
ゲストライター
AI の回答に、自社の名前が出ている。では、どんな理由で紹介されているのでしょうか。
「手頃な価格だから」「品質がよいから」。同じブランドでも、ある点では評価され、別の点では注意点が挙げられることがあります。また、広く情報を集める質問と、具体的に購入先を探す質問では、登場するブランドが違うかもしれません。
Ahrefs ブランドレーダーに追加されたセンチメント分析とインテント分析を使うと、こうした違いを確認できます。センチメントは「どう語られているか」、インテントは「どんな意図の質問で登場するか」を見るものです。
今回は、GU・ユニクロなどアパレル各社の実画面を使い、「何を確認できるか」「どう操作するか」「次に何をするか」を紹介します。
今回見るのは、日本を対象にした分析画面です。商品の品質を判定するのではなく、AI がどのような説明をしているかを確認していきます。
センチメント分析で分かるのは、消費者へのアンケート結果ではありません。AI が自社の商品やブランドを、どのような特徴を持つものとして説明しているかです。
自社では品質を強みにしているつもりでも、AI の回答では価格の安さばかりが紹介されているかもしれません。反対に、自社が強く打ち出していなかった特徴が、選ぶ理由として挙げられていることもあります。
一度 AI に質問して終わるのではなく、大量の回答を横断して、自社が伝えたい特徴と、実際に語られている特徴を照らし合わせる。 そのずれを見つけられることが、センチメント分析の価値です。
自社の視点から離れ、AI の回答に表れている商品像を確かめる手がかりになります。ただし、AI の回答は消費者全体の認識を代表するものではなく、参照する情報やモデルによる偏りもあります。
ブランドレーダーで分析するブランドと比較対象を設定し、対象国を日本にします。「Sentiment」を開き、対象ブランドのセンチメントを「Negative」に絞ります。下に表示される質問と回答の抜粋から、詳しく確認したいものを開きます。
今回の画面では、「GU sentiment: Negative」という条件で絞り込んでいます。
一覧にある「GU のパンツとユニクロのパンツの違いは?」の詳細を見ると、Copilot の回答に、ユニクロは「5 positive」、GU は「3 positive」「2 negative」と表示されています。
一つの回答の中に、肯定的な表現と否定的な表現が両方あるわけです。
この回答では、GU について、価格は「低価格」、ウエスト仕様は「着脱しやすくラク」と説明しています。一方、素材については「耐久性はユニクロより劣る」と記述しています。
これは、AI がその回答で述べている内容です。そのまま商品の事実と受け取るのではなく、どの商品を、どの情報に基づいて比べているかを確認する必要があります。
例えば、自社の商品について同じような回答があったら、まず現行の商品情報と照合します。
誤った説明が見つかれば、公式情報をより明確にする候補になります。一方、用途や好みによる違いなら、無理に否定するのではなく、自社の商品がどんな場面に向いているかを説明する材料になります。
否定的な言及を数えるだけでなく、何について語られているかを読む。 ここが、この機能の使いどころです。
なお、この詳細画面では「引用されたページ」は「No citations」、別枠に「FOUND BUT NOT CITED」があります。後者に並ぶページを、この評価の引用元と断定することはできません。
次は、肯定的な言及です。自社が伝えたい特徴が、AI の回答にも表れているかを確認できます。
「Sentiment」で否定的な言及の条件を外し、確認したいブランドの「Positive」で絞ります。今回の例は「ユニクロ sentiment: Positive」です。
「服 どこで買う」という質問の回答には、次の表現があります。
同じ質問でも、各社を紹介する理由が異なっています。
自社が「手頃な価格」だけでなく「素材へのこだわり」も伝えたいなら、その特徴がほかの回答でも紹介されているかを確認します。
一つの回答に出ていないだけで、情報不足と決めつける必要はありません。関連する複数の質問を読み、自社が重視している特徴が繰り返し抜けているなら、公式の商品説明や事例で十分に伝えられているかを見直します。
ここで見たいのは、単純な好感度の勝ち負けではなく、AI が自社を紹介するときに、どんな言葉を使っているかです。
センチメント分析が「どう語られているか」を見るものなら、インテント分析は「どんな意図の質問で登場するか」を見るものです。
「AI の応答」の「By intent」では、質問の検索意図や検討段階別に、ブランドの言及状況を確認できます。検索意図や段階はプロンプトに基づく分類であり、実際の質問者の購買行動を追跡しているわけではありません。
「AI の応答」で「メンション」を選び、「By intent」に切り替えます。意思決定段階を示す「Decision」の点にカーソルを合わせると、各社の数値が表示されます。
この画面では、Decision に分類された質問は 66,472 件で、対象の質問全体の 25.9%。その区分内でユニクロに言及したものは 16,200 件、24.4%と表示されています。
ここでの 24.4%は、購買率でも、競合各社の合計を 100%にした市場シェアでもありません。一つの回答に複数のブランドが登場することもあります。
続いて「Funnel stage」で「Decision」を選び、確認したいブランドの言及を条件にして、質問一覧を読みます。今回の一覧には、次のような質問が並んでいます。
単に「服を買いたい」ではなく、商品や用途を伴った質問です。回答を読むと、どのブランドが、どういう理由で候補に挙がっているかを確認できます。
例えば子供服を扱う企業なら、「子供服を買うならどこがいい?」の回答で、価格、丈夫さ、普段着か外出用かといった観点が使われていることが分かります。
そこで、自社の商品紹介でも、その判断に必要な情報を探しやすく伝えられているかを確認します。ブランド名が出ている場合も、出ていない場合も、質問と回答は情報を見直す手がかりになります。
ただし、今回の一覧では各回答にユニクロの言及が見えています。これだけで「ユニクロに不足している情報が見つかった」とは言えません。未言及の場面を探す場合は、別途その条件で確認する必要があります。
今回の使い方をまとめると、見る順番はシンプルです。
AI に自社の名前が出ることと、意図した特徴が正しく伝わることは同じではありません。
まずは、自社に関係する質問を一つ開いてみる。そこでどう語られているかを知ることが、次に見直す情報を考える出発点になります。
※画面の一覧日付は 2026 年 10 月 22 日、比較回答の詳細は 2026 年 9 月 29 日です。数値や回答内容は、対象国・期間・条件・AI の種類によって変わります。


Ahrefs 日本マーケティング統括。
国外 SaaS 企業における日本市場向けのマーケティングとローカリゼーションで 10 年以上の経験を積み、現在は Ahrefs の日本マーケティングを統括。ユーザーの皆さんと共に、Ahrefs を日本で盛り上げることを目標に、日々全力で取り組んでいます。