筆者としては、リンクは SEO 戦略の一部であるべきですが、それだけに固執するのは避けた方がよいと考えています。少し前に「リンクはランキングに依然として影響を与えるのか?」という質問を受け、いくつかのブログへのリンクは不要だと回答しました。しかしその結果、そのサイトのトラフィックとランキングは低下したのです。
そのため、SEO においてリンクはまだまだ重要だといえそうです。

今回の調査の目的は、リンクの重要性が時間の経過とともに変化したのかを調べることです。また、データをセグメント化して、リンクの重要性が高まる時期と低下する時期を確認できるかどうかも気になりました。
それでは、内容を詳しく見ていきましょう。この調査のハードデータ部分はすべて、データサイエンティストのシーベイジャ・グアンが担当し、情報提供は CMO のティム・ソウロが協力してくれました。改めて、2 人に感謝を伝えたいと思います。
米国で最も検索ボリュームが多い上位 100 万個のキーワードを選択し、それらの SERP ランキング(上位 20 位) とさまざまな SEO 指標の間のスピアマンの相関係数を計算しました。含まれている指標は以下の通りです:
- ドメイン評価:0.131
- 被リンク数:0.248
- フォローされた被リンク数:0.242
- 参照ドメイン数: 0.255
- フォローされた参照ドメイン数:0.250
- 内部リンク数(流入):0.117
- 内部リンク数(流出):0.093
- 外部リンク数(流出):0.083
- URL にキーワードが含まれている場合:0.034
- URL の長さ: -0.107
相関関係 ≠ 因果関係といった一般的な注意事項は述べておきたいと思います。上記の例は通常スピアマンスケールでは弱い相関、または非常に弱い相関と見なされますが、だからといって重要でないというわけではありません。ランキング要因が多数ある中で、リンクは確かにランキングに影響を与えます。
ここで、重要な指標のデータを視覚的に表示する箱ひげ図をいくつかご紹介します。箱ひげ図を初めて見る方は次の図で読み方をご確認ください。

両端の短い線分は最小値と最大値を表します。そして、50% の値はハイライトされた長方形として表示されています。その長方形の中に引かれた線分が中央値です。
一般的に、リンク指標がよいほどランキングも高くなります。




これらを検索ボリューム別に分類すると、検索ボリュームが高いクエリではリンクの相関性が高くなることがわかります。
これには 2 つの仮説がありますが、どちらもおそらく真実です。
- こうしたクエリは競争が激しく、競争の激しいクエリで目立った成果を上げるにはリンクが必要になる。
- そのようなページはボリュームが高いため露出が多く、上位にランクインしているサイトは自然に多くのリンクを獲得する。

外部リンクは、内部リンクよりも相関性が高くなっています。ここでこれほど大きな違いがあったことは驚きです。他のサイトからのリンクは、おそらく自分のサイト上のリンクよりも重視されるか、信頼性が高いと見なされるのでしょう。
リンクは、非ブランド検索よりもブランド検索との相関性が高くなっています。しかし、これを、ブランドにとってリンクがさらに重要だとは解釈してほしくありません。筆者としては、「多くのブランドは人気があるため、獲得するリンクが多くなる傾向がある」と解釈しています。ブランドのリンクと 1 位というランキングが、結果を歪めてしまっているのです。

ここでのもう一つのポイントは、上記のグラフにおいて、非ブランドクエリとリンクの相関性が少し低いため、数値が少し下がっていることです。この状態は、以下の履歴比較を見る上で重要です。
2019 年に、同様の相関関係をいくつか調査したことがあります。
方法は少し異なり、低ボリューム(2,000 ~ 5,000)の非ブランドクエリを対象にしました。正確な比較はできませんが、以下のように、当時の相関性の方が現在より高かったのです。
- リンク:0.27
- フォローされたリンク:0.25
- 参照ドメイン:0.29
- フォローされた参照ドメイン:0.26
これらの指標と類似のクエリの現在の相関は 0.22~0.24 で、前述のように非ブランドキーワードの相関性よりもわずかに低い可能性があります。

これは、リンクの重要性が低下していることや、SEO 担当者がリンクをどう認識しているかについての Google のコメントと一致しています。しかし、この調査を実施したいと思った理由の 1 つは、今後数年間でこれがどのように変化するかを確認するためです。AI コンテンツの増加に伴い、Google はリンクやその他のシグナルにさらに頼るようになり、リンクを重視するようになるのではないかと筆者は考えています。
ローカル検索クエリでは、リンクと参照ドメイン(RD)の相関は 0.33 で、これまで見てきた数値よりはるかに高く、数年前に全体的に見られた相関よりもさらに高い値です。ローカルサービス企業のサイトのコンテンツは非常に似ているため、リンクはどの企業が人気を得ているかを判断するのに適した差別化要因になるのではないかと思います。

ローカル検索クエリにおいて、内部リンクの方がはるかに重要であることにも注目したいと思います。このようなクエリでは外部リンクシグナルが少ないため、内部リンクからの追加シグナルがより重要になるのではないかと考えています。
検索意図別にデータを見ると、ナビゲーションクエリの相関が最も高くなっています。これは主にブランドに関するもので、前述したように、ブランドにはより多くのリンクが集まっています。
さらに興味深いのは、インフォメーショナルクエリの被リンクは、コマーシャルクエリやトランザクションクエリよりもランキングとの相関性が高いように見えることです。

このようなキーワードの競争レベルが高いことを受けて、Google はリンクをよいシグナルとして評価しているのかもしれません。また、よりよいコンテンツは時間の経過とともにより多くのリンクを獲得するようになる可能性もあります。
まとめ
リンクはランキングの要素の一部に過ぎません。SEO 対策においては「優れたコンテンツを作成する」など、他のことも並行して行っていく必要があります。Google が多くのシグナルを持っている場合、特定のシグナルへの依存度が低くなるでしょう。しかし、逆にシグナルが少ない場所ではどうでしょう?この場合はリンクに大きく依存する可能性があります。コンテンツが充実している競争の激しい分野では、差別化要因としてリンクシグナルにさらに頼る可能性もあります。
筆者の見解では、企業、特にローカル企業は、少なくとも基礎的なリンクに重点を置くべきでしょう。大企業はすでにマーケティング活動やコンテンツでリンクを獲得している可能性があるため、リンクはそれほど優先されないかもしれません。ただし、内部リンクを活用している大企業のページにアクセスが集まったという事例もあるため、自社の立ち位置とシグナルの充実度をしっかりと把握し、対策を行っていくことが重要です。