データ・研究

【1,700万件の引用を分析】AI アシスタントは「鮮度の高い」コンテンツを好むことが判明!

ライアン ・ロー
Ahrefs のコンテンツマーケティングディレクター。 過去 13 年間でライター、コンテンツストラテジスト、チームリーダー、マーケティングディレクター、部長、CMO(最高マーケティング責任者)、代理店設立といった様々な役職を経験。その間、Google、Zapier、GoDaddy、Clearbit、Algolia など数十社のコンテンツマーケティングと SEO サポートを担当。小説家の顔も持ち、これまでに 2 種類のコンテンツマーケティング専門講座を自ら開発・設計した。
Chat­G­PT や Per­plex­i­ty のような AI ツールは、「鮮度の高い」コンテンツの引用を好むのでしょうか? Ahrefs は 7 つの AI 検索プラットフォームを対象に 1,700 万件のサイト引用箇所を分析し、その真相を調査しました。

AI 検索向けのコンテンツ最適化の正解を日々探っている中で、「引用される可能性を増やすには、ページの更新頻度を上げるべきだ」という意見を目にしました。

Ahrefs はこの説を検証するため、Ahrefs ブランドレーダーのデータを使用し、ChatGPT、Perplexity、Gemini、Copilot、AI Overview、そして「古き良き」Google のオーガニック検索結果を対象に、回答内で引用されている情報の掲載元である約 1,700 万件の URL を抽出しました。そして、以下の値を算出しました。

  • 引用された記事が初公開されてからの平均日数(Ahrefs のクローラーが記事を最初に発見した日を公開日として使用)
  • 引用された記事が最後に更新されてからの平均日数(コンテンツエクスプローラーのデータベースにある最終公開日を使用)

これにより、従来の Google 検索と比較して、AI アシスタントが本当に「鮮度の高い」コンテンツを「好む」のかどうかを明らかにします。

Ahrefs ブランドレーダーで AI ツールでの可視性をチェック

この調査のデータは Ahrefs のブランドレーダーから取得したものです。AI ツールの回答内で皆さんのブランドがどのように言及されているかを調査してコンテンツ戦略に反映させることで、新たなオーディエンスにリーチし、AI 検索を次の成長チャネルに変えていきましょう。

Ahrefs のブランドレーダーの概要画面。AI 検索ツールごとの引用数と対象ページ数、ドメイン評価スコア、被リンク数などの指標が表示されている

  • 従来の検索結果と比較して、AI アシスタントはより鮮度の高いコンテンツを引用する傾向にある
  • AI アシスタントの引用した URL の初公開からの平均経過日数は 1064 日であるのに対し、オーガニック検索結果で引用されている URL の場合は 1432 日で、AI の引用する URL の方が 25.7%「鮮度が高い」という結果に。
  • Google の AI Overviewオーガニック検索結果は、公開から比較的時間が経っているページを引用する可能性が高い。
  • Chat­G­PT は、公開から日が浅いページを引用する可能性が高い。
  • Per­plex­i­ty と Chat­G­PT は、紹介する URL を回答内で新しいものから古いものの順番で掲載。

ChatGPT、Perplexity、Copilot、Gemini の回答内のあらゆる表示位置で引用された URL の平均経過日数を計算すると、初公開からの平均時間は 1064 日、つまり 2.9 年となりました。一方、オーガニック検索結果で引用される URL の場合は、初公開からの平均時間は 1432 日、つまり 3.9 年で、丸 1 年も古いコンテンツであることが分かりました。 

これだけを見ても、AI アシスタントは明らかに新しいコンテンツを好む傾向があり、引用された URL はオーガニック検索結果よりも平均して 25.7%「鮮度が高い」と言えます(計算式:(1432-1064)/1432=25.7)。

オーガニック検索と AI アシスタントが引用するコンテンツの平均経過日数を比較した棒グラフ。

記事が最後に更新されてからの平均経過時間を見ても、同様の傾向が見られます。

AI アシスタントはより最近更新されたコンテンツを好む傾向を示し、最終更新からの平均経過時間は 909 日でした。一方、オーガニック検索結果では 1047 日で、その差は 13.1% と(初公開日からの経過日数と比べれば)小さくなっています(計算式:(1046-909)/1046=13.1)。

データを個別に見ていくと、各 AI アシスタントと検索プラットフォームの「鮮度」に対する好みがより明確になります。

Google AI Overview の回答内で上位 3 件に掲載されている URL は、初公開または最終アップデートから比較的時間が経ったコンテンツであることが多く、初公開からの平均経過日数は 1432 日 (3.9 年) を超え、最終更新日は 1047 日 (2.9 年) 前でした。これは、Google のオーガニック検索結果の URL の平均経過日数に非常に近い値です。 

AI ツール同士を比較すると、Perplexity が最も古いコンテンツを好み (1166 日)、続いて Gem­i­ni (1118 日)、Copilot (1056 日)、そして Chat­G­PT の回答内参照 (1023 日) と引用 (958 日) の順でした。 

各 AI アシスタントおよびオーガニック検索における引用 URL の平均経過日数(公開日・最終更新日)を比較した横棒グラフ

データを表にまとめたものがこちらです。 

AI 検索プラットフォーム初公開からの平均経過日数最終更新からの平均経過日数
Google AI Overview (引用 URL の上位 3 件)14321067
オーガニック検索結果14161047
Per­plex­i­ty (文章回答部分の引用)1166993
Gem­i­ni1118831
Copi­lot1056865
Chat­G­PT (参照 URL)1023865
Chat­G­PT (引用 URL)958989

オーガニック検索結果を基準として考えると、各 AI アシスタントが新コンテンツを好む傾向がより分かりやすくなります。 

初公開からの経過日数に注目すると、AI ツールの中でも Chat­G­PT が特に新コンテンツを好む傾向を示しており、回答内で提供される情報の参照元 URL の場合は Google のオーガニック検索結果と比べて 393 日新しいコンテンツを、文章を直接引用する URL の場合はなんと 458 日も新しい情報を選んで表示していることが分かりました。 

オーガニック検索結果と比較すると、今回調査対象としたすべての AI アシスタントが明らかに鮮度の高いコンテンツを好む傾向を示しています。ただし、Google の AI Overview だけは例外で、オーガニック SERP と比べて平均 16 日古いコンテンツを引用しています。 

AI アシスタントおよびオーガニック検索における引用 URL の平均公開経過日数と最終更新からの経過日数を比較した横棒グラフ

以下がそのデータです。 

AI 検索プラットフォームオーガニック検索結果との差異 (初公開からの平均経過日数)オーガニック検索結果との差異 (最終更新からの平均経過日数)
Google AI Overview (引用 URL の上位 3 件)1621
オーガニック検索結果00
Per­plex­i­ty (文章回答部分の引用)-250-53
Gem­i­ni-298-216
Copi­lot-360-182
Chat­G­PT (参照 URL)-393-182
Chat­G­PT (引用 URL)-458-58

検索結果や回答内での表示位置ごとに、引用 URL の経過日数がどのように異なっているかも確認することができます。以下のグラフは、検索順位あるいは AI ツールによる回答内での表示位置が 1 位から 10 位までのページの、初公開からの平均経過時間を示しています。

オーガニック検索結果では、古い記事ほど上位表示されやすいようですが、AI アシスタントはそれぞれのポジション間で比較的差が少なく、引用 URL のほとんどが公開されてから日が浅いものであることが分かります。 

各 AI アシスタントが引用するページの平均経過日数がオーガニック検索結果と比べてどれだけ差があるかを示す折れ線グラフ。

引用記事が最後に更新されてからの平均経過時間を見ると、ChatGPT と Per­plex­i­ty の 2 つが、テキスト回答内で参照情報を「新しいものから古いものへと並べる」というパターンで表示しているようです。

引用された URL の更新からの平均日数を、検索順位ごとに AI アシスタントとオーガニック検索で比較した折れ線グラフ

このパターンは、ページの引用の順番とその最終更新からの経過日数との相関関係を見ることで、より明確になります(AI Overview を除く)。 

ほとんどのプラットフォームでは、引用とコンテンツの経過日数の間に負の相関が見られ、古いコンテンツほど回答上部に掲載されている(オーガニック検索の場合、検索上位に表示される)ことを示しています。

ところが Per­plex­i­ty と Chat­G­PT の場合、引用の順番とコンテンツの経過日数の間に正の相関を示しており、新しいコンテンツが上部に掲載されています。ツールが回答生成時に、公開日に基づいて意図的に順序付けを行っているようです。

URL の掲載順位と平均経過日数(公開・最終更新)との相関を示す横棒グラフ。

まとめ

従来の検索結果と比較すると、AI アシスタントはより新しく、鮮度の高いコンテンツを好んで引用する傾向があるようです。このことから、LLM での可視性アップには、定期的なコンテンツ更新が有効かもしれません。

とはいえ、いくつかの注意点もあります。

  • 引用ページの平均経過日数が「2.9 年」であることを忘れないように。従来の検索と同様に、AI アシスタントもある程度の期間存在しているコンテンツの引用を好む。 
  • コンテンツ鮮度を最も重視していなかったのが Google で、今もなお、ほとんどの検索は Google で行われている。 
  • Google のジョン・ミューラー氏は、ページ内容への該当する変更なしに公開日のみを更新することに対して警告している。
  • コンテンツの鮮度は、可視性に影響を与える数多くの要因の一つに過ぎない。中身のない低品質コンテンツを毎日更新しても、AI 検索での可視性アップに魔法のような効果はない。
  • コンテンツアップデートにもコストはかかる。実のところほとんどのブランドにとって、コンテンツの頻繁な更新にリソースを投じるより、高品質な新コンテンツ制作に注力する方が、良い結果が得られるのではないかと筆者は見ている。

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