事例

国内最大級レビューサイト「ITreview」が明かす、Ahrefs を事業成長の羅針盤とする全活用術

河原田 隆徳 (TAKA)
Ahrefs 日本マーケティング統括。 国外 SaaS 企業における日本市場向けのマーケティングとローカリゼーションで 10 年以上の経験を積み、現在は Ahrefs の日本マーケティングを統括。ユーザーの皆さんと共に、Ahrefs を日本で盛り上げることを目標に、日々全力で取り組んでいます。
BtoB 向けの SaaS・ICT 製品レビュープラットフォーム「ITreview」を運営するアイティクラウド株式会社。

同社は、信頼する協業パートナーと外部専門家からの強い推薦を受け、Ahrefs を導入しました。

導入の決め手は、競合の動向を丸裸にする圧倒的なデータ量と、SEO 初心者でも直感的に扱える優れた UI。データに基づいたコンテンツ改善や戦略的なキーワード選定により、カテゴリーページのセッション数を 32% 増、重要コンテンツ群では 80% 増という驚異的な成果を叩き出しました。

アイティクラウド株式会社が運営する国内最大級の BtoB 向けの SaaS・ICT 製品レビュープラットフォーム「ITreview」

AI の台頭により検索の常識が覆る現代において、同社はなぜ Ahrefs を「なくてはならないビジネスパートナー」と呼び、成果を出し続けられるのか。今回は、その具体的な活用法からチームでの運用、そして未来の戦略まで、インタビューで語られた全てを余すことなくお届けします。

(向かって左から)正木 氏、勝又 氏、寺山 氏

アイティクラウド株式会社 プロダクトディベロップメント本部 プラットフォーム部 部長 勝又 勇輔 氏、同コンテンツチーム正木 雄太 氏、SEO パートナーの Web­ca­tion 寺山 裕樹 氏にお話しを伺いました。

SEO ツールといえば Ahrefs」信頼が導いた出会い

―― まず、Ahrefs を導入された経緯についてお聞かせください。

勝又氏: 2023 年 6 月頃、私たちが協業しているアメリカの巨大レビューサイト「G2」社、そして SEO パートナーとして信頼を置いている寺山さんのお二方からSEO ツールといえば Ahrefs が一番だ」と強く推薦されたのが直接のきっかけです。

それ以前も別の SEO ツールを利用していましたが、いくつか課題がありました。ひとつは、競合サイトが「どのキーワードで上位表示されているか」といった、もう一歩踏み込んだ分析が難しかったこと。そしてもうひとつは、UI が非常に玄人向けで、当時 SEO の経験が浅かった私には、正直なところ使いこなすのが困難でした。「ビジュアル的に分かりやすいツール」を求めていたのです。

導入前の検討材料となった ITre­vierw 掲載の Ahrefs のユーザーの高評価や、製品の使いやすさのおかげで、導入から利用開始までスムーズにできたと語る勝又氏。

―― 多くのツールがある中で、最終的な決め手は何でしたか?

勝又氏: まず、弊社が運営している法人向けSaaS・テクノロジーサービス・ハードウェアの比較・レビュープラットフォーム「ITreview」実際に導入された方から高評価のレビューが多かった点があげられます。Ahrefs へレビューを投稿された方は「データの多さと正確さ」「ビジュアルの分かりやすさ」と「直感的に操作できる UXを評価されておりますが、私も実際に使ってみて Ahrefs は、複雑なデータが非常に見やすく整理されており、SEO 初心者だった私でもすぐに「何をすべきか」を理解できました。

国内最大級レビューサイト ITre­view の Ahrefs 製品ページに寄せられたユーザーの口コミは製品の導入判断に非常に有用な情報となっている。

この「分かりやすさ」は、社内の承認プロセスでも絶大な効果を発揮しました。Ahrefs の競合分析結果をまとめたグラフやダッシュボードは、そのまま経営層への説明資料として使えるほど明快です。

「競合の状況がビジュアルで明確になるため、資料作成の工数が削減でき、施策の価値が伝わりやすくなる」と説明したところ、ボードメンバーにもすんなりと価値を理解してもらえ、スムーズに導入を決定することができました。

Ahrefs ダッシュボードは、膨大で正確なデータを元にグラフや指標でわかりやすくビジュアル化しているので、社内の説明資料やレポートにそのまま利用できる。

―― 使い方については、どのように学ばれたのでしょうか?

勝又氏: 導入当初は、まさに寺山さんに手取り足取り教えていただきました。どう使っていいか分からない状態からのスタートでしたが、具体的な操作方法から資料作成への活かし方まで教えてもらい、徐々に自分で操作できるようになりました。

寺山氏: 私自身も、Ahrefs の公式ブログAhrefs YouTube チャンネル、特に「Ahrefs Acad­e­my」で常に最新の知識を学んでいます。Ahrefs プロダクトマーケターのレベッカさんの機能アップデート解説動画もチーム内で頻繁にシェアし、「次はこんなことができるね」と議論のきっかけになっています。

Ahrefs 公式が発信する機能アップデート情報や、チュートリアルから様々なアイデアを得ていると語る寺山氏。

Ahrefs の本当に素晴らしい点は、ツールを使っているうちに、自然と SEO の正しい考え方が身につくことです。各指標の横にある「?」マークにカーソルを合わせると丁寧な説明が出てくるので、直感的に「この指標はこういう意図で見るべきなんだな」と理解できる。まさに実践しながら自動的に学べる UI/UX だと感じています。

ツール内の各指標にカーソルを合わせると、説明文が日本語で表示され、より詳しい情報は日本語化された Ahrefs ヘルプページから情報を得ることが可能になっている。

カテゴリー最適化でセッション 32% 増、その裏側にある地道な分析

―― 具体的な Ahrefs の活用方法を教えてください。

寺山氏: 最も頻繁に使うのは「サイトエクスプローラー」と「キーワードエクスプローラー」です。ITreview のような大規模サイトでは、これらのツールを使った基本的な最適化が大きな成果に繋がります。

例えば、カテゴリー名を決める際。ユーザーは「CRM」という製品ひとつとっても、「CRM ツール」「CRM ソフト」「CRM システム」など、様々な言葉で検索します。キーワードエクスプローラーで検索ボリューム、競合性、検索意図、将来性、そして「レビューサイトとして比較の意図があり、勝ちやすいか」という観点まで含めて多角的に分析し、事業成長に最も貢献するキーワードをデータに基づいて選定します。この地道な最適化を主要カテゴリーで実施した結果、対象カテゴリーのセッション数は 32% も向上しました。

キーワードエクスプローラーを使うことでシードキーワードに関連するキーワードの検索ボリュームなどキーワード選定に必要な情報を全て入手することができる。

競合の過去から未来を読む。「ページ検査」機能の威力

―― 大規模サイトならではの活用法はありますか?

寺山氏: Google コアアップデート前後の比較分析では、Ahrefs が不可欠です。ITreview には多種多様なページが存在するため、サイト全体で見るのではなく、サブフォルダ(カテゴリー)ごとに「何が起きたか」を分析する必要があります。Google Search Con­sole で自社のデータを見るのはもちろんですが、「競合サイトで何が起きているか」を比較・突合して分析できるのは、Ahrefs ならではの強みです。

Ahrefs のサイトエクスプローラーの主要機能のひとつである「ページ検査」を利用することで、競合サイトのコンテンツの変更履歴をつまびらかに参照することが可能。

特に「ページ検査(サイトエクスプローラー)」機能は非常に便利です。ベンチマークしている競合サイトが「過去 1 年間で何をしてきたか」が明らかになる。これによって、「次はこういう施策を打とう」という大きな方針が決まり、サイト全体の戦略議論ができるようになります。

被リンク獲得からオペレーション改善まで

―― 被リンク獲得施策にも活用されていると伺いました。

勝又氏: はい。ITreview では年に 4 回、優れた製品を表彰する「ITreview Grid Award」を実施しています。受賞企業様にはバッジを贈呈し、プレスリリースなどでご活用いただくのですが、その際に ITre­view の製品ページやカテゴリーページへのリンク設置をお願いしています。

寺山氏: そして、その効果測定に Ahrefs が活躍します。施策後にどれだけの被リンクが集まったか、それが Dofol­low か Nofol­low か、そして実際にカテゴリーページの順位にどう影響したかを、時間軸で正確に追跡できます。「このカテゴリーはリンクが集まったから各指標が伸びていると言えそうだね」と、施策の効果が明確にわかるので、「被リンクはやはり効果がある」という共通認識をチームで持つことができます。

勝又氏: この分析から、「こういう依頼文の方がリンクを設置してもらいやすい」「このチェックオペレーションはベンダー様の負担が大きい」といった具体的な改善点も見えてきます。


『Ahrefs を使ったデータ分析が、次のアクションやオペレーション改善に直結している好例ですね。』

 勝又 勇輔 氏
勝又 勇輔 氏, プロダクトディベロップメント本部 プラットフォーム部 部長 アイティクラウド株式会社

―― 特に成果が大きかったプロジェクトについて、詳しく教えてください。

寺山氏: 最も劇的な成果が出たのは、コンテンツの個別最適化プロジェクトです。リソースが限られる中で「本当に効く施策」を見極めるため、Ahrefs で徹底的に分析し、改善インパクトが大きいページに絞って施策を実行しました。その結果、対象コンテンツ群全体のセッション数が一気に 80% も伸びたのです。オーガニック流入のグラフが滝を逆流するように“直角”に上がる、まさに会心の結果でした。

正木氏: その中でも象徴的だったのがPDF 編集ソフト」というキーワードです。もともと検索順位は 5〜6 位を推移していましたが、コンテンツを全面的に改修した結果、見事 1 位を獲得できました。

ロングテールキーワードの選出や、検索意図の深堀りなど、他社ツールではできなかったことが Ahrefs では実現できたと語る正木氏。

成功の鍵は、Ahrefs が可能にする「確度の高い検索意図の洞察」です。Ahrefs の強みは、何と言っても圧倒的なデータ保有量とその信頼性。例えば、同じキーワードでサジェストを調べても、他社ツールと Ahrefs では得られる情報の粒度や角度に明確な差があります。他社ツールでは見つけられなかったようなロングテールキーワードを深掘りすることで、ユーザーが本当に求めている情報を突き止め、コンテンツの見出し構成などに反映させることができました。

寺山氏: まさに「どのツールを使うかで有利不利が決まる」と感じます。データ量が多ければ、それだけ施策の引き出しも増える。特にキーワードの網羅性において、Ahrefs の右に出るツールはないと確信しています。


『私自身、他のツールも使った経験がありますが、データ量、信頼性、そして施策の結果、全てにおいて Ahrefs が一番だと感じています。』

寺山 裕樹 氏
寺山 裕樹 氏, SEO パートナー Web­ca­tion

脅威か、チャンスか。AI 時代への迅速な一手

―― AI Overviews の登場で検索環境が激変しています。これをどう捉えていますか?

勝又氏: 私たちにとっては「大きなチャンス」です。AI Overviews に限らず生成 AI の回答は、ITreview が収集しているような信頼性の高い UGC(ユーザー生成コンテンツ)を重視する傾向が強いからです。我々が長年かけて築いてきた「レビューの信頼性」という資産が、これまで以上に価値を持つ時代になったと考えています。

―― AI 時代に対応するため、具体的にどのようなアクションを?

寺山氏: 今年の 3 月に AI Overviews の影響が顕在化した際、私たちは即座に Ahrefs と Look­er Stu­dio を連携させ、「どのキーワードで AI の回答が表示され、クリック数にどう影響したか」を可視化しました。この客観的なデータを根拠に経営陣へ報告したことで、他社に先駆けて「生成 AI に対する最適化」へ舵を切るという迅速な意思決定が可能になりました。このスピード感は、間違いなく Ahrefs あってのものです。

被リンク、キーワード、および技術的な SEO データを Ahrefs から Look­er Stu­dio ダッシュボードに追加することが可能。(アドバンスドプラン以上をご利用の方のみ)

正木氏: 具体的な施策としては、ユーザーの検索意図に応える FAQ 形式のコンテンツを強化しています。LLM に「ユーザーが頻繁に尋ねる質問は?」と聞き、それを「よくある質問」として見出しに展開する。このシンプルな施策で、実際に AI Overviews や Per­plex­i­ty でのサイテーション(引用)が増加しており、確かな手応えを感じています。

寺山氏: もちろん、小手先のテクニックだけでは通用しません。最終的に重要になるのは、「ITre­view といえば、信頼できるレビューサイト」というブランドの確立です。その上で、Ahrefs の新機能『ブランドレーダー』のようなツールを使い、ITreview が AI にどのように言及されているか、そして、生成 AIがベンダー様の製品を言及することになった情報源として ITre­view が利用されているかを追跡し、ベンダー様に ITre­view の価値を証明していくことが重要になると考えています。

Ahrefs がリリースした「ブランドレーダー」では、現在 5 つの LLMAI Overviews, ChatGPT、Perplexity、Gemini、Copilot)でのサイテーションやブランドのメンションを計測できる。

―― 最後に、Ahrefs の導入を検討されている方へメッセージをお願いします。

寺山氏: 「導入しても使いこなせるか不安」という声はよく聞きます。ですが、Ahrefs は公式の学習コンテンツが非常に充実しており、SNS で検索すれば世界中のユーザーがノウハウを共有しています。「本気で SEO をやりたい」という学ぶ意欲さえあれば、Ahrefs は必ずその期待に応えてくれます。


『使いやすさ、データ量、機能のアップデート速度、コストパフォーマンス、どれをとっても最高のツールです。』

寺山 裕樹 氏
寺山 裕樹 氏, SEO パートナー Web­ca­tion

勝又氏: 私はマネジメントの立場ですが、Ahrefs のレポートは「頼りがいのあるエビデンス」として重宝しています。現場の成果を経営層に分かりやすく伝えられるだけでなく、Ahrefs の公式ブログが出す調査レポートは、「検索エンジンからのトラフィック減少は世界的な傾向である」と説明する際の客観的な根拠にもなります。

今後、我々も LLMO の比重を高めていく中で、Ahrefs には AI 関連機能のさらなる拡充を期待しています。


『Ahrefs が、我々のビジネスにとってさらに強力なパートナーになってくれることを確信しています。』

 勝又 勇輔 氏
勝又 勇輔 氏, プロダクトディベロップメント本部 プラットフォーム部 部長 アイティクラウド株式会社

企業情報

  • 企業名: アイティクラウド株式会社
  • ウェブサイト: https://www.itreview.jp/
  • 事業内容: SaaS・ICT 製品のレビュープラットフォーム「ITreview」の企画・開発・運営
  • インタビュー対象者:
    • アイティクラウド株式会社 プロダクトディベロップメント本部 プラットフォーム部 部長 勝又 勇輔 氏
    • 同コンテンツチーム 正木 雄太 氏
    • Web­ca­tionSEO パートナー)寺山 裕樹 氏