著者が個人的にお気に入りの統計データの 1 つ(ただし、一番のお気に入りというわけではありません。その理由は読み進めていただけばわかります)は、たとえば AI Overview が表示される SERP の 99.9% に少なくとも 1 つ以上の他の SERP フィーチャーが表示されるというものです。
この調査では、AIO(Artificial Intelligence Optimization) の SERPと 非 AIO SERPの主な違いを明らかにしたいと思います。
皆さんにもご興味を持っていただければ幸いです!
指標 | AIO SERP | 非 AIO SERP |
---|---|---|
キーワード難易度の中央値 | 12 | 33 |
検索ボリュームの中央値 | 500 | 29,000 |
トラフィックポテンシャルの中央値 | 2,200 | 18,000 |
CPC の中央値 | 0.35 | 0.45 |
キーワードの長さの中央値 | 4 | 2 |
モバイルトラフィックの割合 | 81% | 77% |
デスクトップトラフィックの割合 | 19% | 23% |
- AIO キーワードのトラフィック ポテンシャル(TP)は、非 AIO SERP の 8 分の 1である。
- AIO キーワードはロングテールで、フレーズの長さは非 AIO SERP の 2 語に対して4 語である。
- キーワード難易度(KD)は AIO SERP の方が低く、平均スコアは 12 であるのに対し、非 AIO キーワードでは 33 である。
- AIO SERP でランクインするためには、平均 13 の参照ドメインで十分である。
- インフォメーショナルクエリは 99.2% の確率で AI Overview をトリガーする。
- AIO がコマーシャルまたはトランザクショナルクエリに表示される確率はほんの 10% である。
- AIO SERP の 99.9% が最低 1 つの他の SERP フィーチャーを表示し、平均で 3 つ表示された。
- AIO キーワードは、非 AIO クエリと比較すると、強調スニペットが 849% 多く、258% 多くのディスカッションをトリガーする。
- 一方、AIO SERP は、非 AIO SERP と比較すると、表示でサイトリンクが 96%、動画が 84%、ナレッジパネルが 75% 少ない。
SEOClarity の調査によると、AI Overview は、99.5% の確率で SERP の上位 10 位にランクされるページをソースにしているとのことです。
マーケターのケヴィン・インディグ氏は、この調査をさらに進め、AIO のソースの 40% は上位 10 位に留まらず、11~20 位に位置しているということを明らかにしました。
AI がトップに表示される SERP でのオーガニックランキングについてよく理解していれば、AI Overview に表示されやすくなるというのは理にかなっています。
この論理に基づき、AI Overview の生成を促し、検索回数が最も多い 15 万個のキーワードと、AI Overview を生成せずに検索回数が最も多い 15 万個のキーワードを分析し、AI Overview を含む SERP の主な特徴を明らかにすることにしました。
私は、Flow Agency が実施した HR および人材管理 AIO の 5 千個のキーワード調査(これも Ahrefs を活用)と似た指標をかなり研究しました。7 月に私が尊敬するヘレン・ジェレンツ氏が実施したものですが、その調査を読んだことがある方ならこのデータをご存じでしょう。
Ahrefs で AI Overview の追跡が可能に
Ahrefs はつい最近、キーワードエクスプローラーの強力な 2 つの機能をリリースしました。この機能がはじまったことも、今回分析を行うきっかけになりました。
1 つ目は、AI Overview の SERP フィーチャーフィルターです。このフィルターを使うと、SERP で AI Overview を生成するあらゆるキーワードを抽出できます。
そして 2 つ目はこの検索意図フィルターです。
さて、前置きはこれくらいにして、調査から得た 5 つの主な発見についてお話しします。
AI Overview が表示されるキーワードは、検索ボリュームの少ないロングテールのキーワードです。
最も検索数の多い AIO キーワードでさえ、月間平均検索数はわずか 150 回と検索需要は最小限。非 AIO キーワードと比べると、その検索ボリュームは 193 分の 1 です(平均 29,000 回)。
さらに、AIO キーワードのトラフィックポテンシャルも 8 分の 1 です。これは、検索結果 1 位のページが得るオーガニックトラフィックの合計、つまりそのページに関連するすべてのキーワードとランキングから得られるトラフィックを意味します。
データによると、AIO クエリはロングテールで、平均 4 語(中央値)を含んでいますが、標準の検索では 2 語程度であるため、これがトラフィックとボリュームの不足の原因となっています。
キーワードの単語数を比較すると、非 AIO キーワードの大部分はグラフの左側、すなわち低い数字に集中しており、ショートテールであることが確認できます。一方、AI Overview のキーワードは 3 語が一番多く、単語数の多いキーワードに均等に分散しているのが見て取れます。
AI Overview は、ユーザーの質問に答えるように作られているため、キーワードがよりディスカッション的で、ロングテールであるのは当然です。
また、こういったキーワードは質問中心の傾向があることに気づきました。たとえば、AIO のデータセットで典型的な質問のキーワード「How」をフィルターすると、2 万件の結果が返ってきますが、非 AIO のデータセットでは 55 件しか返ってきませんでした。
ちなみに、この調査を始めてから、Ahrefs の優秀なプロダクトチームがキーワードエクスプローラーに新しいプリセットを追加してくれました。これを使えば、簡単に質問形式のキーワードに絞り込むことができます。
通常、AIO キーワードは、検索意図がより明確である傾向があります。たとえば、データセット内で 8 番目に多く検索されているキーワード「オゼンピック 副作用」のように、検索者の目的はかなり明確です。
これは取り立てて画期的な発見ではなく、予想していたとおりですが、実データで理論が検証されるのは良いことです。
- キーワードエクスプローラー > フレーズ一致レポートで広範なキーワードを検索
- SERP フィーチャーフィルターで AI Overview を選択
- トラフィックポテンシャルを「高い」から「低い」へ並べ替え
- 高いトラフィックポテンシャルのある AIO キーワードを見つける
キーワード難易度は、特定の検索クエリでランクインするのがどれほど難しいかを理解するための指標です。これは、オーガニックランキング上位 10 ページが獲得した参照ドメイン(RD)の数に基づいています。
データによると、AI Overview キーワードの 71% は、キーワード難易度スコアが 30 未満で、中央値は 12 です。一方、非 AI の中央値は 33 です。
AIO キーワードはロングテールで検索頻度が低いため、この傾向は納得できます。
キーワード難易度が 12 のデータセットからの例をあげると、「犬がシナモンを食べても大丈夫か」です(ちなみに答えは、「少量なら大丈夫」です!)。
この調査における AIO キーワードでランクインするには、通常最低 13 の参照ドメインで十分であるのに対し、非 AIO の SERP では 41 の参照ドメインが必要です。
AIO の SERP は検索ボリュームやトラフィックは少ないものの、上位に立つために必要な被リンクは少なくて済みます。
- サイトエクスプローラー > オーガニックキーワードレポートで競合他社のドメインを検索
- SERP フィーチャーフィルターで AI Overview をオンにする
- 「Where target ranks」を選択して、競合他社が所有する AI Overview を確認する
- キーワード難易度フィルターを最大 50 に設定
- AI Overview を生成する関連キーワードを見つける
現状では、AI Overview キーワードの 99.2% は情報収集型です。
AI Overview は、直接的な購入を目的とした検索とは異なり、ユーザーが詳細、説明、またはガイダンスを求めているときに表示されます。
コマーシャルクエリやトランザクショナルクエリはほとんど見つからず、分析対象すべての AIO SERP の10% にも及びません(それぞれ 5.8% と 4.0% )。
しかし、Google が AI Overview に広告を展開していることから、この数は増加する可能性があると予想しています。
一方、非 AIO キーワードの検索結果は依然として圧倒的に情報収集型(インフォメーショナル)が多いですが、AIO SERP に比べて他の検索意図も頻繁に見られます。
たとえば、非 AIO 分析では、コマーシャルクエリとトランザクショナルクエリが AIO のデータセットに比べ 2 倍多く、20% 対 10%となっています。
驚いたことに、トランザクショナルクエリで AIO が表示される割合は、リリース当初の 5~7% から増えても 10% 程度にとどまっています。この状況は、トランザクションページの SEO 戦略に確実に影響を及ぼすでしょう。オーガニック検索でのランクインのみに注力し、AIO への表示を考慮しなければ、貴重な機会を逃すことになります。
キーワードをリサーチする際は、次の手順で情報収集型の AIO キーワードを見つけましょう。
- キーワードエクスプローラー > フレーズ一致レポートで幅広いキーワードを検索
- 検索意図フィルターを「インフォメーショナル」に設定
- SERP フィーチャーフィルターで AI Overview を選択
- 情報収集型 AIO キーワードを特定する
上記でもご紹介した SEOClarity の調査では、「オーガニック検索結果で可視性が高ければ高いほど、AI Overview での可視性も高まる」という結果も報告されました。
皆さんはもうすでにご存じかと思いますが、オーガニック検索結果はもはや単なる青いリンクだけを指すものではありません。
このことを念頭に置き、AIO 検索結果における 18 の SERP フィーチャーの重要性を分析することにしました。
私が分析した 15 万件の AI Overview SERP のうち、99.95% が少なくとも他の 1 つの SERP フィーチャーを表示し、各 SERP には平均して 3 つの機能が表示されました(AI Overview 自体を除く)。
AI Overview を制したければ、SERP フィーチャーに対する最適化が重要となります。
特に、Q&A を自社コンテンツに組み入れると有効でしょう。
実際、「他の人はこちらも質問」は、AI Overview が表示されたクエリの 80.92% に登場しました。
強調スニペット、サムネイル、動画プレビュー、ディスカッションも目立っています。
そして、非 AIO キーワードと比較するとさらに興味深いことが見えてきました。
「他の人はこちらも質問」の表示においては、AIO キーワードと非 AIO キーワードに大きな違いはありませんでしたが、他の際立った特徴の違いがデータから見えてきました。
AIO をトリガーするキーワードは、非 AIO の検索結果と比べて、以下のような特徴も引き出します。
AI Overview が強調スニペットに取って代わると考えている方は、もう一度考え直してください。
この機能は、データセット内のクエリの半分以上に表示され、本質的に AIO SERP に結びついています。
あまりご存じない方のためにこれがどのように表示されるかお見せしましょう。
この記事を執筆している時点では、ディスカッションも AIO SERP でより多く見られます。ディスカッションは SERP で以下のように表示されます。
2024 年、Google は UGC をランキング上位に押し上げてきました。最近のアレイダ・ソリス氏のインタビューで、Google の検索担当リエゾンであるダニー・サリバン氏は「この戦略を持続する方針だ」と明言しました。そのため、AIO キーワードでディスカッションが多く見られるのも納得です。
一方で、ナレッジパネルが AIO のチャートでこれほど低い位置にあるのには驚きました。非 AIO の結果と比べて、76% も表示される頻度が低いのです。
Google の公式の資料によると、AI Overview の生成はナレッジグラフを活用しているといいます。
どうやら、AI Overview のコンテンツを生成するに視覚的なナレッジパネルは必要なく、裏のナレッジグラフから情報を取得しているようです。
以下の方法で、AI Overview を生成する SERP フィーチャーに対応したコンテンツを作成しましょう。
- フレーズ一致レポートの質問タブに移動
- SERP フィーチャーフィルターで強調スニペットと AI Overview を選択
- SERP フィーチャーフィルターで「他の人はこれも質問」を選択
- AIO の検索機能を引き出すキーワードを見つける
AI Overview のトラフィックでは、デスクトップの 19% に比べ、モバイルが 81% を占めています。
非 AIO クエリではモバイル向けに最適化されていることの重要性はわずかに低下するものの (モバイル 77%、デスクトップ 23%)、依然として圧倒的にモバイルファーストです。
したがって、AIO 検索結果での可視性を高めたい場合は、コンテンツをモバイル対応にする必要があります。
キーワードエクスプローラーで、自社の AIO 関連のキーワードがモバイルとデスクトップで検索される割合を確認しましょう。
- キーワードエクスプローラー > フレーズ一致レポートに移動
- AI Overview フィルターをオンにする
- 「モバイル/デスクトップ分布」の列を確認
この調査をどのように行ったか
キーワード エクスプローラーで条件を絞らず検索し、Ahrefs の AI Overview SERP フィルターを適用して、上位 15 万件の結果をエクスポートしました。それから、ChatGPT の力を少し借りて Google スプレッドシートでデータを分析しました。
次に、非 AIO 生成キーワードについてもこのプロセスを繰り返しました。AIO キーワードとの唯一の違いは、キーワードエクスプローラーで「Not on SERP」フィルターを選択したことです。
まとめ
知識を提供するコンテンツに重点を置いて、主要な SERP フィーチャーに対する最適化を実施し、モバイル対応を進めることで AIO 検索での可視性が上がります。これにより、間接的に AI Overview に表示される可能性も高くなります。
ただし、今回の分析はかなり広範なデータセットに基づいていることを留意してください。というのも、最も検索された AIO クエリと非 AIO クエリを分析したためです。指標はニッチなキーワードのカテゴリによって異なります。
たとえば、680 個の SEO・マーケティングキーワードを簡単にチェックすると、AIO キーワードは圧倒的にデスクトップ中心(デスクトップ 72%、モバイル 28%) です。つまり、SaaS 業界ではモバイル最適化はそれほど重要ではないということです。
自分の業界や関心のあるキーワードについて、ぜひ Ahrefs で分析を行ってみてください。
この調査を実施して以来、Ahrefs のキーワード エクスプローラーは、さらに多くの AI Overview キーワードを発見しました。Ahrefs では、AIO 内のリンクやドメインの存在など、より多くのデータを収集することに取り組んでいますのでお見逃しなく。
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