Ahrefs チームが 30 万個のキーワードを分析した結果、ウェブページが検索結果の AI Overview に表示される場合、同セクションに表示されない同様の情報収集型キーワードと比較して、上位ページの平均クリックスルー率 (CTR) が 34.5% 低下することが分かりました。
このデータ分析は、Ahrefs データサイエンティストのシーベイジャ・グアンの協力により実現しました。
ちなみに、先述の Google による主張を同社 CEO の言葉を引用してご紹介しておきましょう。
「コンテンツやリンクを AI Overviews に表示させると、そうでない場合と比べてクリックスルー率が実は高くなるのです」
この調査は、Ahrefs キーワードエクスプローラーのデータベースから抽出した 30 万個のキーワードを対象に実施しました。このうちの半数(15 万個)は検索結果で AI Overview が表示されるもの、残りの半数は情報収集型キーワードで、かつ検索をしても AI Overview が生成されないキーワードです。
Google Search Console の集計データを用いて、各キーワードのデスクトップ端末からの月間平均クリックスルー率(CTR:合計クリック数 ÷ 合計インプレッション数)を算出しました。そして、2024 年 3 月(米国での AI Overview 導入前)と 2025 年 3 月(導入後)のクリックスルー率を比較しました。
Ahrefs の SERP の機能フィルターを使えば、AI Overview がどんな検索上位キーワードの検索結果で表示されているかを正確に特定できます。サイトエクスプローラーにアクセスし、オーガニックキーワードレポートに移動して、SERP の機能フィルターから AI Overview を選択してください。
2024 年 3 月時点で(AI Overview が表示されない)情報収集型キーワードの検索順位トップページの平均クリックスルー率は 0.056 でしたが、2025 年 3 月には 0.031 にまで減少していました。

一方で、AI Overview が表示されるキーワードの検索順位トップページの場合、2024 年 3 月時点での平均クリックスルー率は 0.073 でしたが、こちらも低下しており、2025 年 3 月には 0.026 となっていました。

(AI Overview が表示されない)情報収集型キーワードのクリックスルー率の減少率を使って、AI Overview が導入されなかったと仮定した場合、2025 年 3 月時点で AI Overview キーワードのクリックスルー率がどの程度だったのかを予測することができます。ここから算出される推定クリックスルー率は 0.040(0.073 × {0.031 ÷ 0.056})
です。
AI Overview キーワードの推定クリックスルー率と実際のクリックスルー率の差を計算すると、AI Overview が表示される場合、検索順位トップページのクリックスルー率が(されない場合と比較して)最大 34.5% (= {0.026 - 0.040} ÷ 0.040)
低下することが分かりました。

まとめ
これは驚くような結果ではありません。AI Overview の導入以降、一部のウェブサイトではクリック数が 20 ~ 40% 減少したという事例データも見てきました。
これは事実である可能性が高そうです。AI Overview は、検索クエリに検索結果ページ内で直接回答するという点で、強調スニペットと同様の役割を果たしており、ゼロクリック検索の増加につながる可能性が高いでしょう。また、AI Overview には複数の引用元リンクが含まれることが多いため、クリックが分散し、単独のページがクリック数の大半を独占することが難しくなります。
Googleは「AI Overview に含まれるリンクは、従来の検索結果部分に表示されるページよりも多くのクリック数を獲得する」という楽観的な見方をしていますが、Google Search Console では AI Overview から獲得したクリック数とインプレッション数を調査することがまだできないことも相まって、説得力を欠いた主張に思えます。
まるで、Google は AI Overview に表示されるページのクリックスルー率を一般公開したくないようです。
AI Overview が現在の形で今後も継続していくと仮定すると、おそらく現時点でのクリックスルー率が最高で、ここから低下の一歩をたどることになるでしょう。同機能の目新しさが薄れることで、マーケティング効果が減少するにともなってクリック率も低下するため、ウェブページのクリック数はさらに減少していくと予想されます。