この質問に答えるべく、筆者は AI をうまく取り入れた SEO ツールを本腰を入れて探し始めました。追い求めたのは「あれもこれもできる」とおおげさに謳ったものや、かえって作業を複雑にしてしまうツールではなく、より効率的な SEO を実現するための着実な信頼できるサポートを提供するツールです。流行が本格的に始まってからまだ 2 年しか経たない AI に全信頼を置くのではなく 、依然として人間による作業をプロセスの核として据えているツールを重視しました。
一体どんなツールがあるのか、さっそく以下でみていきましょう。
- ChatGPT:適切な SEO データを与えて指示さえすれば、実質どんな SEO 関連のタスクにも使える素晴らしいツール。多くの場合、ChatGPT + 優れた AI ツールの組み合わせにより、作業がより効率的になります。
- Writesonic:AI ライティングツール。AI の作業を人間の目でしっかり監督しながら文章を書かせることが可能。同様のタイプのツールに求められるあらゆる機能が詰め込まれています。
- Ahrefs:業界をリードする保有データを誇る Ahrefs に AI が加わることで、これ以上ない最強の組み合わせへと進化。キーワード調査、コンテンツ制作、サイトの最適化の非常に強い味方です。 特に AI コンテンツヘルパーは、高クオリティなオリジナルコンテンツの発信にフォーカスしたい人にとって理想的な執筆アシスタントで、コンテンツの品質レベルを下げることなくワークフローを強化することができます。作業の効率性アップにも大きく貢献するため、コンテンツ作成チームに自信を持って提供できるツールです。
- 本記事にはその他、知っておいて損はない注目のツールもいくつか掲載しています。
上記のツールについて皆さんにお伝えしたいことが沢山あるので、ぜひ最後まで読んでみてください。これらの AI ツールを活用してコンテンツ作成の成果を高めながら、その作業に割く労力を節減する方法について、皆さんを納得させられるようなご説明をしていきます。また、今回あえて 3 つのツールに絞って取り上げた理由についても後々ご説明します。
信じられないかもしれませんが、まずは一旦、ChatGPT の誕生からまだ 2 年しか経っていないことを思い出してください。私たちはまだ AI に対する「過度な期待がピークを迎えている時期」の真っただ中にいると言えます。
これは、私たちのほとんどが今のところ、AI について現実的というよりは楽観的な見方をしているということを表しています。まだ、ChatGPT、Gemini、Claude などの大規模言語モデル(LLM)の限界やその真の実用性について、それが大規模に適用された例を通して完全に理解するまでには至っていません。AI をただ使ってみたいと思っている、まだそんな段階です。
実のところ、私たちが「AI」という単語を聞いて思い浮かべるような理想的な AI はまだ実際には存在していません。ところが、人間にはそういった現状を考慮した冷静で理性的な判断をする人よりも、一時の感情に動かされる人の方が多いため、現在「AI 搭載」と謳った商品は何でもよく売れています。
しかし残念ながら多くのケースで、完全に AI 主導のツールを使う事はメリットよりもデメリットの方が多いように思えます。 SEO ツールはその良い例です。
事実、2023 年 11 月にその悪名が知れ渡った「SEO 強盗(SEO heist)」のように、他社コンテンツを自動コピーして付加価値をほとんど加えないまま使用しているサイトに対し、Google はペナルティを課しています。
そして、誰もが AI を使って楽にコンテンツ制作をしたいと思っているのは事実ですが、そうしてできたコンテンツを読みたいと思う人はあまりいないでしょう。実際、皆さん自身も周りの方々も、そういう人がほとんどではないでしょうか?
最後に、生成 AI は多くの場合、自らの文章を批判的に読み直して修正することができず、求められている内容に沿わないコンテンツを生み出してしまう傾向にあります。ハルシネーション(幻覚、事実に基づかない情報を生成する現象)、トピックに無関係な内容、他サイトの模倣、最適化された風(ふう)のコンテンツなど、SEO インターンのほうがうまく書けるような低クオリティのコンテンツが出来上がってしまうことも珍しくありません。市場に出回っているツールをいくつか見てみても、従来の人間によるコンテンツ制作のほうが優れているのではないかと思わずにはいられませんでした。
残念ですが、SEO のすべてを AI に任せることはまだできません。
以上の点を考慮すると、AI に効果的に指示を出すオプションを豊富に提供することでユーザーに十分な決定権限を与えつつ、よくある AI エラーを最小限に抑えるよう設計されたものこそが優れた AI SEO ツールだと言えるでしょう。記事上部でご紹介した 3 つのツールは、これらの基準を完全に満たしています。
ChatGPT は SEO 向けに特別に設計されたツールではないですが、実際のところどのツールを選んでも、それを使いこなすには AI アシスタントとしてサポート的に活用することが必要となってきます。ChatGPT が代表する LLM は非常に優れた強力なツールで、ほとんどの「AI 主導の SEO ツール」が搭載するのはその簡略化バージョンにすぎません。
ChatGPT を以下のような用途に活用することで、より効率的にタスクを進めることができるようになります。
- ウェブサイトまたは Google ビジネスプロフィール用のあらゆる種類の文章の生成および修正
- サイトスピード(ページ読み込み速度)とスキーマ(ウェブページの内容を検索エンジンにわかりやすく伝えるための HTML タグ)の修正に使えるコードの作成
- 必要に応じた SEO アプリのコーディング。たとえば、サイト上のすべてのリダイレクトをチェックする簡単なアプリの作成など
- メタディスクリプションや hreflang(ページがどの言語でどの地域向けに記述されているかを明示するためのタグ)などのメタタグの管理
- シードキーワードの提案
- キーワードを意図ごとにクラスター化して整理
- Ahrefs などのツールからエクスポートされたデータの分析および図式化
- Ahrefs や Screaming Frog などのツールで使用できる正規表現(regex)の生成
- 最新のウェブ検索結果からコンテンツ制作の参考になるアイデアや、引用できるソースを特定
- コンテンツが自社ブランドガイドラインに沿った内容かどうかのチェックや、よくあるミスの検出をするようカスタマイズしたオリジナルボットの作成
- EC 用のコンテンツ制作など、特定の用途に特化したボットの調査
- SEO タスク用のちょっとした Python アプリの作成。たとえば、ウェブサイト上のすべてのリダイレクトをチェックする簡単なアプリの作成など
- AI が生成したコンテンツの事実確認
- コンテンツ戦略に使えるバイヤーペルソナ(架空のユーザー像)の作成。ハルシネーションを防ぐため、信頼性の高いデータを与える必要がある。
その一方で、ChatGPT にできないこととは何でしょうか。それはつまり、独自に SEO データを入手してそれを基に作業することです。ですので、皆さんが普段使っている SEO ツールのサブスクリプションはまだ解約しないでくださいね。
ChatGPT には機能が制限された無料版もありますが、月額 $20 の Plus プランではより様々な機能が楽しめます(詳しくは料金ページをご参照ください)。同社は GPT Workspace といった SEO ツールで使用できる有料 API も提供しています。
筆者は ChatGPT が一般公開されて以来、ずっとこのツールを使用しており、とても頼りにしています。気になって他のツールを試してみたこともありますが、結局いつも ChatGPT に戻ってきました。最近、Poe(複数の AI ツールが 1 か所で使用できるプラットフォーム)を使ってさまざまな LLM をテストし、結果を比較してみました。どれもコンテキストウィンドウ(テキスト解析時にどれだけの周辺情報まで考慮するかの「範囲」)が小さく、LLM 間で大きな違いはありませんでしたが、比べた中で Gemini と Claude にはいくつかの利点があることに気づきました。
Gemini と Claude の両方をスタンドアロンバージョンで試してみましたが、すぐに ChatGPT のほうが使い勝手がいいと感じました。 Gemini ではウェブにアクセスできる点がとても良く、コンテンツ作成能力もなかなかのものでしたが、データ分析に際して絶えず問題が発生し、使いにくいと感じました。
Claude はコンテンツ生成(この点においてはおそらく AI ツールの中で最高レベル)とデータ分析に優れていましたが、ウェブ検索機能がなかったため個人的に不便に感じました。このため、コンテンツの作成や最適化とデータ分析を重視し、ウェブ検索が必要ない場合は、Claude を試してみてもいいかもしれません。
ChatGPT の際立った特徴は、その多機能性です。必要な機能をすべて網羅した 1 つの LLM を利用すれば、欠けている機能を補うための他のツールを探す必要はなくなるため、これは重要な点と言えます。
以前は ChatGPT に検索機能がなかったため、ウェブ検索機能を求めて他のツールを使用しなければなりませんでした。しかし現在、ChatGPT は AI ツール市場で最も機能性に優れた LLM だと思います。
これをご説明するために、例を 1 つ挙げてみましょう。
下のように、株式市場と SEO データの相関関係など、あるテーマについての予備調査を行ったとします。
その後、下のようにすぐに続いて株式市場と SEO データの分析に移行できるんです。
さらにその後、記事の執筆と編集作業へとスムーズに進めることができます。これは文章とコード作成用に特別設計された新たな Canvas 機能の追加により可能となりました。
独自のボットを作成することもできます。たとえば、筆者は Google Patents(Googleが提供する無料の特許検索サービス)でなにかを調べたいときにいつでも質問できるボットを作りました。
Writesonic は、キーワード調査から文章作成まで対応できる AI ライティングツールで、正確な事実に基づき、SEO 最適化され、人間が書いたような高品質なコンテンツを作成することができます。
SEOコンテンツ制作で最も時間がかかる部分を自動化し、チームがブランドの理念に沿ったコンテンツを継続的に発信できるようサポートすることを目的としています。
Writesonic は、ChatGPT、Claude、Gemini の 3 つの最高レベルの LLM を使用しており、すべてのデータの安全な保護を約束しています。
作業をより効率的にしてくれる Writesonic の AI 機能は以下の通りです。
- 執筆アシスタント:トピックまたはキーワードを入力するだけで、ユーザーの指定内容に沿った序論、概要、結論の構造からなる記事の作成が可能。まずは自分が書いたものを起点とし、ツールの助けを借りることで自社ブランドにふさわしい文章の作成ができる。
- トピッククラスタリング:トピックとキーワードをグループ化し、コンテンツハブのドラフトを作成。
- コンテンツエディター:コンテンツのドラフト作成、編集、修正ができる強力なプラットフォーム。文法やスタイル、構造に関する提案をリアルタイムで提供。筆者がこれまでに使ったエディターの中で AI プロンプトの選択肢が最も多かった。
- SEO チェッカー:コンテンツを上位の競合と比較し、より関連性の高いコンテンツにするために追加すべきキーワードや、記事の構成の改善案を提供。
- コンテンツリライター:既存の文章を元の意味を保ったまま書き換えることが可能。古いコンテンツを更新したり、文章の重複を回避したり、すでにある文章をさまざまなオーディエンスに合わせて微調整したりする作業に便利。
- コンテンツのヒューマナイザー:AI が生成したテキストのトーンやスタイル、表現を調整することで、より自然で人間が書いたような文章に書き換えることが可能。
Writesonic は今すぐ無料で試すことが可能です。有料プランは月額 $16 から提供されています。
正直に言うと、筆者は AI によるコンテンツの生成にあまり賛成ではありません(プログラマティック SEO に関しては例外かもしれませんが)。とはいえ、もし筆者が AI によるコンテンツ制作推進派であれば、Writesonic を選ぶと思います。コンテンツ制作を完全に自動化することはおすすめしませんが、プロセスの 70〜80% は任せられるでしょう。
AI を適切に取り入れた、これほど有能な AI ライティングツールは他に見たことがありません。コンテンツの設計や文章の微調整に使える指示オプションの選択肢の多さには感心しました。このツールの記事ライティング機能については次の項目で簡単にご紹介します。
実際に使ってみて、このツールはコンテンツ制作で ChatGPT をフル活用していた人が、AI に繰り返し同じ指示をせずに、より効率的で反復可能なワークフローを手に入れるために設計したような印象を受けました。
以上の内容を考慮すると、AI による執筆作業の自動化を求めている場合は、おそらく LLM そのものよりも Writesonic を使った方が良い結果が得られるでしょう。ただし、文章の一部の執筆にのみ時折 AI の助けが必要な場合は、ChatGPT または Claude を使うといいでしょう。
Writesonic には 10 ステップの記事作成ウィザードがあり、市場に出回る他の生成 AI ツールと比べても最良の機能だと思います。
この名前からして分かりやすいって?そうなんです。AI が記事を書き始める前に、10 のステップからなる設定手順を手動で行う必要があります。
4 ステップのオプションと「インスタント」オプションもありますが、筆者はいつも 10 ステップを選択します。人間側からのインプットが多ければ多いほど、AI に与えられるコンテクストも多くなり、より良い文章が出来上がるからです。
使い始めるとすぐに、Writesonic が執筆タスクに真剣に取り組んでくれることが分かるでしょう。既存情報の焼き直しではなく、ユーザーのリサーチ内容に基づいた文章の作成が可能です。これにより競合他社よりも際立った内容のコンテンツが作成でき、 AI 生成素材にありがちな、既存のコンテンツを模倣したありきたりな内容になってしまうというミスを回避できます。
この次は、メインキーワードと副次キーワードを選択し、ランキングで上回りたいコンテンツを指定してください。続いて記事の長さを設定し、コンテンツの構造を決め、概要とタイトルを決定。さらに FAQ を追加し、記事に CTA(コールトゥアクション、ユーザーが特定の行動をするように導く目的で追加するテキスト)を含めることもできます。また、(それほど驚くべきことでもないですが)内部リンクの自動化も行えます。
またこれ以外に、Writesonic を使ったコンテンツ生成プロセスの中で特に印象に残った点がいくつかあります。
通常こういったツールの利用時には、検索順位で上位ランクインしたい特定のキーワードをユーザーが用意する必要がありますが、Writesonic の場合は書きたいトピックさえあれば OK です。そのトピックに関して Google で上位ランクインしているページを分析し、ターゲットにすべきキーワードと関連する SEO データを提供してくれます。これは SEO コンテンツ制作の初心者には大変嬉しい機能です。
筆者が気に入っているのは、Writesonic が各ステップをユーザーに分かりやすく説明しながら文章作成を進めていく点です。各ステップの重要性を説明しながら、競合他社の特定といった指示オプション選択時のアドバイスもくれるので、チームにコンテンツ作成の初心者がいても使いやすいでしょう。
さらに、ユーザーにとって最適な選択肢をハイライト表示までしてくれます。以下の画面では、適切に競合他社を選んで設定することの重要性と、 AI が推奨する競合他社についての説明がされています。
AI に追加の指示を出して、自社ブランドに合ったスタイルで AI に文章を書いてもらうこともできます。ちなみに、そのブランドならではの文章スタイルも AI が考えてくれるので、サンプルをいくつか与えるだけで OK です。
また、最近の AI ツール業界のトレンドとなっている、AI 生成コンテンツを人間が書いたもののように自然に読みやすくするという機能も兼ね備えています。 Ahrefs チームがこうした機能を利用したコンテンツ制作に完全に賛成しているわけではありませんが、以下のサンプルのように、「人間らしくされた」バージョンの方がはるかに読みやすいことは認めざるを得ません。
最後に、Writesonic のエディタの AI 機能は他ツールと比較して最も優れています。LLM を使って文章を修正する際に通常与えるプロンプトがすでに用意されており、文章の拡張、言い換え、トーンの修正、簡潔化など、あらゆる作業がクリック一つで実行可能です。
AI ツールを使って作成したコンテンツの品質についての判断は皆さんにお任せします。AI 生成のコンテンツと、それを「人間らしくした」文章のサンプルをこちらから読んでみてください。
Writesonic の紹介を終える前に、1 つだけアドバイスをさせてください。それは、AI によって生成されたものは、必ず徹底的にチェックする必要があるということです。作業をスピードアップさせるという本来の目的に反するように聞こえるかもしれませんが、出来上がったものに簡単に目を通すだけでも、最終的なアウトプット内容が一定の水準を満たし、書き手の専門知識レベルを反映した内容となっているかどうかが確認できます。
SEO に携わってしばらく経つ人なら、おそらく Ahrefs について知っていただいていることでしょう。Ahrefs にも AI ツールが新たに加わったのをご存知でしょうか? AI ライティングツールの流行には少し遅れてしまったかもしれませんが、これにはちゃんとした理由があります。弊社チームでは、AI によるコンテンツ制作に独自のアプローチを採用したツールを開発していたからです。
SEO のタスクをより効率的にしてくれる Ahrefs の AI 機能は以下のとおりです。
- AI コンテンツヘルパー:コンテンツで取り上げるべきトピックを提案し、文章をリアルタイムで評価して、より網羅的で関連性のあるコンテンツ作成をサポート。
- AI コンテンツグレーダー:トピックがどれだけカバーできているかを、任意のキーワードで検索順位トップのページと比較し、改善方法を提案。
- AI キーワード翻訳:ターゲットにするキーワードの最も正確な訳語を特定。さまざまな言語のコンテンツ制作に使える適切なキーワードを見つけることが可能。
- 検索意図の特定:トラフィックを検索意図ごとに分けて計算することで、SERP の主要な検索意図がどれかを迅速に特定。また、Ahrefs のデータベース内で各キーワードを分析し、キーワード調査時にそのキーワードがどの検索意図に属しているかを表示。
- AI によるキーワードの提案:シードキーワードのブレインストーミングを行い、あらゆるトピックに関連したロングテールキーワードやニッチキーワードを見つけることが可能。
- 「AI Overview(AI による概要)」のチェック:Google でどんなキーワード検索時に「AI による概要」が表示され、自社サイトのどのページが表示されているかを確認。
- AI 搭載のパッチ機能(近日中に公開予定):ウェブ開発者以外のユーザーが開発チームの支援を必要とせずに、サイト上の技術的な SEO の問題を自分で修正できるように設計。 AI の助けにより、SEO 監査で検出された問題箇所を直接修正・更新、新バージョンを公開できるように。
Ahrefs の利用プランは月額 ¥4,460 からとなっています。 AI コンテンツヘルパーは、ベータ版の間すべての有料プランユーザーに無制限でご利用いただけます。ベータ版終了後は、有料アドオンに変わります。
Ahrefs はユーザーの代わりに記事を書くことはしません。Ahrefs チームと多くの SEO 専門家の共通意見では、コンテンツ制作の完全な自動化は AI の最適な使い方ではないからです。
「エージェンシーさながらに全ての SEO タスクを代行し、費用はエージェンシーの何分の一かで済みます!」と大きく謳ったツールをお探しであれば、Scalenut、Diib、Alli AI あたり、または Frase、Jasper やそれに類似したツールを試していただくのが良いかもしれません。
しかし、筆者が皆さんの立場だったら、すべての SEO 問題の処理が可能と謳った「おまかせ機能」(先述の AI ツールのうちの 1 つに実際にある機能)を使う前に、作業を完全に自動化した AI ツールの生成するコンテンツのクオリティをじっくりと見定めてみるでしょう。
作業プロセスの指揮をとりながら SEO の専門知識をしっかり取り入れたコンテンツを作成したい方にも、あるいは SEO の専門知識の習得を目指して取り組んでいる方にも、Ahrefs の利用を強くおすすめします。すべての作業を自動化して楽ができるツールではなく、ユーザーの SEO スキルを向上させ競争力を高める貴重なサポートを提供します。
筆者は最近、SEO 専門家である J.H. シェルク氏が出演したポッドキャストを聴く機会がありました。彼は Ahrefs の AI コンテンツヘルパーの開発理念をよく理解した上でこのツールの解説をしてくれました。ポッドキャスト「Optimize」(2024 年 10 月 11 日にアップされた回)で彼は、Ahrefs のアプローチは他のツールとは一線を画していると説明しました。他のツールは典型的な「バズるキーワードのランダム製造機」であり、
- Google がコンテンツ内のキーワード出現頻度だけを基準にコンテンツにランク付けすることを期待している
- キーワードの使用回数を上げることだけを盲目的に追求した AI ライターツール
であることがほとんどですが、Ahrefs はこれらとは本質的に異なります。
Ahrefs の取り組みは実に尊敬に値します。トピックの素材を抽象化し、「こういった要素を取り入れると文章が良くなる」といったアドバイスをしている点が、非常にスマートだと感じます。彼らはサブトピック(文章に詰め込むキーワード)ではなくコンセプトやアイデアにより重点を置いたコンテンツ制作を提案しています。ライターは支援ツールの提案にそのまま従うのではなく、参考程度に活用する程度にとどめた方が効果的だと思います。
彼の言葉で言う「バズるキーワードのランダム製造機」を使いすぎると、キーワードの一定の出現回数の達成だけにフォーカスするという悪い癖がついてしまうでしょう。そうすると、読み手にとって真に価値があり、受け取り手を最優先に考えたユニークなコンテンツを作成するという、より大きな本来の目的を見失ってしまう可能性があります。こういった目標は、仕事に情熱を持った人間のライターだけが真に達成できるものではないでしょうか。
ちなみに、Google のコンテンツスコアは厳密なデータに基づいて与えられる評価ではありません。先述のポッドキャストの MC によると、ネット検索を取り巻く状況が今とは違っていた数年前には、Surfer や Clearscope といったツールを利用して優れた SEO パフォーマンスを達成することが可能でした。しかし今はこのように変わっています。
コンテンツ最適化ツールで高いコンテンツスコアが取れても、それはコンテンツが優れていることを意味するものではありません。実際には、非常に低クオリティの内容に A 評価がつけられることもあるからです。
この点について、筆者もまったく同意です。同僚のジョシュ・ハードウィックが、コンテンツのスコアとランキングの相関関係を調査したところ、結果は「相関関係は非常に弱い」というものでした。
Ahrefs の AI コンテンツヘルパーが他の AI 支援ツールに遅れて登場した理由はまさに、他とは一線を画したツールだからです。キーワード自体ではなくトピックに焦点を当て、コンテンツの Google 検索結果でのパフォーマンスを向上させるために必要なトピック選定をお手伝いします。これは、典型的な「バズるキーワードのランダム製造機」と言える他のツールが奨励する、キーワードの出現回数にこだわったアプローチとは大きく異なっています。
このツールは既存コンテンツと新コンテンツの両方に使用できます。既存のコンテンツを最適化する際は、他社コンテンツとのトピックのカバー範囲の差を特定し、コンテンツのどの部分の情報をより深掘り、あるいは拡張すべきかを提案します。新コンテンツの場合、文章中でメイントピックとして扱う内容を提案します。
AI コンテンツヘルパーは実質、Ahrefs の膨大な SEO データベースに基づいて機能しています。特定のキーワードに対する上位ページを読み込み、コンテンツに含めるべきトピックを提案します。
しかし、ここに他のツールと一味違った点があります。 Ahrefs は、ランキング上位ページを検索意図別にグループ化できる市場唯一のツールです。そのため、分析対象とする他社コンテンツを選ぶと、そのコンテンツを見ているユーザーの検索意図に確実に合わせてコンテンツを最適化することができます。
コンテンツの執筆を進めながら、随時競合他社とコンテンツスコアを比べてその差を把握することができます。
さらに、タイトルやメタディスクリプションの考案もお手伝いします。
Ahrefs を実際に使用した結果について少しお話ししましょう。筆者は AI コンテンツヘルパーとコンテンツグレーダー両方の初期テスターの 1 人でした。トピックのカバー範囲を改善することで検索キーワードとの関連性が高まり、その結果検索順位が向上するかどうかをテストするために、担当したいくつかのブログ記事を対象にこの 2 つのツールを使ってみました。
中でも最も興味深い結果となったのは、「ウェブサイトに含まれるキーワードの特定」に関する記事を改善したケースでした。この記事ではネットユーザーの検索意図に応えるよう、幾つかの具体的な手法を紹介しましたが、曖昧なトピックの記事であることに変わりはありませんでした。私の仮説は、AI コンテンツヘルパーを使うことで記事の内容を「拡張」させ、当初ターゲットにしていなかった別のキーワードに関連性を持たせることができるのではないかというものでした。
このツールは、トピックのカバー範囲において上位の他社コンテンツとどのような差が開いているかを指摘してくれ、それに合わせて改善したところ、成果が数日以内に表れました。以下の表で分かるように、改善前はランキング順位が非常に不安定でしたが、AI ヘルパー使用後は安定し、トップ 10 位内に留まり続けることができたのです。
AI コンテンツグレーダー使用後にも同様の変化が起こりました。こちらのツールも、キーワードの出現回数ではなくトピックがどれだけ網羅できているかに重点を置いてコンテンツを評価します。以下の表では、ツールに指摘された他社コンテンツとのトピックカバー範囲の差を埋めるよう改善した後、記事がランキングトップの座を取り戻したことがわかります。
今回の SEO 対策 AI ツール ベスト 3 に入らなかったツールで、一度は試す価値がある、または、必要な時にいつでも使えるようにしておくべきものを以下にご紹介します。
- Zapier:このツールは ChatGPT と統合されているため、両方を活用して今回の記事でご紹介したようなコンテンツ制作の自動化を行い、作業時間を短縮することができます。たとえば、コンテンツライターとの協同作業をコーディネートするために使用することも可能。
- Google の Natural Language AI:このツールは、あらゆるテキストからエンティティ(特徴的な部分)を抽出します。一部の SEO 専門家によれば、この機能を使用して上位ページを分析し、記載情報の独自性と価値を高めるためにコンテンツに追加すべき要素の特定が可能とのこと。
- Shopify Magic:AI を使って商品説明文章を作成する Shopify スイート内のツール。Shopify 上に出店するすべてのショップに利用可能です。
- Wordlift の無料 AI 商品説明ジェネレーター:商品写真から商品説明を生成。 ChatGPT とその Eコマース向けボットユーザーもこれと同じことができますが、このツールで気に入った点は、事前に用意された多数のテンプレート (Amazon 向けに最適化した文章、クリアランスセール商品や子供向け商品の説明など)から選び、わずか 2 回のクリックで作業が終了することです。
- Originality.ai:情報のファクトチェックツールを提供。使用時には ChatGPT と Gemini も併用し、結果を比べてみるのがおすすめ。
- SEO 企業 DEJAN が開発した LinkBERT:ページ上のリンクを配置する場所を提案し、面倒な作業である内部リンク構築をサポートします。すべての作業が自動化されるわけではないものの、リンク構築場所候補を把握するのに有用。
- Ahrefs の無料 AI ライティングツール:42 種類のライティング補助機能が完全無料で利用可能。
この記事の執筆にあたり、約 2 週間かけて SEO に特化したさまざまな AI ツールをテストしました。でも実は筆者によるおすすめは、このタイプのツールを数々試してきた 2 年近くの経験に裏付けられたものです。
おすすめを選ぶ際には、それぞれのツールが本当に作業を楽にしてくれるのか、または現在の AI に対する楽観的な期待や SEO に対する知識不足を悪用して、実際には実現できないことをできると謳っていないかという点に注意しました。
以下、その他調査中に気を付けた点や、感じたことを幾つかシェアします。
- まず、搭載機能が本当に便利なものなのか、それともあまり価値のない単なるギミックなのかを判断しました。コンテンツの品質を重要視したので、生成されたクオリティの判定に細心の注意を払いました。
- また、AI の作成文章をカスタマイズするオプションの有無も確認しました。これは、特定のトーンやフォーマットを指定したい場合に重要な部分です。 AI を扱う際の第一のルールは、難度の高すぎるタスクを与えないことと、常に十分な文脈を提供することです。
- 各ツールのインターフェースも評価の上で大きな要素でした。 Writesonic には作業を進めづらいと感じた箇所もあったため、同ツールに類似した、よりスムーズでユーザーフレンドリーな UI を装備したツールがあれば素晴らしいと感じました。
- 最後に、このツールがフリーランサー、小規模チーム、企業といった異なる作業形態でうまく機能するかという視点からも評価を心がけました。
ツールの導入にあたり、予算、チームの規模、必要不可欠な機能といった点を確認するのはもちろんのこと、SEO において AI が「できる」ことと「できない」ことについて信頼できる情報に一通り目を通しておくことを強くおすすめします。
AI ツールのレビューを事前にチェックすることで、作業を自動化しすぎてしまうツールや、ChatGPT のごく一部の機能を詰め込んだだけのツールに無駄な費用を使うことを防げます。
質問:SEO の専門家は AI ツールをどのように活用していますか?
回答:SEO 企業である Flying Cat の調査によると、SEO 専門家が AI を活用する最も一般的な用途は文章アウトラインの生成 (92%)、次いでアイデアの提案とキーワード調査 (88%) です。ブログ投稿を丸々書かせ、人間が軽く校正を入れるのみのコンテンツ生成に使用しているケースは 15% のみです。
質問:Google は AI 作成コンテンツを嫌っていますか?
回答:Google は、AI コンテンツが高クオリティで独創的かつユーザーにとって有益な内容である限り、AI コンテンツには反対しません。E‑E-A‑T※を兼ね備えたコンテンツであれば高評価の対象となります。
※ Google がウェブサイトやコンテンツの品質を評価する基準で、Experience(ユーザーの使用体験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、 Trustworthiness(信頼性)の 4 要素から構成。
AI が上記の 4 つの基準を満たすコンテンツ制作に役立つのであれば、Google は AI の利用を大いに歓迎するでしょう。ただし、AI を使って低クオリティ、詐欺、または印象操作する内容のコンテンツを大量に作成することはガイドラインに違反する行為であり、ペナルティが科せられる可能性があります。
質問:Google には AI 作成コンテンツの特定が可能ですか?
回答:Google が AI コンテンツをどのように検出しているかは明らかになっていませんが、AI が制作プロセスに関わったと見抜きやすいコンテンツのパターンや特徴を特定するアルゴリズムは、今後ますます精度が高められていく可能性が高いと言えます。
質問:AI ツールの登場で、SEO における人間の専門知識は必要なくなってしまうのでしょうか?
まだそんなことはありません! AI は強力なツールですが、依然として人間によるモニタリングと専門知識の提供が必要です。
AI にはデータ分析や考察はできますが、全体的な SEO 戦略を考案し、さまざまな情報を加味した意思決定を行うにはまだまだ人間の力が必要です。また、AI にはコンテンツ生成ができるとはいえ、出来あがったものは人間の書いたものと比べて創造性や独創性の点で劣ることがあります。
質問:AI ツールの利用に伴い、プライバシーやデータ保護に関する問題はありますか?
AI ツールは多くの場合、ユーザーのデータを収集・分析します。このため、信頼性の高いデータ保護ポリシーを備えた評価の高いプロバイダーを選ぶようにしてください。
質問: SEO 対策 AI ツールの提供データは正確ですか?
AI ツールの提供するデータやコンテンツ内容の提案が時として不完全で、読み手の誤解を招く内容である可能性は否めません。
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