
Ahrefs の SEO &マーケティング教育担当者
SEO 業界では、自社を取り上げたレビュー記事やおすすめリスト(いわゆる「ベスト〇〇」記事)などのランキング・比較記事が、AI の回答に影響を与える可能性があることは、早くから認識されていました。仕組みはシンプルです。自社ブランドを含むリスト記事を公開しておけば、AI がお勧めを提示するときにそのリストを参照する可能性があります。
この手法の有効性を検証した調査が、最近 2 件発表されました。
グレン・オールソップは ChatGPT の 750 件のプロンプトを分析し、「ベスト〇〇」形式のリスト記事が AI 生成回答で最も頻繁に引用されるコンテンツタイプだと突き止めました。つまり、AI は回答を生成する際にこの記事を活用しているといえます。

しかし、リリー・レイ氏が重要な限界を明らかにしました。Google の AI Overview では、こうしたリスト記事が情報ソースとして引用されるものの、実際に AI が推奨するのは別のブランドであるケースが多発していました。「引用される」ことと「推奨される」ことは、まったく別物だったのです。
いずれの調査も一時点の状況を捉えたものに過ぎず、リリーさんの調査対象は Google のみでした。そのため、より大きな疑問が残りました。ユーザーがおすすめの情報を求める主要な AI アシスタント(ChatGPT、Gemini、Perplexity、Copilot)全体で、この手法は本当に自社ブランドの「推奨」獲得につながるのでしょうか。また、その効果は時間の経過とともに持続するのでしょうか。
Ahrefs チームは 2026 年 2 月以降、この疑問を解明するための小さな実験を行い、経過を追跡してきました。ここからは、そのデータから見えた結果を紹介します。
最も明確な結果が得られたのは、Ahrefs Evolve(Ahrefs が新たに立ち上げた SEO & AEO カンファレンス)でした。
ブランド言及の総数だけを見るのではなく、特定の AI アシスタントが特定のクエリに対して、2月 7~12日のベースライン期間中にそのブランドをまったく言及していなかった「空きスロット」に着目しました。
最初のページが 2月 13日に公開された後、Evolve はそれまで空だった 72 のスロットに新たに登場しました。この 72 件のうち、82% は Ahrefs チームが公開したページのいずれかを引用した回答から生まれたものです。

これは、公開したページが実際に効果を発揮したことを示す明確な証拠といえます。それまで存在しなかったブランドが AI の回答に出現するようになり、5 件中 4 件で Ahrefs チームのページが引用元になっていました。
一方、Ahrefs ブランドレーダーの宣伝では、まったく逆の結果が出ました。
Ahrefs はすでによく知られたブランドであるため、AI アシスタントは Ahrefs チームの施策とは無関係に、関連性の高い多くの検索で Ahrefs の名前を挙げていたのです。Ahrefs がそれまで空きだったスロットに新たに登場したケースのうち、公開ページを引用した回答から生まれたのはわずか 6% でした。残りの 94% はサードパーティのコンテンツに由来するものでした。

つまり、ランキング記事は既存の有名ブランドよりも新しいブランドにとってはるかに大きな意味を持っていたといえます。Ahrefs Evolve にとって、コンテンツは「言及されない」状態から「言及される」状態への橋渡し役になりました。一方、ブランドレーダーの場合、十分な数の情報ソースが他に存在していたのです。
AI アシスタント別に見ると、Evolve の言及が最も多かったのは Copilot でした。公開前はほぼゼロだった Evolve の言及率が、3 月には Copilot 回答の 39%、4 月には 57%、5 月には 65% にまで上昇しました。Gemini もある程度取り上げましたが、安定性に欠けていました。Perplexity はほとんど変化がありませんでした。そして ChatGPT は、このクエリで Evolve に一度も言及しませんでした。

参考として、ブランドレーダーと Ahrefs Evolve の宣伝用に作成したページの一部を紹介します。


引用されたからといって、AI アシスタントに推奨されるとは限りません。これが今回の実験から得られた最も意外な結果でした。
カンファレンス宣伝ページが引用された回答のうち、43% で Ahrefs Evolve に関する言及がまったくありませんでした。
AI はそのページを情報収集のソースとして利用しながらも、別のカンファレンスをお勧めとして提示していたのです。ページ自体は引用を獲得したものの、実際の推薦を受けたのは競合他社でした。
これはまさに、リリー氏が Google の AI Overview で発見したパターンと同じです。今回の実験でもまったく同じ現象が確認されました。
一方、ブランドレーダーを推奨するページでは「逆効果」の発生率は低めでした。AI がツール紹介ページを引用した場合、ほぼ確実に Ahrefs へ言及していたのです。ツール宣伝ページが引用された回答のうち、Ahrefs が言及されなかったのは 11% にとどまりました。

AI アシスタントがあるページを引用し始めたら、その引用はずっと回答の一部として残る。そう考えがちですが、データは異なる結果を示しています。
引用の多くは一時的なものでした。約 4 分の 1 のケースでは、特定のクエリ・特定の AI アシスタントの組み合わせでページが 1 回引用されただけで、その後二度と表示されませんでした。また、点滅するように出たり消えたりするケースもありました。ページ側に何の変更も加えていないにもかかわらず、3 月に引用されたページが数週間姿を消し、再び表示されるといった具合です。
繰り返し引用されたケースでも、安定性に欠けていました。あるページの初回引用から最終引用までの期間で、実際に引用が確認された日は約 3 日に 1 日程度でした。言い換えれば、引用されたからといってそのページが回答の「定位置」を獲得したわけではなく、一時的な枠を得たにすぎないケースが多かったのです。
ドメインの強さでもこの問題は解決しませんでした。ahrefs.com 上のページは全体的に引用期間が長かったものの、やはり頻繁に出現と消失を繰り返していました。

長期間持続した数少ないケースは、そのほぼすべてが Copilot 上でのカンファレンス関連や「代替ツール」系といったニッチなクエリに関するものでした。これは、下記の仮説が指し示す領域と一致しています。最長記録は、単一の組み合わせで 52 日間連続の引用でした。
Ahrefs チームが別途実施した Google の AI Overview における 4.3 万超キーワードの調査でも、引用は絶えず変化していることが判明しています。連続するチェック間で引き継がれた引用 URL は約 54% にすぎず、ほぼ半数のソースが毎回入れ替わっていました。ChatGPT、Gemini、Perplexity、Copilot で確認できた個別のページレベルでの引用の出没も、これと同じ現象だと考えられます。
ランキング記事が最も効果を発揮するのは、ブランドがクエリに対して自然にフィットし、すでにある常識や認識に組み込まれても違和感がない場合だと考えられます。
追跡期間全体を通じて、2 つのカンファレンス系クエリの間には明確な差がありました。Evolve は「best SEO conferences 2026」への回答では 66.4% に出現しましたが、「best marketing conferences 2026」への回答ではわずか 15.8% にとどまりました(すべての AI エンジン、追跡期間全体の集計)。
SEO カンファレンスは狭いカテゴリであり、Ahrefs のような SEO 企業が属していて当然の領域です。一方、マーケティングカンファレンスはずっと幅広い領域です。同じページを公開していても、自社ブランドにより適合したクエリでは、4 倍以上の頻度で言及を獲得できました。

この仮説を裏づけるもう一つの証拠があります。AI ツールがマーケティングカンファレンスという広範なクエリに回答する際、Ahrefs Evolve を「SEO に特化したカンファレンス」として紹介するケースが多かった点です。

言い換えれば、推奨記事が最も効果を発揮するのは、そのブランドがそもそもクエリに対する自然な回答として成立する場合だと言えます。
これは厳密な証明ではありませんが、自社コンテンツを評価するときに役立つ判断基準になります。たとえ自分たちでその記事を書いていなかったとしても、自社ブランドが自然な選択肢として魅力的に映るかどうか。これが問うべきポイントです。
AI の回答にページが登場するパターンには、2 つの形態があります。クリック可能なソースとして表示される「引用」と、回答生成のために検索取得パイプラインに取り込まれるものの、本文中にリンクとしては表示されない「表示」です。
本記事ではここまで、より確実な「引用」の数値を中心に分析してきました。しかし、引用だけでなく「表示」も含めた全ページに視野を広げると、2 つの結果が興味深い方向に変化します。

1 つ目は、逆効果がさらに悪化する点です。カンファレンス宣伝ページが「表示」されたものの「引用」されなかった回答のうち、74% が Ahrefs Evolve への言及をスキップしていました。「引用」された場合のスキップ率は 43% だったので、大幅に悪化していることがわかります。
一方、Ahrefs ブランドレーダーについては差が小さく、引用ページで 11%、発見のみのページで 15% でした。これは、すでに多くのサードパーティページが製品を推奨しているためと考えられます。

今回のデータセットでは、「表示されたが引用されなかった」カンファレンスページは、推奨を変えるのではなく、既存のコンセンサスを強化する方向に特に作用していました。
2 つ目は、あるページが「引用」と判定されるか「表示」にとどまるかは、ページ側ではなくエンジン側の挙動に左右されるようだという点です。
具体的には、カンファレンスページが存在した回答のうち、Perplexity はそのページの 76% を引用せず、ChatGPT は 61% を引用しませんでした。

「表示」から「引用」へ昇格させるための最適化はまだ検証していませんが、エンジンによって結果が異なる可能性がありそうです。
今回の実験では、ブランドレーダーの 3 つの機能を活用しました。
同じセットアップで、自社コンテンツのテストも可能です。追跡したいプロンプトを追加し、監視したいページを登録すれば、実際のブランド言及におけるページの可視性を比較できます。
カスタムプロンプトを追加するには、左側メニューの「カスタムプロンプt」をクリックし、「+プロンプトを追加」ボタンを押します。
ウォッチリストにページを追加するには、「引用されたページ」をクリックし、「ウォッチリスト」タブに切り替えて「+ページを追加」ボタンを押します。
データの収集が始まったら、「引用されたページ」レポートを開き、以下のフィルターを設定します。
最後に、結果を確認して、ページが「表示」または「引用」されたかを把握します。


Letaido(レタイド)を使ってこの作業を自動化することも可能です。プロンプトと監視対象ページをまとめたドキュメントを作成し、AI に次のように依頼します。
以下のプロンプトを試してみてください
_新しいブランドレーダープロジェクトを作成してください。添付リストのカスタムプロンプトの追跡を開始し、すべてのインデックスを週次で設定してください。また、添付の URL をそのプロジェクト内のウォッチリストに追加してください。_

今回の実験から、ランキング記事が競合に無料で露出を与えてしまう可能性があること、そして獲得した引用や言及は長続きしにくいことが示唆されました。一方で、一定の効果があることも結果に表れています。この手法を試す場合は、以下の倫理的な原則を意識してください。
最後に、「ドキュメンテーション・タックス」(維持管理コスト)にも注意が必要です。コンテンツの作成は、戦いの半分にすぎません。制作の初期段階から更新の自動化を組み込んでおかないと、情報の正確さと鮮度を保つ作業は瞬く間に大きな負担となってしまいます。放置すれば、古くなったページが自社と競合の両方について不正確な情報を AI に供給してしまう恐れがあります。Ahrefs チームも最近この問題に直面しました。
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