今回は「誰にでも取り入れやすい」SEO 戦術についてご紹介します。以下のようにさまざまなメリットが得られるばかりか、今日からすぐに実践できます!
- コンテンツをすばやく Google にインデックス登録させる
- 最小限の労力で最大の成果を得られる
- クライアントに短期間で成果を見せ、解約を防ぐ
- さらなる SEO リソースを獲得する
それでは、SEO の即効性を高める 12 の方法をさっそく見ていきましょう。
コンテンツを最適化する際は、「すでに優れたパフォーマンスを見せているコンテンツをさらに良くしていく」ほうが、パフォーマンスの悪いものを改善するよりも簡単です。
検索順位 4 位のコンテンツを 1 位に押し上げることで増加するトラフィックと、それがもたらす全体的な効果のほうが、100 位のコンテンツを 15 位までランクアップさせた場合よりも大きいのです。
このため、すでに検索結果で 4 位から 15 位にランクインしており、それに合わせて簡単にコンテンツを改善できるようなキーワードこそが「結果が出やすいキーワード」だと言えます。
サイトエクスプローラー内のビジネスチャンスレポートでは、ウェブサイトにおける「結果が出やすいキーワード」が絞り込まれた一覧が確認できます。
検索ボリュームが多く、競合性の低いキーワードでさらに多くのクイックウィンを獲得
成果が出やすいと思われるキーワードがいくつもある場合、まずどれに合わせて最適化を始めればよいか判断するのは難しいかもしれません。
そんな時は次のフィルターを追加して、検索ボリュームが多く、且つ競合性が低いキーワードを探してみてください。
- 検索ボリュームの多いキーワードを特定する場合:月間の検索ボリューム最小値を設定。まずは最小設定 100 から始めてみるのがおすすめ。
- 競合が少ないキーワードを特定する場合:キーワード難易度の最大値を設定。まずは最大値を 10 にして始めてみるのがおすすめ。
ウェブサイトのパフォーマンスデータに応じてこれらのフィルターを調整し、ターゲットにして作業するのに適したキーワードのリストが得られるまで何度かトライしてみてください。
例として NerdWallet※のウェブサイトを見てみたところ、成果が出やすそうなキーワードが約 900,000 件も見つかりました。
※ 米国発、個人向けに金融に関する情報やアドバイスを提供するデジタルプラットフォーム。
検索ボリュームとキーワード難易度の設定値を調整してキーワードを 27,000 件以下に絞り込めば、迅速なトラフィック獲得に活かせるキーワードのリストが手に入ります。
キーワード件数がまだ多すぎる場合は、検索ボリューム最小値を 100 以上に増やすか、難易度フィルターの最大値を 10 未満にまで下げてみてください。
サイトがすでに Google 検索結果の 1 ページ目にランクインしている場合、トラフィックを更に増やす簡単な方法は、「強調スニペット」に表示されることです。
「強調スニペット」は、具体的な質問などの形で検索すると多くの場合で検索結果の最上部に表示され、次のように質問に対しダイレクトに回答する情報を表示します。
サイトが強調スニペットに表示されると、シェアオブボイスとトラフィックの両方が向上します。
ビジネスチャンスレポートを使えば、以下のような条件で絞り込んだキーワード一覧が見られます。
- 検索順位が 2 位から 8 位の間にある
- SERP に強調スニペットが表示されている
- 自社サイトが検索結果でまだ強調スニペットに表示されていない
このキーワードリストを使えば、スニペットに表示されやすい内容になるよう、コンテンツで取り扱う情報を調整することができます。
SEO のクイックウィンを狙う最も簡単な方法は、リスト内の各キーワードについて取り上げたネットユーザーの検索意図に応える新たなセクションをコンテンツに追加することです。セクションの見出しのすぐ下の部分には、以下の点を押さえた文章を掲載してください。
- 質問に直接答えた内容にする
- ユーザーの検索意図に応える(疑問を解消する)
- 余計な、あるいは中身のない情報をそぎ落とす
「50 30 20 ルール」というキーワードを例に見てみましょう。現在このキーワードを検索すると、Investopedia(米国発のグローバル金融メディアサイト)に掲載されている以下の説明文章が強調スニペットに表示されます。
この文章は「ルールの内容と、それが実生活にどう適用できるかを理解したい」という検索者の意図にダイレクトに応えた簡潔な内容となっています。
では、同じキーワードの検索結果で 3 位にランクインしている NerdWallet のコンテンツと比較してみましょう。
この文章にも同程度の情報量が含まれていますし、「50/30/20 ルールは…」という書き出しで始まっており、一見質問にダイレクトに答えているように思えます。
ところがこの文章には読み手が先述のルールを理解し、実生活に応用するのに十分な詳細情報が記されていないため、ユーザーの検索意図に完全に応えられているとは言えません。たとえば、このルールでは収入の用途を 3 つのカテゴリーに分けられていると述べていますが、それがどんなカテゴリーなのかの説明がありません。
多くの場合、掲載情報を検索者の質問にダイレクトに答える内容や、検索意図により沿った内容に変えるための簡単な調整だけで、より多くのコンテンツを強調スニペットに表示させることができます。
SEO は競合との競争に例えられることが多いです。
すでに SEO 対策に長期間取り組んでいる競合が自社より遙か先を行っているように思え、追いつくためにどこから手をつけたら良いか分かりにくいこともあるでしょう。
SEO の成果をすばやく手にするには、競合サイトが上位 10 位以内にランクインしているのに自社サイトがまったく上位表示されていないキーワードを探すことから始めてみると良いでしょう。
これらのキーワードは、同じ業界の競合他社との競争においてトラフィックを勝ち取るカギとなります。競合サイトにトラフィックを取られてしまっている場合、サイト掲載コンテンツの差を埋めることでトラフィック増加の可能性が高まります。
ビジネスチャンスレポートで「コンテンツ・ギャップからの提案」をクリックすると、次のような条件で絞り込んだキーワードのリストを確認できます。
- 競合他社 10 社を自動特定、それらのサイトデータを読み込み
- 自社がすでにランクインしているキーワードを除外
- 競合が検索結果でトップ 10 にランクインしているキーワードを表示
また、どの競合他社に最も大きく差がつけられているのかを確認することもできます。たとえば NerdWallet のケースでは、Bankrate(米国発の個人向け金融情報サイト)や Chase (JPモルガン・チェース、米国のメガバンク)に最も差をつけられています。
すべてのキーワードにおいて他社とのパフォーマンスの差を縮めなければいけない訳ではありません。というのも、競合他社があなたの事業にまったく関係のないトピックを取り上げたコンテンツを発信することもよくあるからです。そのようなキーワードが出てきた場合は飛ばして、自社に関連したトピックに的を絞って取り組んでみてください。
失ったトラフィックの再獲得は、簡単に実現可能な筆者お気に入りの SEO 戦術の 1 つです。ここでご紹介するコンテンツの劣化防止は、ウェブサイトのパフォーマンスを向上させるうえで重要なポイントです。
ビジネスチャンスレポートから「トラフィックが減少しているコンテンツ」をクリックすると、「上位ページ」セクションに過去 6 か月間にトラフィックが減少したすべてのページが絞り込み表示されます。
これらのページについては、ページごとに内容を分析、評価のうえ、次のような問題点が見つかった場合は修正しましょう。
- キーワード検索に合わせたコンテンツ最適化が不十分
- 話題が深掘りできていない
- ネットユーザーの検索意図と掲載情報にズレがある
とはいえ、パフォーマンスを向上させるためにコンテンツを丸々書き直す必要はありません。筆者のあるクライアントの過去のケースでは、パフォーマンスの最も優れたブログ記事の多くが時間の経過とともに徐々にトラフィックを失っていました。
筆者のチームがいくつかの戦略的なコンテンツの更新を行ってから 3 週間以内に、以下のような成果が得られました。
- オーガニックトラフィックが 184% 増加
- パフォーマンスを向上させるキーワードのカバー率が 460% 増加
- コンバージョンが 1220% 増加
これは、その時更新したある投稿のパフォーマンス改善例です。
コンテンツの 2 度の更新が、以前には見られなかった勢いでのパフォーマンス成長につながり、この成長がその後何年にもわたって続いていることが分かります。1 度目の更新前のパフォーマンスのピークと比較して、最終的にこの記事のトラフィックは 2 倍以上に増えました。
ですが、どちらの更新でもコンテンツの完全なリライトはしませんでした。
より広範囲の関連キーワードを取り入れられるように、コンテンツに新たなセクションをいくつか追加し、既存の文章のいくつかの部分を書き換えるようチームに指示したのみです。
コンテンツの更新は、検索順位が以前は高かったのに下がり始めたページにはすぐに効果がありますが、トラフィックが一貫して少ないページにとっては即効性のあるアクションとは言えません。
Ahrefs では、まず「お試し版」コンテンツを公開してユーザーの反応を見てみることがよくあります。これにより、コンテンツのクオリティは一定水準にキープしたまま公開スケジュールを崩さないという、いいバランスを取ることができています。
とはいっても、現実には発信する全てのコンテンツから期待したようなパフォーマンスが得られるわけではありません。
このような場合、うまくいかなかったページをリライトします。 ビジネスチャンスレポートを使えば、リライト候補のページを簡単に見つけられます。コンテンツエクスプローラーに飛んで、リライト対象となる条件ですでに絞り込み表示されたコンテンツが確認できます。
このレポートには、月間推定アクセス数が 50 未満で、公開後は未更新のページが表示されます。
多くの場合、こういったページがリライトの有力候補となります。
たとえば、Ahrefs チームのマテウシュは最近、競合他社分析ツールに関する記事の内容を見直して更新しました。視点を変えて新しいツールをリストに追加し公開したところ、この記事のパフォーマンスが即座に急成長しています。
キーワードカニバリゼーションとは、複数ページが同じキーワードでランクインし、互いに競合している状態を指します。異なるページのコンテンツが同じ検索意図を満たしている内容であるために、検索順位内で競合してしまうことはよくあります。
ただ、複数のページが同時に上位ランクインしている場合は問題ではない場合も多くあります。
それらのページが互いに競合することなく、サイト全体でカバーするキーワードの多様化に貢献していると言えるからです。
この場合、SERP での視認性が高まり、サイト全体としてより多くのトラフィックを獲得できます。
ビジネスチャンスレポートでは、複数の URL でランクインしているキーワードの絞り込み表示が可能です。
各キーワードをチェックして、上位ランクインしているページが互いに競合していないかどうか見極めることをおすすめします。
下の表が示すように複数ページ間で常に検索順位が入れ替わっている場合は、それらを 1 つの記事に統合することが最善策となることもあります。
ただし、すべてのページがかなり長期間にわたって同時ランクインしている場合、それは逆に先述の「キーワードの多様化」につながる良いケースであり、特に対策は必要ないでしょう。
このレポートでは、競合のウェブサイトをチェックして、サイト全体がカバーする「キーワードの多様化」に大きく貢献し、SERP でより多くの上位ランクインにつながるのはどんなキーワードかを確認することもできます。
こうすることで、自社の既存コンテンツに欠けている新たな視点やまだ対応できていない検索意図にどんなものがあるか、特定できる可能性があります。
そのうえで、同じキーワードをターゲットとしながら、異なる検索意図に応えた新コンテンツの作成が有効となるかもしれません。
たとえば、商品そのものについて紹介・説明した投稿がすでにある場合、今度はその使い方ガイドを作成してみてください。競合のコンテンツを分析することで、特定のトピックに対してどんな視点で、どんな検索意図を満たす目的で書かれた記事が優れたパフォーマンスを上げているのかについて判断基準が得られます。
無効なページに飛ぶリンクがあると、ウェブサイトのオーソリティ(権威)が低下してしまいます。
オーソリティを維持する簡単な方法は、そういったリンクをパフォーマンスの良いページに遷移させることです。 ビジネスチャンスレポートから、サイト上に存在する 404 ページに遷移している SEO 的に価値があるリンクを絞り込んで表示させることができます。
特に多くの無効ページが存在する大規模サイトの場合、このレポートは優先的にリダイレクトを設定すべき順にリスト化して表示してくれるため、効率的に作業することができ、オーソリティの低下を防ぐことができます。
サイト内のコンテンツ同士を内部リンクでつなぐことで、どのページの順位アップを狙っているかを手っ取り早くに検索エンジンに伝えることができます。
とはいえ、サイトに新コンテンツを追加する度に増える内部リンクを常に把握しているのは難しい場合もあるでしょう。
例として筆者が担当したコンテンツのポートフォリオを Ahrefs で見てみると、最近公開した記事に向けたリンクがあまりなかったり、他の記事でそのトピックに触れているのにリンクが貼られていないケースがありました。
このためビジネスチャンスレポートを活用して、構築可能な内部リンクの候補を下の画像のリストで確認しました。こういったデータは、新しいクライアントのサイトを改善する際や、サイト全体を強化したい場合に役立ちます。
このケースでは筆者が執筆した記事へのリンクを優先して構築したかったので、リンク元候補となるページの URL を検索しました。
レポート内で提案された内部リンクを追加したところ、1 週間も経たないうちに記事数件のトラフィックとランキング順位が非常に早いスピードで改善しました。
サイト内にすでに内部リンクが構築されている場合、そのアンカーテキストが適切に最適化されているかどうか確認するのも簡単で成果が出やすい方法の 1 つです。
アンカーテキストとは、リンク挿入時に設定する、クリックできる単語または語句のことです(例:「こちらをクリック」など)。 SEO 対策では、「詳細はこちら」などの一般的なクリック誘導フレーズだけでなく、キーワードを含んだアンカーテキストも使用するのが最善です。
ビジネスチャンスレポートから、「詳細はこちら」といったありふれたアンカーテキストが貼られたすべての内部リンクに絞り込んで確認ができます。
各アンカーの記載されたページの詳細も確認が可能です。
アンカーテキストがページの UX デザインの重要部分をなしている場合を除き、どんなアンカーテキストであっても、変更を加えてさらなる最適化が望めないか検討する価値があります。
テキストを変更してターゲットとなるキーワードや関連フレーズを入れてみましょう。
ただ、修正はやりすぎないように注意してください。重要なのはキーワードを詰め込むのではなく、アンカーテキストを多様化させることです。
競合サイトとの間に開いた獲得リンク数の差を縮めることは、コンテンツにおける他社との差を埋める作業と似ています(そして、同じくらい重要でもあります)。
リンクの獲得は多くの場合でネット上でのブランド信用度アップにつながります。一般に、質の高いサイトからリンクを獲得したり自社ブランドの言及が増えるほど、オンラインでのオーソリティと可視性が向上します。
ビジネスチャンスレポートでは、競合サイト上位 10 件と、競合サイトがリンクを獲得しているが自社は得ていないサイト全てを絞り込んで表示することができます。
また、どの競合が最も多くのリンクを取得しているのかを全体像から確認することもできます。
ただし、コンテンツギャップレポートとは異なり、次の 2 種類のビューから選択できます。
- ドメイン:競合がリンクを獲得しているが、自社がまだリンクを得ていないドメインのリストが表示される。アプローチをかける対象の会社・ウェブサイト一覧を作るための比較的短いリストが手に入るため、まずはこちらから始めてみるのがおすすめ。
- ページ:競合他社がリンクを獲得しているが、自社がまだ得ていないページのリストが見られる。競合を言及している記事の投稿など、対象の会社・ウェブサイトにアプローチする際に特定ページを挙げて説明したい場合などは、このビューが最適。
従来の PR と言えば、トップクラスのウェブサイトに自社ブランドについて言及してもらうことに重きをおいていました。
これは一般的なブランド認知度の向上には優れた手法ですが、言及されただけでリンクが貼られていなければ、ネットユーザーにとって不便であると同時に、SEO にも有利に働きません。リンクなしのブランド言及例には次のようなものがあります。
記事を読んだ人があなたの会社についてもっと知りたいと思った場合、リンクが貼ってあればワンクリックでウェブサイトに飛べるのに、こういったケースではユーザーが一旦読むのを中断して Google で検索し、自力でウェブサイトを見つけなくてはいけません。
また、ユーザーが他サイトに貼られたリンクから自社サイトに飛んでくることによってオーソリティが授与されるため、この場合はそれを逃してしまっていることになります。サイト間のリンクが無ければオンラインオーソリティ授与の流れも途絶えてしまうということです。
ビジネスレポートでは、あなたの会社に言及しているもののリンクを貼っていないすべてのコンテンツをすばやく見つけることができます。
リストに表示された記事の筆者に連絡して自社サイトへのリンクを貼ってもらえるかどうか聞いてみてもいいでしょう。すべてのウェブサイトが外部リンクを許可しているわけではありませんが、聞いてみるだけなら労力のかからない作業であり、ひょっとすると迅速なパフォーマンス向上につながるかもしれません。
ウェブサイトの技術的なメンテナンスは、サイトを健康な状態に保ち、効果的な SEO 対策を行っていくための基本です。修正が必要な箇所は常にどこかにあるでしょう。
ウェブ技術がアップグレードしたり、外部システムとの統合が中断されたり、SEO 戦略のトレンドが変わったり、とにかく色んなことが起こり得ます。
幸いなことに、ビジネスチャンスレポートを活用すれば、ウェブサイトに技術的な問題点がないか常にチェックし、修正の必要性が高い順にすばやく優先順位を付けて対策を取ることが可能です。
このように、ウェブサイトの最新の監査サポートにアクセスでき、最も重大なエラーのみを絞り込んで表示させることができます。こうすれば、サイト全体に影響の少ない箇所の修正に無駄にリソースを割く必要がなくなります。
このレポートでは、ページ、リンク、コンテンツ、パフォーマンス、サイトマップなどに関連した問題点が特定でき、それぞれの解決に役立つアドバイスやヒントも得られます。
まとめ
検索エンジンに合わせたウェブサイトの最適化に関しては、さまざまなアプローチが存在します。
その中でも、今回ご紹介したような簡単で成果を上げやすい SEO 対策から始めれば、クライアントや上司を納得させられる結果がかなり早いスピードで出せるでしょう。
記事内で紹介した手法で活用した SEO データは、Ahrefs のビジネスチャンスレポートでどれも 30 秒もかからずに取得できます。
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