Ahrefs が徹底調査ー5 億 9,000 万件のうち 5,580万件に表示される AI による概要の実態

パトリック ・ストックス
Ahrefs のプロダクトアドバイザー、テクニカル SEO 担当、およびブランドアンバサダー。2021 年の Web Almanac(ウェブ開発コミュニティによって毎年刊行されるインターネットの現状分析レポート)内で SEO を扱った章の筆頭著者で、2022 年には同章のレビューを担当。Ahrefs 制作「初心者のための SEO ブック」の共著者であり、SEO 解説書籍「The Art of SEO 第 4 版」のテクニカルレビューおよび編集担当。Raleigh SEO ミートアップ(アメリカで最も参加者の多い SEO イベント主催グループ)、Beer and SEO ミートアップ、Raleigh SEO カンファレンス、Tech SEO Connect など複数の団体で主催者をつとめ、Technical SEO Slack グループの運営や、掲示板 Reddit の /r/TechSEO(テクニカル SEO 関連スレッド)の管理人としても活動。
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Google によると、2025 年第 1 四半期における AI による概要(AI Overviews)の月間ユーザー数は 15 億人を突破しました。これは、世界人口の18.3%、インターネットユーザー全体の26.6%に相当する驚くべき規模です。

Ahrefs では今回も例にもれず、AI による概要に関する過去最大規模のデータ調査を実施し、そこからどのような気づきがあるのか、そしてどんなインサイトをマーケティング業界の皆さんと共有できるのかを探りました。他の調査と異なる点として、AI による概要が検索クエリ全体の中でどのような位置づけにあるかも明確にしています。

さらに役立つ情報として、必要なときにいつでもご自身で最新データを取得できる方法もご紹介します。

それでは、詳しく見ていきましょう。

まずは、今回の重要なポイントを簡単に見てみましょう。

  • AI による概要は、デスクトップでは全キーワードの 9.46%で表示され、米国では 16% で表示されている。
  • AI による概要は、Google 検索全体の 12.8% 以上で表示されている。
  • 上位 50 のドメインが AI による概要における全言及数の 28.90% を占めている。
  • インフォメーショナルクエリ長めのクエリ検索ボリュームが多いクエリで表示されやすい。
  • ブランドローカル、短めの検索クエリでは表示されにくい。
  • AI による概要は、主に収益化されていない検索で表示される。

AI による概要はこれまで以上に検索結果に表示されるようになってきています。その結果、ユーザーのクリック数は 34.5% 減少しています。そして、AI による概要が表示されるクエリのほとんどは、企業や広告主が資金を投じていないインフォメーショナル(情報収集型)クエリです。

少なくとも AI による概要が Google の収益に影響を与える可能性は低いと見られます。では、企業にはどれほどの影響を与えているのでしょうか?

コンテンツに投資している企業は AI による概要に表示される可能性が最も高く、中には AI による概要の恩恵を受けている企業もあるかもしれません。しかし、圧倒的大多数はトラフィックを失うことになる、と筆者は予想しています。実際にどのような影響が出てくるかは、今後の展開を見守る必要があるでしょう。

ブランドレーダーで空欄のまま検索を行うと、Ahrefs がトラフィック推定値の作成に使用している SERP に、AI による概要がどれだけ表示されているかを確認できます。時系列の傾向を示している下の折れ線グラフからは、2025 年 3 月から AI による概要の表示が大幅に増加したことがわかります。

Ahrefs ブランドレーダーで AI Overviews を含むキーワードすべてを確認

AI による概要は全検索キーワードの 9.46% に表示されているが、まだ完全には展開されていない

本稿執筆時点で、デスクトップ検索結果に AI による概要が表示されているのは約 5,580 万件。これは、オーガニック検索トラフィックインデックスの構築に使用されたキーワード総数 5 億 9,000 万件のうちの、約 9.46 %に相当します。

インデックスに含まれるキーワードの総数や国別の数を知りたい場合は、Ahrefs のビッグデータページでいつでも確認することができます。

Ahrefs オーガニック検索トラフィックインデックスのキーワード数

AI による概要は、検索ボリューム全体の 12.8% 以上に表示される

タブを「インプレッション」に切り替えると、AI による概要が表示されるすべてのキーワードの総検索ボリューム、つまりトータルの表示回数を確認できます。2025 年 6 月 15 日時点での数値は、インデックスに含まれる月間検索数約 1,800 億件のうち、AI による概要が表示されたキーワードの検索ボリュームが約 230 億件。つまり、Google 検索全体の 12.8 %で AI による概要が表示されているということになります。

AI Overviews の表示を含む総検索ボリュームを確認できるブランドレーダー
Side­note.
Ahrefs のデータでは、実際の AI による概要の検索キーワードやインプレッションの総数より少なくカウントされています。Ahrefs のトラフィックインデックスでは、単発または検索ボリュームの少ないクエリの SERP は取り込んでいないためです。しかし、AI による概要はそういったクエリでも多く表示されています。また Ahrefs では、ログアウト状態のユーザーから AI による概要のデータを取得していますが、AI による概要はログインしているユーザーに多く表示される傾向があります。そして、ログアウト状態のユーザーには AI Ove­view はまだ表示されていないという国も多々あります。これを踏まえると、AI による概要が Google 検索全体の 75% 以上で表示されていても不思議ではないのです。

Ahrefs と Google の数字

年間 5 兆回以上の検索が行われているという­Google の数字と、Ahrefs の数字は必ずしも直接比較できるものではないので、両者の違いを簡単に説明しておきたいと思います。

Ahrefs のデータに基づく単純計算では、月間検索数 1 億 8,000 万回 × 12 か月 = 年間検索数 2 兆 1,600 億回となります。これは Google が発表している年間 5 兆回には満たない数字です。 

この違いは、Google が匿名クエリとして分類する検索ボリュームの少ない検索が多数あるということです。Google によると、全体の 15% は過去に検索されたことがないものだそうです。数年前に Google Search Console(GSC)のデータを確認した際には、クエリの 46.08% が匿名扱いになっていました。

Ahrefs の年間検索数 2 兆 1,600 億回を非匿名クエリの割合 0.54 で割ると、約 4 兆回になります。Google が発表している 5 兆回にある程度近づく数字となりました。これ以上の差については、匿名クエリが増加している、Ahrefs のキーワードデータベースにギャップがある、あるいは Ahrefs のボリューム推定が少し低めであるなどが原因として考えられます。 

Side­note.
匿名クエリの数は増加しており、今後もさらに増加するのではないかと個人的には思っています。ユーザーの検索行動は変化しており、以前よりもはるかに長いクエリで検索するようになっています。これは、Google で検索時の単語数制限がなくなったことが関係しており、以前は最大 32 語だったところ、現在は URL に設けられた上限に達するまで好きなだけ語数を使えるようになりました。

AI による概要は各国で段階的に展開されています。国別のデータを見るには、ブランドレーダーのドロップダウンで国を切り替えると確認できます。

ブランドレーダーの国選択機能

AI による概要は米国のデスクトップ検索キーワード全体の 16% に表示されている

Ahrefs の米国のオーガニック検索トラフィックインデックスに含まれる 1 億 5,600 万の検索キーワードのうち約 2,490 万語で AI による概要が表示されています。これは全体の約 16% に相当します。

各国の表示割合も、上記の言及データ(表示回数)データを使い、ビッグデータページに記載されている各国の総キーワード数で割ることで簡単に算出できます。たとえば、インドは 16.5%、ブラジルは 15.5%、イギリスは 12.5% などです。 

Side­note.
AI による概要が表示されていない国が多くある場合、それはその国にはまだ AI による概要が展開されていないか、ログアウトしているユーザーには表示されていないということです。

ブランドレーダーのドメインタブを使用すると、AI による概要で言及されているドメインの推移を確認できます。近日中にフィルター機能が追加される予定ですが、現時点では AI による概要に最も多く表示されている主要なドメインを見ることができます。

ドメイン別に AI Overviews データを確認

上位 50 のドメインが AI による概要で言及されている全体の 28.9% を占めている

AI による概要での言及は、一部の大手サイトに集中しています。こういったサイトの多くが AI による概要によりクリックが減ったと報告していますが、実際には AI による概要の恩恵を受けている可能性もあると考えています。

ドメイン言及数インプレッション数
reddit.com2,971,7461,881,884,930
en.wikipedia.org2,920,52513,910,509,832
quora.com2,276,494618,988,629
youtube.com2,063,3553,577,707,498
nih.gov1,288,7303,124,783,852
mayoclinic.org1,316,8726,159,726,120
clevelandclinic.org1,109,6235,098,852,777
translate.google.com857,8924,465,811,843
healthline.com979,9082,236,792,358
webmd.com917,4642,190,526,123
apple.com441,986680,920,972
es.wikipedia.org597,8655,223,350,730
microsoft.com464,330986,660,551
medicalnewstoday.com573,6801,188,183,953
www.nhs.uk493,7602,507,074,568
medlineplus.gov473,8502,721,231,563
facebook.com438,867446,833,096
instagram.com441,136746,231,176
indeed.com359,963553,924,993
support.google.com297,335522,568,488
brainly.com264,34723,764,810
britannica.com297,9242,497,564,834
testbook.com229,03584,720,146
amazon.com238,838523,926,930
alodokter.com199,193278,035,342
merriam-webster.com256,9943,170,311,903
study.com248,252558,343,910
msdmanuals.com242,777651,464,581
sciencedirect.com242,799662,899,861
uol.com.br199,395284,636,935
kumparan.com184,165116,489,768
justanswer.com183,09417,821,281
byjus.com196,500377,110,507
cambridge.org192,5553,041,651,028
verywellhealth.com195,389167,090,643
detik.com166,645127,771,207
indiatimes.com161,599264,059,019
investopedia.com161,975660,434,615
pt.wikipedia.org163,8751,069,981,476
kidshealth.org161,776441,933,241
fandom.com145,761519,074,759
wiktionary.org159,394820,932,071
tuasaude.com146,483175,433,902
imdb.com138,758345,263,254
stackexchange.com140,76045,714,814
rae.es127,3921,166,423,287
cdc.gov130,112621,061,238
linkedin.com130,896308,787,699
hopkinsmedicine.org136,577645,290,307
petmd.com129,065108,308,035

該当する 50 サイトについて、カテゴリ別の AI による概要での全体表示に占める割合は以下の通りです。

  • 知識・リファレンス – 4.4%
  • ヘルスケア・医療 – 5.8%
  • Q&A・コミュニティ – 5.9%
  • 動画・ソーシャルメディア – 3.4%
  • 検索・翻訳ツール – 1.2%
  • 教育・学習 – 1.3%
  • ニュース・メディア – 0.6%
  • Eコマース・テクノロジー – 1.1%
  • 仕事・キャリア – 0.4%
  • 地域医療 – 0.4%

データセットをフィルタリングすれば、ご自身の業界に特化した絞り込みができます。ドメインタブをチェックして、競合サイトのパフォーマンスを確認しましょう。ここでは例として、「ウェブサイトビルダー」を含むキーワードや AI による概要を検索するようにフィルタリングしています。

自分のニッチで絞り込み

フルデータセットを対象にしながら、「ブランド、製品、またはサービスのメンションを見つける」フィルターを使用しても同じことができます。1 つか 2 つを入力し、「さらに提案する」を選択すると、AI が競合企業や競合製品をいくつか表示してくれます。 

自分のニッチでウェブサイト別に絞り込み

シェアレポートやリーチレポートでは、メンションとインプレッションのシェア・オブ・ボイス(SoV)が確認できます。

シェアレポートやリーチレポートで、メンションとインプレッションのシェア・オブ・ボイス(SoV)を確認

キーワードエクスプローラーで空欄のまま検索すると特定の国におけるすべてのデータを取得できます。

SERP の機能」のフィルターで、「On SERP」>「AI による概要」で絞りこむと、Ahrefs のデータに含まれる AI による概要の総数を確認できます。執筆時点では、米国で 2,480 万件でした。

米国における AI Overviews が表示されるキーワードのみに絞り込んだ キーワードエクスプローラー

さらに、検索意図などのさまざまなデータポイントで絞り込めば、AI による概要が表示されているキーワードの種類に関する詳細情報を入手できます。

米国における AI Overviews およびインフォメーショナルな検索意図でフィルタリングしたキーワードエクスプローラー

例えば、上記の検索では、米国での合計 2,480 万語のうち、インフォメーショナルの検索意図に該当するキーワードは 2,430 万語ありました。これは全体の 97.70% に相当します。 

ただし、検索には複数の意図が含まれる場合があることに注意が必要です。

執筆時の内訳は以下の通りです。 

  • インフォメーショナル:97.70%
  • ナビゲーショナル:1.23%
  • コマーシャル:12.86%
  • トランザクショナル:2.85%
検索意図による AIO と通常検索の割合

上記で説明した通り、キーワードエクスプローラーでは「SERPAI による概要が表示されているキーワード」+「ブランドまたは非ブランドの検索意図」でフィルタリングできます。執筆時点の割合は以下のような結果でした。

  • ブランド:19.97%
  • 非ブランド:80.03%
ブランド・非ブランド別に見た AI Overviews と通常検索の分布比較

AI による概要は、ブランド名を含む検索では表示されにくい傾向があります。

SERPAI による概要が表示されているキーワード」+「ローカルまたは非ローカルの検索意図」でフィルタリングしたところ、執筆時点の割合は次の通りです。

  • ローカル:6.85%
  • 非ローカル:93.15%
ローカル・非ローカル別に見た AI Overviews と通常検索の分布比較

AI による概要は、ローカル検索では表示されにくい傾向があります。

キーワードエクスプローラーで「SERPAI による概要が表示されているキーワード」に絞りこみ、さらに単語数でフィルタリングすると、興味深い傾向が見えてきます。AI による概要は検索クエリが長いほど表示される割合が高くなるのです。

語数別に比較した AI Overviews の分布と通常検索の分布

次に、キーワードエクスプローラーで「SERPAI による概要が表示されているキーワード」に絞り込み、さらにキーワード難易度でフィルタリングしました。AI による概要は難易度の低いキーワードで表示される可能性が最も高いようですが、これはデータセットではよくある傾向です。

キーワードの難易度別に見た AI Overviews と通常検索の分布比較

また、キーワードエクスプローラーで AI による概要が表示されている SERP に絞り込み、検索ボリュームでフィルタリングしてみたところ、意外な結果が得られました。AI による概要は、検索ボリュームの少ないクエリで多く表示されると予想していたのですが、実際には検索ボリュームの多いクエリでの表示が目立ちました。

普段、自分で検索する際にはロングテールかつニッチなクエリで AI による概要をよく目にするため、その印象と一致しない結果でした。ただし、こうしたクエリの多くは検索トラフィックインデックスに含まれていない可能性があり、その影響でデータに反映されていないことも考えられます。

クエリのボリューム別に見た AI Overviews と通常検索の分布比較

キーワードエクスプローラーで AI による概要が表示されている SERP に絞り込み、さらにクリック単価(CPC)でフィルタリングしたところ、CPC の低めなキーワードの方が AI による概要が表示されやすいという、わずかな偏りが見られました。

クリック単価別に見た AI Overviews と通常検索の分布比較

さらに興味深いのは、AI による概要が表示される検索の 71.67% に CPC データがないことです。すなわち、AI による概要が表示されている検索の大半が全く収益化されていないということです。AI による概要は Google の収益源となるキーワードの多くに表示されていないことを考えると、AI による概要に広告が表示されないのも不思議ではありません。

AI Overviews を含む検索と CPC の割合

Ahrefs ブランドレーダーのユニークな点の 1 つは、ウェブページもデータソースとして利用していることです。これにより、どのブランドがオンラインで最も多く言及され、最も可視性が高いかを確認でき、
AI による概要や他の LLM において競合他社が自社よりも多く表示される理由を分析・理解するのに役立ちます。

ウェブインデックスを使用してウェブページでブランド言及を確認

LLM は、次に来る単語を予測する仕組みで動いており、その予測結果には多少の変動性があります。例えば、ウェブページなどのトレーニングデータにおける言及が多いブランドほど、 LLM の出力にも多く登場しやすくなります。 

まとめ

AI による概要に関する最新の動向を把握するのに、次の大規模な調査を待つ必要はありません。Ahrefs のブランドレーダーやキーワードエクスプローラーを使えば、いつでもご自身でデータを確認することができます。

質問がありましたら、X でメッセージをください。お待ちしています。

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