ゲストライター
「御社が世界一です」
Ahrefs からその連絡が届いたとき、株式会社 LANY 代表取締役の竹内渓太氏は、光栄さと少しの照れくささが同時に来たと言います。AI ワークスペース「 Letaido(レタイド)」のトークン利用量で、世界 1 位。SEO コンサルティングの最前線を走る同社は、なぜここまで AI を使い倒すのか。
竹内氏:「 Ahrefs のアンバサダーとしては光栄でした。正直、シンプルに使いすぎではとビビりましたけれど、Letaido なしの生活にはもう戻れません。本当に毎日、めちゃくちゃ触っています」
その使い込みは、そのままアウトプットの量に表れています。2026 年 7 月には、カンファレンス登壇やウェビナーと並行しながら、スライド形式の提案資料を 14 本作成。簡易提案まで含めると、その 1.5 倍から 2 倍にのぼります。
使い方も、チャットで質問して答えをもらうだけではありません。竹内氏は Letaido の中に、「キーワード調査」「想定期待効果概算シミュレーター」「ドメインパフォーマンス分析」など、業務に合わせた自作ツールを 20 個以上作り込み、チャットから呼び出しながら分析を進めています。しかも、ツールもチャット履歴も社内全体で共有され、誰でも互いの仕事を見られる状態です。
そして、その分析を支えているのが Ahrefs のデータ基盤です。Letaido は Ahrefs のデータに内部エンドポイントで直接アクセスするため、外部連携を経由する場合と比べてデータの精度が高く、大規模な分析にも耐えます。
もっとも、竹内氏が一番の成果として挙げたのは、本数でもスピードでもありませんでした。
竹内氏:「時間は意外と同じくらいかかっています。ただ、クオリティが数倍に上がりました」
分析とデータ出しが圧倒的に早くなった分を、削減として回収するのではなく、さらに深い分析と根拠づくりに再投資する。だからこそ、これまで手を出せなかった領域まで提案に入るようになりました。
Letaido として初めてお届けする事例記事では、世界一のユーザーが AI をどう使いこなし、提案の質をどこまで引き上げているのかを追いかけます。
「時間は意外と同じくらい。ただ、クオリティが数倍に上がりました」
竹内氏は自身の note で、追加トークンの購入を「おかわりボタンを無限回押した」と表現しています。ただし、最初から迷いがなかったわけではありません。
竹内氏:「最初は罪悪感がありました。ただ、僕らの仕事は 1 つの提案が受注につながれば、数百万円、多ければ数千万円の売上になる世界です。そう考えれば、十分に見合う投資だと割り切れました」
決定的だったのは、比較する相手を「利用料金ゼロの状態」から「これまでの仕事のやり方」に切り替えたことでした。
竹内氏:「冷静に考えると、これまで社員やアルバイトの方々に業務を振り出していた人件費を考えたら、結局は同じくらいのコストがかかっていたんです。そのコストが変わらない、むしろ少し下がりながら、より良い提案資料が作れている。これはすごいことだと思います」
依頼して、説明して、上がってくるのを待って、確認して、また依頼する。この往復にかかっていた時間と人件費が、そのまま Letaido の利用料と入れ替わりました。しかも、待ち時間はほぼゼロになっています。
竹内氏が AI 活用以前に感じていた最大の課題は、コストでも時間でもありませんでした。仮説が、人を経由するたびに薄まっていくことです。
分析の途中で仮説は変わります。仮説が変われば、見るべきデータも変わる。ところが担当者が分かれていると、そのたびに説明し直し、依頼し直さなければなりません。伝言ゲームの中で、最初に解きたかった課題から少しずつずれていきます。
竹内氏:「仮説を立てて、その場ですぐ検証する。これができるようになったことで、解きたい課題からズレることがなくなりました」
もう 1 つ、竹内氏が挙げたのは、技術的なハードルによって「やらなかった分析」が存在していたことです。
竹内氏:「 GA4 は触りたくない、エクセルで無限に PIVOT したくない、統計的な分析をしたいけれど Python を調べて書くのは嫌だ。そういうメンタル的に億劫で触れづらかった分野の分析まで、気軽にできるようになりました。分析の質が圧倒的に良くなったのは、ここが大きいです」
やれる分析ではなく、やるべき分析を選べるようになった。これが、提案の中身を変えました。
「仮説を立てて、その場ですぐ検証する。解きたい課題からズレることがなくなりました」
ここからが本題です。世界一のユーザーは、Letaido をどう使って 1 本の提案を仕上げているのか。竹内氏が語った流れは、次の 6 ステップでした。
竹内氏は Letaido の中に、自分の業務に合わせたツールを作り込んでいます。「キーワード調査」「プロンプト調査」「想定期待効果概算シミュレーター」「ドメインパフォーマンス分析」などです。
問い合わせを受けたら、これらのツールで顧客の市場とサイトを分析し、仮説を持った状態で初回商談に臨みます。完成した答えではなく、議論の材料として顧客にぶつけるのがポイントです。
顧客の現状と課題感をディスカッションしながら、提案で扱うテーマを絞り込みます。事前の仮説が外れることもありますが、それも含めて商談の解像度が上がります。
整理した方向性のテキストと商談議事録を渡し、提案の骨子を作成させます。ここで効いているのが、Letaido のスキル機能です。
竹内氏:「スキルなどで、僕が好む提案スタイルで骨子が描かれるようになっています」
毎回ゼロから指示を書くのではなく、竹内氏の提案の型そのものが Letaido の中に蓄積されています。
骨子のどのパートにデータが必要かを洗い出してもらい、チャットで対話しながら分析を進めます。最初の出力をそのまま採用することはありません。結果を見て仮説を修正し、足りない切り口を追加していきます。
課題が見えてきた段階で、アナリストが対象サイトや分析結果を確認します。AI に全てを委ねず、人間が根拠を検証する工程を残しています。
集めたデータとファクトをもとに、提案資料のストーリーを書いてもらいます。ただし、最後の資料作成は竹内氏自身の仕事です。
竹内氏:「自分で手を動かして作らないと、プレゼンできないタイプなんです」
この一言に、LANY の AI 活用の本質が表れています。Letaido は思考を代行する存在ではなく、思考と検証の往復を速く回すための環境です。
竹内氏は ChatGPT、Claude、Gemini も全て契約しています。その上で、Letaido でなければできなかったと感じた作業を聞きました。
竹内氏:「キーワード市場分析ですね。どのようなサイト群の順位が上がっていて、逆に下がっているのか。Ahrefs が保有しているデータから出してもらいながら、仮説のあたり付けをしてもらう。これは Letaido でしかできないです」
検索順位は、今この瞬間のスナップショットを見ても、なぜ動いたのかが分かりません。アップデートの前後で、上がったサイト群と下がったサイト群に何の違いがあったのか。長期の順位推移を突き合わせて、初めて仮説が立ちます。
Letaido は Ahrefs が 14 年かけて蓄積してきたデータに直接つながっているため、大規模な検索データの分析と、AI との対話を同じ場所で進められます。データを取り出し、形式を整え、汎用 AI に読み込ませるという工程が消えることが、仮説検証の速さを生んでいます。
冒頭で触れた、竹内氏が最大の成果として挙げる変化。その中身をもう少し見ていきます。浮いた時間を、分析の深さに全額回した結果、提案に入る内容そのものが変わりました。
竹内氏:「コサイン類似度によるサイトのテーマ性分析や、検索結果画面のピクセル単位での UI 分析など、深いニッチな分析ができるようになりました。より根拠を持って、お客様も施策を動かせるようになっていただけています」
深い分析と明確な根拠を提示できるようになったことで、顧客が自信を持って施策を前に進められる。それが商談の場での手応えにつながっています。
「時間は意外と同じくらい。ただ、クオリティが数倍に上がりました」
大量に使ってきたからこそ見えた、質を上げるための鍵があります。竹内氏が最も意識しているのは、たった 1 つでした。
竹内氏:「 AI に使われないことです。仮説は自分でも立てる。ストーリーは自分で組み立てる。自分が AI の手足になっているときは、提案の質も低いし、時間も無駄にかかっています」
AI が出した指示に従って作業を積み重ねているとき、主導権は人間の側にありません。竹内氏は、その状態を成果物の質で見分けています。
そして、AI 時代の専門性についてはこう語ります。
竹内氏:「切り口を持って分析に当たれたり、良いものを良い、悪いものを悪いと判断できる目こそが専門性だと思っています。これがないと、AI に使われて、それっぽいアウトプットで終わってしまう」
専門性が不要になるのではなく、専門性がある人ほど AI を使いこなせる。SEO や LLMO の経験は、AI の出力を評価し、次の問いを設計するための土台になります。
LANY の AI 活用は、竹内氏個人にとどまりません。メンバー全員が同じワークスペースを共有し、チャット履歴も自作ツールも相互に見られる状態にしています。
見えるのは完成した資料だけではありません。どんな仮説から始めたのか、どのデータを見に行ったのか、どこで方向を変えたのか。上級者の思考プロセスがそのまま残ります。
ジュニアメンバーは、手順書では学べない判断の背景を日常業務の中で追体験できます。形式的な研修を組まなくても、知見が共有される仕組みが自然に立ち上がっている状態です。
さらに竹内氏は、LANY が積み上げてきた過去の提案資料、分析手法、成功事例、失敗事例を、AI が使える形に整備していく構想を描いています。すでに社内では「ツールを作りまくっている」段階です。個人の経験を、組織として再現できる力に変えていく取り組みが始まっています。
世界 1 位という称号を得た今、竹内氏が次に掲げる目標は明快です。
竹内氏:「最もトークンを使う会社ではなく、AI を最も成果につなげられる会社を目指します」
そのための線引きも、はっきりしています。
竹内氏:「データ分析などの作業は AI に任せるべきです。ただ、仮説立案やストーリー設計など、人間がやるべきエッセンスの部分は、そう簡単に手放すべきではないと思っています」
最後に、Letaido のような AI エージェントの導入を検討している支援会社へのメッセージを伺いました。
竹内氏:「夢のようなツールなので、ぜひ使ってみてください」
「最もトークンを使う会社ではなく、AI を最も成果につなげられる会社を目指します」
世界一のトークン利用量という数字は、たくさん使った記録ではありませんでした。仮説を持つ本人が分析の主導権を握り、その場で検証し、さらに深い問いへ進む。その往復を、諦めずに何度も回し続けた結果として積み上がった数字でした。
作業は AI に任せ、仮説とストーリーは手放さない。この線引きを実務の中で徹底し、さらにチーム全体の学習環境にまで広げている LANY の実践は、AI 時代に支援会社が何を強みにすべきかを鮮明に示しています。
Letaido 初の事例記事として、竹内様のお話を伺えたことを大変光栄に思います。示唆に富む貴重なお話をありがとうございました。
SEO コンサルティングを主軸としたデジタルマーケティング支援、LLMO コンサルティングを展開。
公式サイト:https://lany.co.jp/

株式会社 LANY 代表取締役。株式会社リクルートにデジタルマーケティング職で新卒入社し、3 年間デジタルマーケティングに従事。その後、株式会社 LANY を創業。大規模サイト、データベース型サイトの SEO を得意とする。Ahrefs 公式アンバサダー。
Letaido 公式サイト:https://letaido.com/ja/