YouTube は 世界第 2 位の検索エンジンであり、ユーザーは 1 日あたりおよそ 50 分をこのプラットフォームで過ごしています。しかも、その利用時間は今も伸び続けています。
さらに重要なのは、YouTube が 大規模言語モデル(LLM)によって 2 番目に多く参照される情報源でもある点です。動画内での言及(メンション)は、その動画の視聴者に届くだけでなく、AI がブランドをどう理解し、どう推奨するかにも影響を与えています。
現在、YouTube クリエイターは数百万規模の視聴者に向けて、ブランドの印象や評価を形づくっています。
Canva を例にとってみましょう。Ahrefs のブランドレーダーによる YouTube レポートでは、今月だけで約 460 件の YouTube 上でのメンションを獲得しています。

これは大した数ではないように思えるかもしれませんが、その 460 件のメンションが 340 万回の視聴につながっていると知れば話は別です。

YouTube 上でのメンションを把握していなければ、自社の評判管理は知らないうちに他人任せになってしまいます。
YouTube メンションとは、チャンネル名、動画タイトル、説明文、トランスクリプト(字幕や文字起こし)、またはリンクにブランド名が登場するすべてのケースを指します。
YouTube メンションには、大きく分けて 2 つの種類があります。
タグ付けされたメンション
タグ付けされたメンションは、SNSのタグ(例:@チャンネル名)と同様の仕組みです。チャンネルへのリンクが作成され、タイトル、説明文、コメント内でタグ付けされたメンションが行われると、YouTube 上で通知が届きます。

タグ付けされたメンションについて覚えておきたいのは、クリエイターが意図的にタグ付けする必要があるという点です。単なる偶然の言及ではありません。
タグ付けされていないメンション
一方、タグ付けされていないメンションは、より自然発生的なメンションです。チャンネルへのリンクは作成されず、メンションが発生しても YouTube から通知は届きません。タグ付けされていないメンションは、チャンネル名、サムネイル、タイトル、説明文、トランスクリプト、リンクなど、さまざまな場所に表示される可能性があります。

YouTube メンションには、次のような形があります。
- 正確なブランド名を使っていなくても、製品やサービスに言及しているケース
- 他社ブランドを並べて紹介される比較動画やレビュー
- チュートリアル、Vlog、解説系のコンテンツの中でのさりげない名前の言及
タグ付けされた投稿でのメンションは、YouTube Studio から標準機能として確認できます。
左側のメニューにある「コミュニティ」に移動し、ダッシュボード内の「メンション」タブを確認してください。

しかし、タグ付けされていないメンションについては、ソーシャルメディアのためのモニタリングツールが必要になります。
ブランドレーダーの YouTube モニタリングツールは、まさにこの用途に対応しています。動画のタイトル、説明文、トランスクリプトをスキャンし、現在約 1,500 万本(増加中)の動画を対象に、YouTube 全体でのブランドメンションを追跡します。

このガイドでは、Ahrefs の実際のデータを例に、ブランドレーダーを使って YouTube メンションをモニタリングする方法を解説します。
YouTube メンションは、ブランドの健全性を測る先行指標のひとつです。
多くのクリエイターが自発的にブランドのことを語るようになると、ブランド認知が広がっているサインと捉えられます。
それはやがて検索ボリュームや AI による引用の増加につながり、最終的にはビジネスの成長にも結びつきます。
メンション数を毎月モニタリングすることで、認知が拡大しているのか、それとも減少しているのかを把握できます。また、会話量が急増した要因を特定したり、ブランド構築の ROI (投資対効果)を具体的なデータで示したりすることも可能になります。
こうした活用法やメリットは、ほかにも数多くあります。
- ブランドの話題性を測る: メンション数を月ごとに追うことで、認知が加速しているのか、それとも停滞しているのかを把握できます。たとえば、リブランディング後にメンション数が倍増していれば、その施策が機能していると判断できます。
- キャンペーンの効果を検証する: メンションが急増したタイミングとキャンペーンの開始日を照らし合わせることで、どの施策が実際に成果につながったのかを明確にできます。製品発売の週にメンションが 3 倍になったなら、それが効果の証拠です。
- 目標に対する進捗を可視化する: 四半期ごとにメンション目標(第 1 四半期に 500 件など)を設定することで、チームの責任範囲を明確にし、予算決定の指針にもなります。
- 投資判断を裏づける:インプレッション数が前年比 150% 増といった具体的な数値を示すことで、ブランドの存在感の成長をステークホルダーに提示し、次年度の予算を確保につなげられます。
- ブレイクのきっかけを特定する: メンションが急増した原因(製品の発売、バイラル動画、PR 露出など)を突き止めることで、その成功を再現しやすくなります。
- 将来の可視性を予測する: YouTube メンションの継続的な増加は、検索ランキングや AI による引用が伸びる前兆として捉えることができます。
YouTube メンションを継続的にモニタリングする方法
ブランドレーダーの YouTube モニタリングツールに、ブランド名とそのバリエーションを追加し、レポート画面から YouTube メンション数の月次推移を確認します。
まず、「自社のブランド」にブランド名を入力してください。あわせて、発音や表記のバリエーションがあれば、それらも追加しておくのがおすすめです。

ブランド名の発音や表記が難しい場合は、ブランドに紐づく機能名や製品名、サービス名のメンションもあわせて追跡することを検討するとよいでしょう。
たとえば、「キーワード難易度」と「ドメインレーティング」はどちらも Ahrefs 独自の指標です。こうした用語が使われている箇所を追うことで、ブランドがどこで、どのように参照されているかを、より正確に把握できます。
これらのバリエーションは、ブランドレーダーのメインダッシュボードにある「レポートを保存」ボタンから保存できます。

その結果、YouTube 上でのブランドメンションを月次で確認できるようになり、定期的に追跡することで、成長しているのか、それとも減少しているのかを判断できます。

その下には、ブランドについてオーガニックにメンションしている動画の一覧が「関連性別」順に表示されます。

「関連性が高い」と見なされた結果は、メンションの出現頻度と視聴回数の組み合わせに基づいてランク付けされます。
意図せずに生まれたブランドメンションは、何がうまく機能しているのか、ブランドがどのように自然に語られているのか、そしてどのユースケースが強く共感を呼んでいるのかを教えてくれます。クリエイターが思わず共有したくなるほど響いているポイントが、そこに表れます。
そして何より、これらは追加コストなしで得られる情報です。
オーガニックなブランドメンションをモニタリングすることで、次のようなことが可能になります。
- 加工されていないブランド認識を把握する: オーガニックなメンションを読むことで、「UI が使いにくい」「素晴らしいサポート」といった率直な声を拾えます。繰り返し見られる指摘は製品改善に活かし、評価の高いポイントはトップページのコピーなど、マーケティング施策に反映できます。
- 本当に響いているユースケースを見極める: ユーザーが製品をどのように活用しているのか、新しい意外な使われ方を知ることができます。たとえば、自社のプロジェクト管理ツールがポッドキャスト制作に使われていることが分かれば、その用途に特化したランディングページを作るといった展開も可能です。
- メッセージを磨き込む: 視聴者やレビュー担当者が実際に使っている表現に注目し、それをウェブや広告のコピーに取り入れることができます。たとえば、「とにかくシンプル」と表現されているなら、「直感的なプラットフォーム」といった表現を置き換える判断材料になります。
- コンテンツのギャップを見つける: メンションと一緒に語られているトピックを把握することで、次に作るべきコンテンツが見えてきます。たとえば、「SEO 監査」が頻繁に登場するなら、そのテーマに特化したハウツー記事を公開する、といった対応が可能です。
オーガニックな動画メンションを見つける方法
オーガニックなメンションを見つけるには、単にブランド名を検索するだけでは不十分です。本当にオーガニックなメンションを把握するためには、パートナーや競合他社によるメンションを除外する必要があります。
まず、「含まない」フィルターを追加して、以下を除外します。
- 自社が運営しているチャンネル(例:Ahrefs)
- 説明文に含まれるスポンサー関連のキーワード(例:#spon、#ad)
- パートナー URL フラグメント(例:/partner/)
たとえば、以下の例では「チャンネル名 > 含まない > Ahrefs」というフィルターで自社運営の YouTube チャンネルを除外しています。
さらに、パートナーが動画の説明文に含めがちな要素もあわせて除外しました。具体的には、「yt.」を含むパートナーリンクや、共同でプロモーションしている製品名である「awt(Ahrefs ウェブマスターツール)」などです。

このフィルターを適用すると、結果は 1,482 件から 229 件の口コミベースのメンションまで絞り込まれます。ただし、作業はまだ終わりではありません。
これらのメンションの中には、Ahrefs の代替ツールを紹介しているものや、競合と比較している内容も含まれています。
今回は、競合ではなく、Ahrefs ブランドを中心とした UGC(ユーザー生成コンテンツ)に焦点を当てることにしましょう。
そこで、さらに「タイトル > 含まない > 部分一致 > [競合名] 」というフィルターを追加します。この条件を加えることで、メンション数は 201 件まで整理されます。

ここまでの手順を進めていれば、さらにフィルタリングを行い、自社ブランドが主なテーマとなっている動画に絞り込むこともできます。たとえば、「タイトル > 含む > 部分一致 > [ブランド名] 」といった条件を設定すると、ブランドを中心に扱っている動画を確認できます。

一方で、ブランド名がタイトルに含まれておらず、文脈の中でさりげなく触れられている動画は、「タイトル > 含まない > 部分一致 > [ブランド名] 」などの条件で確認することできます。

このような分析を行うことで、顧客が実際に製品やサービスをどのように使っているのかが見えてきます。
たとえば、以下の動画からは、ブランドレーダーが AI 分野における競合ギャップ分析の用途で特に活用されていることが分かります。

一方、次の動画からは、プラットフォーム内でもっと具体的で実行に移しやすい提案を求めているユーザーが一定数いることが分かります。

こうしたインサイトは、コンテンツの方向性を検討する際に活用できるほか、プロダクトチームに共有することで、今後のロードマップ策定に役立てることができます。
インフルエンサーにいきなりアプローチするのではなく、すでに自社ブランドや関連トピックについて発信しているクリエイターから始めるのがおすすめです。
これにより、オーディエンスや分野が自社と自然に重なっている、相性の良いパートナー候補を効率よく見つけることができます。
インフルエンサーのメンションをモニタリングすることには、次のような多くのメリットがあります。
- ブランドのファンになっているクリエイターを見つける:すでにオーガニックにブランドについて触れているインフルエンサーを特定し、機能への先行アクセスや、有償パートナーシップの提案につなげられます。
- オーディエンスとの相性を事前に確認する:アプローチ前に、そのチャンネルの視聴者が自社のターゲット市場と合っているどうかを確認できます。結果として、本当に響く可能性のあるチャンネルだけに提案できます。
- 影響力の高いクリエイターを優先する:視聴回数やエンゲージメントで並べ替えることで、効果の高いクリエイターにスポンサー予算を集中できます。
- 提案内容を最適化する:「 [ブランド] の 〇〇 なところが好き」といった具体的な発言を引用し、「最近の動画で 〇〇 機能を評価されていましたが、新しいアップグレードを試してみませんか?」といった形で、説得力のあるアプローチが可能になります。
- 時間と予算を節約する:やみくもに多数のクリエーターにアプローチするのではなく、あらかじめ相性が確認できている候補に絞ることで、効率的にパートナーの開拓を進めることができます。
スポンサーに適したインフルエンサーを見つける
目標に応じてオーガニックなメンションを並べ替えることで、本当に提携する価値のあるクリエイターを見つけることができます。自社ブランドと実際に相性の良い動画やオーディエンスに絞り込んでいきましょう。
まずは、すでに設定済みのオーガニックな口コミメンションを抽出するレポートを使います(自社チャンネルや、すでにスポンサーになっているパートナーを除外したものです)。
ここでの目的は、自社ブランドと関連性が高く、かつ可視性の高いクリエイターを見つけることです。
前述のとおり、YouTube メンションはデフォルトで「関連性」順に並んでいます。この関連性は、メンション頻度と視聴回数を組み合わせた指標です。
そのため、多くの場合、この時点で質の高いインフルエンサーのメンションを見つけることができるはずです。
ただし、優れた機会の中には、少し見つけにくいものもあります。
たとえば、非常に影響力の大きい動画の中で 1 回だけメンションされているケースでも、内容が自社にとって極めて重要である場合があります。
そこで重要になるのが、並び替えの条件を切り替えて試すことです。たとえば、「視聴回数順」と「関連性順」を比べてみると、新たな発見があるかもしれません。
そして、気になるクリエイターを見つけたら、トランスクリプトを確認したり、実際に動画を視聴したりして、ブランドメンションの文脈を深く理解します。
以下はその一例です。
ブランドレーダーの YouTube レポートでチャートを「インプレッション」に設定したところ、一晩でブランド認知度を 115% 押し上げたメンションを見つけました。

一覧表示で「視聴回数順」に並べ替えることで該当の動画を特定し、トランスクリプトのタイムコードをクリックして実際に動画を確認しました。このようにして、ブランドメンションがどのような文脈で使われているのかを把握することができました。

最終的に、このクリエイターは、SEO で収益化されたブログを始めようとしている個人起業家向けのロングテールキーワードツールとして Ahrefs を短く紹介していました。
このように、メンションの文脈を理解することで、そのインフルエンサーがスポンサーに値するかを判断しやすくなります。具体的には、次の点を素早く見極めることができます。
- このオーディエンスは、自社がリーチしたい層か
- 紹介されている製品やサービスは、ビジネス上の価値につながるか
- チャンネルや動画のテーマは、マーケティング目標と合致しているか
今回の例では、このオーディエンスはおそらく Ahrefs にとって適切とは言えないと考えられます。動画の主な対象は初心者層であり、関心の中心は無料キーワードツールに向きやすいためです。
一方で、Afrefs が優先したいのは、より習熟した SEO 担当者や、中堅からエンタープライズ規模の企業で活動するマーケター向けに、より高度なツールを訴求することです。
というわけで、次の動画に移りましょう。

視聴回数はやや少ないものの、この動画では、実際のターゲット層である企業ブランドの成熟したマーケターに響く形で Ahrefs が活用されています。
また、この動画は、現在のプロダクトとして特に注力しているテーマである AI を扱っています。
さらに、このクリエイターが紹介しているユースケースは、私たちの新しい ChatGPT SEO ツールである Ahrefs MCP を使えば、より効果的に対応できる内容でもあります。
さらに深く掘り下げると、このクリエイターのチャンネル登録者数は約 9.8 万人。扱っているテーマも、デジタルマーケティング、AI 戦略、専門的な成長、技術とビジネスなど、自社の注力分野とよく一致しています。
つまり、このケースでは次の点がすべてそろっています。
- オーディエンスの一致
- プロダクトの一致
- マーケティングやテーマの一致
総合的に見て、こちらの方がはるかに有望なパートナーシップ候補だと言えるでしょう。
さらに対象を広げたい場合は、同じプロセスを繰り返しつつ、自社ブランドのメンションを条件から外し、代わりに狙いたい市場や業界でフィルタリングする方法もあります。
たとえば、以下は「AI マーケティング領域」で関連性の高いクリエイターを見つけるために設定した、詳細なフィルターの一例です。

フィルターを活用してメンションを整理し、提携する価値のあるクリエイターを見極めるようにしましょう。
購入に踏み切る前に、多くの人が YouTube でレビューを見て、その製品やサービスが本当に課題解決につながるかを確かめています。
こうしたメンションからは、何が購入者を自社ブランドに引き寄せ、何が競合へと向かわせているのかが見えてきます。
ボトム・オブ・ファネル(購買ファネルの下部)の YouTube メンションを追跡すると、次のようなことが可能になります。
- よくある反論や不安への対応:レビューで繰り返し挙がる懸念点を把握し、ブログ記事の公開、FAQ ページの更新、製品の改善などで具体的な対応策を講じられます。
- 差別化ポイントの強化:クリエイターが「この機能は競合より優れている」と評価している点を見つけ、ホームページ、製品ページ、広告、営業資料で重点的に訴求できます。
- 営業チームの実践力向上:動画内に出てくる具体的な反論や質問、課題に対する回答を整理し、営業担当がそのまま使える形で共有できます。
- 顧客の声の発掘:動画内のリアルな体験談を見つけ、引用としてサイトに掲載したり、SNS広告用の素材に転用したり、ケーススタディとして展開できます。
- 戦略的な比較動画のスポンサー検討:競合比較で自社を好意的に位置づけているクリエイターを特定し、スポンサー提案や追加の訴求ポイントの提供につなげられます。
- 誤情報や誤解の是正:不正確な比較や誤った説明を早期に発見し、正確な情報を共有したり、更新版動画の共同制作を提案したりできます。
- 機能開発の優先順位の見直し:購入判断で評価されている競合機能の傾向を把握し、類似機能の優先度を引き上げる、あるいは言及されない機能の整理を検討できます。
- 比較ページの最適化:比較動画で購入者が実際に重視しているポイントを把握し、「自社 vs 競合」ページの構成やコピーを見直して、それらの課題や機能を訴求ポイントとして前面に打ち出せます。
購買意欲の高い YouTube メンションを見つける方法
購入者に向けたコンテンツで自社ブランドのメンションを見つける最も簡単な方法は、自社ブランドと競合が並んで紹介されている比較動画を探すことです。
以前設定した「含まない」フィルター(自社運営のチャンネルと、すでにスポンサーしているパートナーを除外するためのもの)はそのまま維持します。そのうえで、いったん除外していた競合他社を再び条件に含めます。
この例では、「タイトル > 含まない > 部分一致 > [競合名] 」のフィルターを外すだけで対応しています。

また、動画タイトルに含まれる「無料(free)」という単語のメンションも除外しました。これは、有料ツールをレビューをしているクリエイターに絞って分析するためです。
これで、競合他社はすべて再び対象に含まれました。
ブランド規模が大きく、メンション数が多い場合は、追加のキーワード条件を設定することで、比較コンテンツにさらに絞り込むことができます。たとえば、次のようなキーワードです。
- versus/vs(対比)
- alternative(代替)
- compares/compared/comparison(比較)
- review(レビュー)
- pros and cons(長所と短所)
- worth it(価値があるか)
- best(最も評価の高い)
- top(おすすめ上位)

今回はさらに絞り込む必要はありませんでした。というのも、Ahrefs の最も反響の大きいメンションは、競合と直接比較するレビューから生まれる傾向があり、比較的容易に見つけられるためです。

フィルターを設定したところ、すぐに Ahrefs と Semrush を直接比較するレビュー動画を 2 本、見つけることができました。
最初の 1 本は「Marketing Island」によるもので、2024 年 5 月に公開されています。現在までに 10,200 回視聴されています。

2 本目は「Jaume Ros」によるもので、2024 年 8 月に公開され、3,400 回視聴されています。

それらを NotebookLM に通すと、一方が Semrush を、もう一方が Ahrefs を推奨していることが分かります。

ただし、どちらの動画でも、Ahrefs は否定的に評価されています。 理由は、当時のクレジット制の料金体系と、マーケティング機能の幅が十分ではなかった点にありました。
しかし、これらの動画が作成されて以降、Ahrefs のプラットフォームと価格体系は大きく進化しています。
現在ではクレジット制を廃止し、AI モニタリング向けのブランドレーダー、SNS 投稿のスケジュールを管理できるソーシャルメディアマネージャー、全サイトのトラフィックを分析できる ウェブアナリティクス(GA4 の代替)など、より汎用性の高いマーケティング機能を追加しています。
ここで考えられるアクションのひとつは、これらのクリエイターに直接連絡を取り、Ahrefs の最新のプロダクト動向を共有したうえで、新しいレビュー動画の制作に関心があるかどうかを打診することです。
そうすることで、ブランドを取り巻く情報の正確性を高められるだけでなく、より多くのコンバージョンにつながる可能性も期待できます。
スポンサーコンテンツは、マーケティング投資の中でも大きな割合を占めることが少なくありません。
スポンサーしたメンションを追跡することで、コンテンツが実際に公開されたかどうかを確認できるだけでなく、どのパートナーシップが最も高いエンゲージメントをもたらしたかを把握できます。
具体的には、次のような点を確認できます。
- 成果物の確認:クリエイターが、契約通りにコンテンツを公開しているかを確認し、未公開や公開遅延があればフォローアップできます。
- メンションの質の評価:ブランドがどれだけ自然かつ目立つ形で紹介されているかを確認できます。タイトルやサムネイルで言及されているのか、それとも 20 分の動画の 8 分ごろに 1 回触れられているだけなのか、といった違いを見極められます。
- 継続的な効果の把握:スポンサー動画が時間の経過とともにメンションを生み続けているのか、それともすぐに反響が落ちてしまうのかを確認できます。たとえば、6 か月後もメンションが発生している動画であれば、長期的な価値を提供してくれたパートナーだと判断できます。
- 競合インテリジェンスの獲得:競合がどのクリエイターをスポンサーしているのかを把握し、その戦略から学ぶことができます。効果が出ていそうか、 同様のインフルエンサーを狙うべきか、 あるいは別のニッチ領域で差別化すべきか、といった判断材料になります。
スポンサーした YouTube メンションを分析する方法
スポンサー契約を結んだあとは、ブランドレーダーを使ってスポンサー対象のメンションをモニタリングすることで、予算が適切に使われているかを確認できます。
ここで、以前設定した「含まない」という条件を思い出してください。スポンサー付きメンションを除外するために使用していたものです。
これらの条件を「含む」に切り替えます。
あわせて、スポンサー契約のなかで説明文に含めることになっているフレーズやリンクが、すべて条件に反映されているかを確認してください。

これにより、成果物の進捗を把握し、スポンサーしたメンションの関連性を評価し、パートナーごとに生まれたエンゲージメントを比較できるようになります。
また、競合他社がスポンサーしているクリエイターが、どのようにスポンサー関係を打ち出しているかを分析することも可能です。たとえば、Semrush は無料トライアルの訴求をクリエイターに促しています。
こうした分析結果をもとにクエリを設計すれば、競合のスポンサー施策を継続的に追跡することもできます。

このような設定を行うことで、競合が起用している有力なクリエイターを把握し、より良い条件でアプローチすることが可能になります。また、競合が見落としているニッチ領域を見つけ出し、気づかれる前にその分野で存在感を確立することもできます。
YouTube は LLM によって 2 番目に多く引用されている情報源です。そのため、動画内でのメンションは、AI アシスタントがブランドをどのように位置づけるかに直接影響します。
AI に引用されるコンテンツをモニタリングすることで、次のようなメリットが得られます。
- AI に影響を与えているメンションを特定:どの動画メンションが AI の引用につながるかを把握できます。たとえば、「MarketingPro」のチュートリアル動画が ChatGPT で 180 回 引用されている一方で、別のスポンサー動画が 20 回未満であれば、次のキャンペーンでは「MarketingPro」を優先する、あるいはそのチュートリアル形式を自社コンテンツに取り入れるといった判断が可能です。
- AI の好みを理解:AI がどのテーマ、形式、クリエイターを好んで引用しているのかを把握できます。たとえば、10 分程度のチュートリアル動画が 2 分の製品デモよりも 5 倍多く引用されているのであれば、動画戦略をより長尺で教育的な形式にシフトすべきだと分かります。
- AI に強いパートナーの特定:AI に頻繁に引用されるクリエイターを特定できます。たとえば、「TechReviewer101」が関連する AI の回答の 70% に登場している場合、そのクリエイターを最優先のスポンサー候補に加え、予算配分を増やす判断材料になります。
- AI 主導の動画コンテンツの企画:AI に参照されやすい動画を重点的に制作します。たとえば、「 [ツール名] で 〇〇 を行う方法」といった形式の動画が繰り返し引用されているなら、そのタイトル構成で複数のチュートリアル動画を制作すると効果的です。
- 二重のインパクトを測定:YouTube 上での露出が AI での可視性にどう影響しているかを測定できます。スポンサー施策後の AI 引用数を追跡し、たとえば 200 件から 500 件にメンションに跳ね上がった場合、そのパートナーは再び起用する価値があると判断できます。
YouTube メンションが AI メンションを押し上げているかを確認する方法
YouTube 上で自社ブランドのメンションを見つけたら、その動画の URL をブランドレーダーに追加してください。
これにより、YouTube メンションのうち、どの動画が 7 種類の AI アシスタントにおける可視性向上に寄与しているのかを確認できます。
たとえば、最近の「最高のツール」系の動画で Ahrefs がどのように取り上げられているかを分析していたところ、LearnWire によるメンションを見つけました。

その URL をブランドレーダーのダッシュボードに移し、「 URL > 含む」フィルターに追加しました。

結果として、その 1 本の動画だけで、AI Overviews と AI Mode で 254 件の Ahrefs メンションを生み出していました。

この分析は、AI がどのトピックや形式、クリエイターを最も頻繁に引用しているのかを特定するところまで拡張できます。同じ手順を競合ブランドのメンションにも適用すれば、比較分析も可能です。
あとは、その結果を踏まえて、該当するコンテンツをより多く制作し、スポンサーするだけです。
まとめ
ブランドは、見ているかどうかにかかわらず、YouTube 上で語られています。
動画内でのメンションをモニタリングすることで、クリエイターがブランドをどのように位置づけているかを把握し、パートナーシップの機会を見つけ、YouTube 上での存在感を AI 可視性と結びつけることができます。
まずは Ahrefs ブランドレーダーでの毎月のブランドモニタリングから始めて、自社ブランドの立ち位置を確認しましょう。
