
ルイーズ・ リネハン 作成
ゲストライター
YouTube は 世界第 2 位の検索エンジンであり、ユーザーは 1 日あたりおよそ 50 分をこのプラットフォームで過ごしています。しかも、その利用時間は今も伸び続けています。
さらに重要なのは、YouTube が 大規模言語モデル(LLM)によって 2 番目に多く参照される情報源でもある点です。動画内での言及(メンション)は、その動画の視聴者に届くだけでなく、AI がブランドをどう理解し、どう推奨するかにも影響を与えています。
現在、YouTube クリエイターは数百万規模の視聴者に向けて、ブランドの印象や評価を形づくっています。
Canva を例にとってみましょう。Ahrefs のブランドレーダーによる YouTube レポートでは、今月だけで約 460 件の YouTube 上でのメンションを獲得しています。
これは大した数ではないように思えるかもしれませんが、その 460 件のメンションが 340 万回の視聴につながっていると知れば話は別です。
YouTube 上でのメンションを把握していなければ、自社の評判管理は知らないうちに他人任せになってしまいます。
YouTube メンションとは、チャンネル名、動画タイトル、説明文、トランスクリプト(字幕や文字起こし)、またはリンクにブランド名が登場するすべてのケースを指します。
YouTube メンションには、大きく分けて 2 つの種類があります。
タグ付けされたメンションは、SNSのタグ(例:@チャンネル名)と同様の仕組みです。チャンネルへのリンクが作成され、タイトル、説明文、コメント内でタグ付けされたメンションが行われると、YouTube 上で通知が届きます。
タグ付けされたメンションについて覚えておきたいのは、クリエイターが意図的にタグ付けする必要があるという点です。単なる偶然の言及ではありません。
一方、タグ付けされていないメンションは、より自然発生的なメンションです。チャンネルへのリンクは作成されず、メンションが発生しても YouTube から通知は届きません。タグ付けされていないメンションは、チャンネル名、サムネイル、タイトル、説明文、トランスクリプト、リンクなど、さまざまな場所に表示される可能性があります。
YouTube メンションには、次のような形があります。
タグ付けされた投稿でのメンションは、YouTube Studio から標準機能として確認できます。
左側のメニューにある「コミュニティ」に移動し、ダッシュボード内の「メンション」タブを確認してください。
しかし、タグ付けされていないメンションについては、ソーシャルメディアのためのモニタリングツールが必要になります。
ブランドレーダーの YouTube モニタリングツールは、まさにこの用途に対応しています。動画のタイトル、説明文、トランスクリプトをスキャンし、現在約 1,500 万本(増加中)の動画を対象に、YouTube 全体でのブランドメンションを追跡します。
このガイドでは、Ahrefs の実際のデータを例に、ブランドレーダーを使って YouTube メンションをモニタリングする方法を解説します。
YouTube メンションは、ブランドの健全性を測る先行指標のひとつです。
多くのクリエイターが自発的にブランドのことを語るようになると、ブランド認知が広がっているサインと捉えられます。
それはやがて検索ボリュームや AI による引用の増加につながり、最終的にはビジネスの成長にも結びつきます。
メンション数を毎月モニタリングすることで、認知が拡大しているのか、それとも減少しているのかを把握できます。また、会話量が急増した要因を特定したり、ブランド構築の ROI (投資対効果)を具体的なデータで示したりすることも可能になります。
こうした活用法やメリットは、ほかにも数多くあります。
ブランドレーダーの YouTube モニタリングツールに、ブランド名とそのバリエーションを追加し、レポート画面から YouTube メンション数の月次推移を確認します。
まず、「自社のブランド」にブランド名を入力してください。あわせて、発音や表記のバリエーションがあれば、それらも追加しておくのがおすすめです。
ブランド名のバリエーションを追跡する
ブランド名の発音や表記が難しい場合は、ブランドに紐づく機能名や製品名、サービス名のメンションもあわせて追跡することを検討するとよいでしょう。
たとえば、「キーワード難易度」と「ドメインレーティング」はどちらも Ahrefs 独自の指標です。こうした用語が使われている箇所を追うことで、ブランドがどこで、どのように参照されているかを、より正確に把握できます。
これらのバリエーションは、ブランドレーダーのメインダッシュボードにある「レポートを保存」ボタンから保存できます。
その結果、YouTube 上でのブランドメンションを月次で確認できるようになり、定期的に追跡することで、成長しているのか、それとも減少しているのかを判断できます。
その下には、ブランドについてオーガニックにメンションしている動画の一覧が「関連性別」順に表示されます。
「関連性が高い」と見なされた結果は、メンションの出現頻度と視聴回数の組み合わせに基づいてランク付けされます。
意図せずに生まれたブランドメンションは、何がうまく機能しているのか、ブランドがどのように自然に語られているのか、そしてどのユースケースが強く共感を呼んでいるのかを教えてくれます。クリエイターが思わず共有したくなるほど響いているポイントが、そこに表れます。
そして何より、これらは追加コストなしで得られる情報です。
オーガニックなブランドメンションをモニタリングすることで、次のようなことが可能になります。
オーガニックなメンションを見つけるには、単にブランド名を検索するだけでは不十分です。本当にオーガニックなメンションを把握するためには、パートナーや競合他社によるメンションを除外する必要があります。
まず、「含まない」フィルターを追加して、以下を除外します。
たとえば、以下の例では「チャンネル名 > 含まない > Ahrefs」というフィルターで自社運営の YouTube チャンネルを除外しています。
さらに、パートナーが動画の説明文に含めがちな要素もあわせて除外しました。具体的には、「yt.」を含むパートナーリンクや、共同でプロモーションしている製品名である「awt(Ahrefs ウェブマスターツール)」などです。
このフィルターを適用すると、結果は 1,482 件から 229 件の口コミベースのメンションまで絞り込まれます。ただし、作業はまだ終わりではありません。
これらのメンションの中には、Ahrefs の代替ツールを紹介しているものや、競合と比較している内容も含まれています。
今回は、競合ではなく、Ahrefs ブランドを中心とした UGC(ユーザー生成コンテンツ)に焦点を当てることにしましょう。
そこで、さらに「タイトル > 含まない > 部分一致 > [競合名] 」というフィルターを追加します。この条件を加えることで、メンション数は 201 件まで整理されます。
ここまでの手順を進めていれば、さらにフィルタリングを行い、自社ブランドが主なテーマとなっている動画に絞り込むこともできます。たとえば、「タイトル > 含む > 部分一致 > [ブランド名] 」といった条件を設定すると、ブランドを中心に扱っている動画を確認できます。
一方で、ブランド名がタイトルに含まれておらず、文脈の中でさりげなく触れられている動画は、「タイトル > 含まない > 部分一致 > [ブランド名] 」などの条件で確認することできます。
このような分析を行うことで、顧客が実際に製品やサービスをどのように使っているのかが見えてきます。
たとえば、以下の動画からは、ブランドレーダーが AI 分野における競合ギャップ分析の用途で特に活用されていることが分かります。
一方、次の動画からは、プラットフォーム内でもっと具体的で実行に移しやすい提案を求めているユーザーが一定数いることが分かります。
こうしたインサイトは、コンテンツの方向性を検討する際に活用できるほか、プロダクトチームに共有することで、今後のロードマップ策定に役立てることができます。
インフルエンサーにいきなりアプローチするのではなく、すでに自社ブランドや関連トピックについて発信しているクリエイターから始めるのがおすすめです。
これにより、オーディエンスや分野が自社と自然に重なっている、相性の良いパートナー候補を効率よく見つけることができます。
インフルエンサーのメンションをモニタリングすることには、次のような多くのメリットがあります。
目標に応じてオーガニックなメンションを並べ替えることで、本当に提携する価値のあるクリエイターを見つけることができます。自社ブランドと実際に相性の良い動画やオーディエンスに絞り込んでいきましょう。
まずは、すでに設定済みのオーガニックな口コミメンションを抽出するレポートを使います(自社チャンネルや、すでにスポンサーになっているパートナーを除外したものです)。
ここでの目的は、自社ブランドと関連性が高く、かつ可視性の高いクリエイターを見つけることです。
前述のとおり、YouTube メンションはデフォルトで「関連性」順に並んでいます。この関連性は、メンション頻度と視聴回数を組み合わせた指標です。
そのため、多くの場合、この時点で質の高いインフルエンサーのメンションを見つけることができるはずです。
ただし、優れた機会の中には、少し見つけにくいものもあります。
たとえば、非常に影響力の大きい動画の中で 1 回だけメンションされているケースでも、内容が自社にとって極めて重要である場合があります。
そこで重要になるのが、並び替えの条件を切り替えて試すことです。たとえば、「視聴回数順」と「関連性順」を比べてみると、新たな発見があるかもしれません。
そして、気になるクリエイターを見つけたら、トランスクリプトを確認したり、実際に動画を視聴したりして、ブランドメンションの文脈を深く理解します。
以下はその一例です。
ブランドレーダーの YouTube レポートでチャートを「インプレッション」に設定したところ、一晩でブランド認知度を 115% 押し上げたメンションを見つけました。
一覧表示で「視聴回数順」に並べ替えることで該当の動画を特定し、トランスクリプトのタイムコードをクリックして実際に動画を確認しました。このようにして、ブランドメンションがどのような文脈で使われているのかを把握することができました。
最終的に、このクリエイターは、SEO で収益化されたブログを始めようとしている個人起業家向けのロングテールキーワードツールとして Ahrefs を短く紹介していました。
このように、メンションの文脈を理解することで、そのインフルエンサーがスポンサーに値するかを判断しやすくなります。具体的には、次の点を素早く見極めることができます。
今回の例では、このオーディエンスはおそらく Ahrefs にとって適切とは言えないと考えられます。動画の主な対象は初心者層であり、関心の中心は無料キーワードツールに向きやすいためです。
一方で、Afrefs が優先したいのは、より習熟した SEO 担当者や、中堅からエンタープライズ規模の企業で活動するマーケター向けに、より高度なツールを訴求することです。
というわけで、次の動画に移りましょう。
視聴回数はやや少ないものの、この動画では、実際のターゲット層である企業ブランドの成熟したマーケターに響く形で Ahrefs が活用されています。
また、この動画は、現在のプロダクトとして特に注力しているテーマである AI を扱っています。
さらに、このクリエイターが紹介しているユースケースは、私たちの新しい ChatGPT SEO ツールである Ahrefs MCP を使えば、より効果的に対応できる内容でもあります。
さらに深く掘り下げると、このクリエイターのチャンネル登録者数は約 9.8 万人。扱っているテーマも、デジタルマーケティング、AI 戦略、専門的な成長、技術とビジネスなど、自社の注力分野とよく一致しています。
つまり、このケースでは次の点がすべてそろっています。
総合的に見て、こちらの方がはるかに有望なパートナーシップ候補だと言えるでしょう。
さらに対象を広げたい場合は、同じプロセスを繰り返しつつ、自社ブランドのメンションを条件から外し、代わりに狙いたい市場や業界でフィルタリングする方法もあります。
たとえば、以下は「AI マーケティング領域」で関連性の高いクリエイターを見つけるために設定した、詳細なフィルターの一例です。
フィルターを活用してメンションを整理し、提携する価値のあるクリエイターを見極めるようにしましょう。
購入に踏み切る前に、多くの人が YouTube でレビューを見て、その製品やサービスが本当に課題解決につながるかを確かめています。
こうしたメンションからは、何が購入者を自社ブランドに引き寄せ、何が競合へと向かわせているのかが見えてきます。
ボトム・オブ・ファネル(購買ファネルの下部)の YouTube メンションを追跡すると、次のようなことが可能になります。
購入者に向けたコンテンツで自社ブランドのメンションを見つける最も簡単な方法は、自社ブランドと競合が並んで紹介されている比較動画を探すことです。
以前設定した「含まない」フィルター(自社運営のチャンネルと、すでにスポンサーしているパートナーを除外するためのもの)はそのまま維持します。そのうえで、いったん除外していた競合他社を再び条件に含めます。
この例では、「タイトル > 含まない > 部分一致 > [競合名] 」のフィルターを外すだけで対応しています。
また、動画タイトルに含まれる「無料(free)」という単語のメンションも除外しました。これは、有料ツールをレビューをしているクリエイターに絞って分析するためです。
これで、競合他社はすべて再び対象に含まれました。
ブランド規模が大きく、メンション数が多い場合は、追加のキーワード条件を設定することで、比較コンテンツにさらに絞り込むことができます。たとえば、次のようなキーワードです。
今回はさらに絞り込む必要はありませんでした。というのも、Ahrefs の最も反響の大きいメンションは、競合と直接比較するレビューから生まれる傾向があり、比較的容易に見つけられるためです。
NotebookLM で動画メンションを分析する
フィルターを設定したところ、すぐに Ahrefs と Semrush を直接比較するレビュー動画を 2 本、見つけることができました。
最初の 1 本は「Marketing Island」によるもので、2024 年 5 月に公開されています。現在までに 10,200 回視聴されています。
2 本目は「Jaume Ros」によるもので、2024 年 8 月に公開され、3,400 回視聴されています。
それらを NotebookLM に通すと、一方が Semrush を、もう一方が Ahrefs を推奨していることが分かります。
ただし、どちらの動画でも、Ahrefs は否定的に評価されています。 理由は、当時のクレジット制の料金体系と、マーケティング機能の幅が十分ではなかった点にありました。
しかし、これらの動画が作成されて以降、Ahrefs のプラットフォームと価格体系は大きく進化しています。
現在ではクレジット制を廃止し、AI モニタリング向けのブランドレーダー、SNS 投稿のスケジュールを管理できるソーシャルメディアマネージャー、全サイトのトラフィックを分析できる ウェブアナリティクス(GA4 の代替)など、より汎用性の高いマーケティング機能を追加しています。
ここで考えられるアクションのひとつは、これらのクリエイターに直接連絡を取り、Ahrefs の最新のプロダクト動向を共有したうえで、新しいレビュー動画の制作に関心があるかどうかを打診することです。
そうすることで、ブランドを取り巻く情報の正確性を高められるだけでなく、より多くのコンバージョンにつながる可能性も期待できます。
スポンサーコンテンツは、マーケティング投資の中でも大きな割合を占めることが少なくありません。
スポンサーしたメンションを追跡することで、コンテンツが実際に公開されたかどうかを確認できるだけでなく、どのパートナーシップが最も高いエンゲージメントをもたらしたかを把握できます。
具体的には、次のような点を確認できます。
スポンサー契約を結んだあとは、ブランドレーダーを使ってスポンサー対象のメンションをモニタリングすることで、予算が適切に使われているかを確認できます。
ここで、以前設定した「含まない」という条件を思い出してください。スポンサー付きメンションを除外するために使用していたものです。
これらの条件を「含む」に切り替えます。
あわせて、スポンサー契約のなかで説明文に含めることになっているフレーズやリンクが、すべて条件に反映されているかを確認してください。
これにより、成果物の進捗を把握し、スポンサーしたメンションの関連性を評価し、パートナーごとに生まれたエンゲージメントを比較できるようになります。
また、競合他社がスポンサーしているクリエイターが、どのようにスポンサー関係を打ち出しているかを分析することも可能です。たとえば、Semrush は無料トライアルの訴求をクリエイターに促しています。
こうした分析結果をもとにクエリを設計すれば、競合のスポンサー施策を継続的に追跡することもできます。
このような設定を行うことで、競合が起用している有力なクリエイターを把握し、より良い条件でアプローチすることが可能になります。また、競合が見落としているニッチ領域を見つけ出し、気づかれる前にその分野で存在感を確立することもできます。
YouTube は LLM によって 2 番目に多く引用されている情報源です。そのため、動画内でのメンションは、AI アシスタントがブランドをどのように位置づけるかに直接影響します。
AI に引用されるコンテンツをモニタリングすることで、次のようなメリットが得られます。
YouTube 上で自社ブランドのメンションを見つけたら、その動画の URL をブランドレーダーに追加してください。
これにより、YouTube メンションのうち、どの動画が 7 種類の AI アシスタントにおける可視性向上に寄与しているのかを確認できます。
たとえば、最近の「最高のツール」系の動画で Ahrefs がどのように取り上げられているかを分析していたところ、LearnWire によるメンションを見つけました。
その URL をブランドレーダーのダッシュボードに移し、「 URL > 含む」フィルターに追加しました。
結果として、その 1 本の動画だけで、AI による概要(AI Overviews)と AI Mode で 254 件の Ahrefs メンションを生み出していました。
この分析は、AI がどのトピックや形式、クリエイターを最も頻繁に引用しているのかを特定するところまで拡張できます。同じ手順を競合ブランドのメンションにも適用すれば、比較分析も可能です。
あとは、その結果を踏まえて、該当するコンテンツをより多く制作し、スポンサーするだけです。
ブランドは、見ているかどうかにかかわらず、YouTube 上で語られています。
動画内でのメンションをモニタリングすることで、クリエイターがブランドをどのように位置づけているかを把握し、パートナーシップの機会を見つけ、YouTube 上での存在感を AI 可視性と結びつけることができます。
まずは Ahrefs ブランドレーダーでの毎月のブランドモニタリングから始めて、自社ブランドの立ち位置を確認しましょう。

Ahrefs のコンテンツマーケター。Pi Datametrics、BuzzSumo、Cision といった SaaS 企業でシニアコンテンツ担当として 10 年以上の経験を積む。日中はコンテンツや SEO について書き、オフや仕事の後はサッカーやカラオケを趣味として楽しむ。