AI 概要で Google 検索 1 位の CTR が半年で激減、日本 クリック率が − 62.7% に減少

河原田 隆徳 (TAKA)
Ahrefs 日本マーケティング統括。 国外 SaaS 企業における日本市場向けのマーケティングとローカリゼーションで 10 年以上の経験を積み、現在は Ahrefs の日本マーケティングを統括。ユーザーの皆さんと共に、Ahrefs を日本で盛り上げることを目標に、日々全力で取り組んでいます。

AI 概要( AI Overviews )による検索 1 位のクリック率( CTR )低下が、この半年で一気に進行しています。Ahrefs の調査では、日本の情報収集型キーワードの検索 1 位 CTR 低下率が 2025 年 12 月の −38% から、2026 年 6 月には −62.7% へと拡大しました(米国は −58% → −68.8% )。「順位=流入」の前提が崩れる今、マーケターが取るべき打ち手を解説します。

AI 概要( AI Overviews 、以下 AIO )は、検索結果の最上部に AI が生成した回答を直接表示する機能です。これによる検索 1 位のクリック率( CTR )の低下を、情報収集型キーワードを対象に継続計測しています。注目すべきは、この半年で低下が一気に進んだことです。

地域2025 年 12 月2026 年 6 月6 ヶ月の悪化幅
日本−38%−62.7%−24.7%
米国−58%−68.8%−10.8%

日本の低下率は 2025 年 12 月の −38% から、わずか 6 ヶ月後の 2026 年 6 月には −62.7% まで拡大しました。米国でも −58% から −68.8% へと進行しています。AIO の浸透とともに、クリック離れが加速していることが分かります。

順位を維持できていても、検索 1 位からのクリックは半年で大幅に減っています。「低下は一過性ではなく、進行形」だというのがこのデータの核心です。

低下率は、単純な実測 CTR の比較ではなく、「 AI 概要がなければ得られたはずの CTR(予測 CTR )」に対する実測値の下落幅です。手順は次のとおりです。

  • AI 概要が出ない検索 1 位の CTR が、この 2 年でどう推移したか(従来トレンド)を測る
  • そのトレンドを AI 概要表示時の過去 CTR にかけて、「 2026 年 6 月に AI 概要がなければ得られたはずの CTR(予測 CTR )」を算出
  • 実際の AI 概要表示時 CTR(実測 )と予測を比べ、低下率を算出

実際の数値は次のとおりです(検索 1 位、情報収集型キーワード )。

項目日本米国
AI 概要なし CTR( 2024/6 )31.1%28.6%
AI 概要なし CTR( 2026/6 )31.7%28.5%
AI 概要表示時 CTR( 2024/6 )23.7%14.5%
予測 CTR( 2026/6 )24.1%14.4%
実測 CTR( 2026/6 )9.0%4.5%
低下率−62.7%−68.8%

例えば日本は、AI 概要なしの CTR が 2024 年 6 月の 31.1% から 2026 年 6 月に 31.7% へとほぼ横ばい。このトレンドを AI 概要表示時の 2024 年 6 月 CTR 23.7% にかけると、予測 CTR は 24.1%。しかし実測は 9.0% にとどまり、低下率は −62.7% となりました。米国も同じ手順で −68.8% です。2025 年 12 月の低下率(日本 −38% / 米国 −58% )も同じ手順で算出しています。

  • 出典:Ahrefs 調査 情報収集型キーワード、AI 概要表示時の検索 1 位 CTR 低下率
  • 調査日:2026 年 7 月 16 日/調査:Xibei­jia Guan( Data Scientist )

順位が下がったわけではありません。落ちているのは「順位あたりのクリック率」です。理由は 3 つあります。

  • 回答が検索画面内で完結するAIO が要約を最上部に提示するため、定義や手順を知りたいだけの検索はサイトを開かずに満足する「ゼロクリック」が増える
  • オーガニック枠が下へ押し下げられるAIO が画面上部を占め、従来 1 位のリンクがファーストビューから外れる
  • 情報収集型クエリほど影響が大きい:「知りたいだけ」の検索は AIO の要約で用が足りやすく、クリック離れが先行する

このデータが厳しいのは、「順位レポートには何も異変が出ない」という点です。検索 1 位は守れている。でもアクセス解析を開くと、検索流入だけが減っている。原因をサイト側の問題と思ってリライトや内部施策を重ねても、検索結果の上に AI 概要が座っている限り流入は戻りません。

だからこそ、自社の主要キーワードに AI 概要が出ているか、出ている場合にクリックがどれだけ削られているかを、順位とは別の指標として持つ必要があります。流入の予測も、従来の順位別 CTR ではなく、AI 概要の有無を加味した実測値で引き直す方が実態に近づきます。

一方で、AI 概要は答えをゼロから作っているわけではありません。必ずどこかのページを参照し、引用元としてリンクを掲載します。クリックが減る中で、この「引用元に選ばれるかどうか」が新しい奪い合いになっています。引用されれば、回答の中でブランドが言及され、指名検索や直接流入という別の入口が育ちます。

こうした取り組みは AEO( 回答エンジン最適化 )や LLMO( 大規模言語モデル最適化 )と呼ばれますが、特別な新技術ではなく、「誰のどんな問いに答えるページか」を明確にするという、SEO の延長線上にある仕事です。順位を捨てる必要はありません。順位を取り、そのページが AI の引用元にも選ばれる。この両方を押さえたサイトから順に、減ったクリックを取り戻していくことになります。

AEO / LLMO を実務に落とし込むには、まず「AI 検索で自社がどう見えているか」を計測できる状態が必要です。Ahrefs のブランドレーダーは、そのための LLMO ツールです。

  • AI 概要やチャット型 AI で、自社・競合がどれだけ言及されているか( AI SOV )を計測
  • AI の回答がどのドメインを引用しているかを分析し、引用されやすいコンテンツを把握
  • ブランドの AI 指名率の推移を追跡し、施策の効果を数値で検証

「クリックされたか」だけでなく「AI に引用されたか」を測る。クリックが減っても AI に引用される価値は増しています。順位という一点だけでなく、AI の回答の中での存在感を測り育てることが、AIO 時代のオーガニック戦略の起点になります。