同社は、信頼する協業パートナーと外部専門家からの強い推薦を受け、Ahrefs を導入しました。
導入の決め手は、競合の動向を丸裸にする圧倒的なデータ量と、SEO 初心者でも直感的に扱える優れた UI。データに基づいたコンテンツ改善や戦略的なキーワード選定により、カテゴリーページのセッション数を 32% 増、重要コンテンツ群では 80% 増という驚異的な成果を叩き出しました。

AI の台頭により検索の常識が覆る現代において、同社はなぜ Ahrefs を「なくてはならないビジネスパートナー」と呼び、成果を出し続けられるのか。今回は、その具体的な活用法からチームでの運用、そして未来の戦略まで、インタビューで語られた全てを余すことなくお届けします。

アイティクラウド株式会社 プロダクトディベロップメント本部 プラットフォーム部 部長 勝又 勇輔 氏、同コンテンツチーム正木 雄太 氏、SEO パートナーの Webcation 寺山 裕樹 氏にお話しを伺いました。
「SEO ツールといえば Ahrefs」信頼が導いた出会い
―― まず、Ahrefs を導入された経緯についてお聞かせください。
勝又氏: 2023 年 6 月頃、私たちが協業しているアメリカの巨大レビューサイト「G2」社、そして SEO パートナーとして信頼を置いている寺山さんのお二方から「SEO ツールといえば Ahrefs が一番だ」と強く推薦されたのが直接のきっかけです。
それ以前も別の SEO ツールを利用していましたが、いくつか課題がありました。ひとつは、競合サイトが「どのキーワードで上位表示されているか」といった、もう一歩踏み込んだ分析が難しかったこと。そしてもうひとつは、UI が非常に玄人向けで、当時 SEO の経験が浅かった私には、正直なところ使いこなすのが困難でした。「ビジュアル的に分かりやすいツール」を求めていたのです。

―― 多くのツールがある中で、最終的な決め手は何でしたか?
勝又氏: まず、弊社が運営している法人向けSaaS・テクノロジーサービス・ハードウェアの比較・レビュープラットフォーム「ITreview」で実際に導入された方から高評価のレビューが多かった点があげられます。Ahrefs へレビューを投稿された方は「データの多さと正確さ」「ビジュアルの分かりやすさ」と「直感的に操作できる UX」を評価されておりますが、私も実際に使ってみて Ahrefs は、複雑なデータが非常に見やすく整理されており、SEO 初心者だった私でもすぐに「何をすべきか」を理解できました。

この「分かりやすさ」は、社内の承認プロセスでも絶大な効果を発揮しました。Ahrefs の競合分析結果をまとめたグラフやダッシュボードは、そのまま経営層への説明資料として使えるほど明快です。
「競合の状況がビジュアルで明確になるため、資料作成の工数が削減でき、施策の価値が伝わりやすくなる」と説明したところ、ボードメンバーにもすんなりと価値を理解してもらえ、スムーズに導入を決定することができました。

―― 使い方については、どのように学ばれたのでしょうか?
勝又氏: 導入当初は、まさに寺山さんに手取り足取り教えていただきました。どう使っていいか分からない状態からのスタートでしたが、具体的な操作方法から資料作成への活かし方まで教えてもらい、徐々に自分で操作できるようになりました。
寺山氏: 私自身も、Ahrefs の公式ブログや Ahrefs YouTube チャンネル、特に「Ahrefs Academy」で常に最新の知識を学んでいます。Ahrefs プロダクトマーケターのレベッカさんの機能アップデート解説動画もチーム内で頻繁にシェアし、「次はこんなことができるね」と議論のきっかけになっています。

Ahrefs の本当に素晴らしい点は、ツールを使っているうちに、自然と SEO の正しい考え方が身につくことです。各指標の横にある「?」マークにカーソルを合わせると丁寧な説明が出てくるので、直感的に「この指標はこういう意図で見るべきなんだな」と理解できる。まさに実践しながら自動的に学べる UI/UX だと感じています。

カテゴリー最適化でセッション 32% 増、その裏側にある地道な分析
―― 具体的な Ahrefs の活用方法を教えてください。
寺山氏: 最も頻繁に使うのは「サイトエクスプローラー」と「キーワードエクスプローラー」です。ITreview のような大規模サイトでは、これらのツールを使った基本的な最適化が大きな成果に繋がります。
例えば、カテゴリー名を決める際。ユーザーは「CRM」という製品ひとつとっても、「CRM ツール」「CRM ソフト」「CRM システム」など、様々な言葉で検索します。キーワードエクスプローラーで検索ボリューム、競合性、検索意図、将来性、そして「レビューサイトとして比較の意図があり、勝ちやすいか」という観点まで含めて多角的に分析し、事業成長に最も貢献するキーワードをデータに基づいて選定します。この地道な最適化を主要カテゴリーで実施した結果、対象カテゴリーのセッション数は 32% も向上しました。

競合の過去から未来を読む。「ページ検査」機能の威力
―― 大規模サイトならではの活用法はありますか?
寺山氏: Google コアアップデート前後の比較分析では、Ahrefs が不可欠です。ITreview には多種多様なページが存在するため、サイト全体で見るのではなく、サブフォルダ(カテゴリー)ごとに「何が起きたか」を分析する必要があります。Google Search Console で自社のデータを見るのはもちろんですが、「競合サイトで何が起きているか」を比較・突合して分析できるのは、Ahrefs ならではの強みです。

特に「ページ検査(サイトエクスプローラー)」機能は非常に便利です。ベンチマークしている競合サイトが「過去 1 年間で何をしてきたか」が明らかになる。これによって、「次はこういう施策を打とう」という大きな方針が決まり、サイト全体の戦略議論ができるようになります。
被リンク獲得からオペレーション改善まで
―― 被リンク獲得施策にも活用されていると伺いました。
勝又氏: はい。ITreview では年に 4 回、優れた製品を表彰する「ITreview Grid Award」を実施しています。受賞企業様にはバッジを贈呈し、プレスリリースなどでご活用いただくのですが、その際に ITreview の製品ページやカテゴリーページへのリンク設置をお願いしています。
寺山氏: そして、その効果測定に Ahrefs が活躍します。施策後にどれだけの被リンクが集まったか、それが Dofollow か Nofollow か、そして実際にカテゴリーページの順位にどう影響したかを、時間軸で正確に追跡できます。「このカテゴリーはリンクが集まったから各指標が伸びていると言えそうだね」と、施策の効果が明確にわかるので、「被リンクはやはり効果がある」という共通認識をチームで持つことができます。
勝又氏: この分析から、「こういう依頼文の方がリンクを設置してもらいやすい」「このチェックオペレーションはベンダー様の負担が大きい」といった具体的な改善点も見えてきます。
『Ahrefs を使ったデータ分析が、次のアクションやオペレーション改善に直結している好例ですね。』
―― 特に成果が大きかったプロジェクトについて、詳しく教えてください。
寺山氏: 最も劇的な成果が出たのは、コンテンツの個別最適化プロジェクトです。リソースが限られる中で「本当に効く施策」を見極めるため、Ahrefs で徹底的に分析し、改善インパクトが大きいページに絞って施策を実行しました。その結果、対象コンテンツ群全体のセッション数が一気に 80% も伸びたのです。オーガニック流入のグラフが滝を逆流するように“直角”に上がる、まさに会心の結果でした。
正木氏: その中でも象徴的だったのが「PDF 編集ソフト」というキーワードです。もともと検索順位は 5〜6 位を推移していましたが、コンテンツを全面的に改修した結果、見事 1 位を獲得できました。

成功の鍵は、Ahrefs が可能にする「確度の高い検索意図の洞察」です。Ahrefs の強みは、何と言っても圧倒的なデータ保有量とその信頼性。例えば、同じキーワードでサジェストを調べても、他社ツールと Ahrefs では得られる情報の粒度や角度に明確な差があります。他社ツールでは見つけられなかったようなロングテールキーワードを深掘りすることで、ユーザーが本当に求めている情報を突き止め、コンテンツの見出し構成などに反映させることができました。
寺山氏: まさに「どのツールを使うかで有利不利が決まる」と感じます。データ量が多ければ、それだけ施策の引き出しも増える。特にキーワードの網羅性において、Ahrefs の右に出るツールはないと確信しています。
『私自身、他のツールも使った経験がありますが、データ量、信頼性、そして施策の結果、全てにおいて Ahrefs が一番だと感じています。』
脅威か、チャンスか。AI 時代への迅速な一手
―― AI Overviews の登場で検索環境が激変しています。これをどう捉えていますか?
勝又氏: 私たちにとっては「大きなチャンス」です。AI Overviews に限らず生成 AI の回答は、ITreview が収集しているような信頼性の高い UGC(ユーザー生成コンテンツ)を重視する傾向が強いからです。我々が長年かけて築いてきた「レビューの信頼性」という資産が、これまで以上に価値を持つ時代になったと考えています。
―― AI 時代に対応するため、具体的にどのようなアクションを?
寺山氏: 今年の 3 月に AI Overviews の影響が顕在化した際、私たちは即座に Ahrefs と Looker Studio を連携させ、「どのキーワードで AI の回答が表示され、クリック数にどう影響したか」を可視化しました。この客観的なデータを根拠に経営陣へ報告したことで、他社に先駆けて「生成 AI に対する最適化」へ舵を切るという迅速な意思決定が可能になりました。このスピード感は、間違いなく Ahrefs あってのものです。

正木氏: 具体的な施策としては、ユーザーの検索意図に応える FAQ 形式のコンテンツを強化しています。LLM に「ユーザーが頻繁に尋ねる質問は?」と聞き、それを「よくある質問」として見出しに展開する。このシンプルな施策で、実際に AI Overviews や Perplexity でのサイテーション(引用)が増加しており、確かな手応えを感じています。
寺山氏: もちろん、小手先のテクニックだけでは通用しません。最終的に重要になるのは、「ITreview といえば、信頼できるレビューサイト」というブランドの確立です。その上で、Ahrefs の新機能『ブランドレーダー』のようなツールを使い、ITreview が AI にどのように言及されているか、そして、生成 AIがベンダー様の製品を言及することになった情報源として ITreview が利用されているかを追跡し、ベンダー様に ITreview の価値を証明していくことが重要になると考えています。

―― 最後に、Ahrefs の導入を検討されている方へメッセージをお願いします。
寺山氏: 「導入しても使いこなせるか不安」という声はよく聞きます。ですが、Ahrefs は公式の学習コンテンツが非常に充実しており、SNS で検索すれば世界中のユーザーがノウハウを共有しています。「本気で SEO をやりたい」という学ぶ意欲さえあれば、Ahrefs は必ずその期待に応えてくれます。
『使いやすさ、データ量、機能のアップデート速度、コストパフォーマンス、どれをとっても最高のツールです。』
勝又氏: 私はマネジメントの立場ですが、Ahrefs のレポートは「頼りがいのあるエビデンス」として重宝しています。現場の成果を経営層に分かりやすく伝えられるだけでなく、Ahrefs の公式ブログが出す調査レポートは、「検索エンジンからのトラフィック減少は世界的な傾向である」と説明する際の客観的な根拠にもなります。
今後、我々も LLMO の比重を高めていく中で、Ahrefs には AI 関連機能のさらなる拡充を期待しています。
『Ahrefs が、我々のビジネスにとってさらに強力なパートナーになってくれることを確信しています。』
企業情報
- 企業名: アイティクラウド株式会社
- ウェブサイト: https://www.itreview.jp/
- 事業内容: SaaS・ICT 製品のレビュープラットフォーム「ITreview」の企画・開発・運営
- インタビュー対象者:
- アイティクラウド株式会社 プロダクトディベロップメント本部 プラットフォーム部 部長 勝又 勇輔 氏
- 同コンテンツチーム 正木 雄太 氏
- Webcation(SEO パートナー)寺山 裕樹 氏