この分析から得られた主な統計結果をご紹介します。
驚くべきことに、広告を出しているウェブサイトの 37.9% が、すでに同じキーワードでオーガニック検索のトップ 10 にランクインしています。これはつまり、相当数の企業がオーガニック検索でそのキーワードに対して十分な可視性を持っているにもかかわらず、わざわざ広告費をかけてさらに広告を出しているということです。
ウェブサイト全体ではなく特定のページを対象に見ると、広告を出している URL の 15.7% がオーガニック検索でトップ 10 位に入っています。これは、個別のページ単位でも、すでに高ランキングのコンテンツに対して頻繁に広告が出されているということを示しています。
さらに驚くべきことに、広告を出しているページのなんと 40.66% がオーガニック検索で 1 位にランクインしています。実質的に、それに該当する企業はオーガニック検索ですでに 1 位を獲得しているにもかかわらず、Google の上部広告枠に掲載料を支払っているのです。
調査からわかるもう 1 つの驚くべきポイントは、競合する広告が存在しない場合にも、上位 10 位にランクインしているページに広告を出しているケースが 51.09% もあるということです。
これは、多くの企業が競争相手がいない状況で、不必要に広告を掲載してコストを発生させている可能性があるということです。
有料検索とオーガニック検索が重複することで、2 つの重要な疑問が生じます。
企業は単に SERP で上位に表示されることを目指しているのか、それとも SEO チームと PPC チームの連携が不足しているのか?
すでにオーガニック検索で上位にランクインしているキーワードに広告を出すことは、本当にクリック数を大幅に増加させるのか、それともただ CPA(顧客獲得単価)を上げているだけなのか?
LinkedIn で寄せられたコメントから、れらの疑問に対する回答をいくつか得ることができました(こちらとこちら)。以下にその要点をまとめました。
- PPC の選択的な活用: PPC キャンペーンは、高競争のキーワードや、広告によってオーガニック順位が押し下げられた場合にのみ利用し、オーガニックで既に強い順位を持つキーワードには広告費を使わないようにするべきである。
- バニティメトリクス(虚栄の指標)ではなく、収益を指標にする:クリック数や CTR(クリック率)といった表面的な指標ではなく、実際に収益にどれだけ貢献しているかを測るべき。
- ブランドキーワードに対する PPC の見直し:既にオーガニックで上位にランクインしている場合、ブランドキーワードへの PPC 広告は無駄なことが多いため、直接的な競争に直面していない限り、その予算は他に割り当てる。
- サイロ化された戦略の排除:PPC と SEOは対立するのではなく、協力し合って効果を最大化すべき。例えば、 PPC を使ってすでにランクインしているキーワードで異なるコンテンツをテストしたり(すばらしいアイデアをありがとう、Olli!)、変動の激しいキーワードで順位を上げるなど(HubSpot が行っているように)。
コメントの中で、ニコラス・ガーフィンケル氏が同様の分野で行われた調査を紹介してくれました。ブレイク氏、ノスコ氏、タデリス氏は、2014 年に一連の大規模な実験を実施し、eBay でブランドキーワードと非ブランドキーワードの両方に対する有料検索広告の影響を評価しました。
その結果、確率されたブランドにとって、ブランドキーワードで広告を掲載することはほとんど効果がないというものでした。非ブランドキーワードの結果も同様でした。広告に起因するクリックのほとんどは、やはりオーガニック検索から発生したと考えられ、広告の投資収益率 (ROI) はマイナスだったのです。これは、オーガニック検索ランキングで上位にあるため無料で獲得できたはずのクリックに対して、企業は料金を支払い自分自身と競争していることがよくある、という私たちの調査結果と一致しています。
コメントを寄せてくださった皆さま、ありがとうございました!
ご自身のサイトで同様の調査を実行したい場合は、Ahrefs のサイトエクスプローラーを利用できます。 ドメインを入力し、オーガニックキーワードレポートに移動して、SERP フィーチャーフィルターで「Where target ranks」と「トップ広告」にチェックを入れてください。
まとめ
マーケターは、PPC と SEO の戦略を連携して評価する必要があります。すでにプレゼンスのあるキーワードで広告を掲載することで、本当に価値を高めているのでしょうか。それとも、その広告費は他の場所でより有効に活用できるのでしょうか?PPC チームと SEO チームの両方が話し合い、重複する部分を再検討するべきかもしれません。
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