
コンテンツの公開から日が経つにつれてトラフィックは減っていく。これはコンテンツ制作における普遍の原理のようなものです。
しかし筆者は最近、失ったトラフィックを(多少)取り戻すための新たな手法を発見しました。
このやり方は簡単で、コンテンツギャップを埋めればよいだけです。
このブログでは、AI コンテンツヘルパーを使って労力を使わずにコンテンツを更新し、大きな効果を得るための筆者の方法をご紹介します。これにより、記事のトラフィックが平均最大 72% 増加しました。
筆者は昨年 8 月に AI コンテンツヘルパーを使った記事の更新作業を開始しました。
更新したすべての記事はその都度 Ahrefs ポートフォリオに追加して、それらのページへのトラフィック集計を確認できるようにしました。

この手軽な(半日もかからない)更新作業をしただけで、トラフィックは最大 72% 増加しました。

この手法は必ずしもサイトのトラフィックを根本から改善するものではありませんが、サイトにとって確実にプラスになる変化をもたらし、減少したページ閲覧数を取り戻すのに有効です。
これまでも、筆者は既存のコンテンツが息を吹き返すように多くの時間を費やし、さまざまな工夫で内容をアレンジしてきました。それなのにほとんど結果を得ることができなかった経験をもとに考えると、今回のやり方は大発見。必要な労力に対して得られる成果のコストパフォーマンスがはるかに優れており、担当者が積極的に取り入れたいと思えるような手法だと思います。
コンテンツギャップにフォーカスしてコンテンツを修正する意味とは?
検索エンジンは、自然言語処理を使ってコンテンツ内のトピックや項目を特定する機能を備えています。
SEO 専門家の中には、「Google はトピックと各項目の情報の充実度を査定し、それを検索結果ランキングに反映させている」と考えている人もいます。
だからこそ、この手法は効果が高いと思うのです。
というのは、ネットユーザーが求めて検索する特定のトピック関連情報をあらゆる角度からカバーしてコンテンツをより網羅的にすればするほど、検索エンジンがそのコンテンツを上位にランクインさせる可能性が高くなるからです。
次の項目では、筆者がターゲットトピックを見つけてギャップを解消する方法を最初から最後までご説明していきます。
手早くその内容を知りたい場合は、筆者が全プロセスを解説するこちらの動画をご覧ください。
この手法の目的は、労力をかけずに高い効果が得られるコンテンツ更新のターゲットを見つけることです。
これをするには、サイトエクスプローラーに移動し、Ahrefs ブログのサブフォルダページのアドレス(画像内①)を入力し、上位ページレポート(②)に移動して、「トラフィック」から下降フィルター(③)を選択、特定の対象期間 (④、通常は 6 か月から 1 年) に絞ってデータを表示させます。

画像内⑤のコンテンツの変更レベルが「小」または「中程度」のコンテンツに絞り込み、チーム内の他のメンバーがまだ更新していないコンテンツで、トラフィックの減少が最も大きい記事(⑥)を探しましょう。

更新に関する詳細情報を確認するには、緑色のアイコンをクリックして「ページ検査」をチェックしてください。ここでは、指定期間内に記事に対して実行された変更内容が HTML ビューまたはノーコードビューで表示されます。

変更レベルが「小」「中程度」コンテンツの場合、通常、書き換えられた文章の箇所がハイライト表示されます(「小」は新しいウィジェットが埋め込まれたなどの情報、「中程度」は意味が通らなかった文章を書き換えたなど)。このどちらも更新に適したターゲットコンテンツとなります。
下の場合は、「SEO 監査」に関する記事にいくつかの内部リンクが追加されていましたが、記事のトラフィックを増やす効果はあまり無かったようです。

さらにこの記事は、過去 1 年間のトラフィックが最大マイナス 75% の大幅減少を見せているというデータからも、今回ご紹介する手軽に素早くできるアップデートの有力な対象候補となりました。
更新する記事が決まったら、ここからは以下の手順で AI コンテンツヘルパーにコンテンツ修正をサポートしてもらいましょう。
- 記事の URL を入力
- ターゲットキーワードを入力
- ドキュメントを作成
- どの検索意図を対象にコンテンツを最適化したいかを設定

ここでは、記事のトピックや形式に最もマッチする検索意図を選んでください。例として使った SEO 監査に関するブログ記事の場合、これは「網羅的な情報提供ガイド」であり「簡単に使えるサイト監査ツール」ではなかったので、前者を選択しました。
そうすると、スコア(①)、推奨事項(②)、関連用語(③)、競合他社による関連コンテンツの抜粋(④)など、トピックの内容充実度に関連するデータが揃った包括的なレポートが表示され、これを記事の更新作業に活用することができます。

レポートで検出されたトピックの中でスコアの低いものを確認し、それらのトピックをターゲットにコンテンツの改善に取りかかりましょう。
文章を修正する際には、関連用語や推奨事項を参照しながら、常にそれらを念頭に置いて執筆内容についてリサーチし、書き直しをするようにしてください。

編集画面で直接コンテンツを更新すると、変更に応じてリアルタイムでトピックスコアが上昇していくのを確認できるという利点があります。さらに、AI アシスタントを使うと文章表現に対する詳細なアドバイスや提案が受けられます。

たとえば、URL 欄は空白のままで、キーワードに「ブランド認知度の測定方法」と入力してドキュメントを作成しました。
AI コンテンツヘルパーが提案したコアトピックと推奨事項を、記事の構成に利用しました。
記事を公開後に同ツールを使ってレポートを作成し、内容を評価させたところ、トピックカバー率のスコアは 100 点満点中 88 点 を獲得しました。
これは悪くない結果です。
「SEO 監査」ブログの例に戻ると、「内部リンク戦略」のトピックを除けば、核となるトピックのほとんどが十分なレベルでカバーされていました。

これにより改善の糸口が見つかりました。内部リンクに関する新セクションを追加して記事を充実させ、内容をより最新のものにするために、Google 検索結果の「AI による概要」と「強調スニペット」を対象とした監査のステップも追加しました。

その結果、ページビューが 22,000 件に達し、142% 増加しました。ピーク時のトラフィックにまでは回復していませんが、わずか半日での作業としては十分な成果だと言えるでしょう。

トピックのギャップを解消したり、簡単に内容を更新して公開したりするときに考慮すべき点がいくつかあります。
まず、「手早く」更新するのに適したコンテンツかどうかを判断
コンテンツギャップを解消するだけのちょっとした更新で、すべての記事のパフォーマンスが改善されるというわけではありません。
たとえば、調査内容や調査データが古くなっている場合、(検索エンジンのアルゴリズム更新などによる)業界のベストプラクティスの変化、(会社の買収や新製品発売などによる)ビジネスカラーの変更、ネットユーザーの検索意図の変化といった大きな変化により既存コンテンツの情報が古くなってしまった場合は、記事の完全なリライトが必要になるでしょう。
ゼロから書き直す必要があるもう 1 つのケースは、記事全体でトピックのカバー率スコアが低い場合です。これはコンテンツがネットユーザーの検索意図にマッチしていないという明確なサインで、根本的な改善が必要です。
たとえば、AI チャットツールから流入するトラフィックに関する筆者の最新調査記事の内容は、キーワード「AI トラフィック」に対する SERP の検索意図とは一致していません。そのため、AI コンテンツヘルパーによる評価は低く、黄色、オレンジ色、赤色のスコアばかりです。

低スコア評価の原因となった主要な SERP の検索意図を見てみると、幸いこれらはすべて「AI による車の交通管理」に関するもので、上位ランクインする必要がないキーワードばかりでした。もしこの検索意図に合わせて上位表示させたい場合、スコアがこれほど低い時は記事を最初から書き直す必要があります。
こういったコンテンツギャップの簡単な修正は、それによってコンテンツのパフォーマンスが実際に向上すると見込める場合にのみ行ってください。
この判断にあたっては、以下の項目を基準にすることができます。
記事の内容が検索意図と一致していることを確認
AI コンテンツヘルパーで全体のトピックスコアを確認するか、SERP の概要レポートで Ahrefs の「意図を特定する」機能を使って、コンテンツが主要な検索意図と一致していることを確認してください。

内容と検索意図が一致しない場合、トピックギャップを手早く更新してもトラフィックの減少を好転させることはできません。
ユーザーエンゲージメントの度合いを確認する
コンテンツの更新が価値あるかの判断において「息を吹き返しそうな兆候」が他にもないか確認しましょう。たとえば、Ahrefs の SEO 監査をテーマにしたブログの場合、オーガニックトラフィックは過去 1 年で減少していたものの、Ahrefs ウェブ分析によると訪問者のページ滞在時間とユーザーエンゲージメントの成績が素晴らしく、この数字がこの記事には更新する価値があると教えてくれました。

ビジネスと関連性があるコンテンツかどうか再確認
コンテンツは必ずあなたの製品やビジネスに関連した内容にしてください。コンテンツのギャップを埋めるために手早い更新を行えば閲覧数が増える可能性はありますが、記事がもはや存在しない製品や機能について書かれているのであれば意味がありません。現在提供している製品や機能について社内で十分に確かめてください。
トピックのギャップ解消以外にもできる「手軽な更新」
この記事ではトピックのギャップを埋めることに重点を置いていますが、手早くできるコンテンツ更新方法は他にもあります。
たとえば、記事のトラフィックは最低レベルであるものの、AI コンテンツヘルパーがトピック充実度を高く評価している場合は、ランキング上位を目指すために他にできることがあるかもしれません。
メタデータを改善したり、内部リンクを増やすことが有効な場合があります。
AI コンテンツヘルパーはトピックを充実させるだけでなく、タイトルタグ、メタディスクリプション、見出し、内部リンク(近日追加予定)の最適化にも活用できます。

他社コンテンツとの差別化
今回ご紹介しているこの「手早いコンテンツ更新」手法に関して筆者が抱いた懸念の 1 つは、結果として Ahrefs のブログ記事が競合他社とあまりにも似通ったものになってしまわないか、という点でした。結局のところ AI コンテンツヘルパーは、SERP の上位競合企業のコンテンツと比較してトピックのカバー率を評価した上でのアドバイスをくれるツールだからです。Ahrefs のコンテンツをワンパターンにはしたくありませんでした。Ahrefs のブログはこれまで、その型にはまらないスタイルで非常に好評だったからです。
そのため、筆者は 1 つか 2 つのトピックのみをターゲットに定め、文章を満足なレベルまで修正してから、自ら行った調査、ダウンロード可能なコンテンツ、実用的なツール、新機能開発のニュース、マイナーで独創的な意見、特ダネなど、何らかの形で独自情報を追加するように意識しています。
たとえば、ブログ記事テンプレートの紹介記事を更新したとき、Claude Artifacts(アーティファクト)を使って、追加したトピックに関連した新しくダウンロード可能なテンプレートを生成しました。
この自動コンテンツ生成により、更新スケジュールに遅れることなくユニークで価値のある内容を補足することができました。

タイトルタグについての記事を更新したときには、意図識別ツールで見つけた検索意図の変化の例など、具体的な例を画像とともに追加しました。

また、読者が自分のブログタイトルにコピーして使えるような、ChatGPT 生成の「記事タイトルに使えるパワーワード一覧」も追加しました。

SEO 監査についてのブログ(先述の例)を更新したときも同様に、(Google 検索結果で表示される)「AI による概要」と「強調スニペット」が SEO 監査にもたらす影響を取り上げた新しいセクションを追加し、さらにそれを Ahrefs のオリジナル調査とデータで裏付けることで、ブログの情報をより最新の内容に進化させました。

また H1 タグに関する記事を更新したときは、ブログの見出しに検索キーワードと完全一致する単語を用いることの効果についての GotchSEO による最近の調査結果を引用しました。

これは、コンテンツをより最新で、ネットユーザーに役立つ実用的な内容にするためのちょっとした「お手軽な」改善方法です。 コンテンツがカバーする項目の数を増やすだけの目的で、専門用語の定義を載せてみたり、よくある説明文を追加したりする誘惑に駆られますが、第 1 にそういった文章は読むのが退屈で、第 2 に、それは他の誰もがすでに行っていることです。
筆者のコンテンツ補足方法が画期的だと言っているわけではありませんが、少なくとも多くの人のコンテンツ改善のやり方とは一味違っています。

AI コンテンツヘルパーはアウトラインや下書きの作成に活用するのに最適のツールですが、取り上げるべき事象やトピックの提案をそっくりそのまま取り入れるだけでは、おそらく他社を真似したコンテンツが出来上がってしまいます。
一方、読者を惹きつけるような書き出し、引用文章、データ、またはその他のユニークな視点からコンテンツを書き始めると、テーマとなる情報をより面白い内容に構成することが可能となります。
すべてのトピックのスコアを 100 点まで上げることにこだわって作業に時間をかけすぎたり、実際のコンテンツのクオリティを二の次にしてしまわないように注意してください。
充実させたいトピックを 1 つか 2 つ選んで、人々が実際に読みたくなるような内容を追加することにフォーカスしましょう。そうしないと、関連トピックを表面的なレベルで取り上げられて羅列しただけのブログになってしまい、誰も読みたいとは思わないでしょう。
さらに、1 つか 2 つのトピックに絞って改善することで、その分の作業が生み出した効果を具体的に測定しやすくなります。
更新の繰り返し
こういったトピックギャップの手早い改善作業は、実験のようなものだと思ってください。
小さな修正を繰り返すことで、その都度トラフィックにいくらかの増加がうまれ、それが積み重なっていきます。
更新済みの記事を対象に AI コンテンツヘルパーレポートを再実行すれば、トピックスコアを確認し、新たなコンテンツギャップを特定することができます。
たとえば、SEO 監査についてのブログに内部リンクに関するセクションを追加したところ、トピックカバー率のスコア 3 が最大 67 まで改善しました。

67 というスコアはまずまずですが、このテーマについてはさらに深く掘り下げることができると分かりました。

また、前回のレポートを作成して以来、SERP がわずかに変化しており、この記事には競合他社の分析についてのアドバイスを追加する余地があることが分かりました。

これを追加することで、トラフィックがさらに増える可能性があります。
まとめ
既存コンテンツを見返してばかりいる必要はありませんが、特にパフォーマンスの優れたページを再確認して、その内容を人々が求めている最新情報に保つ作業は、その時間と労力を割くだけの価値があります。
半日以内でできる手軽なアップデートに集中して取り組むと、うまくいけば失われたトラフィックを取り戻すことができ、最悪の場合でも時間やお金をあまり無駄にすることはありません。
トラフィック減少の原因とその回復方法を自分で解明しようとすると、かなり頭を悩ませてしまいます。
心配性だとお墨付きをもらっている筆者は特に、このワークフローが考えすぎず作業に取り組める非常に有効な手法だと感じています。コンテンツギャップを特定し、ギャップを埋め、トラフィックを観察する、これを繰り返すだけでいいからです。
これはコンテンツにフィードバックをもらい、その都度改善点を学び、修正後さらにアドバイスをもらうという好循環がうまれる、誰にでも取り入れやすい作業プロセスであり、今後のコンテンツ制作のスキルアップにも必ず役立つでしょう。