事例

Hakuhodo DY ONE × Ahrefs 10 年の信頼が支える、業界横断の SEO 戦略

河原田 隆徳 (TAKA)
Ahrefs 日本マーケティング統括。 国外 SaaS 企業における日本市場向けのマーケティングとローカリゼーションで 10 年以上の経験を積み、現在は Ahrefs の日本マーケティングを統括。ユーザーの皆さんと共に、Ahrefs を日本で盛り上げることを目標に、日々全力で取り組んでいます。

大手デジタルマーケティング会社が実践する、 SEO ツール活用の最前線

株式会社 Hakuho­do DY ONE は、デジタルマーケティング全般を手がけ、 SEO の領域においても、長年にわたる知見と実績を活かし、業界内で確かな信頼を築いている企業です。今回は、同社で SEO 領域の最前線に立つ二人のスペシャリストにお話を伺いました。

お一人目は、オウンドソリューション本部 SXO ソリューション局 局長の登章良様。 SEO 経験 16 年を誇り、米国 PMI ®認定 PMP ® の資格も所持する、業界屈指のエキスパートです。登様は最近 Ahrefs アンバサダーにも就任されました。そしてお二人目は、 SEO 経験 11 年の実績を持つ SEO コンサルタントの増渕様。豊富な経験と確かな専門知識を持つお二人に、 Ahrefs の活用法や SEO 戦略の最新トレンドについて語っていただきました。

向かって左手からオウンドソリューション本部 SXOソリューション局 局長 登章良 様、向かって右手第一SXOコンサルティング部 増渕佑美 様

導入背景: 10 年前のペナルティ対応から始まった信頼関係

Hakuho­do DY ONE が Ahrefs を導入したのは今から約 10 年前のことです。当時は、 Google のリンクスパムペナルティにより検索順位が下がり、収益が落ち込むクライアントからの相談が相次いでいた時期でした。被リンク精査のニーズが高まる中、同社は Ahrefs の導入を決断します。

「 10 年前は、SEOを目的に被リンク業者から有料リンクを購入する企業も少なくなかった背景もあり、リンクスパムのペナルティに悩むクライアント企業からの新規のお問合せが多く、その対応をきっかけに被リンク精査の場面で Ahrefs を利用し始めました」と登様は振り返ります。当初の目的は被リンクデータの取得でしたが、ツールのアップデートに合わせて様々な機能を試すことで、活用の幅を段階的に広げていったといいます。

一方、増渕様が SEO を始めた頃には、すでに社内で Ahrefs が標準的なツールとして定着していました。「私が SEO を始めた頃には、もうすでに Ahrefs が身近にあったような状態で、それ以来今日までずっと活用し続けています」と増渕様。新機能が追加されるたびにすぐ試してデータの取得方法を確認し、必要に応じてヘルプ記事も参照しながら習得することが習慣になっていたと語ります。


Ahrefs を選んだ 3 つの決定的な理由

1. 戦略策定に必要な定量データを一元取得

同社が Ahrefs を選択した最大の理由は、 SEO 戦略策定に必要な定量データを 1 つのツールで取得できる点にあります。

SEO の戦略策定に必要な定量データを、 1 つのツールで取得できる点が最大の魅力です。弊社では 3C 分析を行いますが、マーケットボリューム、順位、想定流入など自社と競合のデータを一括で取得できるツールは、数としては少ない印象です」と登様は語ります。

SEO/AEO 分析ツール Ahrefs で、自社・競合の URL を入力するだけで順位、想定トラフィック、キーワードなどのデータを一括で分析できる

具体的に同社では、 SEO3C 分析において以下の要素を重視しています。まず Com­pa­ny (自社)として現在の順位状況と想定流入数を把握し、次に Com­peti­tor (競合)として競合他社の順位とトラフィック推定値を分析します。そして Cus­tomer (市場・顧客)としてユーザー調査とマーケットボリュームと検索需要の動向を追跡します。これらの情報を統合的に分析することで、戦略の優先順位を明確化し、 ROI の高い施策に集中できるようになっています。

2. 分析範囲の柔軟性

ドメイン全体での分析から、特定のランディングページに対するキーワード順位評価まで、全体最適と個別最適の両方に対応できる分析範囲の広さも重要な選択要因となりました。

SEO に関して、全体最適の視点と個別最適の視点で整理してお話することがあるのですが、ドメイン全体で分析することはもちろん、特定の LP に対してのキーワードの順位評価も行うことができるため、あらゆる粒度での SEO 評価が可能になります」と登様は説明します。

3. 分析精度の調整機能と業界認知度

簡易調査からディープな調査まで、クイックエクスポートからフルエクスポートまで対応でき、調査の精度を自由に調整できる点も魅力だと登様は語ります。「また、 SEO 関係者で知らない人がいないほど有名で、外部の方と共通言語でお話しできるのも自社のビジネスにとって利点ですね」。


実務での活用方法

直感的な UI / UX による効率的な分析

増渕様は、 Ahrefs の分析機能について次のように述べています。「分析機能が豊富で、特定のキーワードの過去の順位履歴や検索結果の差し込み枠の状況なども、個別のキーワードで確認できます。ちょっとしたデータの変化があった時に、その背景を深掘りする際に活用しています」。

また、「直感的に使える UI / UX になっているので、頻繁なツール機能のアップデートがあっても、新しい機能をすぐに使いこなせてしまう点もメリットのひとつです」と増渕様は続けます。


具体的な業務プロセスでの活用

1. 戦略策定フェーズ

Hakuho­do DY ONE では、 SEO の戦略策定から施策の企画までのプロセスとして、まずユーザーおよびマーケットの調査を行います。

「弊社の場合、 SEO の戦略策定から施策の企画までのプロセスとして、まずユーザーおよびマーケットの調査を行います。ユーザーがどういう検索クエリで検索しているのか、どういう検索意図で検索しているのか、ボリュームはどの程度かといった調査、そして順位を取得し、その順位状況から課題を見つけていきます」と登様は説明します。

具体的な活用内容としては、マーケット調査でユーザーの検索クエリとボリューム調査を行い、順位調査で競合との順位比較を実施し、課題抽出では SEO 評価指標(技術的要因、被リンク、ユーザー行動)の分析を行っています。主に Ahrefs を活用しているのは上記の 3 つの段階で、特に被リンクの評価においてその機能を活用しています。

2. 提案フェーズ

初回提案の際の事前準備においても、 Ahrefs は大きな役割を果たしています。

「初めて対面するお客様でも、事前に 30 分〜 1 時間ほど Ahrefs でサイトデータを確認しておけば、定量的な情報を踏まえて会話できるため、要件ヒアリングの精度が高まります」と増渕様。この事前準備により、限られた時間でも本質的な課題発見が可能になり、より価値の高い提案につながっているといいます。

3. 施策立案・分析フェーズ

施策立案や分析のフェーズでは、クライアントと競合サイトの両方から詳細なデータを収集し、丁寧に比較分析を行います。

「施策立案や分析のフェーズでは、上位表示されているキーワードや流入の多いページ、サイト構成などを、クライアント企業と競合の両サイトから収集し、丁寧に比較して違いを分析しています」

と増渕様は語ります。具体的な分析項目としては、上位表示キーワードの分析、流入上位ページの調査、サイト構成の分析、クライアントサイトと競合サイトの比較分析を実施しています。

4. 業界横断分析

代理店ならではの活用方法として、コアアップデート時の業界横断分析があります。

「代理店ならではかもしれませんが、コアアップデート時には業界横断で動きのあったサイトの状況を把握するためにバッチ分析機能を活用し、複数ドメインのデータを一括取得して業務効率化につなげています」と増渕様。この業界横断的な分析を行うことで、クライアントへの影響を個別の問題としてではなく、市場全体の流れとして捉えられるようになり、より的確な対策につなげられます。

Ahrefs バッチアナリシスで、最大 1,000 件の URL のオーガニック流入やキーワード、DR(ドメインレーティング)などを一括で分析・エクスポートできる

エンタープライズレベルでの価値提供

大規模サイト対応

エンタープライズレベルのサイトは規模が大きく構造も複雑ですが、 Ahrefs はこれらの課題に対して強力なソリューションを提供しています。

「エンタープライズレベルのサイトは規模が大きく構造も複雑ですが、サイト構成ツールを見ると、どんなサブドメインがあるのか、サブディレクトリー単位でどういった状況なのかが一目で確認できるので、多くの場面で活用しています」と増渕様。また、「大規模データでもフィルター機能を使ってツール上で見たいデータを抽出できる点も良さのひとつです」と続けます。

Ahrefs サイトエクスプローラーで、AhrefsBot がクローリングした膨大なデータを蓄積しているため、大規模サイトのサイト構成を可視化し、各ページへの流入情報なども事細かに分析できる

エンタープライズサイトの特徴的な課題としては、複数のサブドメイン・サブディレクトリの管理、膨大なページ数による分析の複雑化、組織横断でのデータ共有の必要性が挙げられます。 Ahrefs は、包括的な分析機能と直感的なインターフェースを備え、これらの課題解決を強力にサポートしています。

意思決定支援

エンタープライズ企業における意思決定において、 Ahrefs は不可欠な存在となっています。

「ウェブサイトを成長させるために必要な意思決定の材料の宝庫として、大きな価値を得ています」と登様は語ります。競合状況が見えにくい中でも、戦略決定や定量的な情報を求められるエンタープライズにとって、十分な価値が得られているといいます。

さらに登様は、「エンタープライズになると、順位上昇の蓋然性や、その戦略を取った際に得られるリターンの大きさなど、定量的な情報を求められるケースが増えます。 Ahrefs のクロールデータを母数として、自社と競合の相対的な位置づけを比較できる点で、企業によっては、有効な選択肢の一つになり得るかと考えます」と説明します。

データの信頼性と説得力

マーケティングツールにおけるデータの信頼性は常に重要な論点ですが、 Ahrefs はその点でも高い評価を得ています。

「もちろん、実数値とは違うという点や、定量データを基に抽出した課題が解決すべき課題なのかという点はどのマーケティングツールにおいても考慮が必要です。ただ、 Ahrefs のクロールデータを母数とすることで、その中での自社と競合の相対比較が可能になり、戦略策定に十分活用できます」と登様は語ります。


印象的な成功事例

事例 1 :業界横断データを活用した講演

登様は今年、某 SEO カンファレンスにて、データアセット活用の重要性について講演を行いました。この講演は、 Ahrefs の大量データを活用した業界横断的な分析に基づくもので、説得力のある内容となりました。

「データアセットの活用は『ユーザーの意思決定材料として機能する(検索体験の向上)』『被リンク獲得装置として機能する』といった点をお話させていただきました」と登様。

特に被リンク獲得装置として機能する理由を明確に示せたのは、 Ahrefs で業界横断的に被リンクを収集・分析したからだと説明します。「一般的には、どこのサイトからリンクを貼られているか、という話に焦点が向きがちですが、自社に向かうリンクをサイト全体で集計することで、自社アセットを活用したコンテンツ拡充がリンク獲得に寄与する、というデータを提示することができました」。この講演は単一事例の紹介にとどまらず、 Ahrefs の大量データに基づく業界横断的な知見として、妥当性のある内容となりました。

事例 2 :トピッククラスター戦略の成功

増渕様が手がけた記事メディアの案件では、 Ahrefs のキーワードエクスプローラーを活用したトピッククラスター戦略が見事に成功しました。

「記事メディアで、ビッグキーワードでの上位表示が難しい案件に対し、 Ahrefs のキーワードエクスプローラーを活用してトピッククラスター戦略を実施しました」と増渕様。広いテーマを扱う基軸コンテンツを中心に、関連するサブトピックのコンテンツを多数作成し、内部リンクでしっかり結びつけることで、ユーザーのニーズを満たしていくという戦略です。

Ahrefs キーワードエクスプローラーで、ユーザーニーズのあるキーワード、競合が獲得済みのもの、未開拓のニーズまで可視化し、記事構成に活かせる

サブトピックをどう組み立てるかを調査する際、 Ahrefs のキーワードエクスプローラーが威力を発揮しました。「実際にユーザーのニーズがあるもの、競合がすでに獲得しているもの、そしてまだ競合も拾えていないニーズまで深掘りしながら構成を組み立てた結果、 30 位台で停滞していたビッグキーワードを、 1 ページ目前半まで押し上げることができました」と増渕様は成果を語ります。


AI 時代への対応戦略

デジタルマーケティング業界の将来展望

AI 技術の進歩がデジタルマーケティング業界に与える影響について、同社は冷静かつ戦略的な視点を持っています。

AI 技術については賛否両論あると思いますが、現状では AI の影響は認知・検索・訪問のプロセスの中でも検索領域にとどまっている印象です」と登様は分析します。今後、検索領域に閉じた世界から、ウェブサイト全体に波及する可能性も考えているといいます。

UX に振り切ったウェブサイトの課題

もしその世界観になった場合の SEO への影響についても、登様は見解を示します。

「もしその世界観になった場合、 UX に振り切ったウェブサイトも出てくると思います。しかしこれまでの歴史を振り返ると、 UX を重視しすぎた結果 SEO を損なった事例がいくつかあります。そのため、テクニカル SEO の重要性や優先度は今後さらに高まっていくのではないかと思います」。

生成 AI 検索への具体的取り組み

AI 時代において効果的なコンテンツ戦略を構築するには、 AI 検索と AI Overviews を分けて考える必要があります。

AI 検索エンジンへの対応として、同社は学習フェーズと推論フェーズを明確に区別した戦略を展開しています。

AI 検索エンジンに関して当社では、『学習』と『推論』に大別し、それぞれのフェーズにおける参照データから、AI検索 における順位スコアとの相関性調査を経て、ご提案を行っています」と登様。学習フェーズでは主にブランド認知や言及の拡大や、推論フェーズでは AI がブラウジングして検索エンジンを参照する挙動を踏まえ、各エンジンが何を見ているのかを調査し、ブラウジング機能を考慮した SEO を推奨しているといいます。

「また、AIの回答については、必ずURLが含まれるとは限らないため、評価はドメインスコアだけでなく、ブランドの言及量やポジティブ・ネガティブの傾向も加えて、総合的に行っています」と登様は詳しく説明します。

AI Overviews への対応

AI Overviews に関しても、同社は詳細な分析と個別最適化のアプローチを取っています。

AI Overviews に関しては、Google のランキングとの相関があるという調査結果が見えているので、通常の SEO を行うことが重要ですが、それ以外にも対象キーワードにおける AI Overviews の表示状況、そこで表示されているクエリ、上位表示されている LP などを分析した上で、コンテンツ戦略の企画につなげています」と登様。通常の SEO と変わらず、細かいクエリに対する解釈がユーザーと生成 AIAI Overviews 上の回答で異なってくるため、個別最適で対応しているといいます。

ブランドメンション分析の活用

Ahrefs のブランドレーダー機能は、ブランドメンション戦略において重要な役割を果たしています。

「 Ahrefs のブランドレーダーを活用して競合比較を行い、メンション数に差がある場合は、競合がどういった文脈で言及されているかを分析し、クライアント企業のブランドメンション獲得につながる示唆出しを行っています」と増渕様は語ります。

Ahrefs ブランドレーダーで、ChatGPT、AI モードなど AI 検索における自社と競合のブランドメンション数や言及文脈を比較分析し、メンション獲得のための戦略立案に活用できる

登様によれば、「ブランドレーダーは、 AI 検索エンジンにおけるトラフィックのポテンシャル、競合相対での現状分析に活用させていただいています。実際の回答文もインターフェース上で表示されているので、ブランドの言及がどこからのものかを正しく見極めることができます」。


AI モード への見解

AI モード の登場に対して、同社は Ahrefs のデータを活用した実証的な検証を行っています。

Hakuho­do DY ONE でも記事をリリースしましたが、「米国のデータを見ると生活者の検索行動が変化しており、一部では AI モードの 9 割がゼロクリックになるという指摘もあります。この点を踏まえると、ユーザーの利用方法次第では、企業のウェブサイト運営者にとっては SEO トラフィックを毀損する可能性があると考えられます」と登様は語ります。

一方で、実際に Ahrefs のデータを使って、米国の AI モードのリリース前とリリース後で詳細な調査を実施したといいます。「複数の業界の米国の主要サイト 100 サイト以上を調査しましたが、マクロ環境では実際にはあらゆるサイトのトラフィックが下がっているという傾向は確認されておらず、騒がれているほど大きな転換というよりは、徐々にユーザーの用途に応じて棲み分けしていくような形になると考えています」と登様。

増渕様も、「影響については、すぐには大きく出ないのではないかと思います」と述べます。ただ、「 2025年9月に Google が Chrome のアドレスバーに AI モードを搭載すると発表しました。今はアメリカでの利用率が低いとしても、 Google が今後どうするか次第で状況が大きく変わる可能性があります。長期的には生成 AI の影響が必ず出てくるため、 AI と共生するためのコンテンツ戦略を視野に入れていく必要があります」と指摘します。


今後への期待とアドバイス

Ahrefs アンバサダーとしての展望

Ahrefs アンバサダーとして、登様と増渕様はそれぞれの視点から普及活動への意欲を語ります。

SEO に関するティップスをお話しするのはもちろんですが、マーケティング担当者が『これが欲しかった』と思えるデータが必ずあるはずなので、それをしっかりと可視化して啓蒙し、『Ahrefs が適している』と思っていただけるようなテーマでの啓蒙活動ができればと考えています」と登様。

本年8月に、Hakuhodo DY ONE オウンドソリューション本部 SXOソリューション局 局長の登章良様が、マーケティングプラットフォーム「Ahrefs」日本公式アンバサダーに就任。

増渕様は、 SEO ツールの枠を超えた価値の普及を目指します。「社内の SEO 担当以外のメンバーから Ahrefs のデータを見たいという声が出ています。今は SEO ツールとしてのイメージが強いと思いますが、実際にはマーケティング全体で使えるデータがたくさんあるので、その価値とともに普及させていければと思っています」。

新規導入を検討される方へのアドバイス

エンタープライズ企業での導入を検討している方に向けて、お二人は実践的なアドバイスを提供します。

「エンタープライズにおける戦略策定では、定性的・感覚的な提案は組織承認を通りづらい現実があります。 Ahrefs は 3C 分析の視点での定量データが揃っているため、マーケティング担当者の強い味方になると思います」と登様。

増渕様は、ツールの包括性と進化性を強調します。「 Ahrefs には、 Google SEO の分析に必要なあらゆるデータがすでに揃っています。豊富なデータを十分に解釈することができれば、それだけでも分析や課題発見の精度が向上すると思います。さらに Ahrefs は SEO トレンドに合わせて継続的にアップデートされており、新機能が出ればすぐに分析できるようアップデートしてくれるという信頼感もあります」。

今後の期待

今後の Ahrefs への期待について、登様は検索プラットフォームの多様化を見据えた展望を語ります。

「 Google や AI に限らず、マーケティング戦略の策定に役立つ多様な検索プラットフォームの定量データを扱えるようになることを期待しています。実現すれば特定の検索プラットフォームに偏ることなく、検索市場全体を俯瞰したデータを参照できるため、戦略策定に伴う意思決定の材料として価値をご提供いただける認識です。特にエンタープライズでは、戦略や施策を実行する際に得られるリターンの規模、蓋然性、定量データを求められるケースも多いです」。

同社のお客様には、業界内で最上位のポジションを占める方が多くいらっしゃいます。「競合の中で 1 位を獲得し天井がなくなったときに、その先で何をすべきかという新たなマーケットについてのご相談も多くいただきます」と登様。「複数のプラットフォームを横断的に分析できるようになれば、エンタープライズでライセンスのニーズもより高まると思います」と展望を語ります。


まとめ

Hakuho­do DY ONE の事例は、大手デジタルマーケティング会社がいかに Ahrefs を戦略的に活用し、 10 年間にわたって進化する SEO 環境に対応してきたかを示しています。単なるツール利用にとどまらず、クライアントの意思決定支援、業界横断分析、さらには AI 時代への対応まで、包括的な SEO 戦略の中核として Ahrefs を位置づけている点が印象的です。

特に注目すべきは、 AI 技術の進歩に対して過度に反応することなく、データに基づいた冷静な分析を行い、長期的な視点で戦略を構築している点です。 AI 検索や AI Overviews、AI モード といった新しい技術に対しても、 Ahrefs のデータを活用して実証的な検証を行い、クライアントに対して根拠のある提案を行っています。

エンタープライズレベルでの SEO 運用において、定量データに基づく戦略策定の重要性と、それを支えるツールとしての Ahrefs の価値が明確に示された事例と言えるでしょう。また、 10 年間という長期にわたる活用実績は、ツールとしての信頼性と継続的な進化の証明でもあります。


プロフィール

登 章良 様

株式会社 Hakuho­do DY ONE オウンドソリューション本部 SXO ソリューション局 局長
ONE-AIO Lab 所長
2010 年からさまざまな業界における大規模サイトの SEO を中心に経験。 SEO エンジニアとしてサイト制作の経験を積んだのち SEO コンサルタントへ転身し、サイト制作の工程から集客に至るまでの体系的なスキルを保有。5~10年以上にわたる伴走型コンサルティングの実績が豊富。米国 PMI ®認定資格、 Project Man­age­ment Pro­fes­sion­al ( PMP ) ® 所持者。

増渕 佑美 様
株式会社 Hakuho­do DY ONE オウンドソリューション本部 SXO ソリューション局 第一SXOコンサルティング部
2014 年から現在まで、多岐にわたる業種やサイトタイプの SEO を担当。5 年以上の長期にわたり継続するクライアント企業が多く、伴走型コンサルティングの実績が豊富。社内外向けの勉強会も多数企画・実施し、SEO 知見の共有や啓蒙にも力をいれている。


会社概要

株式会社 Hakuho­do DY ONE  https://www.hakuhodody-one.co.jp

Hakuho­do DY ONE は、インターネット広告黎明期より培ったデジタル広告の知見とノウハウを活かし、統合的なデジタルマーケティングサービスを提供しています。マーケティング戦略立案力、クリエイティビティ、高度な運用力と技術開発力、媒体社・プラットフォーマーとの強固な関係性を強みとし、国内外のクライアント企業に対して、デジタル起点でのマーケティング戦略やテクノロジー活用を包括的に支援します。

博報堂DYグループの「デジタルコア」として、グループ内のナレッジやリソースを集約し、高い専門性と提案力を併せ持つ企業として業界随一のデジタルマーケティング会社となることを目指します。

  • 本社所在地: 〒 107‑6316 東京都港区赤坂 5 丁目 3–1 赤坂 Biz タワー
  • 代表者: 代表取締役会長 田中雄三 代表取締役社長 小坂洋人
  • 株主: 博報堂DYグループ 100 %
  • 社員数: 約 3,172 名( 2025 年 4 月 1 日時点)
  • 創立: 2024 年 4 月 1 日
  • 事業内容: デジタルマーケティング全般にまつわる企画・コンサルティング・代行事業・投資事業

Ahrefs Pte. Ltd. (エイチレフス)

Ahrefs Pte. Ltd. は、世界トップレベルの規模を誇る独自クローラーとデータ技術により正確かつ鮮度の高いデータを収集・解析し、世界をリードする SEO 分析機能を主軸とし、AI 検索分析、AI コンテンツ作成、ウェブトラフィック分析、SNS 投稿などマーケティング機能を網羅したオールインワン・マーケティングツール「Ahrefs(エイチレフス)」を開発・提供しています。世界 180 カ国以上、60 万人を超えるユーザーに利用され、競合分析からコンテンツ戦略まで、データに基づいた効果的なマーケティング戦略の立案・実行を支援しています。

  • 本社所在地: シンガポール
  • 設立: 2010 年
  • 代表者: Dmit­ry Gerasi­menko (創業者・ CEO )