AI Overview は 2024 年 8 月に突如として出現し、今では今回の調査対象のサンプルキーワードの 4 分の 1 以上で表示されています(インフォメーショナルキーワードではさらに高い頻度で見られます)。
機能的に、AI Overview は既存の SERP 機能、特に強調スニペットと重複しているように思われます。これは、AI Overview と強調スニペットが同時に表示されることが多いという、Ahrefs の初期の調査でも確認されているポイントです。
そこで、筆者はこの疑問を解明したいと考えました。「AI Overview は既存の SERP 機能に取って代わりつつあるのか? 検索体験全体に AI が浸透していく中で、重要性を高める SERP と、注目に値しない機能はどれか?」

Ahrefs は、キーワードエクスプローラーのデータベースから無作為に選んだ 100 万件の米国におけるデスクトップ SERP を対象に、15 種類の異なる SERP 機能が表示される割合を分析しました。
2025 年 1 月と 6 月の各 SERP 機能の表示を比較した結果は以下のグラフの通りです。

そして、今年(2025 年 1 月)に入ってからの各 SERP 機能の相対的な可視性の変化がこちらです。

そのデータを詳しく見ていきましょう。
SERP 機能 | 現在の SERP 可視性(2025 年 6 月) | 以前の SERP 可視性(2025 年 1 月) | 2025 年 1 月からの相対的変化 |
---|---|---|---|
サイトリンク | 84.95% | 8.44% | 906% |
質問 | 79.13% | 73.73% | 7% |
AI Overview | 27.43% | 3.93% | 598% |
AI Overview サイトリンク | 25.00% | 3.90% | 541% |
ディスカッション | 20.26% | 19.49% | 4% |
ニュース | 14.20% | 14.94% | -5% |
ナレッジパネル | 12.95% | 14.09% | -8% |
オーガニックショッピング | 10.40% | 11.24% | -7% |
強調スニペット | 5.53% | 15.41% | -64% |
ローカルパック | 2.96% | 3.48% | -15% |
ナレッジカード | 2.30% | 1.50% | 54% |
ローカル情報 | 1.96% | 2.55% | -23% |
ショッピング | 0.99% | 3.14% | -68% |
有料広告 | 0.91% | 1.95% | -53% |
有料広告(サイトリンク付き) | 0.66% | 1.48% | -55% |
15 の SERP 機能のうちの 9 つで、表示が減少しています。ごくわずかな減少を示すものもありますが、可視性が大幅に低下したものもあります。

ショッピング、強調スニペット、有料広告(サイトリンク付き)、有料広告の SERP 機能の相対的減少が目立ちます。中でも、最大の減少率を示したのは強調スニペットで、1 月には SERP の 15.41% で表示されていましたが、6 月には 5.53% まで落ち込んでいます。
SERP 機能 | 現在の SERP 可視性 (2025 年 6 月) | 以前の SERP 可視性 (2025 年 1 月) | 2025 年 1 月からの相対的変化 |
---|---|---|---|
ショッピング | 0.99% | 3.14% | -68% |
強調スニペット | 5.53% | 15.41% | -64% |
有料広告(サイトリンク付き) | 0.66% | 1.48% | -55% |
有料広告 | 0.91% | 1.95% | -53% |
ローカル情報 | 1.96% | 2.55% | -23% |
ローカルパック | 2.96% | 3.48% | -15% |
ナレッジパネル | 12.95% | 14.09% | -8% |
オーガニックショッピング | 10.40% | 11.24% | -7% |
ニュース | 14.20% | 14.94% | -5% |
強調スニペットの減少は、AI Overview の増加と非常に強い相関 (0.9) を示しています(ただし、今回も例に漏れず「相関関係は因果関係とは異なる」点にご注意)。
SERP 機能 | AI Overview の成長との相関 |
---|---|
強調スニペット | -0.9053 |
ローカル情報 | -0.8571 |
ショッピング | -0.7512 |
ローカルパック | -0.7438 |
有料広告 | -0.699 |
有料広告(サイトリンク付き) | -0.6803 |
ナレッジパネル | 0.7886 |
実際、両方の SERP 機能の可視性を同じグラフにプロットすると、3 月に明確な「入れ替わり」のポイントが見られます。3 月に AI Overview が 116% 増加したことは確認ずみですが、強調スニペットの表示減少も同時期、それに対応するように起こっているようです。

15 の SERP 機能のうち 6 つは、表示割合が増加しました。ナレッジカードは 54%、AI Overview(および関連する AI Overview サイトリンク機能)は 1 月から 6 月にかけてそれぞれ 598% と 541% という驚異的な成長を遂げました。
しかし、驚くべきことに、最大の勝者はそのどれでもありませんでした。

サイトリンクは 2025 年 1 月から 6 月の間に 906% 増加。表示率は 8.44% から 84.95% にまで上昇しました。
SERP 機能 | 現在の SERP 可視性 (2025 年 6 月) | 以前の SERP 可視性 (2025 年 1 月) | 2025 年 1 月からの相対的変化 |
---|---|---|---|
サイトリンク | 84.95% | 8.44% | 906% |
AI Overview | 27.43% | 3.93% | 598% |
AI Overview サイトリンク | 25.00% | 3.90% | 541% |
ナレッジカード | 2.30% | 1.50% | 54% |
質問 | 79.13% | 73.73% | 7% |
ディスカッション | 20.26% | 19.49% | 4% |
詳しく見ると、サイトリンクは Google の 3 月のコアアップデートの時期に表示が急増しており、主に非ブランドキーワードでその影響が見られました。

Ahrefs のデータサイエンティストであるシベイジャ・グアンは、3 月以前のサイトリンクのほとんどは、通常ブランドキーワードでのみ表示される「内部サイトリンク」だったとの仮説を立てています。3 月以降は、(ブロディー・クラーク氏が報告したように)ブランドクエリと非ブランドクエリの両方で表示される可能性のある「Scroll-to Sitelinks」が増加しているのが見られます。
これまでお話しした SERP 機能に関するデータはすべて Ahrefs で確認できます。サイトエクスプローラーに移動し、ドメインを入力して、オーガニックキーワードレポートをクリックしてみてください。そこから、キーワードのランキングをフィルタリングすると、どの SERP 機能が表示されているかを簡単に確認できます。
ahrefs.com のオーガニックキーワードをフィルタリングして AI Overview を表示させると、Ahrefs がランクインしていて、そこで AI Overview をトリガーするキーワードが 67,000 件近く見つかります。
まとめ
AI Overview が強調スニペットに取って代わった可能性は非常に高いようです。ゼロクリック検索を促進し、検索者の意図を SERP 上で直接解決するという、似たような機能を持つ両者の間で見られるのは、AI Overview の増加と強調スニペットの減少が見事に一致していることです。
SERP 機能という観点では、AI Overview は非常に柔軟で、多種多様な検索意図に対応することができます。筆者としては、AI Overview は他の SERP 機能にも取って代わる可能性があると直感しています。そこで、今後数か月間は、減少傾向にある他の SERP 機能がその傾向を続けるか、じっくり観察を続けていきたいと思っています。