競合サイトのアクセス数は、どこから来ているのでしょうか。
検索順位やオーガニックトラフィックは、これまでも Ahrefs で確認できました。ただ、サイトに来る人は検索からだけではありません。ポータルサイト、SNS、比較サイト、そして最近では ChatGPT などの AI 検索からも訪問者はやってきます。
検索だけを見ていると、競合が別のチャネルで伸びていても気づけないかもしれません。
Ahrefs のサイトエクスプローラーに、新しく「トラフィック分析」が加わりました(現在ベータ版)。任意のドメインについて、AI 検索を含む 10 以上のチャネル別に、総トラフィックを推定できる機能です。
今回は、クラシル、クックパッド、デリッシュキッチン、Nadia といったレシピサイトの実画面を使い、「何が分かるか」「どう操作するか」「次に何をするか」を「トラフィック分析」で分かりやすく紹介します。
この記事で紹介される機能:
トラフィック分析は、自社でも競合でも、あらゆるドメインのアクセス数と流入元を推定して表示する機能です。新しいツールではなく、サイトエクスプローラーの「トラフィック」セクションに追加されるタブとして使えます。別のログインは必要ありません。
これらのレポートは、Ahrefs で所有権を確認した自社サイトなら、アドオンなしで見られます。競合など、それ以外のドメインを調べるには、トラフィック分析アドオンが必要です。
追加されるレポートは次のとおりです。
レポート名 | 分かること |
|---|---|
トラフィックソース | 検索、リファラー、SNS、AI 検索など、どのチャネルに頼っているか |
参照元・参照元ウェブサイト | Google、Yahoo!、ChatGPT など、個別の送り手 |
地理 | どの国から訪問されているか |
ランディングページ | 訪問者が最初に着地するページ |
直前のページ | サイトに来る前に見ていたページ・サイト |
ページタイプ | 記事、レシピ、まとめ記事など、どの種類のページが訪問を集めているか |
オーディエンスの重複 | 同じ訪問者を共有しているサイト |
オーガニックの競合 | 同じキーワードで検索上位に入っているサイトを、キーワードの重なりが大きい順で表示される |
上位ページ | 各ページがオーガニック検索から推定でどれだけトラフィックを得ているか |
検索用語 | ユーザーが実際にどんな言葉で検索して当サイトを訪れたか |
なお、自社サイトの実際のアクセス数を測るなら、ウェブアナリティクスや Google アナリティクス(GA4)が向いています。トラフィック分析はタグの設置が不要な代わりに、推定値です。
観点 | ウェブアナリティクス・GA4 | トラフィック分析 |
|---|---|---|
対象 | 自社サイトのみ | あらゆるドメイン(競合も可) |
データ | 計測タグによる実測値 | パネルデータなどに基づく推定値 |
向いている用途 | 自社の正確な数値の把握 | 競合との比較、市場の全体像の把握 |
自社の実数はウェブアナリティクス、競合との比較はトラフィック分析。 この使い分けが基本です。
最初に見たいのは、チャネルの構成です。
サイトエクスプローラーに調べたいドメインを入力し、左メニューの「トラフィックソース」から「チャネル」を開きます。比較したい場合は、ほかのドメインでも同じ画面を開きます。
4 社のチャネル構成を並べると、次のようになりました。
サイト | 月間訪問数(推定) | 検索 | リファラー | 直接 | SNS |
|---|---|---|---|---|---|
クラシル | 約 1,056 万 | 53.9% | 40.9% | 4.8% | 0.4% |
クックパッド | 約 822 万 | 76.7% | 7.5% | 13.2% | 2.4% |
デリッシュキッチン | 約 614 万 | 78.8% | 7.0% | 8.6% | 2.1% |
Nadia | 約 259 万 | 80.7% | 4.8% | 10.1% | 3.4% |
クックパッド、デリッシュキッチン、Nadia は、訪問の 8 割前後が検索からです。一方、クラシルは検索が約 54% にとどまり、リファラーが約 41% を占めています。検索順位だけを比べていたら、この違いには気づけません。
また、デリッシュキッチンには「有料検索」(1.9%)や「有料ソーシャル」(1.3%)の流入もあり、広告を使っていることがうかがえます。
自社と競合でチャネルの比率が大きく違うところは、戦略の違いが表れている可能性があります。
競合だけが伸ばしているチャネルがあれば、そこに注力する価値があるかを検討します。反対に、自社が一つのチャネルに偏っているなら、リスクを分散する余地があるかもしれません。
2 章で、クラシルは訪問の約 41% がリファラーだと分かりました。では、そのリファラーはどこから来ているのでしょうか。
ここからは「参照元」で送り手を特定し、「参照元ウェブサイト」でドメイン単位まで掘り下げます。
「トラフィック」から「参照元(ソース)」を開くと、訪問者を送っている送り手が多い順に並びます。チャネルでは「検索(Organic search)」「リファラー(Referral)」とまとめられていた流入が、ここで個別に分かれます。クラシルの場合、上位には yahoo.co.jp、Yahoo! 検索、Bing、Google が並びました。
クラシルで最も多い送り手は yahoo.co.jp からのリファラーで、訪問全体の約 39.5%(約 397 万回)でした。2 章で見たリファラー(約 41%)のほとんどが、yahoo.co.jp からの流入ということになります。
ほかの 3 社と並べると、この違いがはっきりします。
参照元 | クラシル | クックパッド | デリッシュキッチン | Nadia |
Google(検索) | 11.8% | 44.3% | 41.8% | 36.2% |
Yahoo!(検索) | 32.2% | 23.3% | 29.5% | 33.9% |
Bing(検索) | 12.1% | 19.8% | 16.1% | 18.8% |
yahoo.co.jp(リファラー) | 39.5% | 0.6% | 上位外 | 上位外 |
YouTube(SNS) | 0.2% | 0.8% | 2.0% | 上位外 |
ほかの 3 社は、Google、Yahoo!、Bing の検索が中心で、yahoo.co.jp からのリファラーはほとんどありません。
「参照元」では、Yahoo! JAPAN からの流入が「yahoo.co.jp」としてまとめて表示されます。ただ、Yahoo! JAPAN にはトップページ、Yahoo!ニュース、Yahoo!知恵袋など、性質の違う入り口があります。
どの入り口から来ているかで、次にやることが変わります。
そこで「参照元ウェブサイト」を開き、チャネルを「Referral」に絞ります。検索エンジンが除かれ、リファラーの送り手だけが並びます。ドメインの行を開けば、サブドメインごとの内訳と、着地したページも確認できます。
リファラーに絞ると、yahoo.co.jp は約 410 万訪問で、リファラー全体の 95.7% を占めていました。
サブドメインの内訳を開くと、訪問者の 99.7% が yahoo.co.jp そのものからです。Yahoo!ニュース(news.yahoo.co.jp)は 0.1%、Yahoo!知恵袋はさらに少数でした。
着地したページを見ると、1 位はクラシルのトップページ(約 2.6%)で、その下には「/articles/」以下の読み物記事が並びます。
クラシルの訪問は、Yahoo! JAPAN のニュースではなく、トップページなどからクラシルの記事へと流れています。 チャネルで「リファラーが多い」と分かったら、参照元、参照元ウェブサイトの順にたどると、その中身が見えてきます。
「AI 検索」のチャネルで絞り込むと、どの AI が訪問を送っているかも分かります。
クックパッドの場合、AI 検索経由の訪問は月に約 7,800 回で、全体の 0.1% 未満でした。その内訳は ChatGPT が約 75%、Gemini が約 25% です。
割合としてはまだ小さいものの、AI からの流入を独立した項目として追えることは、今後の変化を見るうえで役立ちます。
AI 検索の流入は、ブランドレーダーの AI 可視性データと並べて見るのがおすすめです。
AI の回答で自社が言及されているかと、その AI から実際に訪問が来ているかは、別の指標です。言及は多いのに訪問が少ないなら、回答の中で引用やリンクがされていないのかもしれません。
訪問者がどのページに着地しているかも確認できます。
「ランディングページ」では、訪問が多い順にページが並びます。参照元で絞り込むと、「どの流入が、どのページに着地しているか」まで分かります。
たとえば、クラシルを yahoo.co.jp の流入で絞り込むと、着地ページの多くは「/articles/」以下の読み物記事でした。743 ページに訪問が分散しており、1 位のページでも、この流入の約 2.2% です。
一つの人気ページに頼るのではなく、多数の記事を継続的に送り出していることがうかがえます。
「ページタイプ」では、記事、レシピ、まとめ記事、一覧ページなど、ページの種類ごとに訪問を集計できます。
ページタイプ | クラシル | クックパッド | デリッシュキッチン | Nadia |
レシピ | 45.9% | 51.6% | 26.0% | 59.0% |
まとめ記事(リスト形式) | 20.1% | 上位外 | 6.6% | 13.4% |
一覧・コレクションページ | 8.2% | 20.3% | 7.3% | 15.2% |
分類できたページの割合 | 92.1% | 80.5% | 50.3% | 95.1% |
※ ページタイプは Ahrefs による自動分類です。未分類のページがあるため、合計は 100% になりません。
4 社ともレシピページが中心ですが、2 番目に訪問を集めている形式は違います。クラシルはまとめ記事、クックパッドと Nadia は一覧ページです。
なお、デリッシュキッチンはページの約半分が未分類でした。そのため、どの形式の割合も低めに出ています。比べるときは「分類できたページの割合」も確認し、低いサイトの数字は参考程度に見る のがおすすめです。
競合がまとめ記事やツール、比較ページで訪問を集めているなら、自社にも同じ形式の受け皿があるかを確認します。
気になるページは、そのままサイトエクスプローラーで分析できます。どんなキーワードで上位表示しているか、どんな被リンクを得ているかを見ると、そのページが強い理由に近づけるはずです。
「直前のページ」では、訪問者がサイトに来る直前に見ていたページやサイトが分かります。
サイトエクスプローラーに調べたいドメインを入力し、「トラフィック」から「直前のページ」を開きます。自社サイト内のページを除き、外部サイトだけを表示すると、どこから移動してきたかが分かりやすくなります。
クックパッドの直前のサイトには、Google、Yahoo! 検索、Bing のほか、YouTube(2.3%)、クラシル(1.7%)、デリッシュキッチン(1.5%)、Nadia(0.8%)、楽天レシピ(0.8%)、キッコーマン(0.6%)が並んでいました。
レシピを探す人は、複数のレシピサイトを行き来している ことが分かります。食品メーカーのサイトから移動してくる人がいるのも、この業界らしい特徴です。
直前のサイトに、メディアや比較ページ、フォーラムが含まれていることがあります。そこに自社が載っていなければ、掲載や PR の候補になります。
検索順位のデータには表れない、隠れた流入元を見つけられるのがこのレポートの強みです。
「オーディエンスの重複」では、同じ訪問者を共有しているサイトを、重複の度合いと親和性の高さで並べて確認できます。
サイトエクスプローラーに調べたいドメインを入力し、「トラフィック」から「オーディエンスの重複」を開きます。訪問者が重なるサイトが、重複の度合いの高い順に並びます。
検索上の競合は「同じキーワードを狙うサイト」です。一方、オーディエンスの重複で分かるのは、同じ人をめぐって競っているサイト です。
検索上の競合リストにはないサイトが上位に出てきたら、それは見落としていた競合かもしれません。また、競合ではないものの訪問者が重なるサイトは、提携や広告出稿の候補になります。
トラフィック分析の数値は、推定値です。
Ahrefs は、クリックストリームやパネルデータ、Ahrefs のウェブインデックスから得られる参照・検索のシグナルを組み合わせ、訪問の少ないサイトはモデリングで補って推定しています。
そのため、絶対値は目安として扱うのがおすすめです。より信頼できるのは、期間ごとの変化(トレンド)と、チャネルなどの構成比 です。
今回の例でも、「クラシルは月 1,056 万回」という数字そのものより、「検索とリファラーが半々に近い」という構成の違いのほうが、施策を考える手がかりになります。
トラフィック分析のレポートを使う方法は、次の 2 つです。
ベータ版の料金は、正式リリース時に変わる可能性があります。その場合は、適用前にベータ版のユーザーへ事前に案内されます。
最新の情報は トラフィック分析の製品ページ をご確認ください。
サイトエクスプローラーでは、オーガニック検索のトラフィックを確認できます。検索以外も含めた全チャネルのアクセス数と流入元は、Ahrefs で所有権を確認した自社サイトならアドオンなしで見られます。競合サイトを調べるには、トラフィック分析アドオンが必要です。アドオンは Free プランにも追加できます。
Web アナリティクスは、計測タグを設置した自社サイトの実際の訪問を記録します。トラフィック分析は、タグなしであらゆるドメインの訪問を推定するため、競合も同じ視点で比べられます。
分かります。AI 検索は独立したチャネルとして表示され、ChatGPT や Gemini など、送り手ごとの内訳も確認できます。
今回の使い方をまとめると、見る順番はシンプルです。
検索順位が同じくらいのサイトでも、訪問者の集め方はまったく違うことがあります。
まずは、自社と、気になる競合 1 社のチャネル構成を並べてみてください。違いが見えたところが、次に深掘りする場所です。
※ データの期間は 2026 年 9 月 26 日〜10 月 25 日です。数値はすべて Ahrefs による推定値で、対象期間・条件によって変わります。
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Ahrefs|プロダクトマーケター 国外企業での日本市場向けマーケティングに 5 年以上携わり、現在は Ahrefs でプロダクトマーケティングを担当。日本のユーザーコミュニティを盛り上げつつ、Ahrefsと市場をつなぐ役割を担っている。