サイトエクスプローラー初級編:自社分析

寺山 裕樹
Ahrefs認定ライター/株式会社クリアリスト代表。 SEOとAEOで、検索流入からリード獲得までを設計・改善。小規模サービスサイトから大規模DB型サイトまで対応し、実務で使える手順と考え方を発信します。

Ahrefs(エイチレフス)認定ライターの株式会社クリアリスト代表の寺山(@smec_tera)です。

これまで、小規模サービスサイトから大規模データベース型サイトまで、規模を問わずSEOに取り組んできました。その中で、Ahref­sをなくてはならない相棒として、実務に取り入れ、さまざまな試行錯誤を重ねてきました。

本記事では、
「Ahrefsを導入したけれど、機能が多すぎてどこから見ればいいかわからない」
「結局、何ができるのか、自社にとって必要なことだけに絞って具体的に知りたい」
といった悩みがある方に向けて、基本機能から具体事例まで、初心者の方がすぐに成果につなげられる使い方を、活用事例を交えて解説していきます。

初めてAhrefsを利用する際、その多機能さゆえに圧倒されてしまう方も少なくありません。しかし、使いこなせば成果につながる非常に強力なSEOツールです。

せっかく使い始めたのにいきなりつまづいてしまわないように、Ahrefs活用の入口となる「サイトエクスプローラー」の使い方をご紹介します。、ここを理解することで、他の機能への理解も一気に進みます。なお、サイトエクスプローラーについては、初級編、中級編、上級編の全3回で解説する予定です。

実は、私たちのように業務でAhrefsを毎日使うようなSEO会社であっても、すべての機能を常に使っているわけではありません。重要なのは「今の自社の状態を知るために、どこを見るべきか」という指標の使いどころを理解しているかどうか、そして具体的な行動につなげるための改善点やアイデアを、どのような手順で見つけるかを知っているかどうかです。

Ahrefsの魅力は、莫大なデータベースをもとに、競合や市場全体を分析し、自社が取るべき改善アクション(=施策)を具体的に導きだせるところであると考えています。中でも、競合との比較を通じて自社を客観的に分析できる点は、大きな強みだと感じています。

自社の状況を正確に反映してくれるのは­Google Search Consoleです。しかし、当然ながら競合のSearch Consoleを直接確認することはできません。そのため、コアアップデートや業界全体の動きも含めた相対的な立ち位置も踏まえた自社の状況を把握するためには、このサイトエクスプローラーの機能の一つである「概要(Overviews)」が非常に有用なのです。

そこで、本記事は、Ahrefs活用の入口となるサイトエクスプローラーの中でも、さらに最初に押さえておきたい「概要」画面に注目します。ここで見るべき指標と基本的な使い方、また、分析の第一歩となる自社分析の方法を解説することで、サイトエクスプローラー全体を理解するための足がかりを作ることが目的です。

なお、基本的な説明は日本語のUIに基づいてお伝えします。必要に応じて、Ahrefsの画面最下部にある言語設定を日本語に変更してください。

概要を開いてすぐ、最上部にスコアカードがあり、その下に一般、被リンクプロフィール、オーガニック検索、有料検索などのタブがあり、その他にも、グラフや表で様々な情報がダッシュボードとして記載されています。

ここで情報量の多さに戸惑ってしまうかもしれませんが、日本でSEOに取り組むうえで実務上知っておくべき指標とみるべき場所は、実はそう多くはありません。

まずは、実務上知っておくべきAhrefsの指標と、その見方を下の表で確認しましょう。

なお、表にはさまざまな指標が並んでいますが、概要を見る上で特に重要なのは、ドメイン評価(DR)、参照ドメイン、オーガニックトラフィックの3つです。まずはその3指標を把握しておけば十分です。

指標名内容実践的な見方
ドメイン評価 (DR)被リンクに基づいたサイトの権威性。ドメインが獲得した被リンクの質と量に応じて、0から100までの範囲で表示される。サイト全体に対する基礎評価の目安として見ます。毎日確認するものではありませんが、競合と比較して「戦える土俵にいるか」を判断する際に重宝します。Ahref­s公式のChrome拡張機能を入れておくと、普段のブラウジングでも自然と活用することができます。

私自身の実務経験を踏まえると、各数値についてはおおむね次のような印象を持っています。

0–29:本格的にSEOを始めるには心もとない
30–49:SEOを始める基本的な土台は整っている
50–69:結果につながることを期待できる
70以上:もはやドメイン評価によるビハインドは考えにくくなる
URL評価 (UR)被リンクに基づいた特定ページの強さトップページだけでなく、特定のLPや記事単体の強さを測る時に見ます。DRほどわかりやすい数値傾向があるわけではないため、ページ間で比較する際にはURよりも被リンク(数)を見ることが多いです。
Ahref­sランク (AR)被リンクの質と量に基づいたデータベース内の相対的な順位日々の運用指標としては、あまり気にしなくてOKです。莫大なサイト数をデータベースとして扱っているため、日々の変化を見る用途には向いていません。
被リンク対象サイトにリンクしているリンク(URL)の数概要を確認する際はあまり注目することはありませんが、差分としてどれくらい競合のベンチマークサイトと離れているのかを確認する際に閲覧します。競合サイトとのレベル差を感覚的に知る用途では、DRを活用することが多いです。ほとんどの場合、キーワードエクスプローラーにおいて特定キーワードの難易度を把握するために使います。
参照ドメイン対象サイトにリンク(被リンク)しているドメイン(URL)の数「パフォーマンス」のグラフでは、参照ドメイン数の推移に注目することが多いです。これが右肩上がりならSEOはおおむね順調だと判断できます。滅多にありませんが、急減した場合は何が起きているかの調査をします。
オーガニックキーワード100位以内にランクインしているキーワード数「数」自体よりも、増減のトレンドを見ます。コンテンツを追加したのに増えていない場合は、インデックス状況を疑います。
オーガニックトラフィック検索経由の推定月間流入数最重要指標の一つ。グラフ上のGoogleアップデートなどのアイコンと照らし合わせ、変動要因を探るのがコツです。アップデート前後ではない場合は、日々の変動ではなく、週・月単位の傾向を見ます。
オーガニックトラフィックバリュー流入をリスティング広告費に換算した額予算を持つWeb担当者が、SEOの費用対効果(ROI)を簡易的に報告する際の材料の一つです。「広告ならこれだけの費用がかかる流入を無料で獲得している」と説明できます。

上記の表では紹介していませんが、概要の画面には他にも様々な指標が掲載されています。とはいえ、最初に理解しておくべき重要な指標は限られていますので、あえてここでは割愛します。

より深く、すべての指標を理解してから使い方を知っていきたいという方は、Ahrefsの操作画面で「i」の表記を探してください。マウスオーバーすると、定義がポップアップします。

ここからは概要内のスコアカード、グラフ、表の中で、重要なものを抜粋して使い方や具体的な施策アイデアに落とし込む方法をお伝えします。

スコアカード

スコアカードには、AI引用、被リンクプロフィール、検索の3つの種類があります。

これらはいずれも、すぐ上のタブで期間を選択することで、簡単に期間比較が可能です。

特に、DR、参照ドメイン、オーガニックトラフィックをざっと一目で全体の状況を確認する際に重宝します。

一般タブのパフォーマンス

概要において、最もよく活用するのが、スコアカードの下にある「一般」タブです。見たい項目にチェックを入れることで指標を絞り込み、期間を指定すると、日別、週別、月別といった単位で指標の傾向を把握するのに役立ちます。

すべての数字を毎日確認する必要はありませんが、「オーガニックトラフィック」と「オーガニックキーワード」のグラフ推移だけは定期的にチェックすることをおすすめします。

特にコアアップデートの前後において、すぐに影響があるのかどうかを判断するのに重宝します。右上の縦三点リーダーをクリックすると、Googleのアップデートが開始された日付(横軸)にアイコン(G)が表示され、自社のトラフィックに対する期間での比較が行いやすいです。その他にも、コンテンツの変更の大きさをバブルで示すことも可能であるため、Googleのコアアップデートや自社の施策実行日とトラフィック変動の相関が一目でわかり、「なぜ上がった/下がったか」を推測する手がかりになります。

また、競合との比較の中で自社の状況を分析するのにも役立ちます。「指標」の横にある「競合」タブをクリックすることで、競合サイトを入力することが可能です。

いくつか競合を入力することで、オーガニックトラフィックなどの各指標ごとの特定期間における傾向分析が可能になります。パフォーマンス以外にも、1~3位、4~10位、11~20位などの特定の順位範囲ごとのキーワードの獲得数比較も可能です。

おすすめの使い方としては、下記です。

  1. 競合を入力(※一度競合サイトを入力すると履歴に残るため、2回目以降はワンクリックで比較可能)
  2. オーガニックトラフィックの傾向を週別で比較
  3. 特定期間で上昇幅が大きい競合を特定
  4. 特定した競合のURL横の逆三角形をクリック
  5. 「上位ページ」を右クリックし、新しいタブで開く
  6. 特定期間の上昇がどのようなページやキーワードによってもたらされているのかを把握
  7. 特定の施策によるものか、自社に取り入れられるアイデアはないか調査する(※詳しい調査方法についてはまた別記事を作成予定)

このように、自社と競合の傾向に加え、Googleアップデートなどの外部環境の影響も一目で確認できるため、次のアクションを検討するためのきっかけとして非常に効果的です。

Pro Tip
基本的にAhrefsは、今見ているページに基づいて次にユーザーが求めるであろう情報を想定し、その情報のあるページを閲覧するための手間を極力省略するようなUIになっています。(上記の手順4がその例の一つです。)「ここをクリックしたらこのサイトのキーワードが見れないかな」「ここに解説があるといいんだけど」と言うような気持ちで探してみると、求めているページにすぐにたどり着けたりすることが多いため、ぜひお試しください。

上位のオーガニックの競合

上位のオーガニックの競合は、自社が業界の自然検索ポジショニングマップの中でどのようなポジションに位置しているのかを一目で把握するのに重宝します。

縦軸がオーガニックトラフィック、横軸がオーガニックトラフィックバリュー、円の大きさがオーガニックページ数(自然検索で100位以内にランクインしている記事)で示されており、右上にあるドメインがその業界のSEO上の勝者であることが多いです。

ここに示されている競合は、自社サイトが獲得しているキーワードの共有率が高いサイトから順に並べられています。

多くの場合、ここに掲載されている競合は実際のSEO上の競合であることが多く、参考になります。(より正確に、適切に競合サイトを選ぶ方法は中級編で解説します。)

ここでは特に、「上位のオーガニックの競合」内にある「開く」を活用し、次のアクションにつなげる方法についてお伝えします。

概要

先ほど、一般タブのパフォーマンスについて、競合タブに各サイトのドメインやURLを入力することで、競合と比較して自社の状況を分析できるとお伝えしましたが、「開く」をクリックすれば、この競合に入力する手間を省いてくれます。

上位5位以内に適切な競合がいない場合は、「上位20位を表示」を選択しましょう。そして、サイトエクスプローラー内の「オーガニックの競合」機能を開きます。ここで、より多くの候補となるサイトから任意にサイトをピックアップして、概要の競合に自動で入力することが可能です。

競合サイトを自分で探してURLをコピーして入力する必要がないため、非常に便利です。

リンク交差

「開く」をクリックした際に現れる選択肢の一つが、「リンク交差」です。リンク交差では、自社サイトにはリンクがないが、他社にはリンクされているドメインやページをリストとして表示させることができます。

つまり、自社がアウトリーチ(=被リンク獲得を目的としたアプローチ)を行うためのリストを作成することが可能になります。

DRが0–29の範囲では、もちろんコンテンツの質や業界によっては上位表示が可能なケースもありますが、ページを作成してすぐに上位表示!多数の流入獲得!というようにはいかないことがあります。

結果として、SEOを実行するためには、ある程度、被リンクを集める必要があります。そのため、他社サイトがどのようにリンクを獲得しているのかは、一度確認しておくことを推奨します。多くの場合、差分となるのはアフィリエイトサイトや比較サイトからのリンクです。こうしたサイトに掲載されるための別軸のマーケティング施策も、自然検索で優位に立つためには重要であることが分かります。リンク差分を確認することは、そうした視点を得るうえでも有効です。

リンク差分の使い方として推奨する使い方は下のとおりです。 

  1. 参照ドメインもしくは参照ページを開く
  2. Dofollowをクリック(被リンクとして効果があるものに絞る)
  3. 任意のDR(例:30)を設定(プランによっては表示数が多すぎてしまい、閲覧できないことがあるため)
  4. フィルタを追加し、参照ページの言語をJapaneseに設定(他言語の場合、スパムであることが多いため)
  5. 必要に応じて競合へのリンクを2競合以上に設定(1つの場合、関連性が低くなる可能性があるため)
  6. DRやトラフィックで降順を選択(より権威性や流入の多いサイトやページを狙うため)

このようにして絞ったときに、自社サービスに関するページを自社で登録できるレビューサイトを新たに発見できたり、交渉次第で掲載することが可能になりそうなブログサイトを発見できたりすることがあります。

特に前者の場合は、自社の裁量で自社サイトとは別に露出先を増やせる点が特長です。また、レビューを掲載する「箱」を用意することで、指名検索への対策にもつながります。

なお、上記のように率先して被リンクを増やすための活動をせずとも、基本的には、企業が存続し営業活動を続けていくうちに自然とリンクは増えていくものです。一方で、競合とのリンク差分が多い場合は、広報や営業チームとも連携し、リンクの重要性を共有した上で、取りこぼしなくリンクを獲得できるような体制を整えることをおすすめします。

コンテンツギャップ

「概要」、「リンク交差」と続き、最後の遷移先が「コンテンツギャップ」です。コンテンツギャップは、「競合は上位表示しているが、自社はランクインしていない(または順位が低い)キーワード」を抽出できる機能です。

通常であれば、SEOを始めて一番最初に戦略を決める段階で網羅的にキーワードの調査を行うため、コンテンツギャップの出番は少ないように思えるかもしれません。しかし、SEOを実施し始めてから時間が経ち、市場の検索トレンドが変化した場合や、前任者からSEO担当を引き継いだ場合など、見落としや新たな機会を探る場面で非常に重宝します。

ただ、何も設定せずに検索すると膨大なキーワードが出てきてしまい、どれから手を付けるべきか迷ってしまいがちです。そこで、初心者の方がノイズを減らし、「本当に対策すべきキーワード」を見つけるために、以下のフィルター設定をおすすめします。

  1. ターゲット(自社)の順位:ランクなし、または20位以下
    すでに20位以内にいる場合は、ページの改善フェーズです。今回は「未対策」のキーワード発掘が目的のため、自社が評価されていないものに絞ります。
  2. 競合の順位:2競合以上、かつ、トップ10入り
    選定した競合のうち、2競合以上がトップ10にランクインしているキーワードに絞ることで、関連性の高いキーワードに絞り込みます。
  3. 主要な順位のみ:オン
    「他の人はこちらも検索」や「AIによる概要」などで上位表示している場合、関連性の低いキーワードがノイズとして出てきてしまうのを防ぐためです。

この設定を行うだけで、まだ自社が対応できていない、対策優先度の高いキーワードが浮かび上がってきます。

【コンテンツギャップ活用事例】5分の作業で見つかった「攻めるべき」キーワード

実際に私が支援している通信制高校サポート校「HR高等学院」の活用事例をご紹介します。 すでに主要なキーワードのリストは作成済みでしたが、その既存キーワードリストと、上記の条件でコンテンツギャップから抽出したリストを、Excel上で突合してみました。 作業時間はフィルター操作を含めても5分程度です。キーワードリストの下に抽出キーワードを追加し、重複キーワードを除外するだけのシンプルな作業です。そのうえでざっとデータを確認したところ、以下のようなキーワードが見つかりました。

  • 「学校 楽しくない」「学校 つまらない」
    HR高等学院は「日本で一番面白い学校」を目指しているため、現状に満足していない学生への選択肢として自校を提示するのに最適なキーワードです。
  • 「オルタナティブスクール」
    HR高等学院は通信制高校「サポート校」であり、「高校」とは異なるため、「オルタナティブスクール」としての側面も持っています。この概念で検索するユーザーに対しても、有力な選択肢の一つとして示せる可能性がありそうです。

このように、自社の強み(UVP)と合致するものの、キーワード選定の漏れや思い込みによって見落としていた「自社が本来取るべきキーワード」を、データとして可視化できることが、コンテンツギャップの大きな特長です。

上級者向けコンテンツギャップの活用法

さらに、少し視点を変えた面白い使い方として、あえて「共通するキーワードが少ない競合」を活用する方法もあります。 通常は似たようなキーワードで戦っている競合を見ますが、Ahrefsで表示された競合リストの中から、あえて共通キーワードが少ないサイトを10サイト選び(コンテンツギャップの上限が10サイトのため)、分析にかけます。(ちなみに2回繰り返せば競合リストとして表示されている20サイト分すべてを確認できますので、網羅したい場合はそちらを推奨します。)

自分たちとは少し毛色の違うサイトと比較することで、サービスが所属する業界の慣習にとらわれない、思ってもみなかったキーワードを発見できることがあります。 また、過去に一度「対策しない」と判断して除外したキーワードリストとあえて突合させることで、時間が経って検索需要が生まれたキーワードを再発見するといった使い方も有効です。

最後に

私がおすすめするAhrefsを使い始める最初の一歩は、「概要」のデータを俯瞰しながら、自社、競合、外部環境を照らし合わせて確認することです。そこで気になる傾向が見つかったら、用意されたUIに沿って調査してみてください。

Ahrefsは、画面をたどって操作していくだけでも使い方を理解でき、自然とSEOの考え方が身につくようなUIになっています。

まずは自社のURLを入力してみて、どのような状況なのかを一目見てみることからぜひ始めてみてください!