アンサーエンジン最適化 (AEO):AI 検索結果の競争に勝つ秘策とは?

デスピナ・ ガヴォヤニス
Ahrefs | シニア SEO スペシャリスト。 8 年以上にわたり BtoB、E コマース、SaaS の各分野で活躍し、国民的メーカー・ブランドの業務成長に携わった経験も持つシニア SEO コンサルタント。実は楽観主義者で、困難に直面してもポジティブな側面に目を向けることを忘れずに、日々を楽しんで過ごしている。
今、検索は大きく変化しており、人々はもはや単に「ググっている」だけではなくなりました。クエリに対する直接の回答を AI に求めることが増え、以前のように複数のウェブサイトを自らクリックして情報を選別することなく、疑問に対する答えを検索結果ページで直接手に入れています。

ブランドが AI 生成回答に表示されるためには、これまでの SEO も引き続き必要になりますが、AI 検索での可視性獲得には従来の「検索順位を上げる」対策では足りません。重要なのは、ウェブサイトの情報を AI に言及・引用されやすいように分かりやすく体系化(構造化)して掲載し、それによって AI の信用を勝ち取ることです。 

それを実現するのが、まさに「アンサーエンジン最適化」の手法なのです。

SEO をベースにした方法で、サイトやコンテンツを AI 検索に適応させることで、人々がどんなツールで検索する時にも、皆さんのブランドが回答に表示される確率をアップさせます。

アンサーエンジン最適化 (AEO) とは、Google 検索結果の AI Overview、 Siri や Alexa に代表される音声アシスタント、 Chat­G­PT や Per­plex­i­ty といった LLM など、ユーザーの質問に対して直接的な回答を提供する AI システムに対して、コンテンツの可視性を高め、有用な情報であると認識してもらうための実践的な手法です。

検索結果でウェブページを上位ランクインさせることにフォーカスした従来の SEO とは異なり、AEOAI 検索プラットフォームによって生成される回答内で、サイトが直接言及・引用されることを目指します。

そのためには、アンサーエンジンが掲載情報を簡単に抽出して掲載できるように、コンテンツを分かりやすく構造化し、明確かつ信憑性の高い内容に保つ必要があります。

AEO vs 従来の SEO

AEOSEO に取って代わるものではなく、SEO の足りない点を補うものです。 

どちらも「コンテンツをできるだけ多くの人に発見してもらう」という目標は同じですが、情報が人々にリーチする方法が異なります。SEO では依然としてオーガニック検索結果でページを上位表示させることを目指します。一方で、AEO では特に AI の生成する回答内でコンテンツが直接引用または言及されることが目的で、この場合はサイトへのリンクが回答に全く掲載されないこともあるでしょう。

AEOSEO
主な目的AI 生成回答の中にブランドやコンテンツを表示させる検索結果でページを上位表示させる
コンテンツ戦略AI が要約しやすい、簡潔で断定的な情報を掲載ランキングシグナルを送る、長文かつ包括的な内容のページを作成
ターゲットクエリLLM でよくされる “1 of 1” 検索(専門知識が必要な特定情報を求める検索)など、質問ベース・情報型のクエリローカル検索やトランザクショナルクエリを含む、幅広い内容で検索ボリュームの多いクエリ
技術面での対策JavaScript 依存を避け、Speakable や FAQ スキーマを使い、AI が直接抽出できるクリーンなデータセットや回答を提供メタタグ、見出し、内部リンクといったオンページ要素を最適化
成果の測定方法AI Overview、LLM の回答、チャットボットによる引用や言及を追跡ウェブページの順位、クリック数、インプレッションを追跡
ユーザージャーニーユーザーはクリックなしでブランド情報を目にすることが多い(ゼロクリックで得られる可視性)より深いエンゲージメントにつなげるため、サイトへのクリックを促す

AEOSEO を基礎とする手法です。なぜなら、そもそもネット上での可視性を維持するためには、クロール可能で最適化されたコンテンツが必要だからです。

ただし AEO の場合、SEO の基本をクリアした後、対策の目的はページの検索上位ランクインから、AI に信頼され、引用されやすい形で情報を掲載することへとシフトします。

人々が情報を消費する方法は変わってきています。以前のように複数のサイトを自分でクリックするのではなく、どんなツールで検索する時でも、検索結果で直接回答が得られることを求めています。

この変化がブランドに与えるいくつかの大きな影響は以下の通りです。 

  • ゼロクリック検索が常識になりつつあるAI が生成する回答では、その場ですぐにクエリが解決することが多い。ユーザーがサイトを訪れなくても、引用された回答に表示されることで、検索を通じて特定分野での権威とブランド認知を構築することが可能になった。
  • オーガニックトラフィックは下降の一途をたどっている。 従来の検索順位は依然として重要なものの、そこからクリックが得られる保証はもはやない。AI 回答における可視性は、今や従来の検索結果ページでの可視性と同じくらい重要になっている。
  • ビジネスへの影響は SEO 以上。 ウェブサイトへの訪問者が減ると、その影響は営業、製品、カスタマーサクセスチームにまで及ぶ。このため、AI の回答においてブランドの存在感をキープし、会社が誇る特殊分野の専門知識をオフサイトでも確実にネットユーザーに届けることで、所属業界での権威性を示すことが鍵となる。
  • AI が新しいネットユーザーの習慣を形成している。 音声アシスタントや AI との対話による検索はまだ初期段階であるものの、急速に成長中。AI アシスタントが日々の仕事や日常生活の一部になるにつれて、より多くの人にとって情報への最も一般的なアクセス方法になると予想される。

要するに、検索体験は「リンクをクリックする」行為から「回答を一目で確認する」行為へと移行しているのです。

AEO に適応できるブランドは、トラフィックが成功の唯一の判断基準ではなくなった状況においても、ネット上での可視性、権威性、そして顧客の信頼を維持することができます。

AEO を始めるということは、対策のゴールをページの上位表示から、AI による引用の増加へとシフトさせるということです。 

そのためには、適切なクエリをターゲットにし、アンサーエンジンがアクセスしやすいように体系立てた(構造化した)情報を掲載し、皆さんのブランドを信頼できる情報源だと示すための権威性シグナルを強化する必要があります。

ここでは、AI ツールや AI 検索機能の検索結果で一貫して高レベルの可視性をキープするための実践的なプロセスを、ステップごとに解説していきます。

ステップ 1:現在の AI によるブランド言及を確認する

すでにブランドがある場合は、Ahrefs のブランドレーダーを使って、AI による言及を確認しましょう。

Ahrefs のブランドレーダーにブランド名を入力する。

AI の応答」タブでは、さまざまな AI 検索プラットフォームで皆さんのブランドがどのように言及されているかを確認できます。 

Ahrefs のブランドレーダーで AI の応答レポートに移動し、さまざまな AI プロンプトデータから選択する。

言及の頻度や、市場やニッチ分野におけるシェアを他社と比較することもできます。

一般的なクエリに対して表示される AI の回答を見てみましょう。このように表示されます。

Ahrefs のブランドレーダー内、AI の応答レポートに表示されたブランド言及の例。

何千もの回答が表示される場合は、フィルタリングすることをお勧めします。例えば、以下のような条件で絞り込むことができます。

  • ブランド名を含むクエリ、つまりブランド指名検索に対する AI の回答内容を確認する。
  • 特定のトピックを含むクエリで、AI がブランドをそのトピックにどれだけ強く関連付けて回答しているかをチェックする。
  • 競合の社名(ブランド名)を含むクエリに対する回答で、AI が競合の代わりに(または競合に並べて)自社ブランドをどれくらいの頻度で推奨しているかを調査する。

以上に加えて、AI 回答のブランドへの言及内容で、情報が間違っている場合やブランディングが一貫していないパターンも探しましょう。その場合のクエリと引用元の情報ソースをリストアップしておき、誤情報やブランドイメージのずれの改善に役立てましょう。

ステップ 2:AI 回答のブランドに関する不正確な情報を修正する

AI の回答にブランドに関する不正確な詳細が含まれている場合、通常は以下の原因が考えられます。

  • ウェブサイトの情報が少なすぎる
  • ロゴ、タグライン、メッセージングなどが一貫していない
  • サードパーティのコンテンツによる誤表現
  • AI が信頼できないソースから情報を取得している

まず、誤情報が表示されるクエリを確認することから始めましょう。どの情報が間違っているか、どのソースが引用されているかをメモします。

ブランド固有の情報(名前、タグライン、ミッションステートメントなど)については、まず自社サイトと SNS 上でのブランドイメージの一貫性を確認します。この作業は、Ahrefs のブランド SEO プロセスに沿って実施してみましょう。 

ブランドに関するより一般的な情報で間違っている箇所を修正するには、ウェブサイトのコンテンツギャップを埋めるのは効果的かもしれません。

例えば「Ahrefs とはどういう意味の言葉?」というクエリに対する Google の AI Overview 生成回答は、一見するとそれなりの答えを提供しているようですが、質問に対する直接的な回答にはなっていません。

「Ahrefs とはどういう意味?」というクエリに対して生成された AI Overview の例。

これはおそらく、Ahrefs ウェブサイトにこの正確な質問に対する回答がないためです。したがって、もし Ahrefs がこの回答をより正確な内容に改善したいのであれば、すでに AI の回答で引用されているページにちょっとした FAQ セクションを追加するといいでしょう。例えば、このような情報です。

”Ahrefs” ってどういう意味?
Ahrefs は、コーディングでハイパーリンクの作成に使われる HTML タグ「a href」を縮めてできた名前です。これは、当社の事業が被リンク分析からスタートしたことを受けて考案した社名で、ウェブサイトのリンク構築、検索での可視性アップ、そして SEO パフォーマンス向上を助けるツールの開発にフォーカスした会社であることを分かりやすく伝えています。

もし皆さんのサイトに特定のクエリに答える情報がない場合は、新しいページやセクションを公開してその情報を補っておきましょう。この作業に役立つワークフローがこちらです。

トピックギャップを新しいページで埋めるべきか、既存ページのセクションで埋めるべきかを判断するフローチャート。

ここでの目標は、新規コンテンツをサイトに追加するか、既存コンテンツを AI に分かりやすいように書き直すことです。 

  • 断言的な文体で情報を明確に伝える。
  • 各文の主語を明確にする。
  • 見出しの後に、それに対する直接の答えを記載する。 遠回しな表現は避ける。
  • トピックに関するエピソードや裏話はセクションの最後に載せる。

関連するコンテンツがすでに存在するのに、AI が依然として外部ソースを誤って引用している場合は、YouTube、 Google ビジネスプロフィール、G2(SaaS レビューサイト)などのサードパーティサイト上の情報更新を検討してみてください。

例えば、カスタマーインテリジェンスプラットフォームを運営する Com­mon Room 社の場合、この対策に取り組んだことで、以下のようなメリットがあったと報告しています。

Common Room のリブランディングと、LLM 回答を新しいブランドメッセージに合わせて改善するためのアクションについて書かれたケビン・ホワイトさんの LinkedIn 投稿。

これ以外にも、外部サイトにアプローチしてみるのもいいでしょう。自社サイトを引用している記事の作成者と連絡を取り、アップデート済みの、より正確な情報を提供して、ブランドの紹介文章を正しい内容に修正してもらいます。時間はかかる作業ですが、誤情報がネットユーザーを混乱させたり、顧客を失ったりするリスクがある場合は、試す価値のある対策です。

ステップ 3:トピックギャップを埋めて、更なるクエリに対する可視性を獲得する

すでに一部のトピックやクエリに対する回答での出現率が十分にある場合、次のステップは、現在まだ AI の生成回答に表示されていないクエリを見つけることです。 

これをするには、まずブランドレーダーを使って競合の可視性をチェックしてみるのがお薦めです。

Ahrefs のブランドレーダーで 2 つのブランドを比較する方法。

概要」タブには、自社ブランドと競合が表示されます。言及数、インプレッション数、AI シェアオブボイスといった指標で、それぞれの AI 可視性レベルを評価しましょう。 

プラットフォーム別のシェアも確認でき、自社ブランドが最も重要視する AI 検索ツールでの可視性に絞って調査することも可能です。 

Ahrefs のブランドレーダーを使って、2 つのブランド間で AI 回答での出現率を比較する。

各プラットフォームをクリックすると、各ブランドに言及している回答を直接見ることができます。

Ahrefs のブランドレーダーでブランドの AI 言及を確認し、「自社ブランドのみ」「他ブランドあり」「競合はあるが自社ブランドなし」から選択する。
  • 「ブランドのみ」レポート: 選択したブランドのみが言及されているクエリと AI の回答を表示。ブランド固有のクエリと回答を調査するのに最適。
  • 「他社と」レポート: 比較対象のすべてのブランドを含むクエリや回答を表示。競合と並んで言及される可能性のあるトピックを調べるのに最適。
  • 「他社のみ」レポート: 比較対象の他社ブランドのみに言及しているクエリを表示。競合は言及されているが自社はメンションされていないトピックを見つけるのに最適。

トピックギャップを見つけるには、「他社のみ」レポートで、回答で競合のみが言及されている全てのクエリを確認しましょう。これらのトピックに関するコンテンツをウェブサイトに追加することで、競合とのギャップをすぐに埋めることができます。

さらに一歩進んで、競合がまだ言及されていないトピックを見つけることもできます。先にトピックギャップを埋めることで競争で優位に立つことができます。

筆者の場合、ブランドレーダーを使うときは、以下のように主要なトピックのみを入力することが多いです。

Ahrefs のブランドレーダーを使ったトピックリサーチ。

次に、ブランドの表示を狙う AI 検索プラットフォームのクエリと回答を調べるため、AI の回答レポートを確認します。クエリや回答をフィルタリングして、自社ブランドと競合が含まれる回答を除外することもできます。

Ahrefs のブランドレーダーのフィルターを使用して、自社ブランドのみを含む回答を表示する。

こうすれば、所属業界に関連した未開拓のクエリのリストが手に入り、それらに合わせた内容のコンテンツをサイトに追加することで、競合よりも先に AI に言及してもらうことができます。 

ステップ 4:クエリに直接答える内容の、音声で読み上げ可能な情報にコンテンツを最適化する

回答に表示されることを狙うクエリを特定したら、次のステップは、アンサーエンジンが簡単に抽出・引用できるようにコンテンツを体系化(構造化)することです。

すでに SEO のベストプラクティスに従ってコンテンツを構造化している場合は、そのワークフローに大きな変更は必要ないでしょう。

  • Q&A 形式で情報を掲載する(適切だと思われる場合)。質問を見出しとして掲載し、そのすぐ下に明確で簡潔な答えを載せることで、AI システムにその 2 つの情報の関連性を読み取りやすくし、情報を直接抽出しやすくする。ただし、やりすぎると人間のサイト訪問者にとって情報が分かりにくくなる可能性があるため、注意が必要。
  • 断定表現を多用する。 言い切り型のストレートな文体により情報の曖昧さが低減すると、AI が情報を歪めることなくコンテンツを引用しやすくなる。
  • 短く、内容の凝縮した文章。 結論を先に述べる簡潔な要約から始めて、その後で裏付けとなる周辺情報、例、関連エピソードなどで内容を補足する。こうすることで、AI は最初の要約部分をそのまま引用でき、サイト訪問者の場合は最後まで読み進めることでトピックに対する深い理解を得ることができる。
  • 読みやすさのためにコンテンツを構造化する。 見出しや表、箇条書きを活用したり、各段落を短くすることで、情報を AI が抽出しやすいセクションに分けておく。各部分が単体で AI の回答として引用されることを想定して執筆する。
  • 掲載情報の価値を高める。 特定の事象に対する、浅い定義以上の情報を提供する。コンテンツをより価値あるものにし、一般的な情報を掲載した他社サイトよりも AI の回答に選ばれる可能性を高めるために、独自の洞察、背景情報、データを提供する。

これに関連してよくある誤解は、AI のために特別にコンテンツを「チャンク化」する必要があるということです。コンテンツのチャンク化は 1960 年代から文章構造化のテクニックとして使われてきましたが、AI に対する可視性向上のためにこれをする必要はありません。 

コンテンツが明確に書かれ、論理的に構造化され、価値の高い情報を提供していれば、AI システムは自分でセグメンテーションを処理できます。 

ページの構造化についての詳細と推奨ワークフローについては、チャンク最適化に関する Ahrefs ガイドをご覧ください。 

ステップ 5:技術面でも AEO 戦略を導入する

技術的な基盤は、SEO と同じく AEO にとっても重要です。アンサーエンジンは、構造化されクロール可能なデータのみを対象に、その内容を理解し、引用するかどうかを決定しているからです。

技術面の対策は従来の SEO と重なる部分が多いものの、AEO の場合、最重要ポイントは文章の明快さと機械にとっての読み取りやすさです。

AI システムによる情報抽出を効果的にガイドする方法は、スキーママークアップです。

補足 :
現在、すべての AI 検索システムがスキーママークアップを使用しているかは不明です。しかし、Google のような従来の検索エンジンは何年もこれを使用しています。
コンテンツを構造化データに変換する簡単な方法であり、AI 検索プラットフォームが情報を取得・解釈しやすくします。
要するに、たとえ今現在すべてのプラットフォームで使用されていなくても、サイトに導入しておいて損はないでしょう。

Arti­cle、 FAQ­Page、 How­To、 Local­Busi­ness、 Speak­able のようなスキーマを使用することで、AI にとって最重要情報が認識しやすくなります。Google の公開している使用例がこちらです。

Google が提供する「読み上げ可能構造化データ」の例のスクリーンショット。

スキーマを使ってサイトの掲載文章を適切に構造化することで、情報についてのコンテクストが AI に提供されるため、AI はコンテンツをそのまま抽出し、回答で引用しやすくなります。

これと同じく重要なのは、クローラビリティ(クロールのしやすさ)とサイトのパフォーマンスを高水準に保つことです。読み込みが速く、JavaScript への過度の依存を回避しており、論理的な内部構造を維持するサイトの方が、AI エンジンにとって掲載情報が解析しやすくなります。 

つまり、これらの技術的な要素を考慮したサイトメンテナンスの有無が、コンテンツが引用されるかどうかの分かれ目になることがあるのです。

ステップ 6:権威性を確立し、オフサイトでのブランド評判を高める

アンサーエンジンは、ウェブサイト上の情報だけを見ているわけではありません。ウェブ全体が皆さんのブランドをどう認識しているかも考慮しています。

このため、AI システムに自社ブランドに言及したり、コンテンツを引用したりしてもらいたいなら、自社サイト内外で権威性を示す必要があります。以下を対象に対策することで、サイトの評価を高めることができます。

  • E‑E-A‑T 要因:事実確認のとれた内容のコンテンツを、記事担当者の詳細な略歴(実績・資格)を明記した上でウェブサイト内外で発信することで、自社人材の誇る豊富な経験と高い専門性、そしてサイトの権威性および信頼性が高いことを示す。
  • 被リンクと引用: 所属業界の信頼できる他社ドメインからリンクを獲得する。最も頻繁に言及・引用されているサイトを調査して、リンク元の候補にする。
  • 信頼できる他社ブランドとセットでの言及: よく知られた名前や組織と並んで自社ブランドが言及されることを目指す。これが LLM にとって信頼性の判断基準である可能性があるため。
  • サードパーティプラットフォーム: 企業紹介サイトやレビューサイト、業界関連ブログ記事など全てに一貫した内容の情報を載せる。これらの外部サイト掲載情報も、AI のトレーニングデータに入ることがあるため。

上記 4 つの対策を組み合わせることで、自社サイトの権威性をサイト外でも広めることができます。ウェブ全体での存在感が強まるほど、アンサーエンジンにブランドを認知し、引用してもらえる可能性が高まります。

外部サイトから価値の高い被リンクと言及を獲得する簡単な方法は、AI の回答で頻繁に引用されているページを見つけることです。 

AI の回答で頻繁に引用されるサイトからより多くのリンクと言及を獲得したい場合は、ブランドレーダーの「引用元ドメイン」および「引用されたページ」レポートを確認してください。

Ahrefs のブランドレーダーを使って、あるトピックに関して上位表示される被引用ドメインやページを見つける。

競合サイトを対象にこれらのレポートをチェックして、競合他社に頻繁に言及しており、自社にも言及してくれる可能性のあるサイトを見つけましょう。また、皆さんのビジネスに関連するトピックについての記事を頻繁にアップしているウェブサイトを調査するのもいいでしょう。

ここでは、AI 生成回答で頻繁に表示されるウェブサイトやページのリストが入手できます。 

Ahrefs のブランドレーダーで表示される、AI 回答で上位表示される被引用ドメインのリストの例。

これらが、AI 検索プラットフォームがよく訪れ、掲載コンテンツを要約して回答内に表示しているサイトです。

このリストに入ることができれば、皆さんのブランドも迅速に最小限の努力で、より多くの AI 検索プラットフォームが生成する回答内で、より頻繁に言及されるようになります。

ただし、言及箇所についての戦略も重要です。

自社に関連するコアトピックや業界の大手ブランドと並んで言及されるほうが、記事の最後にブランド名が追加されるよりもはるかに大きな効果があります。このため、他社サイトへのアウトリーチを行う前に、時間をかけてそのコンテンツに目を通し、記事のどの部分で自社ブランドを取り上げてもらうのが最適かを検討しておきましょう。

ステップ 7:継続的なチェック、成果の測定、対策の改善

アンサーエンジン最適化は一度で終わる対策ではありません。AI プラットフォームは急速な変化を続けており、可視性を高く維持する唯一の方法は、パフォーマンスを追跡し、常に状況の変化に適応していくことです。

まずは、自社ブランドがどんな AI ツールに引用されているかをチェックすることから始めましょう。 

ブランドレーダーや他の AI Overview 計測ツールを使えば、一定期間にわたるブランド可視性の変動を調べることができます。

Ahrefs のブランドレーダーの概要ダッシュボード。

これらのツールは、以下の追跡にも便利です。

  • 回答で自社ブランドやコンテンツが表示されるクエリの変化
  • 頻繁に言及されている競合他社の変化
  • ブランドに関する不正確な情報を含む回答の増減

また、Ahrefs のウェブアナリティクスのようなツールと組み合わせることで、オーガニック検索と AI 検索の結果からウェブサイトに来る訪問者を測定することもできます。 

Ahrefs のウェブアナリティクスを使用して、AI や検索を含むさまざまなチャネルからの訪問者を追跡する。

このデータを SEO 対策全体の参考にしたり、マーケティング指標の 1 つとして評価することで、AEO のビジネスに対する貢献度を上げることができます。 

筆者が見てきた限りでは、AEO の効果が出るまでには、すでに高い認知度を誇るブランドで通常数週間から数ヶ月、オンラインでの権威性がほとんどない新出ブランドでは 12 〜 18 ヶ月かかっています。 

強力な SEO 基盤がすでにあるサイトは、一貫性のない情報を修正し、他社とのトピックギャップを埋め、サードパーティによるブランド言及を増やすことで、すぐに成功を収めることができます。これらの改善に取り組むことで、AI 検索プラットフォームに自社コンテンツの信頼度を早々に認めてもらい、回答で引用してもらうことができます。

新出あるいは無名ブランドの場合は、AI に信頼できるソースだと認識され、回答で言及されるように、まずしっかりとした SEO 基盤を築く必要があるため、より長期の取り組みが必要になります。

信頼性を構築するには、高品質なコンテンツの定期的な公開、権威性を示すシグナルの発信、そしてオフサイトでのブランド言及が必要です。この土台がなければ、AI の回答で可視性を獲得することは困難になります。 

アンサーエンジンはまだ進化の途上にあり、情報の引用方法は変わり続けるでしょう。現段階ですでに生まれつつあるいくつかの主要なトレンドを、ここでご紹介します。

  • より全面的な生成 AI の検索への導入。 Google の AI モードのような機能はまだ導入の初期段階。今後、AI 機能のより広範な展開と、構造化されたコンテンツを今以上に取り込んで回答として表示するような検索結果形式の登場が予想される。
  • 回答のパーソナライゼーション。 コンテキストウィンドウが拡大し、LLM の記憶力が上がると、AI システムは個々のユーザーにより合った内容に回答を調整できるようになるため、ブランドに対する信頼性と情報の正確性がさらに重要になる。
  • 構造化データの重要性の高まり。 主要な AI ツールは、常に信頼できるデータセットを求めてネット上を探し回っている。適切に構造化された、高クオリティの情報を公開するブランドは、引用元として選ばれやすい可能性がある。
  • 有料広告の優先表示AI 検索プラットフォームは、検索結果で自社製品や有料広告を利用するパートナー企業をますます優先して表示する可能性がある。このため、ブランドはまだ有料広告に独占されておらず、オーガニック検索結果で可視性を得やすいクエリを特定することが必須になる。

つまり、AEO では検索システムのルールによるゲームを戦うというよりも、AI 検索プラットフォームに信頼される、明確で信憑性の高い情報を提供することがより重要になるでしょう。このシフトがまだ始まったばかりの現段階から対策を取っておけば、AEO の競争で他社をリードすることができます。 

まとめ

検索がウェブサイトのリスト表示から AI による生成回答の提供へとシフトするにつれて、サイトの可視性を左右するのはもはや検索順位ではなくなりました。ブランドは、アンサーエンジンがコンテンツをそのまま引用できる、信頼できる情報源として認識される必要があります。

AEO は確固たる SEO 基盤があればこそ展開が可能な施策で、SEO に取って代わるものではなく、SEO のより専門的なサブカテゴリーの 1 つと言えるでしょう。 

少しずつ対策を始め、継続的に成果をチェックし、時間をかけて改善していきましょう。 AEO の導入が早いほど優位に立てますが、高いレベルの可視性を維持するためには、1 度きりの対策で終わるのでなく、長期的な視点で取り組みを継続していくことが鍵となります。

簡単に AEO を始めたいなら、AI 検索回答における可視性を調査、分析、追跡するための AEO プラットフォーム、Ahrefs のブランドレーダーをぜひチェックしてみてください!