そのため、ウェブサイトが検索結果の上位に表示されているからといって決して油断はできません。キーワードの検索意図に大きな変化があった場合、新たに主流となった検索意図とウェブサイトの内容がマッチしなければ、何もしていなくても表示順位が落ちてしまうことがあります。この現象を「検索意図の変化」と呼びます。
この記事では検索意図変化の 7 つの例を挙げ、Ahrefs を使ったその特定方法をご紹介します。
そもそも、検索意図の変化はなぜ起こるのでしょうか?大きな理由は、「時間の経過とともに、検索キーワードとして使われる言葉の持つ意味合いが変化する」ためです。最適な検索結果をユーザーに提供するという使命を果たすため、Google はこの変化を検索結果に反映しなければならないのです。
この記事で紹介する検索意図の変化の例は、キーワードエクスプローラーの「SERP 概要」内にある「意図を特定する」機能を使って調査したものです。 この機能の使い方は以下の通りです。
- キーワードエクスプローラーにキーワードを入力
- 画面を「SERP 概要」まで下にスクロール
- 比較する 2 つの日付を選択
- 「✨ 意図を特定する」ボタンをクリック
- 日付ボタンをクリックして表示データを切り替え、それぞれの日付で最も多かった検索意図を比較
次に、検索意図の 7 つの変化例をご紹介します。
「オアシス(Oasis)」という言葉を聞いて、どう捉えるかは人によって異なります。「砂漠の中の水源」をイメージする人も、90 年代に人気を博したイギリスのロックバンドだという人もいるでしょう(ちなみに、イギリスではコカ・コーラから「Oasis」という飲料が発売されていたり、ファッションブランドの名前だったりと多用されています)。
最近まで、この言葉の指しうるこれらの事象・商品・ブランドは「オアシス」というキーワードの検索結果内でうまく共存していました。しかしそれも、(バンドの)オアシスが 2024 年 8 月 27 日に再結成するという驚きのニュースを発表するまでのことでした。
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出典:SEO 会社を経営するキャリー・ローズさんの資料より
変化の例
この発表前、同キーワードの主な検索意図は女性のファッションとアクセサリーに関する検索で、その 93% をも占めていました。
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しかしバンド再結成の発表後、検索意図の最大 93% がバンドのオアシスに関する情報収集へと変化しました。
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
その後、先述のファッションブランドは「オアシス」というキーワードによる検索結果で大きく順位を落としました。これは、同社のウェブサイトの内容が例のバンド再結成発表後に新たに主流となった検索意図とマッチしなくなったためです。
検索表示順位の回復は可能?
可能ですが、時間はかかるでしょう。オアシスの再結成は英国では非常に報道価値があり、当分の間はニュースの話題に上ると考えられるためです。とはいえ、メディアの大騒ぎが落ち着けば、ファッションブランドのオアシスはおそらくこのブランド名のまま「オアシス」というキーワードの検索結果順位で再びトップの座を狙えるでしょう。
2022 年 9 月 8 日のエリザベス女王 2 世逝去に伴って王室メンバーの称号が変更されたことにより、王室に関連したいくつかのキーワードの検索意図の変化が見られました。
注目すべき例の 1 つは、「チャールズ王」というキーワードです。女王が亡くなるまで、検索結果のトップに君臨していたのは「キング・チャールズ」という犬種、「チャールズ 1 世」という名のバンド、そしてキング・チャールズを校名に冠した学校でした。
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変化の例
同キーワードの以前の主な検索意図はキング・チャールズ・スパニエル犬の画像の検索で、最大 89% を占めていました。
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しかし2024 年 9 月 6 日までには、検索ユーザーの最大 81% がチャールズ 3 世に関する最新ニュースを求めて検索。最大 10% が彼の生い立ちに関する情報を検索しているという状況へと変化していました。
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検索意図が劇的に変化したため、この「チャールズ王」というキーワードと関連があった他のウェブサイトの表示順位は、Google 検索結果の 2 ページ目以降に降格してしまいました。
検索表示順位の回復は可能?
では、これらのウェブサイトが検索結果トップの座を取り戻すことは可能なのでしょうか?
この場合は、以前のトップ検索結果が新たな主流検索結果を追い抜き、また首位に返り咲く可能性は低いように思えます。というのも、チャールズ 3 世に関する報道は国王が亡くなるまで続くでしょうし、亡くなったその後も報道され続ける可能性があるからです。
これは「Queen(女王)」というキーワードの例からも見てとれます。女王エリザベス 2 世の逝去から 2 年が経ちますが、このキーワードは未だに現王妃(Queen Consort)よりも女王エリザベス 2 世のほうを強く連想させるようです。
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近頃「LLM」といえば、GPT‑3、GPT‑4、GPT-4o、Gemini(ジェミニ)、Claude(クロード) といった大規模言語モデルを想像する方も多いのではないでしょうか?
ここで、Ahrefs の SERP 概要を使って少し時計の針を巻き戻してみましょう。時は 2022 年 8 月 7 日、まだ AI 技術がまだそこまで進歩していなかった時代。その頃の主な検索意図は今とは大きく異なっていました。「LLM」というキーワードが主に指すのは法学修士学位のことでした。
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変化の例
2022 年の「LLM」というキーワードの検索意図の主流は、法学修士学位に関する情報検索でした。検索ユーザーの最大 49% が法学修士学位について理解を深めようとしており、最大 35% のユーザーが法学修士学位が取得可能な大学を探していました。
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しかし検索意図の変化後は、検索結果の最大 89% が大規模言語モデル、その仕組みおよび関連アプリについての情報収集へと変化しました。
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検索表示順位の回復は可能?
では、「法学修士学位」が以前のような検索表示順位を取り戻すことは可能なのでしょうか?
残念ながらその可能性は低いように思えます。なぜなら、LLM が「大規模言語モデル」という意味に変わったことに直接関連して、このキーワードの検索ボリュームが増えたと考えられるからです。ちょうど、ChatGPT が公開された 2022 年 11 月 30 日より、検索数が伸びていることからこの相関関係が読み取れます。

この例で影響を受けたのは 1 つのウェブサイトだけではありません。元々存在した略語(LLM)が、より検索数の多い新しいバージョンに検索トップの座を奪われたのです。
これは、頭字語(アルファベットの略語)として以前主流だった意味が、新たな意味に取って代わられた良い例です。このように、検索意図の変化が、検索結果として表示されるウェブサイトのカテゴリそのものを変えてしまう場合もあります。
多くの人は未だに、ソーシャルメディアの「X(エックス)」よりも「Twitter(ツイッター)」の方がなじみがあることでしょう。2021 年以前の「X」というキーワードの検索結果は今とは大きく異なっていました。
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変化の例
2021 年 12 月には、このキーワードを検索したユーザーの最大 59% は音楽バンドの X(アメリカのパンクロックバンド)やその楽曲に関連する情報を求めていました。
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しかし、2024 年 9 月までには、検索ユーザーの最大 93% が Twitter から改名されたソーシャルメディアの X のほうを検索するように変化しており、音楽バンドの X に関連する情報を求めていたのはわずか最大 4% でした。
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検索表示順位の回復は可能?
では、「音楽バンドの X」が以前のような検索表示順位を取り戻すことは可能なのでしょうか?
「X」というキーワードが指しうるものはさまざまです。このキーワードを使って世界最大級のソーシャルメディアが検索されているということは、それが今後無期限に検索意図の主流であり続ける可能性が高いことを意味しています。
これは、X(旧 Twitter)が 検索結果内でより多く表示され、X という名称のブランド力が高まるほど、その他の結果が 2 ページ目以降に追いやられる可能性が高いということです。
高額アフィリエイトマーケティングとは、ウェブサイトの訪問者をより高額な製品・サービスへ誘導することに重点を置いたアフィリエイトマーケティングの一種です。
数年前、Ahrefs のウェブサイト(英語)にこのトピックを取り上げた記事を載せたのですが、実は最近この記事の検索結果ランキングが下がっていることに気付きました。
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トラフィック減少の原因を調べたところ、その理由は検索意図の変化にあるらしいことが判明。まず、以前は検索ユーザーの 59% が高額アフィリエイトマーケティングの「理解」を目的としていました。
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しかし、現在はユーザーの 79% が高額アフィリエイトプログラムの「一覧」を探していることが分かります。以前投稿した記事は情報量が多すぎて、新しく主流となったプログラム一覧だけを求める検索意図に合った内容ではありませんでした。
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変化の例
ユーザーの検索意図が、高額アフィリエイトマーケティングの基本を理解することから、最良のプログラムが一体どれなのか知りたい、というものへと移行していました。一見取るに足らない変化に思えるかもしれませんが、これによって以前の検索意図によるトラフィックはかなり減ってしまいました。
検索表示順位の回復は可能?
では、この記事のトラフィックを回復させることは可能なのでしょうか?
回復は可能です。このタイプの変化の場合、おそらく記事を書き直すだけで改善が見られることでしょう。Ahrefs チームでも実際に記事の更新を試しており、まだ日は浅いですがすでに変化が見られ始めています。
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検索意図の変化により、以前の記事の内容が主な検索意図と合わなくなっていましたが、人気の高額アフィリエイトマーケティングプログラムの情報を追加し、最も需要の高い検索意図に合わせて記事の内容をうまく適応させることができました。
「Remarkable」と検索すると、かつてはオンライン辞書でこの単語が定義されたページが検索結果の大半を占めていました。しかし、「reMarkable」と呼ばれる電子ペーパー タブレットの新製品発売後、検索意図が単語の定義からこの製品の情報を求めるものへと変化しました。
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変化の例
reMarkable というタブレットが開発されるまで、「remarkable」 というキーワードの検索結果は至ってシンプルでした。検索ユーザーの最大 75% が、辞書の「remarkable(注目すべき)」の項目を探しており、これの同義語や反意語を検索している人も最大 22% を占めていました。
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しかし時は流れ、2024 年の時点では検索ユーザーの最大 75% が reMarkable タブレットの製品情報を求めており、最大 25% がこの商品に関連する最新ニュースを探しています。
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2024 年には、「remarkable(注目すべき)」という単語をオンライン辞書で調べたいと思っているユーザーは全体の 1% にも満たず、この現象自体が検索意図のまさに「注目すべき」変化になると言えるでしょう。
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検索表示順位の回復は可能?
では、注目の単語「remarkable」 が以前のような検索表示順位を取り戻すことは可能なのでしょうか?
これはおそらく難しそうです。今や辞書ウェブサイトの表示順位は 2 ページ目以降に後退してしまいました。タブレットを販売する reMarkable 社はすぐに消えてしまう会社とは思えませんし、たとえ大企業に買収されたとしてもブランド名はそのまま残る可能性が高いからです。
reMarkable の例のように、新製品のヒットがある特定のキーワードの検索意図の変化を引き起こすと、検索結果がそのキーワードが新たに意味するもの(製品)を中心として並べ替えられることがあります。
「apple」もこれと同じです。そもそもは果物の「りんご」を指す言葉ですが、ネット上で最も多い検索意図はデジタル製品メーカーの「アップル」に関連する情報を求めるものです。
かつて世界を揺るがした、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行。もういい加減に忘れたい、と思っている方も多いでしょうが、実は「コロナ」も、検索意図の大々的な変化を引き起こしたキーワードのひとつです。
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変化の例
「コロナ」というキーワードの検索意図は、以前はその最大 62% が同名のビールについての情報を求めるものでしたが、それが同単語に新しく生まれた意味である「新型コロナウイルス」の検索へと移行しました。
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英語での検索結果の場合、2020 年 8 月 28 日までに検索ユーザーの最大 45% が新型コロナウイルス関連の最新ニュースを求めており、最大 24% が米国カリフォルニア州のコロナ市に関する情報を検索していましたが、コロナビールについて検索していたのは最大 7% にとどまりました。
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検索表示順位の回復は可能?
では、「コロナ」の指す他の意味(ビール、都市名)が以前のような検索表示順位を取り戻すことは可能なのでしょうか?
現在「コロナ」というキーワードで Google 検索すると、検索結果順位でコロナビールがすでに返り咲きつつあることがわかります。 2024 年には検索ユーザーの最大 73% がコロナビールの商品情報を求めており、同商品がこのキーワードの主な検索意図の座に戻ってきました。
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ここまで見てきたように、検索意図の変化の発生にはいくつかのパターンがあります。よくある原因は次の通りです。
- 大きなニュースや事件:ニュースが検索結果の大部分を占め、以前の検索結果に取って代わるケース。例:ロンドン橋でのテロ襲撃事件により、「ロンドン橋」のすべての検索結果が同事件の報道に取って代わられた。
- 人気のトレンド:トレンドとそれについて取り上げたウェブサイトが以前の検索結果に取って代わる場合。
- 人名:ある人が有名になりその検索数が増えると、以前の検索結果に取って代わる可能性がある(例:テート、チャールズ王、イーロンなど)。
- 頭文字をとったアルファベットの略語:ある略語が複数の違った意味を持つ場合。例:大規模言語モデル(LLM)は、法学修士学位(LLM)よりも多く検索されるようになった。
- 新製品の発売:「remarkable(注目すべき)」など、元々存在した単語が製品名に使われ、検索結果で本来の単語より上位になる場合。
- 言葉の持つ意味合いの変化:「高額アフィリエイトマーケティング」の主な検索目的が、それがどんなものかを理解することから、単に最良の高額アフィリエイトマーケティングプログラムを見つけ出すことへと変化した。
おわりに
Google は検索ユーザーに「最適な」回答を提供することを念頭に置いています。最も検索意図が多い内容を優先した検索結果を表示しているのは、まさにこのためです。しかし裏を返せば、同じキーワードに関連していても「検索意図が少ない(=検索で人気がない)」事象や製品については、表示順位がそれほど上がらないということになってしまいます。
あなたのウェブサイトも検索意図変化の影響を受けたことがありますか?体験談をお持ちの場合はぜひ、そのエピソードを SNS でシェアしてください。この記事を次回更新する際に、例として採用させていただくかもしれません。