
ルイーズ・ リネハン 作成
ゲストライター
「AI による概要に向けた最適化をすべきか、すべきでないか」と迷われている SEO 担当者の方は多いことでしょう。しかし、近い将来にはこの質問もすでに過去のものになってしまうかもしれません。
検索結果でのブランドの可視性を高めたいなら、AI による概要など、Google の AI を搭載した検索結果表示で上位表示されるためのメカニズムを理解する必要があります。
Ahrefs はこの新たな現実を踏まえ、今回 75,000 のブランドを分析し、AI による概要によって生じるブランド言及頻度を左右する最も重要な要因を特定しました。
いつものように、この調査のためにデータをまとめてくれた Ahrefs の優秀なデータサイエンティスト、シーベイジャ・グアンに深く感謝!
それでは、さっそく見ていきましょう。
この調査の目的は、AI による概要における可視性が高いブランドに関連づけられる各種要因に、どんなものがあるのかを明らかにすることです。
Ahrefs は今回 、スピアマンの順位相関係数を使ってデータを分析しました。つまり、正の値が大きいほど、相関関係が強いことを示しています。
このデータは統計上の関連度を示していますが、ここでいう「相関関係」=因果関係ではない、ということを強調しておきます。
今回調査したすべての要因が、スピアマンの順位相関係数グラフで「非常に弱い~中程度」の相関関係を示したにすぎないものの、だからといってこのデータは軽視できるものではありません。
これらの項目がランキングシグナルとなり、その他多くの評価要因と組み合わさった結果、AI 搭載検索機能の検索結果におけるブランドの可視性に差が出てくるのです。
今回は、「ドメイン関連要因」と「ブランド言及・検索関連要因」の2カテゴリを調査し、これらが AI による概要における可視性とどのように相関しているかを検証しました。
「ドメイン関連要因」には以下のものが含まれます。
「ドメイン関連要因」には、Ahrefs API 経由で Ahrefs サイトエクスプローラーから抽出したブランドのウェブサイトドメインデータを使用しました。
「ブランド言及・検索関連要因」には、以下のものが含まれます。
ここでのブランド言及およびブランド検索とは、ブランドウェブサイトの検索順位1位のキーワードの言及・検索を指しています。
まず、ドメイン評価が 40 を超えるウェブサイトに絞り込んだ上で、それらのサイトの月間検索ボリュームが 800 以上の(検索ボリュームの大きい)キーワードを採用しました。
これが絶対的にベストな基準値というわけではないものの、信用性の高いブランドを見つけるには非常に有効な数値でした。
その後、Ahrefs ブランドレーダーを使用して膨大な AI による概要の回答を分析し、これらのブランドへの言及を探しました。
対象として絞り込んだブランドのうち約 26% はまったく言及されていなかったため、残りの約 74% を調査しました。
AI による概要を用いた言及頻度と最も強い相関関係にあったのは、すべてオフサイト要因で、トップ要因は以下の3つでした。(カッコ内は相関係数)
これは業界全体に見られる傾向と一致しています。AI 生成の検索結果での可視性は、自社ウェブサイトの良し悪しだけが左右するのではなく、ブランドがネット上でどれだけ広く言及されているかに関係しているのです。
SEO・オーガニックグロース戦略専門家のケビン・インディグさんが最近行った AI ツールの検索結果における可視性に関する調査でも、次のような結果が出ています。

ケビン・インディグ, オーガニックグロースアドバイザー, kevin-indig.com
今回の Ahrefs 調査の結果でもブランド検索ボリュームの相関係数は 0.392 となっており、上記のケビンさんの調査結果をほぼ裏付けるものですが、Ahrefs はさらに強力な要因を発見しました。
AI による概要におけるブランドの出現頻度と最も高い相関を示していたのは、ブランドに関するウェブ全体での総言及数(リンクの有無を問わない)だったのです。
Ahrefs コンテンツマーケティングディレクターのライアン・ローは、ブログ記事「GEO、LLMO、AEO 対策はすべて SEO で解決!」で次のように述べています。

ライアン・ロー, コンテンツマーケティングディレクター, Ahrefs
もう 1 つの注目すべき重要な点は、これらのトップ 3 の要因が、今回の調査で「ブランド言及・検索関連要因」とした 3 項目だったということです。
大規模言語モデル(LLM)は予測言語モデルであり、膨大なウェブテキストを含んだコーパスをもとに知識を学習します。
これは、AI による概要機能を主導する LLM にとっても、ブランドの重要性を決定するシグナルはテキストと言語ベースの情報であるということです。
調査結果から、AI による概要は特定のブランドに回答内で言及するかどうか決定する際、ブランドの自社ウェブサイトだけでなく、ウェブ全体におけるブランドの存在感を判断基準にしていることが推測できます。
AI による概要におけるブランドの可視性に関して、ウェブ全体でのブランド言及数は被リンク数よりも大きな要因であるようです。
AI による概要でのブランド出現率と被リンク指標との間には、弱~中程度の相関関係しかないことが分かりました。
デジタルマーケティング企業 Seer Interactive による調査結果も、この傾向を裏付けています。
同社のチームは、さまざまなウェブサイトの Google と Bing における検索順位上位キーワード、異なるタイプの SERP 機能による回答内での出現回数やサイトのドメイン評価、獲得被リンク数などを調査し、それらが ChatGPT におけるブランド言及の頻度とどのように関係しているかを解明しようとしました。
ご覧のとおり、Ahrefs の調査結果と同様にドメイン評価 (0.25) や被リンク数 (0.10) などの被リンク指標との相関が弱いことが判明し、ChatGPT におけるブランドの可視性に関しては Google 検索結果でのブランド関連キーワード出現回数と最も強い相関があることが分かりました。
ブランドトラフィックとは、ブランドキーワードの検索からサイトに流入するオーガニックトラフィックのことです。AI による概要でのブランド出現率との相関は弱いことが調査結果から判明しました(0.274)。
Ahrefs 活用のヒント
Google の検索ランキングシステムは AI による概要にも組み込まれており、これにより同機能が上位のウェブ検索結果から情報を取得し、その内容をまとめて表示するすることが可能となっています。
流出したある Google 内部文書によると、Google の検索順位システムは、ウェブサイトに流入するトラフィックやネットユーザーの行動シグナルといったインタラクションデータもランキングシグナルとして順位決定の判断基準にしているようです。
このことから、AI による概要での表示に関してもサイトの獲得トラフィックが重要な決定要因であるように思えます。
しかし実際のところ AI による概要は、オーガニックトラフィック(0.274)といったユーザー行動シグナルよりも、ウェブ全体でのブランド言及(0.064)やブランド名を含んだアンカーテキスト数(0.527)といったテキストベースのシグナルを優先的に考慮する傾向にあるようです。
有料広告に関連した以下の要因は、AI による概要での言及回数との相関関係が比較的弱いことが判明しました。
広告掲載に多額の資金を投じても、必ずしもブランドの AI による概要における可視性が向上するわけではないようです。
Google は AI による概要の表示枠内にも広告を掲載していますが、Ahrefs の最新調査によると、この広告を利用して収益化しているケースはまだ多くないようです。Ahrefs のプロダクトアドバイザー、パトリック・ストックスがこれについて分析し、次のように述べています。

パトリック・ストックス, プロダクトアドバイザー, Ahrefs
ここでのポイントは、AI による概要が表示されるとネットユーザーによるウェブページのクリックが減少するという点です。検索結果ページで回答が直接見られるため、ユーザーのクリック需要を低下させてしまうのです。
広告主にとっては、クリックが集まらない広告の掲載に費用をかける価値はありません。
これが、AI による概要内で広告があまり掲載されていない理由の 1 つかもしれません。
ところが、Google は最近 AI による概要からの広告収益を増やすため、AI による概要内での検索広告とショッピング広告の掲載増加を決めたばかりです。
この展開により、先述の有料広告関連要因と AI による概要におけるブランド可視性の相関性は今後より強まっていくと予想されます。
ウェブ上でのブランドへの言及総数が AI による概要での出現回数とどのように相関しているかを調べるため、調査対象ブランドを言及数の多い順に並べ、四分割してグループ分けした上でデータを分析しました。
「ウェブ上の言及数」で上位 25%(75~100%)のブランドは、AI による概要に平均 169 回登場しており、これは次の四分位(50~75%)のブランドの平均 14 回と比べて 10 倍以上の数です。
一方で、下位の2つの四分位(25~50% と 0~25%)に属するブランドは AI による概要にほとんど表示されておらず、平均0~3回の言及しか獲得していませんでした。
言い換えれば、ウェブ上での言及数で下位 50% に位置するブランドは、実質的に AI から認識されていないということです。
これは「SEO の悪循環」(検索順位が低ければ被リンクの獲得が難しくなるが、その結果被リンクが新たに獲得できなければ検索順位を上げることができないという現象)と同じように、すでに可視性が高いブランドのほうが更なる可視性を獲得しやすいという事実を物語っています。
つまり、トップの一人勝ちの状況が起こっているということです。まだネット上で話題になってないブランドが AI による概要の回答に登場する可能性は低いのです。
ここでは、自社のブランド検索ボリュームと AI による概要での表示回数を知ることで、検索順位パフォーマンスと AI ツールでの可視性の関係について理解する方法をご紹介します。
ブランドの AI による概要での存在感を高めたい場合は、以下の項目を優先して取り組んでみましょう。
AI を搭載した検索機能におけるブランドの可視性を決定するメカニズムについて、現時点ではまだ完全に解明できていません。特に AI による概要の場合、この機能がまだ「実験的」なものであるため、正確な関連データの収集が難しいからです。
SEO の専門家であるリリー・レイさんとマーク・ウィリアムズ=クックさんは、AI による概要における可視性がいかに簡単に操作可能であるかを明らかにし、現行システムの欠陥を暴いています ¹ ² ³ 。
もし今後、今回ご紹介した「AI ツールにおける可視性向上の近道」が使えなくなった場合も、ブランドの可視性維持のために取るべき対策はブランド構築戦略と非常に似ています。なぜなら、可視性の向上とはまさにブランド構築の主要要素だからです。
結局のところ、ブランドの認知度を築き上げ、それを測定して把握することが、AI ツールの回答における可視性を獲得し、その後も可視性を高めていくための鍵となるのです。

Ahrefs のコンテンツマーケター。Pi Datametrics、BuzzSumo、Cision といった SaaS 企業でシニアコンテンツ担当として 10 年以上の経験を積む。日中はコンテンツや SEO について書き、オフや仕事の後はサッカーやカラオケを趣味として楽しむ。