企業向け SEO プラットフォームの選定は一筋縄ではいかないことも多々あります。意思決定プロセスにどんな要素が絡んでくるか、この記事で一緒に見ていきましょう。
企業向け SEO プラットフォームで人気が高いものを下の表でいくつかご紹介します。レビュースコアは G2(世界最大級のビジネス向けソフトウェアレビューサイト)、Capterra(SaaS / ソフトウェア製品レビューサイト)、Gartner(IT アドバイザリー企業)の 3 社によるものです。
製品名 | レビューサイトによる評価 (5 点満点) | 利用料金 | ユーザー数 |
---|---|---|---|
Ahrefs (エイチレフス) | 年間 14,990 ドル~ | 60,000 人以上 | |
Conductor |
| ウェブサイトに 記載なし | 450 人以上 |
seoClarity | 1 ヶ月3600 ドル~ (1 ドメイン) 1 ヶ月4500 ドル~ (複数ドメイン) | 3,500 人以上 | |
Botify |
| ウェブサイトに 記載なし | 500 人以上 |
BrightEdge | ウェブサイトに 記載なし | 1,700 人以上 |
非常にさまざまなプラットフォームが存在し、組織によってそれぞれのニーズも変わってくる中、最適なツールを選ぶには一体どうすればよいのでしょうか?
(筆者は当然 Ahrefs を推しますが…)アメリカ経済誌のフォーチュンが毎年発表する全米上位 500 企業のうち 44% が Ahrefs を選んでおり、当社は SEO ツール市場において頭一つ抜けている状態です。Ahrefs は SEO を熟知したうえで専門ツールを開発しています。その証拠に、当社のオーガニックトラフィックとそのトラフィックバリューを他の企業向け SEO ベンダーと比較した結果がこちらです。

オーガニック検索のトラフィック値のシェア(SoTV)はこのようになっています。

企業向け SEO プラットフォームを選ぶにあたって、SEO 担当チームのニーズ、事業全体のニーズ、上司の同意が得られそうかどうか、予算といった点を考慮する必要があります。この購入および導入のプロセスは、ほとんどの企業で似通っています。
会社と担当チームのニーズを把握
皆さんの目標と成功基準は何ですか?
これは皆さんの会社の SEO 対策の成熟度によって変わってきます。目標が「検索結果での上位表示を全体的に増やす」という大まかな内容の場合もあれば、上位 3 位以内にランクインするキーワードの数を増やす、トラフィックを前年比 X % 増やすなどの具体的な目標設定がある場合もあります。
SEO 対策を社内で始める、組織内の SEO 意識を高めるなど、組織レベルの目標があるケースもあるでしょう。皆さんの会社の SEO 対策成熟度がどの程度なのかを考えてみると、ニーズが把握しやすくなります。

プラットフォームを実際に使うのは誰なのか?その用途は?どのようなデータが必要なのか?こういった観点からニーズを話し合うと、ツールに求める機能が具体的に浮かび上がってきます。
必要な機能をそなえたツールを選択
通常、企業がもっとも必要としているのは SEO データです。また、すばやくデータを分析して進捗状況を報告できるように、利用可能なデータ量やツールの種類ができるだけ多く、API を介して簡単にアクセスできるプラットフォームが求められています。
企業向け SEO プラットフォームは通常、大人数のユーザーによる利用が可能でなければならず、ユーザーによってアクセスを制限したり権限付与ができる機能も必須です。多くの企業が、世界中の支社で担当チームが同じツールを使えるように、多言語利用が可能なユーザーインターフェースを必要としています。
さまざまな企業向け SEO プラットフォームが共通して提供する機能には次のようなものがあります。
最適なプラットフォームを選択するには?
多くの企業が、自社のニーズにどれだけマッチするかを基準にプラットフォームの良し悪しを評価します。通常、ツールの各搭載機能に点数をつけ、合計点数をもとに候補を絞り込みます。
この点数はとても参考になるものではありますが、その一方で点数だけを見て決めることはお勧めしません。各プラットフォームのどこが気に入ったのかチームで話し合い、必要なデータが十分に提供されるかどうかや、使い勝手がよく、実際に利用したいと思えるようなプラットフォームなのかといった点を確認してください。 どんな SEO プラットフォームでも、担当チームがうまく使いこなせなければ利用価値があるとは言えないからです。
使い方のデモンストレーションを視聴し、無料トライアルを活用
ここが導入プロセスの中で一番楽しい部分です。SEO ツールのベンダーは通常、プラットフォームの使い方を説明し、優れた活用例を紹介するデモンストレーションを用意しています。また、ツールを試して自社のニーズに合うかどうか判断できるよう、無料トライアルの機会を提供しています。
ツール導入の企画書を作成
プラットフォーム利用のための予算を確保するには、企画書を作成し、上司から同意を得る必要があります。
このステップは導入検討プロセスのもっと早い段階に来る可能性もありますが、個人的にはある程度候補となるツールについてリサーチ済みのこのタイミングで行った方が良いと考えています。SEO プラットフォーム導入の必要性についての上司からの疑問にすべて答えられるだけの準備がもうできているからです。必要なプラットフォームがどれなのかと、その経費も判明しています。これらの情報があれば、より説得力のある企画書を作成し、導入候補ツールについて紹介・提案することができます。
企業向け SEO プラットフォームの料金は多くの場合利用プランによって異なり、次のような要素によって決まります。
- 利用可能なユーザー数
- ウェブサイトまたはプロジェクトの数
- 追跡するキーワードの数
- クロールするページの数
- API 利用料
- 専門家によるサポートの利用時間数
導入には困難がつきもの
プラットフォームの新規導入は、それに関わる全員にとって(本当に…)大変な作業です。
通常、ツール導入の承認、予算編成、実際の購入、法務やセキュリティ部門との確認作業などに多くのスタッフが関わるため、非常に時間がかかるプロセスとなることが多いです。契約にサインするまでの間にも、契約条件の修正をリクエストしたり、厳しい利用条件を突き付けられたり、会社についての非常に細かい情報を求められるといった煩雑なやりとりが多々発生するでしょう。
ですが、慌てる必要はありません!決して楽な仕事ではありませんが、多くの企業がこれまでに同じような状況を経験しています。深呼吸して冷静に構えれば、このステップをうまく乗り切れるでしょう。
筆者は IBM などの企業でベンダー評価業務を経験し、企業数社を対象に SEO ツール導入についてコンサルティングを行ってきたため、実際のツール購入を経験した多くの人々の話を耳にしてきました。また購入プロセスをベンダー側の立場でも見てきたため、両社の視点を理解している数少ない一人だと言えるでしょう。
ツールの購入にあたって過去には間違いも経験しましたが、それだけ多くのことが学べたので、皆さんのツール選定に役立つよういくつか気を付けるべき点をご紹介します。これらのポイントについてはぜひ、ご自身でもさらに詳しくリサーチしてみてください。
多様な機能を兼ね備えてはいるが、突出して優れた点がないツールに注意
プラットフォームの中には、先述の一般的な機能をとりあえずすべて兼ね備えたツールもあります。製品説明だけを読めばすばらしいツールに思えるかもしれません。しかし実際に使用してみると、そういった製品の多くがいたって平凡なツールで、提供データに信頼性の低い内容が含まれていることもあると分かります。
たとえば、テクニカル SEO 対策において、Google が問題視していないと何度も言っているポイント(例:サイト上の掲載テキストに比べて、その表示に必要な HTML コードの方が長い)を監査で検出し、問題点としてフラグを立てるツールをいくつか見つけました。また、確認すべきすべての項目が常にチェックされているとも限りません。たとえば、href lang(各ページがどの言語でどの地域向けの内容かを明示するタグ)はHTTP ヘッダーやサイトマップにも含まれることがあるにもかかわらず、HTML 内しかチェックしないこともあります。
多くの場合、プラットフォームは担当者の業務効率を高めてくれるというより、たまにデータ報告をくれるだけの存在になってしまっています。これは、ツールのアップデートにかかる時間が長かったり、データ取得のために毎回リクエストを送信する必要があり、利用プロセスに時間がかかるといった原因によるものです。
自動データ分析・レポート作成など、名前だけ聞くとたいそう素晴らしく聞こえる機能を搭載したツールもあるでしょう。本来なら SEO を始めるハードルを下げてくれる機能のはずですが、このようなプラットフォームは逆に、実際に大きな成果が見込めるターゲットや対策方法に優先順位を付けて提案するのは不得意なことがよくあり、効率が良いとは決して言い切れません。
本当に役に立つ SEO アドバイスを求めている方は、Ahrefs サイトエクスプローラー内のビジネスチャンスレポートをチェックしてみてください。ここで提案される以下のようなターゲットに絞って対策をとることで、ほとんどの企業のパフォーマンスに大きな変化があらわれると筆者は思います。

Ahrefs は一般に SEO 担当者に最も好まれているツールで、「Ahrefs のデータは信頼できる」「あらゆる機能を兼ね備えており使いやすいツール」だと評価されています。また、SEO 担当の皆さんに正確な情報リソースとして信頼し活用していただける、あらゆる SEO 関連テーマを取り扱った各種情報ガイドやチュートリアル動画も豊富に提供しています。
また、Ahrefs のスタッフには経験豊富な SEO 専門家がおり、Ahrefs を日々実際に利用しながら今後のさらなる改善・進化のためのフィードバックを提供してくれています。
不明瞭な料金体系に注意
ほとんどの場合、SEO ツールの利用料金については開発・販売元のベンダーに個別に問い合わせる必要があります。問い合わせるとまず予算について聞かれ、提示金額に沿った「カスタム」プランが提案されます。これは、まず皆さんにいくらまでなら支払う気があるか、または支払う能力があるかを探りたいからです。
このため、ある1社が全く同じ内容のプランに対して他の企業よりもはるかに高い料金を払っている可能性もあるんです。こういった料金提示プロセスは非常に不明瞭です。
Ahrefs では透明性を確保するために、スタートプランの料金と各アドオンの追加料金をリスト形式で記載しています。

キャンセルポリシーの確認
個人的には、この1点にベンダーの良し悪しがよくあらわれると思います。会社によってはキャンセル手続きを難しくしている場合もあります(キャンセルするにはその連絡をするか、その前に一度面談しなければならないことも…!)。
購入を決める前に契約書をよく確認してください。一部のベンダーは、キャンセルする場合は数か月前に書面で通知する必要があると規定しています。こういった会社は、契約終了のタイミングが近づいていてもそれを通知してくれることはありません。
Ahrefs では、更新日の前にリマインダーを送信します。
攻撃的な宣伝文句に注意
筆者の経験談ですが、数年前に某ベンダーに激しいセールストークを浴びせられてから、いまだにその人から連絡が来たという悪夢を見ます。筆者は人の名前は全般的に覚えるのがかなり苦手なのにもかかわらず、彼の名前だけは今でも覚えています。
攻撃的な営業トークで知られる会社は他にもたくさんあります。皆さんに電話やメールで営業をしてきたり、個人のメールアドレスや携帯電話にまで連絡をしてきたり。皆さんが利用するあらゆる SNS 上からメッセージを送ってくる人もいます。
それがうまくいかないと、皆さんの同僚、上司、上司の上司に対してまで同じことをし始めます。上司にメールで、皆さんが彼らのプラットフォームを使っていないがために皆さんの業績がどれほど下がっているか切々と訴えてくることさえあるかもしれません。これは本当にあることで、まったく論理的ではありませんよね。
彼らはまた、製品を誇張して宣伝する傾向があります。「当社ツールには必要なものがすべて揃っており、SEO 担当チームの代わりに仕事をしてくれる」というようなことを言います。もちろん、決して真実ではありません。
皆さんご自身でも、X、Facebook、Reddit(アメリカ発の掲示板型 SNS)などの SNS でベンダーの企業名を検索して、企業向け SEO プラットフォームの利用経験談や口コミを探してみることをお勧めします。利用契約する前に、他の人の実際に使った感想を聞くべきです。そうすれば、こういったプラットフォームの多くは SEO 担当者からの評判があまり良くないことが分かるでしょう。
Ahrefs では少人数体制のユーザー対応チームを設けており、皆さんの会社の SEO 担当部署が「Ahrefs が組織に適したツールかどうか」を評価・導入検討できるよう支援しています。初回の電話面談の後、チームは特別にカスタマイズした製品デモンストレーションを用意し、皆さんにお送りします。この資料をプラットフォーム導入の決定権を持つ関係者に見てもらうだけで、彼らに Ahrefs ツールに対しての共通認識を持ってもらい、その後スムーズに評価プロセスへと移ることができるため、煩雑な手続きを省くことができます。ユーザーの利用意思決定プロセスでは当社側の透明性が不可欠と考えているため、Ahrefs では購入前の製品の無料トライアルを実施しています。
Ahrefs をご利用いただけるという場合は、担当チームが各企業で必要な用途にフォーカスした特別トレーニングを提供し、Ahrefs の使い方をすばやく習得できるようサポートします。これは究極的には、皆さんの SEO 目標を達成するまでにかかる時間を短縮するお手伝いをしているということです。
委託サービスならプラットフォームよりも SEO 代理店
各種委託サービスを提供する SEO プラットフォームは当たり外れも大きいのが現状です。サービスを提供するベンダーは、SEO ツールのベンダーと代理店の境目を行ったり来たりしている印象があります。過去には、一部のベンダーがこの一線を越えて、(時には自社のプラットフォームをクライアント会社に勧めてくれるような)代理店パートナーから仕事を奪おうとするのを目にしてきました。
業務委託が必要な場合は、ベンダーが提供するサービス内容を確認してください。また、それを実際に利用している人を見つけて質問してみましょう。ベンダーの抱えるコンサルタントの中には、優秀な人もいれば、新人 SEO 担当者とほぼ同じレベルの人もいます。 SEO コンサルティングと称してサービスを宣伝しているのに、実際に行うのはプラットフォームのセットアップ支援と、ツールが自動作成しただけに見えるレポートの提供にすぎないようなケースも過去に見てきました。
担当者の専門知識は人によってまちまちで、社員の離職率が高い企業もあります。代理店をパートナーに選んで業務委託したほうが賢いかもしれません。
Ahrefs は残念ながら委託サービスを提供していませんが、必要な場合はぜひ上記のヒントを念頭に置いて、自社のニーズに合ったエンタープライズ向けの SEO 代理店を探してみてください。
一向にアップデートされないプラットフォームに注意
企業向け SEO プラットフォームの中には、アップデートにやたら時間がかかるものもあります。新機能の追加を計画中とか、近日リリース予定といった言葉がよく言い訳のように使われます。しかし多くの場合、新機能が登場することは結局ありません。さらには、新機能を開発するのではなく、足りないアップデートを補おうとして他社のツールを買収したにもかかわらず、そのツールの優れた機能をすべて台無しにし、しかも自社プラットフォームへの統合に何年もかけるような会社もあります。
Ahrefs では、すべての製品アップデートのまとめ記事を毎月アップしています。Ahrefs がどのような進歩を遂げているのか、またリリースされる革新的な機能をご確認いただけます。
ベンダーの比較情報や調査結果を鵜呑みにしないよう注意
こういったプラットフォームの多くは、製品が優れていると思わせるため、他社ツールとの比較情報をうまく抜粋して掲載したり、自社に有利な調査結果を載せていたりします。他社プラットフォームとの機能比較リストを掲載していることもありますが、それも彼らに有利な内容に編集したものでしょう。すべてを信用してしまわないよう、気を付けてください。
くれぐれも、自社ツールが最高だという宣伝文句を鵜呑みにしないでください。周りにお勧めのプラットフォームを聞いてみて、最もよく選ばれているものがどれかリサーチしましょう。実際のユーザーが好んで使うツールがどれなのかをきちんと見極めることが大切です。 Ahrefs は自社の保有データとプラットフォームに絶大な自信を持っており、Ahrefs が最高のツールであり続けられるよう、日々たゆまぬ努力を積み重ねています。
Ahrefs ツールの更なる進化にご協力を!
Ahrefs チームはエンタープライズプランの開発において、企業を成功へと導くために必要な多くの機能と、企業が検索エンジンの設定するコンプライアンスガイドラインと各種標準に沿ったウェブサイトを作成できるようサポートする様々なツールを追加しました。もし更に加えてほしい機能がある場合は、X のメッセージで教えてください!