筆者は、2025 年 6 月のデータに基づき、Google AI Overview、ChatGPT、そして Perplexity のそれぞれで最も言及された上位 50 のウェブサイトを Ahrefs ブランドレーダーで調査しました。この調査は、約 7,670 万件の AI Overview、95 万 7,000 件の ChatGPT プロンプト、そして 95 万 3,500 件の Perplexity プロンプトを対象としています。
そして、それらのウェブサイトの言及数を、Ahrefs で計測した全世界のオーガニック検索トラフィックと比較しました。
ブランドレーダーは、このように表示されます。

では、詳しく見ていきましょう。
3 つのシステム(AI Overview, ChatGPT, Perplexity)はすべて、トラフィックの多いウェブサイトをより頻繁に言及する傾向にありますが、その関係性の強さには多少の違いが見られます。
Perplexity での言及は、ウェブサイトのオーガニック検索トラフィックと最も強い相関が見られました。
ChatGPT は最も相関が弱い結果となりましたが、もし Wikipedia がこれほど極端な外れ値でなければ、相関はもっと強まっていたでしょう。
「相関関係は因果関係を意味しない」といういつもの注意喚起はしておきますが、今回の相関関係は非常に理にかなっています。
以下は、各システムの上位 50 ドメインにおける、言及シェアと検索トラフィックのスピアマンの順位相関係数です。
AI アシスタント | スピアマンの順位相関係数(Rho) | P値 | 相関の強さ |
---|---|---|---|
Google AI Overview | 0.47 | 0.0006 | 中程度 |
ChatGPT | 0.33 | 0.0515 | 弱い |
Perplexity | 0.66 | 0 | 強い |
検索は Google の本業です。Google で上位にランクインし、多くのオーガニック検索トラフィックを獲得しているサイトは、AI Overview でもより多く言及される傾向にあるようです。

AI Overview は、YouTube、 Reddit、 Quora、または Wikipedia といったユーザー生成コンテンツ (UGC) サイトを過度に参照する傾向にあります。一方で、Facebook、 Instagram、 TikTok のようなソーシャルメディアサイトはあまり参照されません。
以前の調査では、AI Overview が YouTube、 Reddit、 Quora といった UGC サイトを、そのトピックの人気度が示す以上に好んで参照している可能性を指摘しましたが、今回の検索トラフィックとの比較でも同じ傾向が見られました。Google はこれらのシステムにかなり強く依存しているようで、その度合いは本来あるべき姿を超えているかもしれません。あるいは、単にこれらのサイトに、人々が本当に求める回答やコンテンツの種類が揃っているだけなのかもしれません。
Wikipedia は Google で上位に表示され、今回の調査でも際立っていますが、トピックの人気度で分析した際には、むしろ参照される割合が低い結果となっていました。これは、Wikipedia が従来のウェブ検索において、実際には過小評価されていた可能性を示唆していると言えるかもしれません。しかしご心配なく。Google は AI Overview でその状況を是正しようとしているようです。
今回、ChatGPT は予測不能な存在でした。彼らは従来の検索インデックスを持っていないため、結果がどうなるか分かりませんでした。それでも最終的には、オーガニック検索トラフィックとまずまずの相関関係が見られました。

前回の調査では、Wikipedia や Reuters のようなニュースサイトは、トピックの人気度に比べて活用されていないという結果でしたが、今回の分析ではその傾向が是正されています。これは、このようなサイトが従来の Google オーガニック検索において、過小評価されていた可能性があることがうかがえます。
ChatGPT での言及において、Wikipedia は圧倒的な存在感を放っています。全クエリのなんと 16.3% で言及されているのです!また、ニュースサイトもこのインデックスではより適切に参照されています。実際、もし Wikipedia がなければ、言及数と検索トラフィックの相関はもっと強くなっていたでしょう。
一方で、あまり良い結果を出せなかったのは、企業サイトやエンターテイメントサイトです。これらのサイトは、Google でのパフォーマンスと比較して、十分な可視性を得られていません。
Perplexity は従来の検索エンジンを持っていないにもかかわらず、調査対象の中でオーガニック検索トラフィックと最も強い相関を示しました。言及数とトピックの人気度を比較した際にも、同様の結果が見られました。Perplexity がどこからかこのデータを取得し、それに合わせてモデルを学習させたのではないかと思ってしまうほどです。

Perplexity では、YouTube と Wikipedia が優勢で、全言及のそれぞれ 16.1%、12.5% を占めています。Healthline や MedlinePlus のような、いくつかのヘルスケアサイトも同様に上位に集まっています。
一方、Instagram のようなソーシャルメディアサイト、IMDB のようなエンターテイメントサイト、そして Google や Microsoft といった一部の企業サイトは、あまり参照されていないようです。
まとめ
この結果は、おそらく誰にとっても驚きではないでしょう。オーガニック検索トラフィックが多いウェブサイトは、AI 検索でもより多く言及されるのです。
参照されやすいサイトの傾向から、動画コンテンツの作成やフォーラムでの積極的な活動は、有効な戦略だと言えるでしょう。これらのシステムは、明らかにユーザー生成コンテンツ (UGC) を求めているようです。
もしあなたが Wikipedia なら話は別ですが、百科事典のような網羅的なコンテンツを作成することが本当に有効かどうかは明確ではありません。Ahrefs の用語集へのアクセスをみると、AI 検索経由の流入は一定程度あるものの、やはり目立って多いとは言えないようです。
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