AI モデルは、検索拡張生成 (RAG) として知られるプロセスにおいて、静的な学習データを補強するために検索エンジンのインデックスを利用します。このため、AIによる回答と検索結果の間にある程度の重複が見られるのは当然と言えるでしょう。
しかし、検索エンジンで見つけられる度合いと、AIでどれくらい言及されるかはどの程度一致するのでしょうか?
Ahrefs のデータサイエンティストであるシベイジャ・グアンの協力のもと、100 万件の AI Overview から 190 万件の引用情報を分析し、各回答で最も目立った上位 3 件の引用元を調べました。

調査の結果、以下のことが明らかになりました。
- AI Overview で引用されたページの 76.10% は、トップ 10 にランクインしています。
- AI Overview で引用されたページの 9.50% は、11 位から 100 位の間にランクインしています。
- AI Overview で引用されたページの 14.40% は、SERP にランクインしていません(つまり 100 位以下)。

要するに、従来の検索ランキングと AI Overview の引用には、大きな重複が見られるということです。
AI Overview に含まれる引用のうち、86% は Google 検索の上位 100 件以内にランクインしているページからのものでした。これは、トップ 10 に入るものもあれば、11 位から 100 位の間に位置するものも含まれます。
AI Overview で引用される 3 つの URL は、SERP での順位の中央値が 3 位でした。
主な(最も多く引用される)URL は、それより少し上位に表示される傾向があり、従来の検索での順位の中央値は 2 位です。

2 番目、3 番目に引用される AI Overview のリンクも、多くの場合、検索結果のトップ 10 以内にランクインしていることがわかります。

中央値に基づくと、AI Overview で 2 番目に引用されるリンクは、従来の検索結果では 4 位に、3 番目に引用されるリンクは 5 位にランクインしています。
AI Overview の 引用ポジション | 従来の検索結果 (中央値のポジション) |
---|---|
1 | 2 |
2 | 4 |
3 | 5 |
このデータを分布グラフとして視覚化すると、このようになります。

AI Overview の引用の約 10% は、SERP の 1 ページ目より下にランクインしています。
どのような場合に、 Google は AI で引用する際に検索結果の 1 ページ目を越えた情報まで参照するのでしょうか。
ファンアウトクエリ理論
AI は、ユーザーのプロンプトに関連するサブトピックについて、より長く詳細な「ファンアウトクエリ」を生成し、それをもとに情報源を選択すると言われています。

検索順位が低いページでも引用されるのは、そのページの内容が AI の生成するファンアウトクエリに対して、より適切に答えているからではないかという見方があります。そこで、それが本当かどうかを検証してみました。
検証結果
検索順位の低いコンテンツがファンアウトクエリの過程で引用されているとすれば、それはより詳細な(長い)クエリや、同義語を多く(より多くのキーワードを)含むクエリに対して返されるのではないかと予想していました。これは、ファンアウトクエリがいわゆる「ロングテール」型であることをふまえた仮説です。
しかし、実際には、トップ 10 より下にランクインしているページは、より少ないキーワードで表示され、より短いクエリで返されていることが分かりました。
平均 | 上位 10 位に ランクイン | 11〜100 位に ランクイン |
---|---|---|
キーワード数 | 1020 | 887 |
キーワードの平均語数 | 5.4 | 5.2 |
「トップキーワード」の語数 | 8.5 | 7.7 |
これは、ファンアウトクエリによって引用されるコンテンツの想定していた特徴とは、整合しませんでした。
AIによってコンテンツが引用される理由は多様化しており、鮮度や特定のユーザーの好みとの一致、さらには過去のプロンプトとの関連性など、さまざまな要因が関係しています。
「検索順位でトップ 10 圏外に位置する」約 10% の引用も、これら複数の要素が複合的に作用した結果であると考えられます。
まとめ
AI に引用されるコンテンツの 14% はトップ 100 にランクインしていませんが、これはルールというよりは、むしろ例外のようです。
AI Overview の可視性と検索の可視性は、かなり大きく重なっているように見えます。
これはつまり、あなたが検索で上位表示されれば、Google の AI の結果でも引用される可能性が高まるということです。
とはいえ、この点については、筆者の同僚であるスー・ チュアン ・オンが最近、検索順位と AI Overview の可視性の相関に関する調査を行いました。
その結果は、中程度の正の相関であり、順位は重要であるものの、他の要因も作用していることを示唆しています。
SERP で 1 位にランクインしていれば、それより低い順位の場合よりも AI Overview で引用される可能性が高いのは事実です。しかし、その確率は、良くても五分五分といったところです。
その確率を考えると、検索の可視性の全体像を把握するためには、従来のランキングと AI での引用パフォーマンスの両方を監視することが依然として重要です。
Ahrefs を使えば、自社コンテンツの検索順位や AI Overview での引用状況を確認できます。サイトエクスプローラーのオーガニックキーワードレポートで検索順位をチェックし、Ahrefs ブランドレーダーで AI Overview に引用されているリンクをすべて確認しましょう。

今のところ、AI Overview の引用は依然として従来の検索での成功に大きく左右されているようです。つまり、SEOの基本を押さえることが、今も変わらず大切だということです。