筆者はこの質問に答えるために、Ahrefs ウェブアナリティクスを使用して AI 検索からの参照トラフィックを調べ、それを ahrefs.com のオーガニック検索からのトラフィックと比較しました。今紹介した Ahrefs ウェブアナリティクスは、Google アナリティクスの代わりに活用いただけるもので、操作がシンプルかつ無料、プライバシーを重視するツールです。まだご利用でない方はぜひお試しください。
そこには LLM 向けに、さまざまな AI アシスタントからのトラフィックをグループ化するチャネルセグメントがありますが、GA4 のようにカスタムセグメントを追加する必要はありません。過去 30 日間を見ると、AI 検索からのトラフィックは 0.5% で、年初からだと 0.3% です。

ここで、注意していただきたいポイントがあります。AI アシスタントからのトラフィックがすべて適切に測定されているわけではない、という点です。この問題が解決されることを期待していますが、それまでは、AI 検索トラフィックが過小にカウントされるというアトリビューションの問題に直面することは避けることができなさそうです。また、AI Overview も確実に追跡できる形で区別されているわけではありません。そのため、この調査では AI 検索トラフィックがオーガニック検索トラフィックとひとまとめにされることになってしまいます。
詳しく見ていきましょう!
80% を超える AI 検索からの参照トラフィックが流れているのは、わずか 3 種類のコンテンツです。それは、無料ツール、製品ページ、そしてホームページです。

Ahrefs は、独自の情報コンテンツ、コース、そしてデータ分析で広く知られ、SEO 業界全体でも最高クラスのコンテンツを保有しています。それでも、検索エンジンの要求に応じて作成したコンテンツに対する AI 検索からのトラフィックはほんのわずかです。
Google や Bing は嘘をついていたのでしょうか?SEO 担当者として、本当に優れたコンテンツ作りに力を注ぐべきでしょうか?そんなことをしても、AI アシスタントにそのトラフィックを奪われてしまうだけなのでしょうか?その答えは、この記事の続きにあります。
想定外の事実 - トラフィックの 3.6% が実際には存在しないページへ流れていた?
そういったページは ahrefs.com には存在しません。システムが作り出したハルシネーションです。主に ChatGPT が作り出したものですが、他のシステムにもハルシネーションはありました。
筆者は、これを確認するために、Google スプレッドシートを使用してページのステータスコードを取得しました。現在、Ahrefs ウェブアナリティクスでもまもなく簡単にこれが確認できるよう、その方法が追加されているところです。
ここでのおすすめは、該当するページへの訪問数に、月間 10 回程度など、一定の基準を設定して、トラフィック回収の価値があると判断できれば、関連ページにリダイレクトすることです。
ここで、AI 検索による参照とオーガニック検索によるトラフィックの構成にどのような差があるかを見てみましょう。

製品ページとホームページは、オーガニック検索と比較して AI 検索で期待以上のパフォーマンスを示しています。ということは、こういったページのコンテンツを AI 検索向けに最適化するために何か対策を講じたほうがよいということでしょうか?
今のところ、その必要ななさそうです。Ahrefs にはこういったシステムに認められる強力なブランドと優れた製品があります。だからこれからも、世界中のデジタルマーケターの心をつかむより良い製品を生み出していこうと考えています。
Ahrefs の有益なコンテンツもすべて、少なくともトラフィックの割合で言えば、検索エンジンよりも AI 検索で優れたパフォーマンスを発揮しています。「ファネル上部のコンテンツは AI 検索ではトラフィックにつながらない、なぜなら AI がすべての答えを直接提供するからだ」、と誰もが考えていますが、Ahrefs では、すべてのインフォメーショナルタイプのコンテンツでパフォーマンスが向上していることを確認しています。
ただし、AI 検索は、オーガニック検索に比べるとウェブサイトへ送るトラフィック量がまだ少なく、可視性も低いため、今後リニアに拡大していくかどうかは不透明です。最近、AI Overview によってクリック数が 34.5% 減少したことをつきとめましたが、Google の AIモードによってさらに減少する可能性があります。
では、この種のトラフィック向けの最適化をやめるべきなのでしょうか?答えはノーです。ただ、トラフィック量が少ないために、より厳しい戦いを強いられることにはなりそうです。昨今、コストと効果のバランスに対する考え方は変化してきています。ブランドの可視性や収益にそれほど貢献しないのであれば、コストや労力をかけたコンテンツ制作の必要性は問われることになるでしょう。
AI 検索とオーガニック検索トラフィックとの比較において、もっともパフォーマンスが劣っていたのは、無料ツールでした。無料ツールは依然として最大のトラフィック獲得要因であり、トラフィック全体の 36.4% を占めていますが、オーガニック検索ほどの効果は見込めません。それでも、依然として投資する価値はあります。Ahrefs にとってはまだまだ有望なリード獲得源であり、AI 検索から得られるトラフィックの中でも大きな割合を占めると見込まれるためです。
さて、海外向けページの状況は芳しくありません。検索トラフィックでは、サイトへの全クリック数の 22.2%、AI 検索トラフィックではわずか 3.1% です。

他言語でのチャット機能があまり使われていないからなのか、それとも他言語のページが AI の学習データに十分に反映されていないからなのかは判然としません。将来的にはこの数値が増加することを期待していますが、現時点では海外向けの他言語トラフィックに関してはあまり状況が良いとは言えないようです。
まとめ
AI 検索トラフィックはさまざまなページへ流れていますが、このデータに基づいて戦略に大きな変更を加えることはないと考えています。少なくとも今のところは。AI 検索トラフィックは増加していますが、トラフィック全体のほんの一部に過ぎないからです。
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