今回の記事では、オウンドメディアを最大限に活用し、ビジネスにおける成果を引き出すための具体的な方法を解説します。これから立ち上げを検討している方にも、既存のサイトを強化したい方にも役立つ情報をお届けしていますので、ぜひご一読ください。
Ahrefs チームも日本語のオウンドメディアに力を入れています!
オウンドメディアとは
オウンドメディアとは、企業が自社で所有・管理する情報発信メディアのことです。
ウェブサイト、ブログ、SNS アカウント、メールマガジンなどが代表的な例です。企業が自社の商品やサービスに関する情報を発信したり、ブランドイメージを構築したりする場として利用されています。オウンドメディアは顧客との双方向コミュニケーションが可能なのも特徴のひとつで、顧客ニーズを深く理解し、より良い商品やサービスを提供することができる重要なツールでもあります。SEO 施策との組み合わせでウェブ集客効果が飛躍的に高まることに加えて、一度作成したコンテンツを何度も活用した継続的な情報発信ができるため、企業のマーケティング活動においてますます重要な役割を果たしていくことが期待されています。
なぜオウンドメディアが注目されているのか
オウンドメディアは、企業が自社のメッセージを能動的に発信し、顧客ニーズに応えながら関係性を深めることができる非常に効果的なツールとして注目を集めています。
近年、インターネットや SNS の普及により、消費者は自ら情報を収集するようになりました。それに伴い、ユーザー間での情報拡散の加速や、口コミによる影響力が大きくなったのは言うまでもありません。これにより、企業による一方的な情報発信だけでは顧客へのアプローチが難しくなり、信頼性の高い自社メディアでの情報発信が重要視されるようになりました。
オウンドメディアが注目される理由
ブランド認知度向上と企業イメージ確立
統一されたブランドイメージで自社商品やサービスの魅力を企業から直接発信し、消費者に深く印象づけることができます。また、独自コンテンツを活用して特定のターゲット層に合わせた情報発信を行うことで、ブランド認知度も向上します。さらには、継続的な情報発信でブランドの露出を増やし、潜在顧客の目に触れる機会を増やすこともできます。
リード獲得と顧客との関係構築
顧客が求める情報を提供することで、見込み顧客(リード)を自然に集め、顧客との双方向コミュニケーションで顧客満足度を高めることも可能です。
SEO 効果による集客力向上
SEO 対策を施すことで、検索エンジンで自社のウェブサイトを上位表示させ、オーガニック流入を増やすことができます。また、ターゲットキーワードを適切に選定して作成したコンテンツは、検索エンジンに長く評価され続ける可能性があり、継続的な集客が見込めます。
コストパフォーマンスの高さ
一度構築すれば、比較的低コストで運用を続けることができるのがオウンドメディアのメリットのひとつです。多様なコンテンツを活用しながら、費用対効果の高いマーケティング活動を行うことができます。
その他のメリット
ウェブサイトのアクセス解析などを通じて、コンテンツの効果を数値で把握し、改善に活かすことができます。また、独自コンテンツを制作して競合他社との差別化を図り、自社の強みのアピールにつなげることもできます。
コンテンツ戦略の立案
オウンドメディア運用成功のためには、綿密なコンテンツ戦略の立案がポイントです。コンテンツは、単に情報を発信するだけでなく、ユーザーに価値を提供して信頼関係を築き、共感を得るための重要な要素となります。
ターゲット設定とニーズの把握
オウンドメディアでは、ターゲットに響く言葉で、ニーズに対して的確な回答を提供することが求められます。そのため、「誰に、何を伝えたいのか」を明確にしましょう。
ペルソナを設定し、ペルソナが抱えている課題や欲求を深く理解することが重要です。ニーズ把握には、アンケート調査やインタビューの実施、競合他社のコンテンツ分析が有効です。
コンテンツテーマの選定
検索ボリュームと競合状況を分析し、キーワード設定を行います。
自社に関連性の高いテーマやトレンドなどを取り入れて、ユーザーの関心を引くテーマを設定しましょう。自社の強みや特徴を活かして、ユーザーが読みやすい構成にすることで競合他社との差別化にもつながります。
コンテンツ形式の多様化
ブログ記事、動画、インフォグラフィック、ウェビナーなど、さまざまな形式のコンテンツを作成することで、より多くの読者にリーチすることができます。
継続的なコンテンツ更新
オウンドメディアは、作成したコンテンツを公開するだけでは終わりません。読者の興味を維持し、サイトへの流入を増やすためには継続的な更新が不可欠です。
検索エンジンからの評価向上
検索エンジンは、定期的に更新される新鮮なコンテンツを好みます。
継続的な更新は、検索エンジンでの検索順位の上昇に貢献します。また、新しいコンテンツを作成することで、より多くのキーワードで検索結果に表示される可能性が高まり、ユーザーの興味維持と回遊率向上が期待できます。
ブランドイメージの向上
オウンドメディアでの継続的な情報発信は、企業が活発に活動しているという印象を与え、ブランドイメージや顧客とのエンゲージメント向上も期待できます。自社独自の質の高いコンテンツを継続的に発信することは、競合他社との差別化という点でも有効です。
コンテンツの蓄積
継続的な情報発信で得た自社サイト内のコンテンツの蓄積は、将来的なマーケティング活動の基盤となります。
古いコンテンツを再編集したり、新たな視点から捉え直したりすることで、新たなコンテンツを生み出すことも可能です。
具体的な更新スケジュールを立てる
定期的な投稿スケジュールを設定し、計画的にコンテンツを作成しましょう。
週 1 回、月 2 回など、企業の規模やリソースに合わせて無理のない範囲でスケジュールを設定することが重要です。また、繁忙期や閑散期など、時期によって投稿頻度を調整することも有効です。
まずはコンテンツカレンダーを作成して、スケジュールを可視化しましょう。いつ、どのようなテーマのコンテンツを投稿するかを整理し、計画的にコンテンツを作成できることに加えて、カレンダーの作成によりテーマの重複を防ぐこともできます。
運用体制の構築
オウンドメディアは、継続的にコンテンツを発信し、長期運用をすることで効果がより得られる手法です。また、オウンドメディアの運用体制構築は、単にコンテンツを作成するだけでなく、企業全体のブランド力向上や顧客との関係構築に繋がる重要な取り組みです。そのため、適切な運用体制を構築する必要があります。
オウンドメディアで達成したい目標を明確にし、目標達成のために必要な体制を構築しましょう。また、定期的に運用状況を振り返り、改善点を洗い出し、より良い体制へと改善していくことも必要です。
運用で必要な役割の例
- プロジェクトマネージャー: プロジェクト全体の進捗管理を行います。
- コンテンツ企画・編集者: テーマ選定、構成など、企画段階から携わります。
- ライター: 企画に基づいた記事の作成を行います。
- デザイナー: レイアウト、画像作成、バナーデザインなど、視覚的な部分を担当します。
- SEO 担当者: 検索エンジンで上位表示させるための施策を行います。
- アナリスト: ツールを使って、ウェブサイトのアクセスデータを分析し、改善点を見つけます。
- プログラマー: ウェブサイトの構築・改修を行います。
社内のマーケティング担当者や、各部門の専門家がコンテンツ作成に携わることでより質の高いコンテンツを作成することができます。専門的な知識やスキルが必要なコンテンツについては、外部のライターやデザイナーに依頼するのも良いでしょう。
小規模なチームで一人が複数の役割を担う場合や、より効率的な運用のためにも、運用を支援するツールを積極的に活用しましょう。
KPI 設定のコツ
KPI (Key Performance Indicator: 重要業績評価指標)は、目標達成度を測るための具体的な数値指標のことです。オウンドメディアでは、定めた目標に対しての達成度を測るために、さまざまな KPI を設定します。KPI を設定することで、目標達成度を可視化し、改善点を見つけて効果的な施策を実施することができます。また、可視化した目標の共通は、チーム全体のモチベーション向上にもつながります。
KPI 設定のポイント
- SMART の原則
Specific (具体的): 具体的な数値で表現します。
Measurable (測定可能): 定量的に測定します。
Achievable (達成可能): 達成可能な目標を設定します。
Relevant (関連性がある): 目標に関連性のある指標を選びます。
Time-bound (期限がある): 達成期限を設定します。 - 目標と紐づける: 設定した KPI が、最終的な目標達成に繋がるかを確認します。
- 定期的に見直す: ビジネス環境の変化や目標の変更に合わせて、KPI を見直します。
オウンドメディアでよく用いられる KPI の例
オウンドメディアを安定して運用するためにも、KPI を活用して適切な運用体制構築やコンテンツ作成を行いましょう。
- PV 数: ページビュー数。ウェブサイトの総閲覧数を表します。
- UU 数: ユニークユーザー数。一定期間内にウェブサイトに訪れたユーザーの数を表します。
- 滞在時間: ユーザーがウェブサイトに滞在した平均時間。
- 直帰率: ウェブサイトの最初のページのみを見て、サイトを離れるユーザーの割合。
- コンバージョン率: 目標とする行動(購入、資料請求など)を起こしたユーザーの割合。
- SNS シェア数: コンテンツが SNS でシェアされた回数。
- オーガニック検索からの流入数: 検索エンジンからの自然な流入数。
オウンドメディアの SEO 最適化は、自社ウェブサイトへ流入を増やし、ブランディングやコンバージョンにつなげるための重要な施策です。ユーザーが求めている情報を、適切なキーワードを用いてわかりやすい形で、定期的に提供する必要があります。
Ahrefs (エイチレフス)の Competitive Analysis(競合他社の分析)は、自社サイトと競合サイトのキーワードランキング、バックリンク、ドメイン評価などを詳細に比較できる SEO ツールです。 Competitive Analysis を用いることで、自社や競合サイトの強みや弱みを把握し、より効果的なSEO戦略を立案することができます。
Competitive Analysis でできること
- コンテンツギャップ分析
- 被リンク分析
- 参照ドメイン分析
- Ahrefs キーワードエクスプローラーと連携して、キーワードを分析・生成
キーワードリサーチの基本
Ahrefs の Competitive Analysis を使用した、キーワードのリサーチ方法をご紹介します。
コンテンツギャップ解析
自社サイトと競合サイトの URL を入力し、解析を開始します。
コンテンツギャップでは、自社サイトと競合サイトの共通キーワードを可視化できます。キーワードランキングは、さまざまなフィルター設定ができ、競合サイトのみが上位ランクインしているキーワードや自社のみがランクインしているキーワードの洗い出しもできます。また、AI Overview 、イメージパック、X (旧ツイッター)などでの投稿を除いた順位表示も可能です。解析結果は、CSV などにエクスポートすることもできます。
キーワードランキングから、競合サイトが上位表示しているキーワードを分析し、自社サイトでも狙うべきキーワードを特定したり、競合サイトが狙っていない、新たなキーワードを発見したりすることができます。ランクインしている個々のキーワードは、Ahrefs のキーワードエクスプローラーの解析結果にリンクしているので、ピックアップしたキーワードのさらなる深堀りも可能です。
それぞれのキーワードのオーガニックトラフィックや被リンクプフィールも知ることができ、さまざまな分析結果をもとに、競合サイトがカバーしていないトピックを特定し、質の高いコンテンツを作成して差別化を図ることにも寄与します。
Ahrefs のキーワードエクスプローラーについては、こちらもご参照ください。
Ahrefs の Competitive Analysis のより詳しい使い方はこちらをご参照ください。
- Module 11. Competitive Analysis Content Gap (英語サイトに移動します)
リンク交差
Ahrefs の Competitive Analysis では、リンク交差解析も行えます。自社サイトや競合サイトが獲得しているリンク先に加えて、フィルター設定により自社サイトが獲得していないドメイン先を洗い出すことも可能。これらの情報は、被リンク獲得のための施策を考えるときにも役立ちます。
内部対策と外部対策
オウンドメディアの SEO 対策は、内部対策と外部対策のどちらも重要な要素です。
内部対策では、タイトルとメタディスクリプションを最適化し、検索エンジンにコンテンツの内容を正確に伝えることが重要です。タイトルやディスクリプションには主要キーワードを含め、クリック率が高まるよう工夫しましょう。また、内部リンクを効果的に配置することで、サイト内の関連ページへの誘導を促し、ユーザーの滞在時間を長くすることができます。
外部対策では、他のウェブサイトから自社サイトへのリンクを獲得する「被リンク獲得」が重要です。高品質な独自コンテンツを作成し、SNS やインフルエンサーマーケティングなどを活用することで、自然な形で被リンクを獲得できます。関連業界メディアとの相互リンクや、競合分析を通じて効果的なリンク獲得戦略を立てることも重要です。
Ahrefs のサイトエクスプローラーでは、あらゆるサイトの被リンクについて詳細に分析することができます。競合サイトの被リンク分析により、競合サイトがどこから被リンクを獲得しているかを確認し、その戦略の模倣や、リンクを獲得する機会を見つけることができます。
テクニカル SEO の重要性
オウンドメディアの成功には、テクニカル SEO の最適化も不可欠です。
テクニカル SEO とは、検索エンジンがウェブサイトを正しく理解し、評価できるようにするための技術的な対策の総称です。特に重要な要素として、ページ速度、モバイル対応、構造化データの最適化が挙げられます。
ページ速度の最適化は、ユーザーの離脱率を下げ、滞在時間を増加させる効果があり、検索エンジンのランキング要因としても重視されています。
モバイル対応は、スマートフォンユーザーが増加している現在、必須の対策となっています。 Google のモバイルファーストインデックスにより、モバイル版サイトが主要なインデックスとなるため、スマートフォンでの閲覧に最適化されたデザインや機能を実装することが重要です。
構造化データ最適化は、検索エンジンにウェブサイトのコンテンツをより正確に理解させるためのものです。構造化データを使用することで、検索結果にリッチスニペットが表示される可能性が高まり、クリック率の向上に繋がります。
これらのテクニカル SEO 対策を適切に実施することで、オウンドメディアの検索順位向上やユーザーエンゲージメントの改善が期待でき、結果としてビジネスの成長に貢献することが期待できます。
成功事例:ある企業の SEO 戦略
SEO 戦略により、ユーザー視点を重視した施策を実施し、潜在顧客の獲得に成功した企業もあります。
事例①
資産運用をワンストップで提供する会社が運用している不動産投資に関するオウンドメディアは、運用から 2 年で総額数億の受注を生むメディアへと成長しました。
当初からオウンドメディアは運営されており、月間 PV 数は 2,000 〜 3,000 程度ありましたが、「いかに見込み客数を最大化して、リード獲得へ繋げるか」が課題でした。
実施した施策
- KPI を設定
キーワード設計に基づいて月間公開記事数を設定し、キーワード上位表示を増やしていくと同時に、CTA の設計と作成を行い、CV への導線を強化。 - SFA (Sales Force Automation :営業支援システム)の分析
見込み客(リード)を受注につなげていくために、インサイドセールスを強化。 SFA データの分析を行い、顧客のニーズを捉えてメールマガジンを配信し、商談数を確実に増加。
成果
- 運用から 2 年で資料請求が 10 倍以上に増加
- 受注数改善により、年商数億円を生み出すメディアへと成長
事例②
デジタル領域における様々な顧客体験向上を支援する会社は、アウトバウンド営業や社内外のリファラルによる案件獲得が中心で、今後の企業成長のためにもインバウンドでのリード獲得基盤の構築を必要としていました。
施策を実施した結果、ゼロだった検索起因の商談を新たに獲得することができました。
実施した施策
- SEO 領域を中心としたコンテンツマーケティングを実施
- インバウンドでメディア構築や体制づくりから開始。狙ったキーワードでの上位表示実現のために、キーワード定義を行いコンテンツ制作の行動量を徹底。
成果
- 検索起因の商談を新たに獲得
- 検索で獲得したリードから、半年で 60 件超のアポイントを創出し、20 件以上を商談化
キーワード戦略を立てるためには、自社サイトだけでなく、競合サイトの分析が不可欠です。
競合サイトとの詳細な分析が可能な Ahrefs の Competitive Analysis は、オウンドメディア運用をバックアップする 強力な SEO ツールです。
成功のカギは SEO と運用の連携
成功のカギは SEO と運用の連携にあります。
SEO チームと編集チームが密接に連携することで、キーワード戦略に基づいた質の高いコンテンツを継続的に発信することができるようになります。同時に、アクセス解析ツールを活用して、ユーザーの行動データを詳細に分析した情報をもとに、コンテンツの改善や新規コンテンツのテーマ選定を行います。さらには、SEO 施策の効果検証と次のアクションプランを議論し、PDCA サイクルを回し続ける一貫した取り組みにより、オーガニック流入とコンバージョン数の大幅な増加を実現可能となります。
まとめ:オウンドメディア運用を始めるために
長期的な視点を持つことの重要性
オウンドメディアの成功には、継続的な努力と長期的視点が不可欠です。
質の高いコンテンツを定期的に更新し、SEO 対策を継続的に行うことで、検索エンジンからの評価が徐々に高まり、オーガニック流入が期待できます。また、顧客との双方向コミュニケーションを長期的に行うことで信頼関係が構築され、大きな成果につながることが期待できます。
まずは小さなステップから始めよう
オウンドメディア運用の第一歩として、自社の主要キーワードでのランクインを目指しましょう。
キーワード戦略を立て、そのキーワードを適切に盛り込んだ質の高いコンテンツを作成しましょう。内部対策や外部対策を検討するなど、基本的な SEO 対策から始めることが効果的です。
Ahrefs を使った効率的な運用を試してみよう
Ahrefs は、SEO 分析に特化した強力なツールです。
競合分析が行える Competitive Analysis をはじめ、キーワードリサーチ、バックリンク分析など、さまざまな機能が備わっており、オウンドメディアの運用を効率化できます。
また、無料の SEO ツールもご用意していますのでお気軽にお試しいただけます。
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