現状では、AI 経由のトラフィックは目に見える成果をあげておらず、本当に注力すべきなのかは疑問が残るところです。
そこでこの記事では、現時点でわかっている最新の情報についてまとめました。
約 35,000 件のウェブサイトのトラフィックを調査した結果、AI 経由の参照トラフィックは全体のわずか 0.1 パーセント。検索経由のトラフィックには大きく及ばず、メール経由よりもわずかに少ないことがわかりました。

ソース別に分析すると、Google は主要な 3 つの AI の合計よりも 345 倍多くのトラフィックを送っていることがわかりました。

AI 経由のトラフィックを見てみると、3 つの主要な AI(ChatGPT、Perplexity、Gemini)を合計しても Reddit とほぼ同じ割合のトラフィックしか送っていないことがわかります。

調査によると、Reddit からの参照トラフィックが増加し始めたのはごく最近の 2024 年 11 月頃からですが、すでに AI を上回っています。
このことから、他のチャネルと比較して AI へ過剰に投資してしまっているのではないかと疑問視する声も上がっています。


しかし、重要なのはトラフィックだけではありません。
認知度とコンバージョンも重要であり、AI がその両面で一定の成果を上げている兆候が見られます。
たとえば、登録データや「Ahrefs を知ったきっかけは何ですか?」という質問への回答から、過去 1 年間の Ahrefs のコンバージョンの約 3 %は AI 経由であることがわかっています。
AI 経由のトラフィックは、ChatGPT 、Perplexity、そして Gemini の順に多く、以前実施した AI トラフィック調査のデータによると、ChatGPT は全体の約 50 %を占めていました。

Ahrefs の最近の調査では、Perplexity が Gemini を追い抜き、より多くのトラフィックを送っていることがわかりました。

ケヴィン・インディグさんのデータによれば、Perplexity は回答の中でブランド名を言及する頻度が最も高い AI であり、これがこの成長の大きな理由になっているとのことです。

同じ調査で、ケヴィンさんは、ChatGPT でのブランド言及がサイトのドメインレーティングと最も相関しているのに対し、Perplexity と AI Overview での言及はディープコンテンツと相関していることを明らかにしています。

Ahrefs のデータによると、AI 経由のトラフィックは米国に集中しており、インドや英国(米国の次に多い地域)と比べて AI トラフィックを獲得する可能性が約 1.6 倍高いという結果が出ています。

また、「ビジネス・工業」セクターでは、「求人・教育」や「ヘルスケア」といった他の主要セクターに比べ、AI トラフィックを獲得できる可能性は 2 倍となっており、さらに有利です。

上記の地域や業界以外のウェブサイトの場合は、AI トラフィックに力を入れても、収益が限られる可能性があります。
Ahrefs の最新データによると、小規模なサイトの方が総トラフィックに占める AI トラフィックの割合が高いことが示され、前出の AI トラフィック調査の結果を裏付けています。
訪問数が 1 万未満のサイトでは、LLM からのトラフィックが全体の 0.3% になっていますが、100 万を超えるサイトでは 0.1% にとどまっています。

同時に、小規模サイトはメール経由よりも AI からのトラフィックが多く、大規模サイトではその逆の傾向があるようです。
この違いの理由として考えられるのは、小規模なサイトやブランドはユーザーに馴染みが薄く、リサーチ目的のクリック数が多くなることです。
AI 経由のトラフィックを獲得しているコンテンツやページの種類を調べるため、URL におけるキーワードの出現頻度を分析しました。
その手順は以下のとおりです。
- URL をドメインごとにグループ化
- URL パスから単語を抽出
- 抽出した単語から重複するものを除去
- 数字、共通する語、単一文字、国別トップレベルドメインを除外してデータをクリーンアップ
- ドメイン全体における単語の出現頻度を集計

「ブログ」が多いのは当然として、「おすすめ」(7.06%)、「トップ」(5.5%)、「比較」(4.88%)など、一般的な比較系のコンテンツが AI トラフィックを最も多く獲得しているようです。
その他、「解説・ガイド」(6.35%)などの教育目的のコンテンツでも AI チャットボットからのトラフィックが増える傾向にあります。
また、「問い合わせ」(6.8%)、「商品一覧」(6.43%)、「商品」(4.71%)、「サービス」(4.53%)などの n‑gram が上位に入っていることからもわかるように、ユーザーは商品やブランド、サービスを調べるときにクリックスルーする傾向があることがうかがえます。
確認できる AI トラフィックは、AI がもたらす価値のほんの一部にすぎません。
Ahrefs の以前の調査では、分析ツールにより AI トラフィックの多くがダイレクトトラフィックとして処理されており、実際よりも少なく見積もられていることがわかりました。
とはいえ、トラッキングに不備がなかったとしても、AI 経由のトラフィックが控えめなものであることに変わりはないでしょう。それは、ユーザーは AI 上で十分な情報を得られるため、わざわざ外部リンクをクリックする必要がないからです。
実際には、AI はブランド認知度を大幅に向上させ、ユーザーの理解度を深め、より質の高いリードを生み出しています。AI の真価は、単なるトラフィックだけではないと言えるのではないでしょうか。
まとめ
AI は今まさに注目の的であり、誰もが波に乗りたいと望んでいます。しかし、AI 経由のトラフィックは、既存のチャネルと比べるとまだごくわずか。流行に流されてしまうと、過剰投資のリスクを負うことになりかねません。
SNS がユーザーをプラットフォーム内にとどめておもしろいコンテンツをシェアし続けさせるのと同じように、AI もプラットフォーム上で会話を続けさせる仕組みであり、外部サイトへトラフィックを送ることが目的ではありません。
そのため、サイト分析において AI が上位のリファラーとなることは決してないでしょう。
AI の主なメリットは、プラットフォーム上での言及を通じてブランド認知度を高めることとポジティブなブランドイメージを築くことにあります。
追跡可能な AI トラフィックとコンバージョンは嬉しい副産物ですが、そういったものは、副次的な KPI として扱いましょう。
AI トラフィックの獲得に取り組む前に、ご自身にこのように問いかけてみてください。「自分のオーディエンスは、実際に AI を使って自社ビジネスを見つけているのだろうか?」
この点に関しては、地域や業種における AI の利用傾向、そして自社の顧客データに基づいて判断することが重要です。
そして、オーディエンスが確実に存在すると確信できたら、AI を広範囲かつ定期的に追跡するとよいでしょう。
AI でブランド言及を追跡
Ahrefs ブランドレーダーなどのツールを使用してブランド言及の増加をモニターし、AI でブランドセンチメントを追跡することができます。

AI トラフィックを追跡
AI トラフィックレポートを設定して、チャットボット経由のトラフィック傾向を追跡。
実際に訪問を獲得しているページを特定し、最適化しましょう。

AI コンバージョンを追跡
AI のサポートによって達成されたコンバージョンをより正確に把握するために、コンバージョントラッキングを改善しましょう。

AI トラフィックは控えめではありますが、無視するべきではありません。ただ、それにどのように向き合うかについては賢く検討する必要があります。 これに関するご質問・ご意見があればぜひ X にてお寄せください!