高い | サイトの可視性がどれくらいあるか | • 参照ページのオーガニックトラフィックを調査 • 自社サイトへのリファラルトラフィックを調査 • アンカーテキスト内またはその前後の文章でのブランド名の言及を確認 |
リンクエクイティが高い | リンクエクイティがパスされるかどうか | • Dofollow リンクなのか Nofollow リンクなのかを確認 |
また、自社ブランドにとって「優れた」効果とはどんなものかについても考えてみてください。
たとえば、ある企業にとっては、たとえリファラルトラフィックを生まなくても、全国的に知名度があるメディアからのリンクが認知度向上における最高の業績と見なされることもあります。
Ahrefs を使って被リンクとリファラルの増加を測定するための実践的な方法をいくつか紹介します。
獲得した良質な被リンク件数を調査
自社にとってクオリティの高いリファラルがどのようなものか定まったら、「ベストリンク」フィルターを設定することで、月次の SEO レポートを効率化できます。
このフィルターを使えば、チェックしたい被リンクのみを表示させるための条件が設定できます。
たとえば、リンクエクイティを向上させるために「Dofollow」リンクのみを表示するように選択したり、フッターやコメント欄の偽のリンクを避けるために被リンクタイプを「コンテンツ内」に設定することができます。

ブランドが獲得した良質な被リンクの件数を測定する報方は次のとおりです。
- サイトエクスプローラーの概要レポートに移動
- 測定対象となるサイトのドメインまたはキャンペーンリンクを入力
- 「被リンクプロフィール」タブをクリック
- フィルターを「ベストリンクのみ表示」に設定

こう設定すれば、良質なリンクの増減をマクロレベルで把握でき、毎月の獲得リンク件数を記録できます。

そして、獲得リンク件数の急増とブランドキャンペーン期間に大まかな関連性があるかどうか確認しましょう。
ブランド名に言及しているアンカーテキストの数を測定
あるサイトが自社サイトへのリンクを貼ったとしても、ブランドを言及していなければ、それはブランドの認知度を高ているとは言えません。
ブランドの存在感を真に把握するには、ブランド名が言及されているリンクのアンカーテキストの調査が不可欠です。
Ahrefs のアンカーレポートにアクセスし、「単語またはフレーズ」欄にブランド名 (およびよくある誤字) を入力、「アンカー」タブから「アンカーと周囲のテキスト」フィルターを選択します。
これにより、皆さんのブランド名へのハイパーリンクがある、あるいは皆さんのサイトへのリンクが張られた箇所付近の文章でブランド名が言及されているすべてのページが表示されます。
ブランド名が繰り返し記載されるほど、オーディエンスがそれを思い出す可能性が高くなるため、こういったページを数値化することが重要なのです。

上記のように「ベストリンク」に絞り込んで分析することが、本当に価値のある言及に対象を絞って調査するコツです。
ブランド名を含んだアンカーの数の時間の経過に伴う増加・減少を追跡すると、ブランド認知度の成長の様子がよりよく理解できます。
また、ブランドアンカーがアンカー総数の中で占める割合を計算し、その増減を追跡することもおすすめします。
たとえば Ahrefs の場合、現在全体で 96,640 のアンカーが存在しており、うち 22,072 件が「ブランド名」アンカーです。つまり、リンクの 23% が明らかにブランド認知を促進しているものだと言えます。
これは毎月確認するべき数字で、Ahrefs ポッドキャストなど特定のブランドキャンペーン実施期間に絞って分析することもできます。
リファラルトラフィックからブランド認知度を測定
どのブランド認知度向上戦略がユーザーをマーケティングファネルに導いたかを確認したい場合は、リファラルトラフィックを確認することをおすすめします。これにより、別サイトから実際に自社サイトに飛んできたユーザーの数が表示されます。
これは、先ほどご紹介した Google Analytics 4 のレポートで調査できます。
集客 → トラフィック獲得: セッションのデフォルトチャネルグループレポート

または、Ahrefs の Web 分析でもトラフィックを詳しく調べることができます。
「チャネル」からリファラルトラフィック用のフィルターを追加するだけです。

アメリカ発のヘルス・ウェルネスアプリ「Calm」は、大統領選挙期間中に 30 秒の広告に多額の費用を投じました。
イギリス発のスマートフォンメーカー「Nothing」は、低予算で有名ブランドのパロディを作成。

こういったブランド認知度向上キャンペーンの期待できる最低限の成果は、SNS のエンゲージメントの急増です。
ここでは、SNS でのブランド認知度を評価する際に注目すべき指標をいくつか紹介します。
SNS での言及とユーザーの感情の高まり
ソーシャルリスニングツールを使えば、ブランドに関する言及を探し出したり、以下のクエリを設定したりすることができます。
- キャンペーン
- 製品・サービス
- 人名
- その他のブランドと関連した内容
ブランドに関連したネット上の書き込みや投稿が特定できたら、それらの総リーチ数を記録し、市場でブランドがどの程度の認知度を新たに獲得できたかを測定します。

SNS 分析ツールは何年も前から、ブランドについて言及される際にユーザーが使う表現を分析し、ブランドや商品に対する感情が肯定的なのか否定的なのか、あるいは中立的なものかを判定してきました。この種の分析の精度は、AI と大規模言語モデル(LLM)の進化によって今後さらに向上すると思われます。
ブランドに対する質的な(つまり「より曖昧な」)評価を数値化したい場合、感情スコアを指標として報告内容に含めるといいでしょう。

今現在、Google 検索結果では「AI による概要」が FAQ リッチリザルトや強調スニペットなどに取って代わり、検索結果から自分でサイトを探して訪問するユーザーが減ったため、結果として企業はオーガニックトラフィックの最大 40% を失っています。
同時に、「AI による概要」は(回答内で引用される)特定のブランドの認知度とトラフィックを増やしています。
ChatGPT のような AI チャットボットでも同様です。このツールの利用の普及によりオーガニックトラフィックの数が減っていますが、その反面、そこから生まれるトラフィックもあります。つまり、AI がユーザーとの会話の中でブランドに言及したり、商品をおすすめしたり、サイトにリンクを貼ったりしてくれる場合です。
皆さんの意見がどうであれ、これらの認知度向上に利用できる新しいチャネルはまだほとんど活用されておらず、その分早期に取り入れるブランドには大きなメリットがあるでしょう。
各種 AI ツールでブランド認知度を高める方法をご紹介します。
「AI による概要」に自社が表示されやすい検索キーワードを調査
今、ブランドの認知度を完全に把握するには、「AI による概要」で自社が表示される頻度を知っておく必要があります。Ahrefs では、以下の手順で簡単に調査ができます。
- オーガニックキーワードレポートに移動
- 「その他のフィルター」から「SERP の機能」を選択
- 「Where target ranks」をクリック
- 「AI overview(AI による概要)」を選択
- 表示する期間の日付を設定
こうすると、過去 1 か月に検索結果で「AI による概要」にブランドが表示された際の検索キーワードと、それに伴ったオーガニックトラフィックの増加が表示されます。

毎月の合計キーワード数(ポジション履歴グラフに「すべてのキーワード」として表示)を記録して、AI ツールでの認知度の成長を測定しましょう。

「AI による概要」の回答でブランド言及を追跡
「AI Overview(AI による概要)」を表示するキーワードだけでなく、AI による概要そのものの中で自社ブランドがどのように言及されているかを把握しましょう。Ahrefs ブランドレーダーを活用すれば、これを簡単に追跡できます。
AI による概要の情報量、そして影響力は拡大を続けており、ブランド認知度もそれに伴い向上しています。Google がリリースした AI モードでは一部の回答が 500 語以上に及び、最大 60 のブランドが言及されることもあります¹。
AI による概要は、もはや新しい検索結果ページ(SERP)とも言える存在です。ブランドの「AI による概要」におけるシェアを把握して、適切な戦略を立てることが重要になります。
ただし、回答内でのブランド言及は固定ではなく、毎回表示されるという保証もありません。AI は検索のたびに新しい回答を生成し、同じクエリでも毎回異なるブランドが言及される可能性があります。
こうした変動性とうまく付き合って認知度を伸ばすためには、ブランドの占有率を俯瞰的に把握することが不可欠です。
Ahrefs ブランドレーダーでは、「AI による概要」における自社ブランドの占有率を確認するだけでなく、その増減を追跡し、長期的なブランドの動向を把握することができます。
ブランドの総言及数を追跡
まずは、自社ブランドがどれだけ言及されているかを確認しましょう。ブランド名をキーワードまたは AI による概要内で検索することで、ブランドの総占有率を把握できます。

各レポートでは、さらにスクロールして、AI 検索結果内でのブランド言及を直接確認できます。また、どのドメインが頻繁にリンク・引用されているかを把握することも可能です。

「AI による概要」における自社シェアと競合の比較
次に、自社ブランドが競合と比べてどの程度のシェアを持っているかを記録し、定期的に確認しましょう。
ブランドレーダーの「Suggest more」ボタンをクリックするだけで、AI が自動的に競合ブランドをリストアップしてくれます。

レポートが生成されたら「Competitive share」を選択して、市場全体に対する自社ブランドの言及割合を競合と比較することができます。 また、「Competitive reach」では、インプレッション数に基づいた同様のレポートを確認できます。

高い購買意欲を示すブランド言及の所有率を追跡
AI による概要の中には、ユーザーが自社ブランドについて直接知りたい、または公式サイトへ訪問したいという強い意図を示すものがあります。これらの「高意図」なブランド言及を把握することも重要です。
自社ブランド名をキーワードや AI による概要内で検索し、言及数やインプレッション数を記録します。そして、それらの数値が時間とともにどのように成長しているかを追跡しましょう。

トピックの所有率をモニタリング
AI は、概念やエンティティ間の関連性を理解するように設計されています。AI 回答内でのブランド言及を増やしたい場合は、自社ブランドのエンティティ関連性を最適化することが重要です。
まず、自社ブランドや顧客にとって最も重要なトピックを特定しましょう。これらは、自社が専門性を確立し、権威を持ちたい領域です。
Ahrefs ブランドレーダーを活用すれば、現在の AI による概要におけるトピック所有率をベンチマークできます。また、長期的なトレンドを追跡することで、関連性の高いブランド言及を増やすために効果的な戦略を見極めることができます。

AI や大規模言語モデル(LLM)からのリファラルトラフィックを追跡
AI ツールとユーザーとの会話の中に自社ブランドがどのくらいの頻度で登場しているかを知りたい場合は、Ahrefs の Web 分析ツールでそのレポートの設定・作成が可能です。
「チャネル」から「LLM」フィルターを選択するだけで、人気のある AI チャットボットから流入するトラフィックを確認できます。

ここでは、引用されたページやコンテンツの種類に注目してください。この情報から、どのコンテンツ形式にさらに力を入れていくべきかが明確になります。

たとえば、AI ツールの回答や会話に Ahresf が出現するのは、そのほとんどが調査データ、提供ツールやコース、最新のトレンドをとりあげた内容のブログが紹介または引用されている場合のため、SEO ツールに関連した AI のユーザーとの会話に引き続き登場するには、そうしたコンテンツの制作をさらに増やしていく必要があるでしょう。
関連トピックでのブランドへの言及を測定
大規模言語モデル(LLM)は、トピック間の近接性を統計をもとに計算することで回答を生成するツールで、この機能により文章内で次に出現する可能性の最も高い単語を予測することができています。
訓練データで特定の複数のトピックが一緒に表示される頻度が高いほど、そのつながりは統計的に重要だと認識され、LLM がユーザーへの回答でそれらのトピックを一緒に言及する可能性が高くなります。
つまり、ブランドが様々なトピックに対する関連性を高めるように意識的に努力すれば、AI ツールでそれらのトピックと一緒に表示される可能性が高くなります。
Ahrefs を使って主要トピックとセットでブランドが言及されている回数を測定することで、ブランドアライメント(異なる市場の特性に合わせた調整)の取り組みの成果を把握できます。
これを行うには、コンテンツエクスプローラーに移動して、次の操作を行ってください。
- ブランド名を検索
- ブランドの合計言及回数を確認
- 「ブランド名」と「任意のトピック」の間に「AND」を挿入してブーリアン型検索を実行
- トピックの言及回数を確認

上の例では、アメリカのアウトドアブランドであるパタゴニアのブランド言及の 3.2% に「持続可能性」というキーワードが含まれていると分かりました。
この数値を継続してチェックすることで、どんなトピックの検索時に自社ブランドが上位表示されているかを全体的に把握することができます。
ブランドキーワードの検索ボリュームは、ブランド認知度の重要な指標です。
Ahrefs の調査によると、Google で行われる検索の 45.7% がブランド検索です。これは、全検索のほぼ半数に相当します。

ブランドキーワードを調査することの重要性が、この数字からお分かりいただけますね。
ブランド検索ボリュームの増減データの視覚化に便利なツールが、Google トレンドです。

ですが、このツールでは報告に使えるような正確な検索ボリュームや成長数値は提供されません。また、ブランド認知度が高い状態のまま今後持続するかどうかも予測できません。
そこで、Ahrefs を使ってこういった指標を測定する方法を以下にご紹介します。
ブランドに対する需要を調査
キーワードエクスプローラーのフレーズ一致レポートにアクセスし、ブランド名とよくあるスペルミスを入力して検索します。

レポートの冒頭には、以下の主要なブランド指標が表示されます。
- ブランドキーワードの数
- (ユーザーの所在地の国内での)ブランド検索ボリューム
- 全世界でのブランド検索ボリューム
- 成長率(3・6・12 か月の期間中)
- 全世界での成長率(3・6・12 か月の期間中 <下の画面には表示なし>)

今後の需要の伸びを予測するためのデータも提供しています。「カラム」をクリック後に「成長予測」を選択するだけで、リスト内のすべてのブランドキーワードの今後 12 ヶ月間の検索ボリュームの増減予測が表示されます。

または、キーワードエクスプローラーでブランド名を検索し、概要ページでオーガニックブランド検索ボリュームのより詳細な予測をグラフで確認することもできます。

このデータは、ブランド需要の変化を示したものです。順調に成長している場合は?成果を喜んだあとは、効果的な対策をリピートしましょう。減少がみられる場合は?原因を調べて、戦略の修正を検討してください。
過去のブランドキャンペーンの成功を裏付ける数値が欲しい時や、今後のブランド認知度向上プロジェクトへの上司の同意を得たい時、この種のデータは非常に有効です。
また、バックキャスティングにも使えます。つまり、まずブランド検索ボリュームの目標を定め、そこから逆算して戦略を立てる手法です。この分かりやすいやり方の 1 つは、競合他社を同じ方法で分析し、(実際の、あるいは予測される)ブランド成長が最も大きいライバルの認知度向上戦略を真似することです。
ここまでで、ブランド検索ボリュームの増加を確認することで、認知度向上のためのキャンペーンが成果を上げていることを証明できるようになりましたが、それらの検索が実際にサイトへの訪問につながっている場合のはどれくらいあるのでしょうか?
この答えを得るには、ブランドキーワード検索から流入するトラフィックと、その検索結果での順位を継続的にチェックしてください。これらが向上することで、ブランド認知度が効果的に高まっていると分かるはずです。
Ahrefs なら、これを確認する方法がいくつかあります。
ブランド検索トラフィックと非ブランド検索トラフィックの割合を調査
サイトエクスプローラーで概要レポートを開き、調査する対象期間を設定して「ブランド型 vs. 非ブランド型オーガニックトラフィック」と「検索意図別オーガニック」レポートまでスクロールします。
ここでは、ブランドキーワードの検索から流入するオーガニックトラフィックのこれまでの変化を確認することができます。

現時点ではこのレポートには、データベース内で「ブランド」として識別されるキーワードのトラフィックが表示されています。つまり、これは皆さんのブランド名である可能性もありますが、競合他社のブランド名である可能性もあります。これは近い将来に改善される予定です。
特定のブランドキーワードのオーガニックトラフィックを測定
特定のブランドキーワード検索から流入するトラフィックを調査したい場合は、次の手順にしたがってください。
- Ahrefs の「上位ページ」レポートに移動
- 「キーワード」フィルターで任意のトピックを設定(この例では、Ahrefs のブランド名とよくあるスペルミスを入力)
- データを比較する日付を設定
- ブランド検索トラフィックの動向を確認
- 毎月のページ数、トラフィックの合計およびその増減量を記録

ネット上で、誰もが皆さんのサイトへのリンクを貼ってくれるわけではありません。たとえば、新聞記者はバックリンクを貼ることに消極的であることで有名です。リンクの数しかチェックしていないと、ブランドに関してネット上でされている投稿や書き込みがどれくらいあるか把握できなくなってしまいます。
自社サイトへのリンクを含まないブランド言及の継続的なリサーチは絶対に必要な作業です。ブランド認知度が思ったよりも高いことが判明するだけでなく、調査の過程でオーディエンスの自社に対する意見、好み、年齢や性別の分布など、より多くの情報を得ることができます。
今日、リンクがないブランド言及も LLM や AI を搭載したツールからはリンクと同じくらいの価値があると捉えられています。

デジタルマーケティング代理店 Seer Interactive の調査によると、LLM でブランドが言及される頻度に影響を与えるとされるすべての一般的な SEO 要素の中で、獲得リンクの数が最も参考にされていないことが分かっています。
つまり、リンクを重視するあまりブランドへの言及を無視すると痛い目にあうということです。
ブランドへの言及を調査
コンテンツエクスプローラー(①)で、ブランド名(③)を「いずれかに含む」(②)を選んだ状態で検索し、結果のページ数(④)を確認してください。その数字を、このレポートを翌月に更新するまで記録しておき、新しいページ数(⑤)と比較しましょう。

また、Google アラート、BuzzSumo、さらには Reddit などのネイティブソーシャルメディア(決まった形式のコンテンツがユーザーにより直接投稿される SNS)すべてを利用してブランド言及アラートを設定することができます。

ブランド認知度向上のために実施するキャンペーンが直接売り上げにつながるとは思わないかもしれませんが、実際に売り上げが伸びる場合もあります。そして、どれだけ伸びがあったかは把握しておくべきです。
これは、Google タグマネージャーや Google Analytics 4 などのアトリビューション分析ツールを使って継続的にチェックできます。

たとえば、Google タグマネージャーを使うと、ユーザーがブランドキャンペーンのリンク経由で自社サイトにアクセスした、コンバージョンにつながる CTA(コール・トゥ・アクション)をクリックした、特定の URL フラグメントをロードしたなどの、コンバージョンに繋がるあらゆるアクションがいつ実行されたのかが追跡できます。その後、Google Analytics 4 でこれらのアクションの生み出した効果がすべて分析・測定できます。
このデータが手に入れば、コンバージョン率が計算できます。コンバージョン数を訪問者総数で割るだけです。
たとえば、英国の食事宅配業者「Cook」が、利用者に TikTok でレシピにチャレンジする動画を投稿してもらう「CookTok」キャンペーンを実施しているとします。もし 1,000 人のユーザーが動画視聴後にキャンペーンのランディングページにアクセスし、50 人が定期購入に申し込んだ場合、コンバージョン率は 5% (50/1,000) になります。
イベントトラッキングの手法でうまくいかない場合は、ブランド認知度が高い期間のコンバージョンと売上増加を調査して、認知度と収益の変化を大まかに結び付けるという別の方法もあります。
ブランド認知キャンペーンが必ずしもコンバージョンに結びつくわけではないのは事実ですが、長期間にわたってコンバージョン率がゼロの場合は、課題解決にとりかかる必要があるでしょう。これは、ブランドメッセージ、UX、またはトラッキングのやり方に問題があることが原因であることがあります。
まとめ
2025 年においてブランド認知度の測定は「やろうと思えばできる」ことではなく、「やらなくてはならない」ことです。
今回は、ブランドの影響力をうまく測って数値化するための 11 の具体的な方法をご紹介しました。
次のステップは、今回ご紹介した指標を組み合わせて、ブランド認知度の全体像を把握することです。
これらのすべてのデータを合わせれば、ブランド認知度を高めるためにどんな方法が有効なのか、より深く理解できるようになります。
筆者自身もまさにこれをするために、 Looker Studio(Google 提供の無料データ可視化ツール)を使って Ahrefs のブランドデータが一目で分かるレポートを作成したいと考えています。もし今回ご紹介していないスマートなテクニックが他にもあれば、X で教えてください。耳よりな情報をお待ちしています!